米国産牛肉輸入問題関連の記事
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牛肉「粉飾検査」の実態
(Newsweek Japan 2006.2.8)
By トレーシ・カーペンター (Traci Carpenter)
米国産牛肉−検査担当官の立場は弱く、しかも人手不足 アメリカの検査体制は果たして信用できるのか
輸入再開後わずか1カ月で「特定危険部位」の混入が発覚した米国産牛肉。輸出許可証へのサインの強要など、抜け穴だらけの検査制度の実情を元検査官らの証言で明らかにする。
アメリカの牛肉業界にとっては想定の範囲外の事態だったにちがいない。
昨年12月に米国産牛肉の日本への輸出が再開されて、わずか1ヶ月。
甘美な勝利は、早くも苦いものに変わってしまった。
1月20日、成田空港の検疫所で輸入された米国産牛肉に「特定危険部位」の脊柱が混ざっていたことが発覚。
これを受けて日本政府は、米国産牛肉の輸入を再び停止した。
脊柱や脳など、BSE(牛海綿状脳症)の原因物質が蓄積しやすい部位を除去することは、2年に及んだ禁輸解除の条件の一つとされていた。
マイク・ジョハンズ(Mike Johanns)米農務長官の言葉を借りれば、今回の事件は単純な「人為的ミス」が生んだ例外的な出来事だという。
米政府の主張によれば、脊柱混入の原因は、業者や検査担当者が輸出向け牛肉の扱いに不慣れだったことにある。
問題の牛肉を扱った食肉処理施設の検査官が「日本向けの牛肉から脊柱を取り除かなければならないことを、なんらかの理由で知らなかった」のだとジョハンズは説明した。
アメリカの食肉業界の不正を告発してきた元農務省獣医のレスター・フリードランダー(Lester Friedlander)は、業者が不慣れだったという説明に首をかしげる。
日本向けに牛肉を輸出できる施設として米当局の認定を受けたい業者は、日本の輸入基準を遵守できることを示すための詳細な文書を提出しなければならない。
「(それに)検査官も輸出の要件は知っているはず」だと、フリードランダーは言う。
日本向けの牛肉輸出に携わる業者は、米当局による書類審査と立ち入り検査に合格し、その後も年2回の検査を受け続けることが求められる(脊柱混入の発覚後、農務省は、問題の牛肉を出荷したニューヨークの食肉会社アトランティック・ビール・アンド・ラム(Atlantic Veal and Lamb)とオハイオ州の食肉加工業者ゴールデン・ビール・コーポレーション(Golden Veal Corporation)の輸出資格を剥奪(suspension of ability to export)した)。
この審査プロセスは、牛の処理業者から、肉の加工業者、流通業者まで、米国産牛肉の対日輸出にかかわるすべての段階で義務づけられている。
しかし今回の脊柱混入事件が浮き彫りにしたのは、輸出業者の認定に厳重な審査プロセスを導入しても、基準違反の牛肉を完全に排除することはできなかったという事実だ。
こうなると、輸出業者の認定制度、ひいてはアメリカの食肉検査制度の実効性に対する疑念がわいてくる。
今回の事件は本当に、ジョハンズ長官の言うような「例外的な出来事」なのか。
■検査官たちにかかる上層部からの圧力

アメリカの食肉検査システムはしっかり機能していると、米当局は主張する。「すべての施設に、農務省の検査官を1人常駐させることが義務づけられている」と、牛肉と鶏肉の安全性検査を所管する米農務省の食品安全検査局(FSIS/Food Safety and Inspection Service)の広報担当スティープ・コーエン(Steven Cohen)は言う。
確かに、理屈のうえでは完璧な検査体制にみえる。まず牛を処理する前に獣医が1頭ずつ検査を行い、BSE感染を疑わせる歩行困難などの症状がないかどうかチェックする。
その後、牛の処理・解体がすむと、BSE以外の病気の兆候や不純物混入の有無を見るために、肉の組織の検査を実施。
ここで、大腸菌などの雑菌の検査も行う。
このいずれの段階でも、検査担当者は食用に適さない牛を不合格にできる。
肉を加工・輸出業者に出荷する前には、ラベルの表示内容が正確かどうかのチェックを行う。
加工・輸出業者の施設でも、検査官の判断によって、抜き取り検査による再検査を行える。
この段階で検査官が輸出承認の証明書に署名をして初めて、牛肉の輸出が可能になる。
だが実際には、いつも理想どおりに運ぷとはかぎらない。
大規模な工場では、すべての牛を1頭1頭綿密に検査することなど不可能に等しい。
遠くから牛の顔を見て、異常の有無をチェックしているのが実情だ。
そのうえ、ベルトコンペヤーに乗って大量の牛が次から次へと流れてくるので、すべての牛の頭を確認できない場合もあると、アメリカのBSE問題に関するドキュメンタリー(The Mad Cow Investigator)を制作しているナンシー・グッド(Nancye Good)は言う。
最新鋭の施設の場合、1時間に工場のラインを通過する牛は最大で400頭。検査官の数は、大きな工場で30〜40人ほど(実際には、もっと少ない施設も多い)。
つまり、牛1頭当たりにかけられる検査の時間は6分がいいところだ。
検査官にのしかかる時間的なプレッシャーは厳しい。
会社側としては、検査によって工場の生産性を落としたくないからだ。
なにしろ大きな工場では、1分間でも作業がストップすれば、数千ドルの損失が生じる可能性もある。
しかし、おそらく最も問題があるのは、輸出プロセスの最終段階だろう。
多くの元検査官や現役検査官が言うように、輸出要件を満たしていなくても輸出承認の証明書に署名するよう、会社側やFSISの上司から強要されることが少なくない。
ミシシッピ州の農務省獣医クリスティーナ・ドゥマル(Christina Dumal)も、そのような体験をした一人だ。(ワシントンタイムズ「USDA accused of faking forms(偽造書類を告発された米農務省)」
2003年の秋に、ロシアへの輸出要件を満たしていない鶏肉製品の出荷に彼女が待ったをかけると、FSIS上層部から輸出証明書への署名を指示されたのである。
■担当政府機関の体質は消費者より企業優先

ドゥマルがあくまでも署名を拒むと、FSISから停職処分(期間中は無給)を科された。
現場には臨時の検査官が送り込まれて、問題の鶏肉の出荷はすぐに認められた。
「証明書に署名しない検査官がいれば、別の人間を連れてくるだけのこと」と、ドゥマルの弁護士で全米連邦獣医官協会(NAFV/National Association of Federal Veterinarians)の法律顧問のウィリアム・ヒューズ(William/Bill Hughes)は言う。
ドゥマルは停職処分を不服として争い、最終的に判断は農務省に持ち込まれた。
昨年10月の裁定で農務省は、不備のある輸出証明書への署名を獣医に強いることは法律に違反すると判断。
ドゥマルは、休職期間中の給料の支払いを受けられることになった。
NAFVによると、FSISが獣医に輸出証明書への署名を強制し、その指示が農務省によって覆されたのは、これで3回目だ。
それでもFSISの体質は変わらないと、関係者は言う。
しかも、ドゥマルの事件のようにメディアで大きく報道されるケースは氷山の一角にすぎない。
正式に提訴せずに、和解で決着させたケースはもっと多いと、ヒューズは言う。
前出の元農務省獣医のフリードランダーも、ドゥマルと同じような圧力を受けたことがあった。
全米最大のハンバーガー加工工場で検査業務を担当していたころ、規則違反の証明書への署名をしばしば迫られたという。
製品を実際に見ていないのに署名を強いられることも珍しくなかった。
署名を先延ばししたり拒んだりすると、経済的損失について企業側から文句を言われた。
署名拒否が政府に伝われば、ワシントンから電話がかかってきて、事務手続きを完了せよと命じられたと、フリードランダーは言う。
「この仕事に就いたとき、いちばん大事な任務は、消費者を守ることだと思っていた。まさか企業を守ることのほうが優先されるなんて、思ってもみなかった」
現状を改めるためには、さまざまな改革が必要だ。
山積する課題のなかでジョハンズ長官が最初に手をつけたのは、最も緊急を要する課題、すなわち農務省が迅速に対策を講じていると日本側にアピールすることだった。
具体的には、すべての輸出業者に輸出要件を周知徹底きせるための取り組みを開始。
日本に輸出する牛肉を扱う施設に検査官をもう1人増員するなどの案も打ち出している。
しかし、アメリカ最大の消費者団体コンシューマーズ・ユニオン(Consumers Union)の科学者マイケル・ハンセン(Michael Hansen)は冷ややかだ。
「証明書に署名する人間を1人増やしたところで、なんの解決にもならない」
アメリカの食品業界の不正を暴く活動に長年携わってきた食品安全問題の専門家フェリシア・ネスター(Felicia Nestor)は、ジョハンズの提唱していることはすべて必要な措置だと言う。
「本当にそのとおりに実施されれば、問題の解決に役立つ。問題は、果たして本当にそのとおりに実施されるのかどうかだ」
アメリカの世論や政府上層部が圧力をかけないので、FSISはなかなか変わらないと、ネスターは言う。
日本への牛肉輸出再開問題でもその体質を変えられないとすると、もう打つ手はないのかもしれない。
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今そこにあるヒト感染の脅威
(Newsweek Japan 2006.2.1)
By ナンシー・グッド (Nancye Good)
米国産牛肉−特定危険部位混入により日本が再び輸入を停止している陰でアメリカではBSE由来のヤコブ病(CJD/Creutzfeldt-Jakob disease)発症の疑惑が浮上している
アメリカの肉牛管理体制には問題がある−不安と怒りをにじませてそう訴えているのは、日本の消費者だけではない。
成田空港でアメリカ産牛肉に「特定危険部位」の脊柱が見つかった日から、きかのぼること1ヶ月の昨年12月19日。
米マクドナルド社(McDonald's Corp.)(MCD)が、米食品医薬品局(FDA/Food and Drug Administration)に一通の書簡を送った。
牛肉の生産、処理、加工、流通の過程における安全対策の強化を求める内容だった。
「米政府には、リスクを減らすためにできることがもっとあるはずだ」と、マクドナルドのリチャード・クローフォード(Richard Crawford)副社長は書簡に書いている。
同社としてはBSE(牛海綿状脳症)感染のリスクを可能なかぎりゼロにしたいが、一部の飼料を米政府が使用禁止の飼料から除外しているため、目標達成は困難もしくは不可能になっていると訴えた。
クローフォードは、認識票などで牛を1頭ずつ個体管理するシステムや、原産地から流通にいたる供給ルートを追跡確認できるようにする、いわゆるトレーサビリティー制度(traceability)がアメリカに存在しないことにも懸念を示した。
いずれも、日本ではすでに導入されている制度だ。
1月20日に成田空港の検疫所で問題の牛肉が発見されたのを受けて、日本はただちにアメリカ産牛肉の輸入再停止を決めた。
再開からわずか1ヶ月の再停止で、小泉政権の責任を追及する声が高まることは確実だ。
昨年の輸入再開に際しては、BSEの原因物質が蓄積しやすい脊柱や脳などの特定危険部位を除去した、月齢20ヶ月以下の牛であることが条件とされた。
米政府は食肉処理施設での検査を厳格化し、月齢の証明書を発行するなどの対策を講じると約束。
今回、背骨が見つかった牛肉を出荷したニューヨーク州のアトランティック・ビール・アンド・ラム社(Atlantic Veal and Lamb Inc.)には、農務省の検査官が常駐していた。
管理体制がずさんなことをあらためて浮き彫りにした今回の事件で、米政府に対する批判が日本で再び高まることはまちがいない。
さらに注目すべきは、アメリカ国内でも当局への風当たりが強まりはじめたことだ。
米政府の姿勢に疑問を投げかけたのは、マクドナルドだけではない。
乳製品大手のランド・オ・レイクス社(Land O'Lakes Inc.)なども、現行の対策が不十分であることに懸念を示す書簡をFDAに送った。
■競馬場で食事した27人がヤコブ病に

アメリカ産牛肉の最大の消費者であるこうした企業の動きは、アメリカ国内にちらつくBSEの影を追って孤独な闘いを続けてきた女性にとって、一つの突破口になるかもしれない。(CBS News - Mad Cow Disease In New Jersey)
その女性の名は、ジャネット・スカーベック(Janet Skarbek 37歳)。
米東部ニュージャージー州の郊外の町に住む彼女の主張によれば、アメリカの一部の地域では、BSE感染牛がすでに人体に影響を及ぽしはじめている可能性がある。
スカーベックがBSEに関する独自調査を始めたのは2003年6月のこと。
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD/Creutzfeldt-Jakob disease)と診断された友人が、わずか29歳で世を去ったことがきっかけだった。
ヤコプ病はタンパク質のプリオンが原因で起きる進行性の認知症。
原因不明の孤発型のほか、BSE感染牛を食べることによってもかかる(変異型)とされ、1996年に英政府が両者の関連性を認めた。
BSE禍に見舞われた欧州では、700万頭以上の牛が処分された。
発症の割合は100万人に1人で、しかも高齢者に多いとされるヤコプ病に若い友人が冒されたことに、スカーベックは引っかかりを感じた。
さらにその後、母親の職場の同僚2人がヤコプ病で死亡した。
疑問を感じた彼女が独自に調べはじめると、驚くべき事実が判明した。
スカーベックの調査によれば、ニュージャージー州では、同州にあるガーデンステート競馬場(Garden State Park Racetrack)のレストランで1988〜1992年に食事をしたことのある人々のうち27人がヤコプ病で死亡していた。
しかもスカーベックの友人と彼女の母親の友人を含む8人は、この競馬場で働いていたか、年間入場パスを所有していたかのどちらかだった。
いずれかにあてはまるのは、合わせて1100人しかいなかった。
スカーベックはBSE感染牛が原因とみて、米疾病対策センター(CDC/Centers for Disease Control and Prevention)とニュージャージー州(State of New Jersey)の保健当局に調査をするよう訴えた。
だがクリフトン・レーシー(Clifton R. Lacy)州保健長官は、同州の死亡頻度は「孤発型」の一般的な発生例に収まるとして関連性を否定。
CDCも、スカーベックの調査要請に応じていない。
ニュージャージー州保健当局が昨年5月に発表した報告書は、競馬場の観客は大半が50歳以上であることを考えれば、当時判明していた17人の死亡例は「想定の範囲内」であると主張。
さらにヤコブ病が死因と疑われても、死後に解剖が行われなかったケースは対象から除外した。
だがクラフリン大学(Claflin University)(サウスカロライナ州)のオマール・バガスラ(Omar Bagasra)など一部の専門家は、州保健当局がわずか4ヶ月の調査で結論を出したことを問題視する。
感染牛が原因であることを完全に否定するには、競馬場で牛肉を食べたヤコプ病患者の細胞を動物に移植して反応をみるしか方法はなく、そうした実験には通常数年はかかる。
「ヤコプ病患者の遺族は、農務省とCDCに家族を殺されたと思っている。」と、スカーベックは言う。
「病気の蔓延を防ぐ方法はわかっているはず。牛の肉骨粉を牛に食べさせなければ、それでいい。彼らは真実が公になることを望んでいない。企業の貪欲さがそうさせている」
昨年12月には、スカーベックの訴えに呼応するように7人の科学者が行動を起こした。
神経科学や病理学、免疫学の著名な専門家が、肉牛の飼料に関する意見書をFDAに送ったのだ。
■ノーベル賞学者が全頭検査を要求

ブタやニワトリの飼料にされる牛の肉骨粉を別の牛が接収すると、BSEを発症する可能性がある。
アメリカ以外の国々では、そのためにBSE感染が広がる例があった。
北米ではすでに5頭のBSE感染牛が見つかっており、「世界中で予防効果があると有効性が実証された方法に沿って、全面的な飼料の使用禁止措置を導入し、監視する必要がある」と訴えた。
1997年に改正された現行の米政府の規定には、使用禁止対象の飼料に同様の例外がある。
そのために「汚染された可能性のある牛のタンパク質を別の牛に食べさせることのできる、法の抜け穴はなくなっていない」と、意見書は指摘。
「北米では感染源と感染ルートが今も存在し、(飼料を通じた)BSE感染拡大の余地が残っている」と警告した。
CDCやニュージャージー州当局は今のところ、本格的な疫学調査は必要ないとの姿勢を崩していない。
だがアメリカではニュージャージー州以外にも、ヤコブ病による死亡例の頻発が疑われる地域が現れている。
ニューヨーク州のある町では2004年秋に8人、アイダホ州のある町では昨年夏に11人、ヤコプ病によるとみられる死亡者が相次いだという説が浮上した。
テキサス州やバージニア州でも、頻発事例のある疑いが浮上している(いずれの州の状況についても、連邦政府や州当局は未確認)。
スカーベックは「ヤコプ病による死亡例がさらに増えなければ、当局は腰を上げないだろう」と言ってきた。
だが現実には、多くの州における頻発説が事実だとしても、当局が迅速な行動に移ることは期待しにくい。
ヤコプ病は、連邦政府に報告する義務のない病気だからだ。
州政府レベルでみても、ヤコプ病による死亡例の報告を義務づけているのは全米50州のうち24州だけ。
孤発型ヤコプ病の年間発症率が、CDCが主張するとおり100万人に1人の割合なのかどうかも確かめようがない。
アメリカでのヤコプ病症例の公的診断機関は、CDC主導の下で設立されたケース・ウェスタン・リザーブ大学(Case Western Reserve University)(オハイオ州)国立プリオン疾患病理学監視センター(NPDPSC/National Prion Disease Pathology Surveillance Center)。
ここの研究員であるロバート・ピーターセン(Robert B. Petersen)が意見書を提出した7人の科学者に名を連ねたのは、症例の増加を現場で目のあたりにしているからかもしれない。
アメリカ国内でのBSE発生の「証拠」を発見したのは、ウィスコンシン大学(University of Wisconsin-Madison)の動物衛生学・生物科学教授だったリチャード・マーシュ(Richard F. Marsh)(故人)だ。
マーシュは1980年代前半、国内の複数のミンク飼養農家から、飼育中のミンクを全滅させた謎の病気について調査の依頼を受けた。
彼が死亡したミンクを解剖したところ、その脳には海綿状脳症の特徴である空胞が観察された。
飼養農家は肉食動物であるミンクの餌として、近隣の牧畜農家から購入した安価なダウナー牛(downer cow:病気などによって立てなくなった牛)の肉を与えていた。
ミンクの飼料となった牛のBSE感染を危惧したマーシュは、関連分野の科学者らに警告。
マーシュの調査結果は、すでに1980年代からアメリカにある種のBSEが存在していた可能性を示す証拠と考えられている。
それなら、なぜ米政府はBSE検査の対象拡大に踏み切らないのか。
アメリカで現在、BSE検査を受けているのは、年間に食肉処理される牛3600万頭のうち1%ほどだ。
BSEなどの海綿状脳症の病原体とみられる異常タンパク質を同定し、プリオンと名づけたアメリカの神経学者スタンリー・プルジナー(Stanley B. Prusiner)は、その功債によって1997年にノーベル医学賞・生理学賞を受賞した。
プルジナーは、反芻(はんすう)動物のタンパク質を含む飼料の使用や検査体制の不備に対する懸念を表明している。
「すべてのダウナー牛を検査してほしい。まずはそこから始め、いずれは日本が行っているように(一定月齢以下の牛の)全頭検査を実施するべきだ」と、プルジナーは語っている。
■報道を沈黙させた「名誉毀損」裁判

スカーベックに言わせれば、彼女の目的は「パニックを起こすことではなく、知識に基づいて食品を選べるように人々を啓発する」こと。
だがアメリカのメディアが、彼女の主張を取り上げることはほとんどない。
原因の一つは、アメリカの人気トークショーホスト、オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)が巻き込まれた裁判かもしれない。
1996年8月、牧畜農家のカウボーイから菜食主義者に転じた男性がウィンフリーの番組に出演し、牛を原料にした飼料の実態や、BSEの恐ろしさについて語った。
話を開いたウィンフリーは、番組中で「二度とハンバーガーは食べない("It has just stopped me cold from eating another burger.")」と宣言。
すると、食品に対する「名誉棄損」を禁じる法律(Texas False Disparagement of Perishable Food Products Act)で彼女は訴えられた。
裁判は2000年にウィンフリーの勝訴(Court of appeals agrees that Oprah Winfrey did not libel beef: March 10, 2000)に終わったが、以来、メディアではBSEに関する報道がほとんど流されなくなった。
日本では逆に、牛肉の安全性に関する報道があふれている。
しかしメディアの報道をみるかぎり、政府の決定に対する不透明感はぬぐえない。
昨年12月に食品安全委員会が出した答申は、北米産牛肉の「リスク評価は困難」としていた。
月齢を正確に把握していないなど管理体制のデータが不十分なアメリカが、日本の求める検査基準を実行できるかどうか検証しようがなかったからだ。
それがなぜ輸入再開の根拠となったのか、いまだに明確な説明はない。
今回の輸入再停止で、日本政府の責任を追及する声と、アメリカの管理体制に対する不信感がさらに高まることは必至だ。
2人の子供がいるスカーベックは、今では公認会計士の仕事を休み、BSE調査に専念している。
マクドナルドなどの企業が声を上げはじめたことは、彼女の主張の信頼性を高め、日米両国の消費者にとって望ましい徹底調査への道を開くかもしれない。
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USDA accused of faking forms
(The Washington Times - Thursday, April 22, 2004)
By Steve Mitchell, United Press International's Medical
ワシントンタイムズ「偽造書類を告発された米農務省」
Washington, DC, Apr. 23 (UPI) -- U.S. Department of Agriculture officials pressure their veterinarians to sign documents that falsely certify food items are safe for export, an agency veterinarian and an attorney representing federal veterinarians told United Press International.
The veterinarian and the attorney also charge that management officials in USDA's Food Safety and Inspection Service have intentionally created an atmosphere of fear and harassment designed to intimidate employees into blindly following supervisors' orders -- even if those orders involve signing fraudulent documents.

農務省(USDA)当局者が所属する獣医に対し、食品が輸出用として安全であるという不実な証明書にサインをするよう強要していると、獣医及び全米連邦獣医官協会の代理人である弁護士はUPI通信に語った。
その獣医と弁護士は、食品安全検査局(FSIS)の管理職が意図的に上司の指示に、たとえそれが不実の書類にサインすることを含んでいても、部下が黙って従うようにわざと嫌がらせをし、恐怖感を植えつけるような雰囲気を作り続けてきたと非難している。
"They have suspended one veterinarian and have pressured others when they balked at signing certificates that were not truthful," said Bill Hughes, an attorney for the National Association of Federal Veterinarians in Washington, D.C., a group that represents about 80 percent of the approximately 900 veterinarians in the FSIS.
"We're afraid that it is going to become increasingly widespread if something is not done to stop it," Hughes told UPI.

「食品安全検査局(FSIS)の管理職は獣医たちが不実な証明書に対してサインを拒んだとき、1人の獣医を停職処分にし、ほかの獣医たちにも圧力をかけた。」と、ワシントンの全米連邦獣医官協会(NAFV:FSISに属する約8割、およそ900人の獣医が属する)の弁護士のウイリアム・ヒューズは言う。
「もしそれに歯止めをかける何らか措置がされないならば、そのようなことがますます蔓延るようになるだろう。」とヒューズは語った。
An export certificate confirms a food item produced in the United States was prepared in accordance with the safety inspection requirements of foreign countries.
USDA spokesman Steven Cohen told UPI that FSIS was not aware of any problems with its export certification process.
"We would launch an investigation if anybody had any information that veterinarians were pressured to sign export certificates," Cohen said.
Hughes said, however, he has notified the FSIS of the problem both formally and informally, including in private meetings with several top administrators -- from Philip Derfler, assistant administrator in the office of policy and program development to Elsa Murano, undersecretary for food safety.

輸出証明書は米国産の食品が、外国政府の求める安全検査要件に従って作られていることを認証するものだ。
農務省(USDA)の広報担当のスティーブ・コーエンは、食品安全検査局(FSIS)は輸出証明書の手続きにおいてそのような問題があることを知らなかった、と語った。
「我々は、もし誰かが獣医たちが輸出証明書にサインを強要されているという何らかの情報を得ていたならば、調査を始めていただろう。」とコーエンは言う。
ヒューズは、しかしながら、彼は公式にも非公式にも、また数人の長官級の者との私的会合を含めて問題の食品安全検査局(FSIS)のことを知らせ続けていたと言う。
One agency veterinarian, who was reprimanded for refusing to sign an export certificate he thought was false, said USDA management will take punitive actions against employees who question the validity of export certificates or agency policy.
The veterinarian, who works as a meat inspector for FSIS, asked UPI to withhold his name and the details pertaining to the incident in which he was involved because he feared retaliation from the agency for speaking out.
"They (FSIS management) do what they want -- they get even," said the veterinarian, who has more than 15 years experience with the agency and has been given awards and accolades for being a superior employee during that time.
"They're bad -- I'm telling you, they're bad," he added.
Asked if authorities in foreign nations should have any faith in U.S. export certificates, the veterinarian replied: "No, the export certificates don't mean anything. A lot of the veterinarians just sign it because they're forced into signing it."

虚偽だと思われる輸出証明書にサインすることを拒んだために懲戒処分を受けた1人の農務省獣医は、農務省(USDA)の管理職は、当局の政策や輸出証明書の正当性に疑問を持つ部下に対し処罰するだろう、と言った。
食品安全検査局(FSIS)で食肉検査官として働く獣医の1人は、意見を言ったことにより当局から報復される恐れがあることから、彼が関わっていた事件の詳細と名前を隠すようにUPI通信に求めた。
「食品安全検査局(FSIS)の管理職が何をして欲しいかということをする、それで彼らは借りがなくなる。」と、そこで15年以上働き、その間、昇進するために賞と栄誉を受け続けた獣医は言う。
「奴らが悪いんだ。奴らが悪いんだ。」
外国政府当局が米国の輸出証明書にいくばくかの信頼をすべきかと尋ねられて、その獣医は「いや、その証明書は何の意味もない。」と繰り返した。「多くの獣医は、署名を強要されるからするだけだから。」
Hughes currently is representing two USDA veterinarians who were suspended without pay for two weeks for refusing to sign export certificates they deemed to be false. Hughes said he was aware of other USDA veterinarians who have encountered similar pressure from management. "I know of several, probably two, for sure," he said, adding, "I don't know how many there are that didn't have the guts to come forward. There are a number of people who would love to come forward if they were subpoenaed by a Congressional committee."

ヒューズは最近、虚偽だとみなした輸出証明書へのサインを拒否したことから2週間の無給休職の処分を受けた2人の獣医の代理人を務めている。
彼は同様の圧力を受け続けた農務省(USDA)の獣医をほかにも知っている、と言った。「私が知っているのは数人、たぶん2人は確実だ。」さらに、「ほかに名乗り出る勇気を持たない人たちが何人いるのかはわからない。もし議会から呼び出されたら名乗り出ようと思う人は大勢いる。」
The allegations, if true, could have negative implications for U.S. meat and poultry exports, which recently have taken a hard hit due to the discovery of a cow infected with mad cow disease in Washington state last December, as well as several flocks of birds infected with avian influenza in recent months.
The accusations also might have parallels to an ongoing investigation by the USDA's Office of Inspector General into the mad cow case. The OIG is looking into allegations the USDA veterinarian involved in the case was pressured by management to alter an inspection sheet that indicated the cow was a downer after it tested positive.

その申し立てがもし事実ならば、輸出された米国産の食肉(meat and poultry)は、最近の数ヶ月間に鳥インフルエンザの感染した鶏と同様、2003年12月にワシントン州でBSEに感染した牛の発見ゆえに大きな痛手を被ったことと、多少関わり合いがある可能性がある。
この告発は農務省(USDA)の監察官事務所(OIG)によって調査中の狂牛病のケースと似ているかもしれない。
監察官事務所は、農務省の獣医が、検査票に好ましいと検証した後で、牛が病気にかかった(downer)と示唆する検査票に改ざんするように管理職から圧力をかけられた事件を含めて、その申し立ての調査を始めている。
"Over half of the poultry produced in this country goes overseas," Hughes said. "If these countries found out about some of our practices, it could really hurt our country's economy."
The Federation of Veterinarians of Europe, a group that represents more than 150,000 veterinarians in 30 European countries, already has taken notice of the situation and they find it troubling.
"It is essential that veterinarians only certify matters they have verified as being correct," FVE executive director Jan Vaarten told UPI. "FVE cannot accept that veterinarians are put under pressure to deviate from this, their professional obligation."

「この国で作られた鶏肉の半分以上は海外へ輸出されている。」とヒューズは言う。「もし、これらの国々が我々のやり方を知ってしまったら、米国経済は本当に打撃を受けるだろう。」
欧州30カ国、15万人以上の獣医の代表を務める欧州獣医師会(FVE)は、既にこの事情と、それが混乱を引き起こしていることに注目している。
「獣医が正しいとしたものを認証することが最も重要である。」と欧州獣医師会(FVE)常任理事のジャン・ヴァーテンは語った。「欧州獣医師会(FVE)は獣医がその職責から逸脱する圧力の元で記載されたものを受け取ることはできない。」
Hughes currently is handling a case involving a veterinarian in Mississippi who refused to sign an export certificate for poultry that was to be shipped to Russia.
Christina Dumal, an FSIS supervisory veterinary medical officer, had cited a Mississippi poultry firm for two infractions on two consecutive days -- Aug. 26 and 27, 2003. Several employees were observed not wearing smocks or gloves.
The infractions, which Dumal documented in two non-compliance reports obtained by UPI, meant the product produced during those days -- over 1 million pounds of chicken, a considerable investment for the company -- did not meet the export requirements Russian authorities and the plant had agreed upon only three months earlier in May.
So when it came time to sign the export certificate, Dumal refused because, according to documents in her appeals, she considered signing it would be illegal, a concern that Hughes said was justified.
"She would've been committing a federal crime and could've been individually liable, too," Hughes said. "Orders from her boss does not get her off the hook."

ヒューズは最近、ロシア向けに輸出された鶏肉の輸出証明書へのサインを拒否したミシシッピ州の獣医の事件を扱っている。
食品安全検査局(FSIS)の獣医であるクリスティーナ・ドゥマルは、2つの違反行為により、2003年8月26日、27日と2日間連続で、ミシシッピ州の精肉会社を召喚した。ここでは数名の従業員が作業着と手袋を着けずに仕事をしていたことが発見された。
ドゥマルが2つの規則違反を記録した報告書によれば、その違反行為は当時作られた製品(100万ポンドを超えるチキン、会社への多額の投資)が、ロシアへの輸出要件を満たしていなかったことと、その工場は5月より3ヶ月も早く合意したからだ。
その輸出証明書にサインするときがきたとき、ドゥマルの訴えた文書によれば、彼女はそれにサインすることは違法だと考えて拒絶した。
ヒューズが言うにはそれは正しかったのだ。
「彼女は連邦犯罪を犯しただろうが、個人的には法的責任も負うことになっただろう。」とヒューズは言う。「上司からの命令は彼女を窮地から救うことはできない。」
Plant employees complained and both Dumal's immediate supervisor and her district manager ordered her to sign the export certificate, despite the non-compliance reports.
She continued to refuse and FSIS ultimately charged her with improper conduct for disobeying orders, and accused her of telling the plant employees "there would be hell to pay" if they went over her head to get somebody else to sign the export certificates. She was suspended for two weeks without pay.

工場労働者たちは苦情を言い、ドゥマルの直属上司、及び彼女の所管責任者は、規則違反の報告にもかかわらず、彼女に輸出証明書にサインをするように命じた。
彼女は拒否し続け、そして食品安全検査局(FSIS)は最終的に命令不服従という不当な行為でもって彼女を処罰した。
また、彼女は工場労働者に、もし彼女の頭越しに誰かが輸出証明書にサインをするなら「たたりがあるよ」と言ったことで責められた。
彼女は2週間の無給休職に処せられた。
Dumal, who has been employed by the agency for 10 years with no other discipline history, denied making the statement to the employees in a sworn and notarized affidavit included in her first appeal.
According to the case documents, FSIS officials did not interview Dumal to get her side of the story prior to making their initial decision. Officials have continued to insist, through three appeals, that she told the employees "there would be hell to pay." Officials also went so far in one appeal as to say they found her "less credible" than the plant employees, whose written accounts of the event were not sworn and notarized and were not consistent with one another.
As to the larger issue of whether the export certificate was inaccurate, FSIS authorities agreed with Dumal that the plant had violated the Russian requirements.

政府機関で雇われていた10年もの間、懲戒処分をされたこともなかったドゥマルは、彼女の初めての審判における宣誓及び公証された供述書の中で従業員に対して発言したことを否認した。
この訴状によれば、食品安全検査局(FSIS)の担当官は最初の決定をするに先だって彼女の言い分を聞かなかった。
担当官は彼女が従業員に対し「たたりがあるよ」と言ったことを3回の審判を通してしつこく主張した。
担当官はまた、ある審判で記載された事件の答弁は、宣誓と公証がされてなく、また双方が一致していないもので、彼女のことを工場労働者より「信頼できない」とまで言った。
輸出証明書が不正確であったか否かという大きな問題に関しては、食品安全検査局(FSIS)はドゥマルとの間で工場がロシアの要求に違反していたということで合意した。
William Milton, assistant administrator of FSIS, acknowledged in a Feb. 2, 2004, written response to Hughes that the company had failed to meet the export requirements for the product produced during the two days in question.
Milton's response goes on to note, however, the infractions had been corrected after the fact. "It is not reasonable to expect all (noncompliance records) to result in the condemning of all product processed during a workday, particularly minor violations which have no noted contamination of product," he wrote.
This would seem to conflict with the USDA's current directive on export certificates, which states, in unequivocal language, veterinarians should not sign certificates they consider to be inaccurate.
"The certifying official does not sign the certificate if he or she has reason to believe the information is not accurate or complete," the directive states. It includes no qualification that there must be evidence of contamination of product. The document cites the inability to verify that a product meets the export requirements as a "good and sufficient reason" for not signing an export certificate.

食品安全検査局(FSIS)次官であるウィリアム・ミルトンは、2004年2月2日にヒューズに対し、その会社で問題の2日間に生産された製品は輸出基準を満たせなかったと、文書で回答した。
ミルトンの回答は続けて、しかしながら、その規則違反はその後に是正された、と書かれていた。「ある仕事日の間に作られたすべての製品が、特に有名な汚染物質に冒されたというレベルでない、ささいな違反によって、使用に適さないと結果づけるために、すべてを(違反として)推測するのは妥当ではない。」と彼は書いている。
これは、明確な言葉によって、国の獣医が自ら不正確だと判断した証明書にはサインをすべきではない、という最近の農務省(USDA)の公式な指示に抵触するように思える。
「認証官は情報が間違っている、あるいは完全でないと信じるだけの理由があれば、証明書にサインしない。」と公式に述べられている。
製品が汚染されている証拠があるべきことは、必要条件に含まれない。
その文書は輸出証明書にサインしない「十分に差し支えない理由」として、製品が輸出要件を満たすことを確認できない事例を列挙してある。
Milton declined a request by UPI to comment either generally on allegations of export certificate falsification or specifically about Dumal's case.
Asked why Milton, who is one of the highest-level employees in FSIS's Office of Management, and the sole signatory on the agency's rejection of Dumal's latest appeal, would not comment, Cohen said: "This is an administrative matter. He's not really involved."
Other USDA officials could not comment on Dumal's case because it is still under appeal, Cohen said.

ミルトンは一般的な輸出証明書の改ざんの疑惑、あるいは、具体的にドゥマルのケースについての双方においてUPIに対するコメントを避けた。
食品安全検査局(FSIS)の最高幹部の1人であり、ドゥマルの直近の申し立てを単独で却下したミルトンがなぜコメントしないのか尋ねられて、コーエンは言った。「これは行政上の問題であり、彼は本当に関係ない。」
ほかの農務省(USDA)の担当官も現在は審判中であり、ドゥマルの主張についてはコメントできない、とコーエンは言った。
Dumal's appeals, which were prepared by Hughes, also attempted to alert officials this was a widespread problem. In a Dec. 15, 2003, appeal filed with FSIS administrator Garry McKee, Hughes wrote, "at least six high level, responsible agency officials, were informed about this matter and ... the subject was and is being ignored, and apparently tacitly or actually approved."

ヒューズが用意したドゥマルの審判は、広範囲に及んだ問題を担当官に警告しようとしたものだ。
2003年12月15日、審判は食品安全検査局(FSIS)長官のギャリー・マッキーに提出された、とヒューズは書いた。「少なくとも6人の高官は、責任を負うべき政府当局者であり、この問題について知らされており、そして、被害の当事者は過去においてまた今現在も無視され、一見したところ、それとなく、あるいは事実上賛成していると見られている。」
In another incident Hughes is handling, a veterinarian in New York was punished for refusing to sign an export certificate for baby food in 2003. Russian requirements prohibit the import of lamb products due to fear of scrapie, the sheep version of mad cow disease.
Hughes said the veterinarian, Walter Friedlander, noticed that one of the ingredients listed on the label of the baby food was lamb broth, so he refused to sign the export certificate. The FSIS suspended him for two weeks without pay and ultimately relocated the veterinarian to a plant 200 miles away from his home, a commute that he still makes to this day. The veterinarian also received an unsatisfactory review performance, even though he has been with the agency for more than 20 years and his performance always had been deemed superior, Hughes said.

ヒューズは、ニューヨークの獣医が2003年にベビーフードの輸出証明書のサインを拒否したために処罰されたケースを別の事件として手掛けている。
ロシア政府は、スクレイピー(伝達性海綿状脳症=羊やヤギの脳を冒す伝染病)の恐れがあるとしてラム製品の輸入を禁止している。
ヒューズは、獣医であるウォルター・フリードランダーは、ベビーフードのラベルに掲載された含有物の1つが子羊を原材料としているものであることに気づいたため、彼は輸出証明書へのサインを拒否した、と言う。
食品安全検査局(FSIS)は、彼を2週間の無給休職に処し、最終的に自宅から200マイル(約320km)も離れた工場の獣医として配置転換し、彼は今でもそこへ通勤している。
その獣医は、20年以上も政府機関で働き、かつ常に優秀と思える成績を残しながら、不十分な業績評価しか受け取っていない、とヒューズは言う。
Dumal continues to appeal her case. Hughes filed Dumal's latest appeal on Feb. 20, and said he is confident she ultimately will prevail, but he remains concerned about the larger pattern he sees.
"Even if the veterinarians win in the long run, they're put through hell," he said, "because FSIS ... is taking the harshest action they possibly can against people."
This has resulted in a schism between management and the inspectors in the field, he said. "I said last summer morale was at an all-time low, but now I think it's even lower," he said.
The anonymous veterinarian said there is little benefit in appealing the FSIS decisions.
"Appealing it is just prolonging the agony," he said. "You're better off just sucking it up or getting out of the agency."

ドゥマルは自分の主張をし続けている。
ヒューズは2月20日、彼女の最後の審判を請求した。
彼は、彼女が最終的には勝利を得ることについては自信がある、しかし、彼が見てきた事件の大きな構図については懸念が残ると言った。
ヒューズ言う、「たとえ獣医が長期の間に勝利したとしても、彼らは地獄を見ることになるだろう。なぜならば食品安全検査局(FSIS)はたぶん国民に対して最も厳しい行動を取っているからだ。」
これは管理職と現場の検査官との間の分裂を生じてきた。「私は昨夏、モラルは空前の低さだと言った。しかし、今やさらに低くなっていると思う。」とヒューズは言う。
ある獣医は匿名で、食品安全検査局(FSIS)の裁決を上訴してもほとんど利益がないと言った。
ヒューズは言う。「それを上訴することは(彼らの)苦痛を長引かせることになる。貴方は上司におべっかを使うか、職場をやめればいいだろう。」
Stupid White Men - Nice Planet, Nobody Home
By Michael Moore, 松田和也訳
バカでマヌケなアメリカ白人−ちきゅうにやさしくキビシイ話
Manhattan is also a great place to get a steak. Until a few years ago, I don't think there was day in my adult life when I didn't eat beef - and often twice a day. Then, for no distinct reason, one day I just stopped eating it. I went a full four years without morsel of cow passing my lips. I have to say those were the foul healthiest years I've ever had. (Note: Guys like me define bealtby as "I didn't die.")

マンハッタンはまた、ステーキを食うのにいい所でもある。
つい最近まで、俺が肉を食わなくなる日がやってこようなんて、想像さえしたことがなかった−というか、1日2回食う日もざらにあった。
ところが、特にこれといった理由もなく、ある日突然俺は肉を食うのをやめた。
4年の間、俺は一口の牛も喉を通すことなく過ごした。
あえて言うが、この4年間は、俺の人生の中で最も健康的な4年間だったと言っていい(俺のような男が使う「健康的」という言葉の意味は、「死なない」ということだ)。
Maybe it was hearing Oprah Winfrey say on her show back in 1996 that learning about mad cow disease "just stopped me cold from eating another burger." Of course, Oprah then had to contend with a threat that was equally dangerous: the Texas cattle-men, who sued her (and the former rancher and beef lobbyist who appeared on the show to speak about the dangers of mad cow disease) for $12 million. They claimed that Oprah and Howard Lyman violated a Texas statute that prohibits the false disparagement of perishable food products. (Please note that it was Oprah who said she was "stopped cold from eating another burger, not me - because, again, nobody here wants to be sued.) Oprah won the lawsuit in 1998; then, just to mess with their heads in Texas, she declared, 'I'm still off hamburgers."

もしかしたら、そのきっかけは、TVタレントのオプラ・ウィンフリーにあったのかもしれない。
1996年のあるTVショーで、彼女は言った。「狂牛病のことを知って以来、私は怖くて怖くて、もうハンバーガーは食べられなくなりました」。
言うまでもなく、それ以来オプラは、狂牛病と同じくらい危険な敵と戦わねばならなくなった−テキサスの牧場主たちだ。
彼らは彼女(および、同じTVショーに登場して狂牛病の危険を訴えた元牧場労働者で食肉ロビイストのハワード・ライマン)を相手取り、1200万ドルの損害賠償を求めた。
彼らによれば、オプラとライマンは、生鮮食品に対するいわれなき非難を禁止したテキサス州法に違反するというのである(ハッキリさせておきたいが、「怖くて怖くて、もうハンバーガーは食べられなくなりました」と言ったのはあくまでもオプラであって、俺じゃない−俺は訴えられたくない!)。
1998年、オプラはこの裁判に勝訴した。
その後、テキサスのお偉方をあわてさせるために、こう宣言した。「今でも、ハンバーガーはひとつだって食べてません」。
I, on the other hand, have unfortunately fallen off the cluck wagon, nibbling every now and then on poor Elsie. You'd think I would have leaned my lesson back in the mid sevendies when, instead of eating beef, I ate fire retardant. Like millions of Michiganders, I spent a year ingesting PBB (polybrominated biphenyl), the chemical used in kids' pajamas - and didn't even know it. The PBB came in the form of a product called Firemaster, manufactured by a company that also happened to make cattle feed. At one point they accidentally mixed up the bags they poured the stuff into and sent the fire retardant (labeled as "feed") to a big centralized operation in Michigan that distributed the feed to farms all over the state. Soon the cows were eating PBB - and we were eating the cows and drinkig their milk, full of PBB.

一方、俺はといえば、不幸なことに道端の食堂の誘惑に抗しきれなくなり、まあ時々、ちょっとずつだけど、かわいそうなモーモーちゃんをいただくこととなった。
まだ懲りてないのかという人がいるやもしれぬ。
というのも、俺は1970年代半ばに、同じようなことをすでに体験済みだったんだ。
ミシガン人の多くがそうであるように、俺は1年間にわたって、PBB (多臭素化ビフェニル/polybrominated biphenyl) −子供のパジャマに使われている化学物質−を摂取し続けた。
もちろん、そんなこと知るよしもなかったのだが。
このPBBを作ってる会社が、たまたま牛の餌も作っていた。
ある時、全く偶然、この会社の製品が取り違えられ、PBBに「餌」というラベルが貼られて、州全体に配布されてしまった。
牛たちがこれを食い−そして俺たちは、PBBがたっぶり入った牛肉を食い、牛乳を飲んだ。
The problem with PBB is that the body doesn't excrete it or eliminate it in any way. It just stays in your stomach and digestive system. When this fiasco was uncovered - and we learned that the state of Michigan had tried to keep the news from the public - the residents of Michigan flipped out. Heads rolled, politicians were thrown out of office. And we were told that scientists had no idea what the PBB would do to us - and we probably wouldn't find out for another twenty-five years. Well, the quarter-century fuse has run out, and I guess the good news is that my stomach has never caught on fire. But I'm still sitting here full of anxiety, waiting for the other hoof to drop. I can't help thinking about Centralia, Pennsylvania - the town where residents continued about their daily business while underground fires raged on non stop for years. Science does NOT have an answer for everything! Are millions of Michiganders fixing to develop fleece-lined cancers and kick the milk bucket? Or will we just lose our minds and find ourselves working for a candidate who can't win but can do a lot of collateral damage? I don't have the answers, and neither does anyone else. If you know a native Michigander (and I guarantee there's one within shouting distance of you right now, thanks to the Reagan-sponsored diaspora of our people in the 1980s), ask her about PBB and see the ashen look that crosses her face. It's the dirty little secret we don't like to discuss.

PBBの問題点は、それが決して体外に排出されることがないということだ。
それは胃と消化器系の中にずっと蓄積され続ける。
この失策が明るみに出たとき−そして、ミシガン州がこれを隠蔽しようと画策していたことが明らかになったとき−ミシガン州の住民はキレた。
会社の重役はクビを切られ、議員は議席を追われた。
科学者たちも、PBBの人体への影響に関しては全くお手上げだった−それから25年の間、俺たちには全くなすすべもなかった。
こうして4半世紀が過ぎ、幸いなことにその間、俺の胃は特に問題を起こさなかった。
だか、いつか何かか起こるんじゃないかという不安は絶対になくならない。
俺は、ペンシルバニア州セントラリアのことを考えずにはいられない−この街では、何年にもわたって休みなく地下火災が荒れ狂っているその真上で、住民は日常生活を送らされたのだ。
科学は決して万能ではない!
何百万というミシガン人はいずれ、パジャマ模様の胃癌に襲われ、ミルクのバケツを蹴飛ばすことになるのか?
俺にしても誰にしても、その答えは判らない。
もし、知り合いにネイティヴのミシガン人がいるなら、PBBのことを訊ねてみるといい。
その顔はたぶん蒼白になるだろうから。
それは俺たちが決して話題にしたがらない、汚い秘密だ。
But there's a much greater bovine threat afoot among us today - one that knows no state or regional boundaries, one that deserves the Poeian moniker it wears like a bell around the neck.. Mad cow. This is truly the scariest threat the human race has ever faced. Worse than AlDS, worse than the black plague, worse than not flossing. Mad cow disease has no cure. It has no preventive vaccine. Everyone who gets it dies, without exception, a gruesomely painful death. And the worst part is that this is a man-made disease - born of a moment of human madness, when we took innocent cows and tuned them into cannibals. Here's how it started:

だが、同じく牛に関係することで、今日でははるかに深刻な脅威が迫っている−そしてその脅威には、国や地方という境界もない。
そう、狂牛病だ。
これはまさしく、人類が直面した脅威の中でも最大級と言えるシロモノだ。
その恐ろしさはAIDSをしのぎ、黒死病をしのぎ、さらには虫歯をもしのぐ。
狂牛病には、治療法はない。予防ワクチンもない。これにかかった者は、だれであろうと死ぬ。例外はない。そしてその死に様は、恐るべき苦痛に満ちている。
そして何より最悪なのは、それが人工の病気だということだ−この病気は、人間の狂気によって生み出されたんだ。
俺たちが、罪もない牛に共食いをさせたことによって。その始まりは、こうだ。
Two researchers went to Papua New Guinea to study the effects of human cannibalism and how it made many Papuans go insane. They discovered that what these people were suffering from was a transmissible spongiform encephalopathic disease (or TSE). The naive people called it kuru. What happens in TSE is that rogue proteins - prions - latch onto brain cells and twist into abnormal shapes. Instead of breaking down the way a good protein is supposed to do, these guys hang out and make a mess of your nervous tissue, leaving your brain full of holes like a wheel of well-aged Swiss. Turns out that in Papua New Guinea, these prions were being spread by cannibalism. No one.seems to know where these prions originally come from, but when they get into your system they wreak havoc. Some suggest that a mere speck of prion-infected meat - only the size of a peppercorn - is enough to infect a cow. Once the little buggers are released from the beef you've ingested, they spread like an army of Pac Men, heading straight for your brain and devouring everything in sight. And here's the unbelievable part - you can't kill them... because they're not alive!

2人の研究者が、人間の共食いのことを調べるために、パプアニューギニアに渡った。
共食いによって、多くのパプア人が精神に異常を来していたのだ。
研究の結果、この人々が罹患していたのは、感染性海綿状脳症(TSE)であったことが判明した。
原住民は、この病気を「クールー」と呼んでいた。
TSEに罹患すると、変異した蛋白質(プリオン)が脳細胞に取り付き、これを変形させてしまう。
正常な蛋白質ならすぐに分解されるのに、こいつらはそこに居座り、神経組織を引っかき回し、まるでスポンジのように脳を穴だらけにしてしまう。
パプアニューギニアでの研究から、このプリオンは共食いによって広まっていくことが明らかとなった。
このプリオンがもともとどこからきたのかは、誰にも判らない。
だが、いったん体内に入ったが最後とんでもない破壊を引き起こす。
プリオンに侵された肉の小片−コショウ粒くらいの大きさ−さえあれば、1頭の牛を感染させるのに十分だという詰もある。
摂取した牛肉からこのプリオンが解き放たれると、それはパックマンの軍団のように散開しつつ、まっすぐに脳を目指す。行く手にあるすべてを食い荒らしながら。
そして、信じられない事実がある−こいつらは、どうやっても殺すことはできない.。
何故なら、はじめから生命を持たないからだ!
The disease first entered the food chain in Britain through sheep, then spread to cows, when they were fed ground-up body parts of their fellow sheep and cows. Ultimately the diseased beef was sold to the British public. The disease may lie dormant for up to thirty years before it unleashes its holy hell; only after the deaths of ten young people in 1996 did the British government acknowledge that something was wrong with the meat supply-something they had suspected for ten years. The British solution for eradicating the source of the disease is to destroy any cow suspected of karu, or mad cow disease, by cremation. But when you burn them, the threat doesn't disappear; you can't kill them, as I said. The smoke and ash just carry them to another new location, setting them free to find their way once again to the British dinner table.

この病気はまず、英国で羊を通じて食物連鎖の中に入り、続いて牛の間に広がった。
粉々に砕かれた羊や牛の身体が、餌として与えられたからだ。
最終的に、感染した牛の肉が英国の民衆に販売された。
この病気は、発病するまで最高30年間も潜伏する。
10人もの若者が死に、ようやく英国政府は1996年、牛肉供給に何か不具合が発生していることを認めた−10年もの間、疑惑を持たれていた不具合が。
この病気の源を根絶するために英国政府が選択した方法とは、「クールー」すなわち狂牛病の疑いのある牛を残らず焼却処分にすることだった。
だが、たとえ焼却処分にしたところで、この脅威は消すことができない。
さっきも言ったように、奴らを殺すことはできないからだ。
その煙や灰が、プリオンを新しい場所に運ぶ。
そしてまた同じことを繰り返すのだ。
Americans are not immune from this deadly disease. Some experts estimate that some 200,000 U.S. citizens diagnosed with Alzheimer's may, in fact, be carrying the alien protein and that their dementia actually a form of mad cow. Britain and many other countries have since banned the cannibalistic feeding of animals to their own kind, and no scraps or leftovers of food intended for humans can be used on cattle farms. The U.S. Food and Drug Administration has followed suit, banning the feeding of animals to other animals of their own kind. But cannibalistic products still get through. And how's this for scary: marry drugs and vaccines, including those for polio, diphtheria, and tetanus, may have been made with products that could, in theory, carry mad cow disease. Both Britain and the United States have been slow to act regarding this growing plague. Make sure, if you have to eat a burger or a steak, to cook that sucker until it's black. The leaner the meat, the better your chances. Me? I'm going to stop eating all beef unless someone can prove to me that the PBB I'm hauling around in my innards can vaporize the damn human-brain-eating mad cow parasites.

アメリカ人も、この死病から免れているわけではない。
ある専門家によれば、アルツハイマー病と診断されている合衆国の市民の内、20万人ほどは実際にはこの異常蛋白質のキャリアであり、その痴呆症は実際には狂牛病によるものだという。
英国をはじめとする多くの国は、家畜に共食いをさせるような行為を禁じ、また人間の食べ残しその他を家畜に与えることも禁じた。
合衆団食品医薬品局もまたこれに習い、家畜に同種の家畜を食料として与えることを禁じた。
だが、共食いによる産物は依然として流通している。しかも、恐るべき形で。
多くの薬品やワクチン、たとえばポリオやジフテリア、破傷風のワクチンは、少なくとも理論上は、狂牛病を媒介しうる原料から作られているのだ。
英国も合衆国も、この新しい疫病に対しては極めて腰が重かった。
だから、ハンバーガーやステーキを食いたいなら、真っ黒になるまで焼くしかない。肉が貧弱になればなるほど、生き延びるチャンスは大きくなる。
俺?俺は今後、あらゆる牛肉を食うのは止めようと思ってる。
俺が腹の中に溜め込んでるPBBが、あのクソ忌々しい狂牛病の蛋白質を蒸発させるということが判明したりすれば、話は別だけどな。

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