イラク戦争に思う

属国ニッポンに「独立」のとき (Newsweek Japan 2001.12.26 PDF)
「日本はアメリカに拘束されている。」"Japan's binding ties to the US," said Mr.Charles Scanlon, BBC Tokyo correspondent.
ジョンソン大統領はベトナム戦争勝利の夢を見ていた
(Newsweek Japan 2001.12.5 PDF)

ブッシュ坊やと、サダムおじちゃんの危険な遊び
-戦争は喜んでするもんだ-
躾をされてない甘えん坊たちの哀れな犠牲者たち
<産経WEB Yomiuri Online CNN BBC Guardian Unlimited Al Jazeerah>

2003年3月20日、ついに妄言癖で有名なブッシュ大統領率いる米軍が、イギリスとともにイラクと戦争(Operation Iraqi Freedom=イラクの自由作戦) を始めた。<ブッシュ妄言録George W. Bushisms)
アメリカの戦争を支持している(Supporters of US-led war on Iraq)のは40カ国程度だが(記事)、経済的にアメリカの援助を受けている国が数多くあるのではないか、ということも言われている。
これに対して反戦を訴えるデモや集会は、世界各地、ニューヨークでさえも開かれている。(記事

実のところ、私も これに先立つこと2週間前、Move On - Democracy in Actionというサイトを通して「国連査察継続・反戦」の署名を国連安全保障理事会あてに出したことがある。
何でこんなことをやったかと言うと、ブッシュがあまりにも狂ったことを言っていたからだ。
マイケル・ムーア(Michael Moore)の言う、英語がまともに話せないアメリカ大統領ということが本当に思えたからだ。
それまで私はブッシュもサダムもどっちもどっちと思っていたので、諺にある「毒をもって毒を制する。(Poison quells poison.)」というポリシーならある意味では戦争も必要悪と考えていたから何もしなかったのだ。
ところが、"Bush Steps Up Pressure on U.N."で、彼は「最後の手段として、米国民は喜んで武力行使をしなければならない。("As a last resort, we must be willing to use military force," Bush said in his weekly radio address.」と言ったことで、私も気が変わった。
これが、「喜んですべき」(must be willing to)ではなく、「せざるを得ないだろう」(will be obliged to)だったら私は何もしなかったであろう。
ブッシュは開戦宣言のとき、「喜んで"be willing to"」とは言わずに「いやいやながら"reluctantly"」を使った。
おそらく本心ではないし、開戦宣言に「喜んで」を使うと困る側近がメッセージを変更したのだろう。
例の記事は読まない人も多くいただろうが、開戦宣言はたいていの人が読むだろうと思うから・・・

今、私はブッシュが大統領に再選されることはサダムが生き延びることと同じくらい世界にとって危険な気がする。
妄言癖がある戦争ごっこが好きなアル中がホワイトハウスにいるのも、誰でもサディスティックな趣味の犠牲にするフセイン一族が中東の石油を握っているのも、どちらも危険であるのに変わりがない。
一方、日本にとって一番危険なのは金正日(キムジョンイル/Kim Jong Il)なんだろうが(Newsweek Japan 2003.2.19 PDF - 「最後の一線」を米朝が越える日)、イラクも北朝鮮も国民が疲弊しきって革命を起こす気力も体力も尽きているという。
そういった意味では、誰か(その誰かが今回は英米ということなのだろうが)が独裁者から国民を解放してやることも必要なのだろう。
しかしながら解放軍が純粋にその国民を助けるためだけに軍隊を派遣すると思っては大きな間違いだ。
もし、今回で言えば英米軍が純粋な解放軍なら莫大な戦費を負担する国民、そして兵士を送り出す英米の国民が逆に納得しないだろうからだ。
そこには強かな国益が計算されてるのが当然である。

そう、アメリカ人のメンタリティに大きな影響を与えているものの1つにピューリタンの指導者、ジョン・ウィンスロップ(John Winthrop)の言葉があると言われる。
これはアメリカ人の子どもたちが歴史の授業や日曜学校でよく聞かされる言葉でもあるらしい。
作家の佐々木譲氏の著書「ワシントン封印工作」の中にある意訳を引用するならば、「アメリカは神に選ばれた国であり、例外的な存在であること。世界の希望であって、平和と栄光と英知の国であることを誇らしげに語っている」ということだ。
ちなみに原文は以下、アメリカが独りよがりになる理由の1つがこんなところにもあるのかもしれない。

For we must consider that we shall be a city upon a hill. The eyes of all people are upon us, so that if we shall deal falsely with our God in this work we have undertaken, and so cause Him to withdraw His present help from us, we shall be made a story and a byword through the world.
我々は丘の上の町になるのだということを考えて見たまえ。あらゆる人々の目が我々の上に注がれているのだ。そして、もし、我々に与えられた仕事において誤った取引を神とすべきであるならば、また、そのことが神が我々を助けることをやめる原因となるならば、我々は噂され、世界中の物笑いの種になるだろう。

ところで、私は一つ気になることがある。
先進国のニュースはいろいろな会社、いろいろな人が様々なメディアチャンネルを通して流している。
情報を得る自由も流す自由もあり、それらの手段を使うだけの経済力があるからだ。
でもイラクを始めとする中東はどうだろうか?
彼らの国でインターネットを使える人は外貨定期預金の金利程度でしかないという。
英語を話す人は?逆に欧米のメディアが彼らと接触する自由は?現地語を理解するジャーナリストは?
そう考えると流れてくる情報量には格段の差がある。
当のイラク人は今回の戦争についてどう思ってるのだろうか?
あくまでも反米、空爆するなんてふざけるな!ってか?まあ、普通ならこれが当然!
それともフセイン殺してくれるなら誰でもいいという心境か?
知りたいとは思わないか?
3月23日付の読売新聞の「解放の願い、家族安否…ヨルダンのイラク人 思い交錯」あたりが海外に住んでいるイラク人の本当のところなのだろう。
イラク国内にいる人の本音を外国人が聞きだすのは無理だろう。
密告されて秘密警察にリンチに遭うだけだ。
でなければフセイン大統領の信任投票で100%なんてあり得るか!
それを差し引いてイラク人から発せられる意思というものを聞かないといけないだろう。
何が正しくて、何がやらせか?
それを解く鍵は自分がフセインなら、自分がブッシュならと想像してみることにあるかもしれない。

いずれにしろ最初に、しかもたくさん犠牲になるのは無力な子どもたち!彼らに何の罪もないのだが・・・

マイケル・ムーア(Michael Moore)は言う。
"Women continued to bring life into this world; we continued to destroy it whenever we could. How many women have come up with the idea of exterminating a whole race of people? None that I've met at the gym." (女性たちはずっとこの世に生命を生み出し続けている。逆に俺たちは手当たり次第にそれを殺しつづけている。人種ひとつまるまる抹殺しようなんて思いついた女性がどれだけいるだろうか?少なくとも俺が学校で習った女性の中には1人もいない。)と・・・

2年前、タリバン政権を崩壊させた米軍だが、当然ながらあれだけの大部隊の中にはとんでもない奴らも入っている。(Newsweek Japan 2002.10.16 PDF - 米軍の知られざる蛮行)
米英軍はイラク国民を独裁者から解放すると言っているが、それが仮に真の目的の1つだったとしても相互不信からうまくいかない可能性も高い。
日本の沖縄や韓国での対米不信、反米運動の主たるものは米軍の蛮行がきっかけだ。<(Newsweek 2001.7.25 PDF - 沖縄米兵事件の犠牲者は誰か) (Newsweek Japan 2003.1.15 PDF - アメリカを悩ます韓国の怒りと誇り)>
アメリカに対してそれほどわだかまりや敵意がない国ですらそのような状況で、イラクで果たして目的を遂げることができるか?
そもそもそれが真の目的なのかが怪しいところだ。
米軍は12年前の湾岸戦争で勝利したあと、アメリカはフセイン政権打倒の武装蜂起を呼びかけ、それに呼応した反体制派を見捨てたという前例があるからだ。
アメリカの言うイラク国民のため、という大義がほとんど信用されないのには理由があるのだ。
それにもかかわらずいまだに楽観的な見方もある。(Newsweek Japan 2003.1.1/8 PDF - 新生イラクに来る夜明け)
我々は戦争のはじまった今、そう期待するしかないのだろうか?


日本政府に対して、「アメリカの国策に反する政策」を訴えても無駄だろう。
なぜなら、日本の実質的地位はアメリカ合衆国日本行政特別区(The government of the Japan Special Administrative Region (JPSAR) of the United States of America)かもしれないからだ。

要するに通商・環境分野ですら対米自己主張ができなかった日本政府に、安全保障に関してアメリカに文句を言え!と訴える人は、肥満児にいますぐオリンピックでメダルを取れと言ってるに等しいほど過酷な要求をしている。

こういうことを言うと右派・左派を問わず猛反撃にあいそうだが、私はそう感じているのだから仕方がない。
つまり、日本は国際法上、つまりペーパー独立国であって、真の独立国ではない。
では何かというと、日本の正式名称は、アメリカ合衆国日本行政特別区(The government of the Japan Special Administrative Region (JPSAR) of the United States of America)が正しいと思う。
日本では新しい首相が就任すると、何をおいても訪米する。
仮にアジア諸国との間で大きな問題やビジネスチャンスがあったとしても訪米第一である。
そしてアメリカの顔色を覗いながら政策を決める。
マレーシアのマハティール首相EAEC(East Asia Economic Caucus=東アジア経済協議体)構想を提示したときがその最たるもので、日本はアジアのイニシアティブを握るチャンスを逸したのだ。
最近ではブッシュ大統領が京都議定書を離脱したときに毅然として米国を批判せず、欧州の側に付かなかったこともあげられる。
このとき、シュレーダー(Gerhard Schroeder)政権の環境政策にブッシュ政権(京都議定書離脱のみならず環境保護局の予算をも削減したりしている)が全く耳を貸さなかったのが、今回の確執の一因でもあると私は思う。(see also the Christian Science Monitor)
私に言わせれば、地球環境問題、つまり国際協力の枠組みに全く非協力的で粗野な荒くれ者たちが中東で石油利権のために爆弾を落としている。
アフガニスタンの旧タリバン政権が16世紀の感覚で動いていると言った人がいるが、ブッシュ政権の思想は19世紀の帝国主義戦争時代の考え方と全く同じである。
私にはドイツがアメリカのイラク戦争に非協力である理由が私には手にとるようにわかる。
しかしながらブッシュ政権は彼らを自国の反戦運動家(例えばロイターの記事にあったCode Pinkと呼ばれる女性平和運動家)同様、歯牙にもかけないに違いない。
ただ勘違いしてはならないのは単純にロシアやフランス、ドイツが純粋に反戦を主張しているわけではないことだ。(週間ポスト-2003.4.4 フランス平和主義の欺瞞) (BBC - France's economic ties to Iraq)
そこには混沌とした世界のイニシアチブを自国が握りたいという思惑が十分にあることを我々は理解しないといけないのだ。

なぜ日本はそんなアメリカの顔色をそこまで覗うのか?
日本は実質的にアメリカ合衆国日本行政特別区(The government of the Japan Special Administrative Region (JPSAR) of the United States of America)の地位でしかないからだと思う。
行政長官(chief executive)が本国の大統領に就任の挨拶に行くのは当然の儀礼だろし、政策面で影響を一番受けるのも当然だ。
行政長官が何で選挙で選ばれるのかって?
香港だってそうではないかな?

アメリカ合衆国日本行政特別区(The government of the Japan Special Administrative Region (JPSAR) of the United States of America)は、資本主義国の中の社会主義国である香港行政特別区<The Government of the Hong Kong Special Administrative Region (HKSAR) of the People's Republic of China>とは逆の一国二制度('one country, two systems')だ。
日本は社会主義国ではないと言う人は多いだろう。
しかし、これも国際社会におけるペーパーの色分けに過ぎない。
社会主義の理念は、「貧富の差をなくし、人間の実質的平等、連帯を謳うもの」とある。
まさに山一證券の倒産(1997.11.24)以前(Before Yamaichi)の日本が目指し世界的な成功を収めた理念そのものではないか!


「アメリカは自らの国益を害さない程度において、日本の通商・経済・外交政策を認めているのだ。
「外圧」という名の内政干渉をありがたいと思ってる人たちは世界で最もマゾヒスティックな人たちだ。

かつてのジャパン・バッシング(Japan bashing=日本叩き)は、日本の製品がアメリカ市場を席捲しようとしたからにほかならない。
日本製品を市場から締め出すのなら高率の関税をかけてもいいし、それよりもまず自国の製品の品質を向上させることが先決だったのにだ。
欧州やアジア各国の製品がアメリカに大量に入ってきたからといって、いちいちこんなことをやっていたのだろうか?
おそらくやってないと思う。

「外圧」という名の内政干渉を唯々諾々と受けつづけ、自国民の要求にはほとんど背を向け続けた日本はまさにアメリカ合衆国日本特別行政区(The government of the Japan Special Administrative Region (JPSAR) of the United States of America)という名にふさわしい行動しかしていない。
かなり前に、それを真の独立国にしたがった故田中角栄首相は自分自身の身から出た錆び「ロッキード事件」をアメリカに暴露されて失脚させられた。
ちなみに故田中角栄首相の罪名は受託収賄罪だったが、これが立件できたのはアメリカからの証拠提供があったからだ。
なぜなのかはおわかりだろう。
日本はアメリカの国益に反する行動を取るとどうなるか!という警告なのだ。
彼の失脚後、アメリカに対抗するような政策を打ち出す首相は1人も現れていない。


真の独立国は自国の安全を人任せにはしないものだ。
そういう議論すら拒み、日本国民に国民投票(憲法第96条)による意思表示の機会さえ与えてこなかった者たちは国賊である。

戦えない国日本 (Newsweek Japan 1999.3.31 PDF)

日本の安保論議は「議論なき議論」 (Newsweek Japan 2003.2.19 PDF)

私は基本的に第3国(例えば北朝鮮)が日本を攻撃してきた場合の対処方法は3つしかないと思ってる。

  1. 自ら武器を取って戦う-これがグローバルスタンダードだ。
    永世中立を言っているスイスでも自国の防衛のためには国民各自が武器を取る。
    いくら中立なんて言っても、それをかつてのナチスドイツはせせら笑いながら踏みにじった(1940年4月9日 デンマークとノルウェー)のだからそんな宣言がいざというときに何の役にも立たないことを彼らは知っている。
    また、世界の権力者のダーティマネーを引き受けることもスイス独立維持に役立ったことは言うまでもない。

    日本が外交努力を続けていれば攻めてくる奴なんかいない、と言う人は、なぜ湾岸戦争が起きたか?イラクはクウェートを攻めたか?学習するといい。
    もしもっと古い時代のことが知りたければ、中国の宋の歴史を見るといいだろう。
    諺に「賢者は他人の失敗(歴史)に学び、愚者は自分の失敗(経験)に学ぶ(Wise men learn by other men's mistakes; fools by their own.)」というのがある。
    まさに当時の宋は今の日本と同じ!運命も同じにならないといいけど・・・

  2. 誰かに守ってもらう。これが今の日本の姿である。
    つまり米軍は一種の傭兵なのだから、彼らに対価(これは思いやり予算とも言われることがある)を支払うのは当然の成行きであろう。
    以下の小泉発言はそのことを認識したものという評価をBBCから受けている。
    ただ、傭兵に頼りすぎて国が潰れたというのも過去の歴史が示す通りである。

  3. 無条件降伏。運命だと思ってあきらめる。
    自力で逃亡するが、周囲は海であるから無事に台湾まで行けることを神に祈ろう。

    一部の反戦・平和団体や政治家の主張を忠実に実行するとこれしか選択肢はない。

    自衛隊は違憲の存在-憲法上、どう読んでもこれが結論だが、私が彼らと違うのは憲法を改正して欲しいと思うところだ。彼らは自衛隊はなくせと要求している。

    米軍は不要だ-米軍基地周辺の人のことを考えるとそういう考え方もある。特に基地が集中している沖縄はそうだ。(Newsweek Japan 2000.7.26 PDF - 在日米軍はいらない?)
    でもだったらなぜ彼らは日本から独立しようとしないのだ?
    日本政府と交渉しても無駄なことは今も昔も変わりない。
    かつて琉球と呼ばれてる頃は独立していたではないか。元に戻してアメリカと交渉すればいい。(Newsweek Japan 1997.5.21 PDF -沖縄が独立する日)
    話を戻して、自衛隊も日米安全保障条約もすべてなくしたら日本は丸腰になる。

    もし、日本で強盗しても放火しても人を殺しても罪に問われない、あるいは捕まる可能性がほとんどない、反撃される可能性もあまりない、としたらどうする?
    やり放題だろ?そうなることがわかっていないのだろうか?彼らは・・・
    残念ながら刑法第81条と第82条に規定する「外患の罪」は、外国が日本に武力行使をさせるようにした者や加わった者だけが処罰されるのだが、彼らの言動はそれに相当するようなことをやってることを認識して欲しいものだ。

わが日本の小泉首相は2003年3月20日の「イラク問題に関する対応について」の記者会見でアメリカに対する支持表明とともにこう明言した。

アメリカは、日本への攻撃はアメリカへの攻撃とはっきり明言しています。
日本への攻撃はアメリカへの攻撃とみなすということをはっきり言っているただ一つの国であります。
いかなる日本への攻撃も、アメリカへの攻撃とみなすということ自体、日本を攻撃しようと思ういかなる国に対しても、大きな抑止力になっているということを日本国民は忘れてはならないと思っております。
The United States has clearly stated that an attack on Japan would be an attack on the United States. The United States is the only country which clearly states that an attack on Japan would be considered as an attack on the United States. The people of Japan should not forget that the fact that the United States deems the attack to Japan as an attack to itself is serving as a great deterrence against any country attempting to attack on Japan.

これだけなら世界中どこにでもある軍事同盟関係である。
しかし、軍事同盟は双務的であるのが一般的であり、片方の国だけが義務を履行するのであれば、それは保護国と宗主国の関係なのである。
BBC東京特派員のチャールズ・スキャンロン(Charles Scanlon)は「日本はアメリカに拘束されている。(Japan's binding ties to the US.)」という表題の記事で、「たくさんの日本人が反戦のために通りを埋め尽くしても小泉首相がアメリカを支持すると言ったのは、来る北朝鮮の脅威に際してアメリカの保護が必要になることを彼は理解していたからだ。」と・・・
事実、日米安全保障条約(Japan-US Security Treaty)にはこう書いてある。

第三条(Article 3)
締約国は、個別的及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。
The Parties, individually and in cooperation with each other, by means of continuous and effective self-help and mutual aid will maintain and develop, subject to their constitutional provisions, their capacities to resist armed attack.
第四条(Article 4)
締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。
The Parties will consult together from time to time regarding the implementation of this Treaty, and, at the request of either Party, whenever the security of Japan or international peace and security in the Far East is threatened.

そしてお馴染みの日本国憲法を見てみよう。

第九条(Article 9) [戦争の放棄(RENUNCIATION OF WAR)]
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
Aspiring sincerely to an international peace based on justice and order, the Japanese people forever renounce war as a sovereign right of the nation and the threat or use of force as means of settling international disputes.
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
In order to accomplish the aim of the preceding paragraph, land, sea, and air forces, as well as other war potential, will never be maintained. The right of belligerency of the state will not be recognized.

この条文はいろいろなところで取り上げているので、いまさら書く必要がないほどだ。
ただ、わが国会においては不毛かつ無意味な政争の道具となってしまっているところに私たちの不幸が存在する。
一番不幸な境遇にあった人は、北朝鮮拉致事件の被害者とその家族、次が湾岸戦争でイラクの人質となった人、その次がペルー日本大使公邸事件で人質になった人たちだろう。
不幸な目に遭いそうな人たちの中に、日本船籍の石油タンカーや漁船の乗組員も入るかもしれない。(Newssweek Japan 1999.7.7 PDF - 南の海は海賊たちの天下)

アメリカは日本がピンチになったからといって即座に出動するとは限らない。

穴の開くほど日米安全保障条約を読んで欲しい。
日本がピンチになったとき、アメリカは日本から要請がない限り、動かないかもしれないのだ。
しかも日米間が険悪、今のアメリカとドイツやフランスとの関係のような状態になったとき、「要請など聞いてない。」「協議などしたくない。」と言われたらどうするのだ?
つまり、話し合いができない状況のことは想定していないのだ。
今は、「日本が攻撃されたら、アメリカへの攻撃へとみなす。」と言ってくれている。
これはあくまで首脳同士の口約束かもしれないのだ。
事実、あれほど反米色の強かった韓国の盧武鉉(ノムヒョン/Roh Moo Hyun)新政権はここにきて対米支持を言っている。
残念ながら日本と韓国の安全保障は米軍抜きにして考えられないという状態にある。
ただ、アメリカが意図的にそういう状態を作り出しているということも否定はできない。
イスラエルのように強固な情報機関を持ち、強力な軍隊そして特殊部隊を持ち、いざというときは友邦国のアメリカすら信用しないというかたくなな意思は日本にも見習うことはあるように思える。

だからと言って、私はシャロン(Ariel Sharon)やネタニヤフ(Binyamin Netanyahu)の政策を支持しているわけではない。
むやみに争いの種を持ち込み、喧嘩を売っておいて、お前が悪い!というのは今のブッシュに通じるものがあるからだ。


「憲法を護る」と言ってる人の大いなる偽善
あなた方は憲法79条と80条のことは問題にしないのか?

私が言いたいのは憲法弟9条のことではない。
そのことも当然含まれるが、私が問題にしたいのは、憲法弟79条と第80条だ。
2002年の第155回国会(臨時会)に出された「裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案」で彼らの報酬が減額される案が可決成立したとき、9条問題では噛み付くマスコミや「憲法を護れ」と主張する団体は全く音なしのように見えた。
もっとも団体の主張についてはメディアが取り上げない限り、大きな波紋にはならない可能性もある。
当然のことながら野党の中では反対の論陣を張った人もいた。(2002年11月13日-衆議院法務委員会 2002年11月19日-参議院法務委員会)
しかし、大きなニュースとはなってない。
これに先立って当の裁判官は相変わらずの解釈でもって合憲としたそうだ。
ちなみに、以下のことは衆議院法務委員会の席上、山本庸幸内閣法制局第二部長と、山崎敏充最高裁判所事務総局人事局長から同様の趣旨の答弁があった。

裁判官の報酬については、司法権の独立を担保するため、憲法79条6項と80条2項で減額できない旨規定されているが、2002年9月4日の最高裁判所裁判官会議においては、「国家財政上の理由などで、やむを得ず立法、行政の公務員も減額される場合、裁判官報酬の減額は身分保障などの侵害には当たらず許される」との見解が出されており、学界において合憲説も主張されていることも踏まえ、現下の社会の諸情況に照らし、今回の引き下げは容認、政府案に賛成の旨報告され了承された。

行政府の解釈を追認するだけの裁判所、国会、マスコミ・・・
日本では三権分立という言葉は死語である。
分立しているどころか、間接的官僚独裁国家である。
日本はすでに法治国家ではないし、まして民主主義国でもない。
第二次世界大戦後、私たちが得たものは見せ掛けの繁栄と自由だけなのかもしれない。
失ったものは数多い。
一番のものは独立心だ。<「甘え」の構造The Anatomy of Dependence>


もう送ることはないだろう-幻のメッセージ

私がMove On - Democracy in Actionというサイトを通して「国連査察継続・反戦」の署名を国連安全保障理事会あてに出したことがある、と前にも書いた。
しかし、私は最初英文でメールを作り送る一歩手前までいっていた。
それでも送らなかったのは、どこに送ろうかと考えていて、インターネットで「アホでマヌケなアメリカ白人(Stupid White Men)」の著者であるマイケル・ムーア(Michael Moore)のサイトを見ていたら、例の署名サイトにリンクが貼られていたのだ。
こういう署名活動は日本でも玉石混交だから警戒しなければいけないのだが、私は彼の書いたものを読んでいたので、それほど悪いサイトではないと判断した。
そして署名を実行した・・・
結果は何の役にも立たなかったかもしれない。
でもブッシュの政策を批判できる術を私は1つだけ得たような気がした。
日本の首相に対米批判や反米の政策を取れ!と要求するより、こちらの方がはるかにマシだと思うからだ。
そう、下の英文メッセージなんか顔から火が出そうなものだが、あえて公開する。
こんなレベルのものでもいいのだから自信を持ってやってみよう。

Dear sir,

My name is ****, and I'm living in Japan.
I have just learned of you from **** (the internet or book).
I hate no bother you but I'd like to send my opinion to you.
Because I'm sure that those who can stop the Oil War are only U.S. citizen.

According to ITV.com, President Bush on Saturday stepped up pressure on reluctant U.N. Security Council members to set a March 17 deadline for Iraq to disarm or face military action, digging in for what may be a losing diplomatic battle, and "As a last resort, we must be willing to use military force," Bush said in his weekly radio address.

Frankly speaking, I am against the Oil War.
President Bush said this war is against the evil, but I think for oil.
By the way, do you get any benefit if he takes on Iraq?
I think a little or nothing.
I feel this war to be an absurdly action.
Of course I thank U.S. army for protecting Japan against third power.
But I can not go along with Bush's policy.
So I wish U.S. would stop the Oil War.
Finally I hope you have a good job.
Good-bye.
拝啓

私は日本に住んでいる****です。
あなたのことは****(インターネットか本)で知りました。
ご迷惑は承知ですが、私のメッセージをあなたに送りたいと思います。
なぜならこの戦争を止められるのはアメリカ市民だけだと確信してるからです。

ITV.comによれば、ブッシュ大統領は、土曜日(3月8日)、外交上の駆け引きは無駄であろうとしながら、イラクを武装解除をさせるか、武力行使をするかの最終期限を3月17日とすることを、あまり乗り気でない国連安全保障理事会のメンバーに対して圧力をかけた、また、最後の手段として私たちは、喜んで武力行使をすべきだ、とブッシュ大統領はラジオ演説で言った、とあります。

率直に言って、私は今回の戦争には反対です。
ブッシュ大統領は悪を倒すためだと言ってますが、私は石油のためだと思っています。
ところで、彼がイラクと戦ったことによって米国人にはどんな利益があるのでしょうか?
私はないか、あっても少しだと思います。
馬鹿げた戦争です。
もちろん私は、アメリカが第三国からの侵略に対して抑止力となっていることに感謝しています。
それでもブッシュ大統領の政策は容認できないのです。
私は彼が戦争をやめることを期待しています。
最後にあなたがいい仕事をしてくれることを期待して・・・さようなら

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