キャピタル・ゲイン(capital gains)
1990年代後半のアメリカ人のように暮らそうぜ!

【2003年9月12日掲載】


不況から立ち直りつつあるアメリカではジョブレス・リカバリー(jobless recovery=雇用なき景気回復)という現象が見られるという。(記事
長い不況に見舞われた日本においても、アメリカと同様、一般のサラリーマンが勤労所得だけで経済的に豊かな生活をしていくのは困難になりつつある。
成長企業の一部社員以外は給料が上がるという期待ができない時代がきてしまったのだ。
つまり今までの生活水準を維持するためには、副収入(投資収入)を得るためのファイナンシャル・リテラシー(financial literacy)が必要になるということだ。
日本のキャリア公務員、上場企業の役員・管理職さえ今までの経済的特権は剥奪されようとしているからだ。
副業をするアイデアも悪くない。但し、それが自分の新しい可能性を見出すことができるならば・・・

株式投資をやっている人の中には将来の経済的自由を得ることを目的としている人もいる。
そういう人たちも含めて投資家は自分が投資した株がアメリカの投資家、ピーター・リンチ(Peter Lynch)のいう10倍に化ける株(Peter Lynch's elusive "ten-bagger," a stock which will gain ten times its original value)であることを期待している。
ただ、このようなテンバガーは、忍耐というものがあれば、我々が期待するよりももっとありふれた株だと彼は言うが・・・

The Dow's Ten-Baggers (The Motley Fool.com)
"Peter Lynch -- professional investor extraordinaire -- argues persuasively (and humorously) that individual investors can not only match the market returns and those of so-called experts, but can have better portfolio returns than them. He energetically points out that buying what you know (as opposed to buying what you know the "experts" are buying) is the key to such success and that the odds are in the individual's favor."
In the investment world a ten-bagger is considered the ultimate home run, the grand slam. It means you've made ten times your original investment on a stock. $1,000 turns into $10,000. $10,000 becomes $100,000. $100,000 becomes... you get the idea. Find enough of these ten-baggers over your investment career, and you're sitting pretty.
並外れたプロの投資家であるピーター・リンチは、説得力をもって(そして、ユーモアたっぷりに)主張する。個人投資家はマーケットリターン、そしていわゆる専門家の投資収益に匹敵するだけでなく、彼ら以上の投資収益が望めるよりよいポートフォリオを持つことができると・・・
ピーター・リンチは、あなたが知っている(あなたがそれらの専門家が買っている株ということを知っているものを買うことと比べて)会社の株を買うことがそのような成功のキーであるということ、そして、その可能性が個人のお気に入りの株にあるということを力強く指摘する。
投資の世界において、 10倍株は、究極のホームラン、グランドスラムであると考えられる。それは、あなたが株式投資における初期投資額の10倍を作ったことを意味する。
1,000 ドルは、10,000 ドルに回る。10,000 ドルは、100,000 ドルになる。100,000 ドルは・・・
あなたは自分の投資経験でこれらの10倍株をたくさん探し、そして楽にしていればいいのです。

そう、長期的投資という観点からは偉大なる投資家であり、カルフォルニア州知事選に出馬するアーノルド・シュワツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)の経済顧問にもなったウォーレン・バフェット(Warren E. Buffett)やピーター・リンチの考え方は私たちにとって非常に有益なものだ。

ただ、イラク戦争後の株高は私に新しい投資のポートフォリオの考え方をもたらしてくれた。
それはレジャー資金も貯めるのでなく投資収益によって賄うべきだということだ。
つまり、ボーナスが入ったらそれを即座にレジャー資金に充てるのでなく、投資に回してその収益を充てるべきだということだ。
そう、株式投資も長期と短期にわけて考えるべきだということを・・・

1990年代後半、アメリカの株式市場が急騰していたとき、日本のメディアは「アメリカ人は借金して消費し続けている」と書いていた。
しかし、正確に言うとそれが間違いであることがここ数ヶ月で私には理解できた。
つまり、キャピタル・ゲイン(投資収益)は勤労所得によるものよりに比べて、消費に回すことにほとんど抵抗がないということなのだ。
例えば500ドル(約60,000円)の利益があったとき、それを消費に回すことにはほとんど抵抗を感じない。
そして、それはクレジット・カードの利用により、利益を超える消費をしたとしてもだ。
なぜか?
単純に思う。「また株で儲ければいい。」
株高が消費を呼び、それがまた株高へとつながる。
これが当時のアメリカ経済の構図だったにちがいない。

つまり株高は誰もが喜ぶのだ。
株が高くなって怒る奴は誰もいない。
投資による利益、つまり臨時収入はほとんどの人が笑顔で使ってくれるのだ。
事実、投資関係の掲示板には、株で儲けたので骨休めに旅行に行く、といった書き込みがいくつもある。
そう、私も今回のようなことが続くように期待しているのだ。

もはや給料の伸びが期待できなくなりつつある時代に新しい副収入の道を切り開いてみてはいかがだろうか?
慣れてくれば相場が下落している局面でも儲けることができるという。
いわゆる空売り(short sale)という方法を使ってだ。
みんなが経済的に苦しいと言っていても、自分は違うというスタンスがこれからは重要だ。
しがないサラリーマンがラットレース(rat race=人生の厳しい生存競争)を抜け、経済的自由へのファースト・トラック(fast track)へ走り出すキーは株式投資の成功にあるといって過言でないだろう。

株式投資はリスクが大きすぎる。
そう、特に日本人のほとんどはそう言ってしり込みする。
しかし、実践経験なしには何事もコツはつかめないものだ、と投資セミナーの講師も言う。
当然のことだ。
そう、「金持ち父さん貧乏父さん 」の著者、ロバート・キヨサキ(Robert Kiyosaki)は言う。
「もはや政府や会社はあなたの老後を保証できる時代ではない。」と・・・

例えば、子どものための蓄財を株式累積投資でやる、というのもこれからのアイデアとしていいかもしれない。
あるいは、「ミニ株」の制度を利用する方法もある。
これなら必要資金は通常の10分の1ですむし、これらの方法だと必然的にドルコスト平均法(Dollar Cost Averaging)で投資することになる。
子どもが高校生くらいになったら親子で銘柄を考えてやってみるとか・・・
例えば60,000円(約500ドル)をただ毎年3年間貯金しても180,000円(約1,500ドル)にしかならないが、株の場合は60万円(約5,000ドル)になる可能性もある。
騙されたと思ってやってみたらいかがだろうか?
目減りしたら?バイトさせるのだ。それもいい勉強になるだろう。

退職した先輩が私に「退職金どうしたらいい?」と質問したことがある。
私は外貨MMFへの投資を勧めたが、その人は未だに何もしていない。
投資に対してしり込みし続ければどうなるか?
結局はリスクを恐れて何もできないままに終わるのだ。
そうならないように今からトレーニングをしたらいかがだろうか?

ちなみに東京証券取引所のデータによると、日本の株式市場は外国人投資家の売買が株価の上下に及ぼす影響をものすごいものがある。
で、その外国人好みの株式は株主資本利益率(ROE=Return On Equity)が高い会社と、証券広報センターにいる投資セミナーの講師は言う。
総じて日本の会社はこのROEが低いが、長期保有を目指すならそういう株式を選択すべきかもしれない。

あと倒産しそうな会社の指標は、ちょっと前まで株価100円割れと言われていたが、今は別の見方をした方がいいそうだ。
それは株主(自己)資本比率(CAR=Capital Adequacy Ratio)だ。これが10%を切る会社は危ないそうだ。
逆に50%以上は超優良企業。日本国が没落しても大丈夫な会社と言えないか。

KFi(KPMG Financial Inc.)代表、そして竹中平蔵経済財政・金融相(Heizo Takenaka, Minister for Economic and Fiscal Policy and for Financial Services)のブレーンとして知られる木村剛氏が自身の著書「オカネの神様に学ぶ個人投資家の薦め」でいうには、終戦直後の預金封鎖の際に旧円使用が認められた唯一のケースが株式・社債の購入だったそうだ。
つまり、日本が資本主義である建前を放棄しない限り、巷で噂される2度目の封鎖のときも株は例外になる可能性は強いと言えないか。
円資金は株で、外貨資金は外国の金融機関で、がこれからの資産防衛策の1つになるかもしれない。

ちなみに日本では酷評されている竹中大臣だが、海外の評価はTime Asiaの"Cool Under Fire"にも見ることができる。
そう、日本市場が上昇し続ける要因が外国人投資家の「買い」にある以上、彼の去就が2003年秋以降の相場の重要な部分を占めることは疑いない事実なのだ。

「今日の一言(2004.1.28)」−ジャスダック平均21連騰
「今日の一言(2004.2.19)」−確定申告に思う

<証券用語集(日本語英語)>
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