割安サービスを選んで引越し費用を節約する
(2004.2.28 日経プラス1)

転勤や就職、入学など春の新生活に向け引っ越しする人は多い。その料金は依頼する時期などで大きく違う。少しでも節約するため知っておきたいポイントを紹介しよう。

引っ越しサービス会社の料金で最も効果的な節約術は、繁忙期を避けること。
引っ越しが多い時期には高く、逆に少ないときは安い。
引っ越し会社は車や作業員に余裕がないときは通常の設定通り料金を請求するが、比較的暇な時期には仕事量を確保しようと、大きく値引きする場合が多い。
3月20日前後から4月第1週ころは1年のうちのピーク期。こうした時期は通常、かなり高くつく。
ほかの時期でも土日、祝日や、平日でも大安は繁忙期扱いが多い。同じ日で時間帯によって料金が違う場合もある。午前中の作業開始を希望する人が多いため、「夕方などなら値引きできる場合がある」(日本通運引越部)という。

引越し費用節約の5か条
  1. 繁忙期を避ける。
  2. 複数の会社から見積もりを取る。
  3. 予定日の候補はなるべく複数に。
  4. 頼む作業を絞り込む。
  5. 学割などの利用も検討。

どの程度差があるのか。サカイ引越センターの場合、閑散期(土日祝、大安を除く毎月1-20日)に三トン車・作業員二人、同一市内で引っ越すケースで、小物の荷造り、荷ほどきを自分でやるなら最低4万円から。これは「繁忙期の通常料金と比べ60〜65%安い」(大阪支社)。
仕事や住まいの入居日の事情で、引っ越し時期を選べない人も多いが、節約をあきらめるのは早い。
実際の繁閑は会社によって多少異なり、同時期で料金が違うこともあるので、まずは複数の会社から見積もりをとる。
競争が働いて値引きする会社が出てくる可能性がある。最初から「この日のこの時間」と指定せず、引っ越し会社の都合を聞けば割安な料金を引き出しやすいようだ。

日どりや時間帯に融通がきかない場合は、引っ越し会社に頼む作業の範囲を絞り込むのが一つの手だ。
現在、多くの会社は作業全般を引き受けるフルサービスのほか、大型家具の輸送や搬出入などに限る低価格サービスを用意している。

ヤマト運輸の子会社、ヤマトホームコンビニエンスではフルサービスの「引越らくらくパック」が市内での引っ越しで部屋数3部屋だと162,000円(関東版の通常料金)。一方、利用者自身が小物の荷ほどきや新居の掃除をする「引越らくらくエコノミーパック」は同条件で13万円と、約3万円安い。
長距離ではさらに料金差が広がり、東京−大阪間は「らくらく」が三部屋311,000円、「エコノミー」は249,000円だ。同社には家具の搬出入などは引き受けず、車とドライバーだけのサービス「引越チャーター便」もあり、さらに割安だ。

こんなサービスも
アートコーポレーション 引越待ち割 予定日を1日に特定せず、希望日の前後2日ずつ、計5日間の幅を持ち会社側の都合を反映して日時を決めると、同社規定料金の半額に(3月20日〜4月4日は利用不可)
サカイ引越センター(9039) せつやくコース 利用者が小物の荷造り、荷ほどきを行うので通常より割安。依頼時期が閑散期ならさらに安い。繁閑の状況はホームページやチラシで公表。
ヤマトホームコンビニエンス(9064) 引越チャーター便 荷物量に応じた車と運転手だけを提供。荷造り、搬出入の人手が確保できる人には便利。
日本通運(9062) えころじこんぽ 使い捨て資材を使わず費用削減。荷造りから後片付けまで会社が請け負うが、料金は利用者が自分でこん包などをする場合と同程度。(近距離引越しのみ利用可)

単身者には専用サービスもある。荷物の量が限定されるが、料金は安い。ヤマトの「単身引越サービス」は東京−大阪間27,000円(平日)。
家族での引っ越しの”裏技”として、こうした単身者用を使う手もある。ある引っ越し会社の担当者は「繁忙期で荷物が多い人は単身者用で必要最小限の荷物だけ送っておき、閑散期に通常サービスで残りを運ぶと合計して安く済む場合ある」と話す。
特別な割引制度を設ける会社もある。アートコーポレーションではインターネットで見積もりを頼むと通常料金に比べ約1割引き。
今年から引っ越し業界では珍しい学生向けの「アートの学割パック」も始めた。通常料金より1〜2割程度安い。
学割という名称だが実は新社会人も利用できる。「学生は学生証、新社会人は卒業年がわかる書類を確認する」という。ネット割引、学割とも繁忙期にも使える。

予定日を決め割引などを調ペ終わったら、できるだけ早く見積もりを頼むことが大切。
特に繁忙期には最短でも2週間前に見積もりをとりたい。直前になると料金面で不利になるほか、希望日時に間に合わない恐れもある。
急ぐといっても、見積もりで自宅に来る営業員とはじっくり話そう。料金交渉だけでなく、きちんとサービスの細部を聞いておく。
例えば搬出入や輸送で家具などが破損したときの補償。営業員が補償するケース、しないケースを明確に説明するか、契約書面に明記しているかは最低限確認したい。
引っ越し会社のサービスの質は必ずしも一定ではない。信頼できるか見極める姿勢が大切だ。

引越し時に耐震マット/アートコーポ・家具に取り付け
(2004.3.3 日経新聞)
引越し専業大手のアートコーポレーション(大阪府大東市)は地震などで家具が転倒するのを防止する粘着マットを、引越し時に取り付ける「アートのプロセブン」を3日から始める。
ジーベース(大阪市)が製造する耐震マット「プロセブン」を設置する。5p平方のマットの両面に粘着性があり、タンスやパソコンの底面に張りつけて使う。
震度7クラスの揺れにも耐えられるといい、引越し作業員が荷物搬入時に設置する。
プロセブンは店頭でも5,040円(1セット4枚入り・税込み)で販売されているが、アートは設置料金込みで3,150円(同・税込み)で提供する。作業が手間取ることを考えれば割安という。
引越しをしなくてもマットを1セット3,150円で提供するほか、マット3セットに作業員2人による取り付けサービスが付いた「タンス3点セット」(19,800円・税込み)も用意する。

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