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7月28日(日)−内部告発

3日前に私とWEB上で交流しているK53さんから以下のような質問を掲示板にいただいた。

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今日本では内部告発に関する法律が作られているそうですね。もうできているのかな?
いずれにしろ内部告発は悪い事じゃないと言う風潮になっていると思うのですが、今回の道路公団は、内部告発した人を左遷したり、告発したり、解職にしたりしていますが、何故新聞は内部告発者を擁護しないのでしょうか。
扇大臣などは内部告発者が悪いと非難しているようですが、情報が少なく理由が分かりません。お分かりでしたら教えてください。
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彼の言う法律とは、「公益通報者保護法」というもので、イギリスでは公益開示法(The Public Interest Disclosure Act)により告発者(whistleblowers)を保護する体制が整っていると言われる。
ただ、イギリスのこの制度も昔からあるわけではなく、1998年になってようやくできたみたいだ。
それまではやはり告発者が会社の利益を害したとして不利益を被るケースも多かったのではないだろうか。
ようやく日本でもPISA(公益通報支援センター)ができようやくそうした試みが始まったようだが、法制化まではまだ紆余曲折があって難しいかもしれない。
日本でも平成16年6月18日に公益通報者保護法が公布され、2年後までに施行されることが決まった。

で、K53さんが言われる「何故新聞は内部告発者を擁護しないのでしょうか」というご質問だが、これは悪名高い記者クラブ制度がすべての障害の原因としか思えない。
なぜなら日本のマスメディアが、内部告発者たる者を擁護することは、被告発者たる上司や権力者の利益に背くことになり、それは記者クラブから除名されることと同義であると思われるからだ。
それを敢えてしてまで公益を追求するメディアが日本にほとんど存在しないことが国民の不幸を招いていることは想像に難くない。

ときおりマスメディアが権力者を追及しているかのように見えることがあるが、それは下っ端役人の汚職だったり、スケープゴートにされた人間を叩いているに過ぎないことが多い。
つまり、記者クラブの運営者(権力者)がこいつを叩いても私らは何も言いません、という暗黙のお墨付きがあるときだけ、騒いでいるのだ。
従って根本的な解決は全く図られないし、また同様の事件が繰り返されるのだ。

極端な例をあげよう。
かつて元厚生省の故宮本政於氏(1999.7-パリにて死去)は内部告発たる本「お役所の掟」の本を出したことにより、やがて無断欠勤という懲戒解雇にするにはあまりにもお粗末な理由で1995年に解雇されたが、メディアは旧厚生省に対して職権乱用ではないかと追求しないばかりか、宮本氏の反論のための機会すら与えなかったという。
つまりこれは旧厚生省から圧力がかかったからだと言われている。
一方、薬害エイズ事件でその加害責任の最たる者である厚生官僚のときはどうなったか?
彼らは懲戒解雇などにもならず、また彼らは未必の故意による殺人罪で告発されることもなく、メディアの追求は管直人元厚相が謝罪会見するまで全く行われてなかった。

要は、宮本氏の本は内部告発の走りとも言えるが、これを機に行政手続を改善することがいかに国民の利益になるか、などという視点をマスメディアが持つことなど期待すべくもないという好例だろう。
最近の例では松浪議員と辻本元議員との報道の扱いの違いがおもしろい。
権力(与党)が庇護する者と、庇護しない者(元野党議員)とに見られるマスメディアの報道の違いだと思う。
暴力団と癒着する議員と秘書給与をくすねた議員、どっちが国民に不利益をもたらすか?
今の日本の不況がヤクザ不況ということが理解できない(理解しても書かない)マスメディアは億単位の金がヤクザに流れることを何とも思わないのだろう。

最後に、「扇大臣などは内部告発者が悪いと非難している」というのはおそらくこの人が自分で何かを考えるという人ではないからだろう。
つまり省庁の幹部の掌の上で踊らされているだけなのだ。
もし、この人が片桐氏の告発を真摯に受け止めることができ、道路公団のバランスシート問題を解決できる能力があれば、最初から片桐氏は左遷されることもなく(大臣の人事権を発動すればいいだけでは?)雑誌に言う事もなかっただろう。
そもそもなぜ雑誌か?
ここにマスメディアと権力者の癒着を感じる片桐氏ならではの思慮があったように思えてならない。

「お役所の掟」の宮本氏、懲戒免職は適法 東京地裁
(1999.4.23 朝日新聞)

官僚組織を批判した「お役所の掟」の著者として知られ、無断欠勤などを理由に懲戒免職とされた元厚生省神戸検疫所検疫課長の宮本政於(まさお)氏(51)が、厚相を相手に処分の取り消しなどを求めた訴訟で、東京地裁は22日、原告の請求を全面的に退ける判決を言い渡した。
高世三郎裁判長は「阪神大震災で被災者救援などのため待機している時期と知りながら私的な目的で海外に無断渡航し、上司の帰国命令にも従わなかった」と指摘し、懲戒免職処分は適法と結論づけた。

宮本さんは日大医学部を卒業して医師となり、米コーネル大助教授などを経て厚生省に入省し、在職中に官僚制度を批判する本を相次いで著して注目された。阪神大震災後の1995年2月、個人的に依頼された講演のため渡米するなど、1994年4月から1995年2月までに延べ59日間を無断欠勤したなどとして、帰国から9日後の2月23日に懲戒免職とされた。

宮本さんは「無断欠勤などの事実はなく、処分は官僚組織批判に対する報復措置で、裁量権を乱用しており違法」と主張してきた。

これに対し、高世裁判長は、渡米直前の22日間については「必要最小限度の病気休暇だった」と述べて宮本さん側の主張を認めたが、それ以外の欠勤や遅刻などについては「重大な職務規律違反にあたる」と判断し、手続きも適法だったと結論づけた。

判決言い渡し後、宮本さんは「官僚にとって、個人とか自由よりも集団主義が大事、ということが明確に示された。今後は生活を楽しみたいので控訴しない」と話した。

厚生省検疫所業務管理室の話 処分は適正だったとの判断によるものと受け止める。今後はこうしたことがないよう服務規律の徹底を図りたい。

雑誌で内部告発を批判 扇国交相 (2003.7.11毎日新聞)

扇千景国土交通相は11日の閣議後会見で、日本道路公団の片桐幸雄・四国支社副支社長が、月刊誌で藤井治芳総裁を内部告発したことについて、「一番驚いたのは公団幹部が肩書を出して内部告発していること。幹部である以上責任があるはずだ」と片桐氏を批判した。一方で「内部に混乱があることは正常ではないと思う。藤井総裁にも連帯責任がある」と総裁の責任にも言及した。

また、片桐氏が、昨年内部でひそかに作成された財務諸表が債務超過となり、藤井総裁が隠ぺいしていると指摘している点について、扇国交相は「(藤井総裁が)『なかった』と言うからそうなんでしょう」としながら「よく分かりません」と述べた。


7月21日(祝)−省エネルックに思う

電力危機に際して日本の首都圏のサラリーマンの夏の装いに変化が出てきているようだ。
特に女性から酷評されていた真夏のスーツ姿が徐々にではあるが変わりつつあるようだ。
誰が何を言っても変わらなかったものが電力危機に際してようやく変化が出てきたことを歓迎したいところだが、ほかの地域の人々が何も関係ないかのように振舞っているように見えるのが気がかりである。

はっきり言って、真夏にスーツが着るというのは欧米の中でも夏でさえ涼しい地域のことであって、ほかのところではそんな格好をしているのは一部のエリートだけであろう。
これは私の旅行中の体験からも言えることなのだ。
それにスーツ自体、日本の気候風土にあってるとは思えない。

また、男性顧客がアパレル(apparel=衣料)市場に参入することは経済にもいい影響を与えることになる。
いつまでも女性と子どもだけが市場にいればいいというものではないからだ。
電力消費を節約することによって、環境に好影響を与え、アパレル市場にも活況をもたらすかもしれない。

経済効果、経済効果と何でもそれに結び付けなければ行動できない日本の経営者や管理職を動かすためにはこうした論理展開も必要なのかもしれない。
もし、電力危機が去り、来年また酷暑の中のスーツ姿が報道されるようなら、円暴落による本当のエネルギー危機が起きるまでそういった茶番が繰り返されることだろう。

省エネは半袖・ノーネクタイで…神奈川県庁と横浜市
(2003.6.23 読売新聞)

東京電力の原子力発電所の運転停止で夏場の電力不足が懸念されるなか、神奈川県と横浜市は23日から、ノーネクタイに半袖シャツ姿での勤務を奨励する「夏のワーキングスタイル」キャンペーンを始めた。
暑さを冷房でしのぐライフスタイルの見直しを訴え、28度の室温設定とノーネクタイ・半袖姿の勤務に率先して取り組み、他の自治体や鉄道、バス、民間企業などにも働きかける。秋分の日の9月23日まで実施する。
省エネルック−近ごろ都に流行るもの
(2003.7.19 産経新聞)

この夏は、原発不祥事に瑞を発した省エネキャンペーンの影響で、服装自由化に踏み切る会社が急増。冷房控え目のオフィスで、ビジネスマンの装いに異変が起きている。
ノーネクタイはもちろん、日本男児の究極カジュアル「ゆかた」出動者も現れた。高温多湿の風土を無視した、汗だくスーツにもようやくサヨナラ?。
紳士服業界では「低迷に追い打ち」と思いきや、男性ファッションが成熟する好機と見る声もある。(重松明子)

■ビジネスマンの装いに異変

「素足に雪駄がこんなに、涼しいものだったとは!」プランタン銀座の木□雄史さん(41)は、浴衣姿でパソコンに向かっていた。担当は販売促進。「印刷会社や広告代理店の方に一瞬驚かれましたが、笑顔で対応していただけた。だらしくなく見える着崩れには気を付けています」
この百貨店では今月中旬の三日間、全従業員を対象に「ゆかた出勤」を提案。男性の四割が参加する積極性をみせた。「営業マンも商談相手によつては浴衣着用。スーツに染み込んだ男の汗臭さが気にならず、職場の快適性が増しました。大好評を受け、月末にも再実施を検討中です」と広報の福原裕紀さん(25)。

「いや−。暑いですね」「霞ヶ関も暑いよ」「28度ですって、ウチは?」産経新聞東京本社のエレベーターでも、こんな会話が挨拶がわりとなっていた。節電実施に伴い、ノータイ・ノージャケットの”省エネルッククが推奨されているのだ。
「あらめる分野の多数の企業にご協力いただいております」と東京電力広報はキャンペーンの手ごたえを語る。
別件で取材に行った化粧品会社でもこの夏から省エネ対応。
「だけど、スーツの上着脱いでネクタイ外しただけじゃ酔っ払いみたいだし・・・」と男性社員は困惑顔だった。

■電力危機がノータイ普及の好機

「ノータイ用のシャツをください」。紳士服売り場ではそんな客が目立っている。「一枚でサマになるワンピースカラーのシャツが、この夏のヒット商品」とは、オンワード樫山(8016)「23区オム」商品課の山口栄一課長(34)。
みどころとつながった襟の折り返しがエレガント。別名イタリアンカラーとも呼ばれ、ここ一年程で日本のビジネスマンにも広がり始めた。「スポーツウェアに使われる鹿の子織りのシャツ仕立ても涼しいと好評。メリハリを出したい方にはニットベストも売れている。
ブランド全体の売上は前年の二ケタ増です」と好調さをアピールする。
「『ビジカジ』(ビジネスカジュアル)の造語も登場。コットンスーツはじめ、オンオフの境界のない服がトレンドです。この流れが省エネを契機に、幅広いビジネスマンを巻き込む形になってきた。
スーツのようにごまかしがきかないから、上司より部下の方がカッコ良い、なんてことも起きてくる。男性もそれなりに洋服に投資するようになるのでは」と期待を寄せる。

「去年の夏はゴルフウェアが主流でしたが、今年はボタンダウンにチノパンが最も多い。徐々にセンスアップされてきたようです」 損保ジャパン(8755)人事部・前田均課長(41)はそう笑った。自ら半袖シャツにコットンパンツ姿で取材対応。同社は大手金融で初の服装自由化から一週年を迎えた。本来の目的は「自由でオープンな新しい企業文化の醸成」だが、この夏は省エネの観点から強化。
「営業や損害調査部門にもTPOに応じた実施を呼びかけている」と前田さん。社内アンケートでは九割以上が服装自由化に賛成しているものの、本社ですら私服勤務が六、七割どまり。長年の”制服”を脱ぐに脱げないビジネスマンが依然多い実態も物語る。
この夏の電力危地は回避された模様だが、炎天下のスーツ・ネクタイ姿は悲惨で異常だ。これを機に、日本らしい仕事着の定着を願いたい。

7月19日(土)−倫理的投資が世界を救う?

7月8日(火)をピークとして日経平均がジリ下がりしている。
単なる上げすぎの調整とも言えるし、もう一段下がるという人もいる。
どちらに動くかは予断を許さないところだが、こと日本株に関しては短期で利益が上がるものに投資すべきという基調は変わらないと思う。
従って中長期でリターンを考える投資信託や401Kプランというものはどうしても分が悪くなりがちだ。

で、世界に目を転じて、短期で利益を上げようという人はともかく10年以上の長期で投資を考えている人は、欧米ではポピュラーな「社会的責任投資」(SRI=Socially Responsible Investing)というものを考えてみてもいいだろう。
もし、あなたがある程度英語ができて、海外の証券会社などの金融機関に口座を開こうと思うなら、あるいはすでに持っているならポートフォリオの中にそういったファンドを入れてみるのもいいかもしれない。
少なくとも倫理的投資基準には兵器産業や環境に悪影響を与える企業、途上国から搾取したりする企業は除かれているだろうから、そういった投資をすることによって少しは平和に貢献できるかもしれない。
もちろん、日本にもエコファンドなど、そういった趣旨の投資信託があるが、今一つ成績がパッとしない。
従って、今のところそういった投資は海外ファンドに目を向けざるを得ないのが残念でもある。


7月7日(月)−今年の夏の旅行は台湾とはいかないかな?

今年は職場の仕事のローテーションのせいで恒例の夏の長期旅行は完全に赤信号を通り越してしまっている。
従って、行くとしたら悪性肺炎(重症急性呼吸器症候群/SARS=Severe Acute Respiratory Syndrome)は怖いが、台湾や香港とか中国くらしか行けるところはなさそうだ。
ちなみに台湾などは下のようなキャンペーンをやって観光客の誘致にやっきのようだが、昨年の中国・三峡旅行で知り合ったO氏のようなツワモノはともかく、一般の人は避けるに違いない。
でも敢えてリスクを覚悟で行くならガラガラの観光地にきめ細かで安価なサービスを受けられることは間違いないね。
さて、どうしたものかな?

「日本人1000人無料ご招待」台湾観光局集客作戦
 【2003.7.6 読売新聞 台北=若山樹一郎】
「安全になった台湾に日本人千人を無料招待します」−。
世界保健機関(WHO)が台湾をSARSの感染地域から解除したのを受け、台湾の交通部(交通省)観光局は五日、日本向けの特別キャンペーンに乗り出すことになった。中央通信(CNA=Central News Agency)が伝えた。
台湾ではSARSの流行以来、海外からの観光客が例年の半分以下に激減。中でも全体の六割を占める日本人観光客の落ち込みがひどい。
このため、日本人観光客回帰には思い切った策が必要として、観光局では千人の無料招待を計画した。そのほか五千人を「破格の料金」で招く方針で、招待者を選ぶ抽選を東京や大阪、名古屋など主要5都市で行いたいとしている。
TOURISM BUREAU IN FULL GEAR TO SELL TAIWAN IN WAKE OF SARS
posted July 5, 2003 - 20:13:11 / By Flor Wang
Taipei, July 5 (CNA)

The Tourism Bureau under the Ministry of Transportation and Communications (MOTC) has swung into full gear to sell Taiwan across the world in the post-SARS era after the World Health Organization (WHO) cleared the island Saturday from its list of affected areas with local transmission.

To coincide with and celebrate Taiwan's removal from the WHO's list of SARS-affected areas and as part of efforts to help in the government campaign to double the number of tourist arrivals to 5 million by 2008, the Tourism Bureau invited a group of 38 tourist agency runners to travel to Taiwan from Hong Kong Friday for a three-day tour in the hopes that they will introduce Taiwan's attractions to their clients.

In line with its efforts at home, the Tourism Bureau also launched a special promotional campaign in Hong Kong to lure Hong Kong people to visit Taipei and Kaohsiung on a three-day package tour at only NT$4,500 (US$129) and NT$3,600, respectively, before the end of this month.

The Tourism Bureau will also offer individual passengers from Hong Kong a free one-day pass for Taipei's mass rapid transit system and for Kaohsiung's public buses upon their arrival at Chiang Kai-shek International Airport near Taipei and at Kaohsiung International Airport, respectively.

At the same time, the Tourism Bureau has also prepared to invite representatives of Japan's tourism sector to Taiwan next week on a fact-finding tour.

As Japan is Taiwan's leading source of tourists, the bureau is planning to offer 1,000 free trips and 5,000 low-price packages to Japanese tourists from five major cities, including Tokyo, Osaka and Nagoya, by sponsoring a lucky draw, bureau director Su Cheng-tien said.

In addition, the bureau will also organize a delegation composed of tourism-related businesses to visit Japan in August by holding seminars with their Japanese counterparts to help sell Taiwan, which Su said has been sparing no efforts to revive its vigor after being hit by SARS.

Meanwhile, the MOTC is projecting to open charter plane services from the middle of this month to South Korea, a move which Su said will in turn help attract South Korean tourists to Taiwan.

In addition to focusing on countries close to Taiwan, the Tourism Bureau has also extended its tentacles to Malaysia, Australia, New Zealand, the United States and countries in Europe.

Su said his bureau has been in close contact with the media and the tourist sectors in these countries to explore travel business for Taiwan, while bureau officials will fly to New York, Washington, D.C., and Los Angeles in October for promotional purposes.

Apart from sponsoring promotional activities both at home and abroad, the bureau plans to air television commercials on CNN under a NT$300 million tourism-boosting campaign, he added.

7月5日(土)−デフレ時代は終わりか?

このところ日本の株式市場が上げ相場だ。(記事
一頃のどん底な状況が嘘のように明るい雰囲気が出ているし、ハイテク関連株の動きは1999年のバブル相場に近いものがあるという人もいる。
私みたいな素人でさえボーナスの目減り分程度の穴埋めができるくらいのものだから、大きく稼いだ人も相当いるはずだ。

しかし、株価が上がれば債券価格が下がるのは経済の常のようで、特に日本の国債のように利幅が薄い商品はほかに乗り換えるものがあれば速やかに売られる運命にあるようだ。
今までは慎重というか鈍牛のような国内機関投資家も模様眺めでいたが、このところ債券から株に乗り換える動きが急だ。
で、そうなると金利が急上昇するので、その影響がさまざまな商品価格の行方にも影響をもたらすことが予想される。

デフレ・デフレと言われていたここ数年、私は2002年12月27日に毎日新聞が報じた「財務省が"物価連動ローン"を検討する」という記事が出たときに、もしかしてデフレも終焉に近いか、と思ったが、今年の夏がますますターニングポイントになるような気がしてきた。
新電電各社に対するNTT接続料が値上げが認可され、デフレの象徴だったマクドナルドのハンバーガーも値上げだ。
ちなみに「デフレ終焉宣言」は早くも2月に当のマクドナルド社長の藤田氏がそう述べている。(記事

そして、これからの数ヶ月間で国内の機関投資家がどれだけ国債を吐き出すかによって日本経済の運命も決まろうか?
あまり大量に吐き出し、誰も買う者がいなくなったとき、今年の3月に売り出された個人向け国債は本当に紙くずになるような気がしてならない。
そのとき、円建ての資産が音を立てて外国へと流出を始めるゴングとなろうか。
木村剛氏(竹中平蔵 経済財政・金融担当相の主導する金融再生委員会の民間出身委員/KPMGファイナンシャル代表)の言う、キャピタルフライトの・・・

長期金利−需要で値段決定/銀行の貸出金利に影響
(2003.7.5 産経新聞

長期金利の決定メカニズムをQ&Aでまとめてみた。

Q 国債の値段が下がるってどういうこと

A 普通の商品と同じように、国債の値段も需給で決まる。国債の発行量が増えると、買い手が少なくなって、値段を下げないと売れなくなる。市場で取引する際にも、今後も国債の値段が下がり続けると考える人が増えると、人気がなくなり、どんどん値段が下がってしまう。

Q 価格が下がると金利が上昇するというけれど、どうして

A 例えば、表面利率が2%で、満期まで一年の国債を100万円分持っていたとする。満期まで持っていると102万円がもらえるので、2万円のもうけになる。ところが、すぐに現金が必要になったので、市場で売りに出すと、99万円でしか売れなかった。99万円で買った人は、1年後に102万円を受け取ると、3万円のもうけになる。つまり、99万円の投資で3万円のもうけだから、利回りは3.03%に上昇するというわけだ。

Q 金利が上がるとどうなるの

A 国債の利回りを参考に決められる銀行が企業に融資する際の貸出金利や住宅ローンの金利が、引き上げられる。そうすると、銀行に支払う利息が増えたり、銀行からお金を借りて、使う人が減るので、景気が悪くなってしまうんだ。

参考:日本銀行−長期金利の決まり方
■物価連動ローン導入へ■
元本が増減、公庫と商品化協議−財務省検討
(2002.12.27 毎日新聞)

財務省は26日、住宅ローンなどの元本が、物価が下落すれば減少し、逆に上昇すれば増える新型の公的融資「物価連動ローン」を導入する方向で検討に入った。住宅金融公庫や国民生活金融公庫などの政府系金融機関と具体的な商品設計を協議しており、2003年度にも実施したい考え。デフレ経済下で不動産価格や給与の下落が続く中で、借入金の返済負担が相対的に重くなっていることに配慮し、国民の負担軽減の狙いも込められている。

この新型ローンは、住宅ローン、中小を中心にした企業向けローンなどを想定している。期間は今後の検討課題で、固定金利を採用する。

財務省は、2003年度から発行する物価連動財投債で調達した資金を住宅金融公庫などの政府系金融機関に貸し、この資金を使って政府系金融機関が物価連動ローンを貸し出す仕組みを想定している。

物価連動財投債は、物価の動きに応じて元本が増減するもので、2003年度中に1000億円発行する計画。同財投債は固定金利で、金利は機関投資家などによる入札で決まる。市場参加者の多くが、償還までの期間内に物価が上昇すると予測すれば、元本が増加することを考えて金利は通常の国債より低くなる。

逆にデフレが続くと予想する人が多ければ、元本が目減りすることを考慮し金利は高めになる。

物価連動ローンは、同財投債で調達した資金で融資をするため、市場参加者の多くがデフレが続くと見れば、同財投債の金利が高くなるため、ローン金利も高くなる。予想通りデフレが継続すれば、借り入れ元本は物価に連動して目減りし、デフレによる実質負担増が軽減されるが、物価が思ったように下落しなければ、高金利による負担増につながる懸念もある。

逆に、市場参加者の多くが物価上昇を予測した場合、同財投債の金利は通常の国債より低くなるため、物価連動ローンは、通常のローンより低い金利で借りることができる。しかし、物価上昇が予想より大きければ、元本増加で負担が大きくなる懸念もある。

7月4日(金)−現代アメリカバイト事情

私が愛読しているNewsweek Japanで紹介されていたアメリカのファーストフードチェーン店のフーターズ(Hooters)は、ウエイトレスの制服がセクシーなことが売り物の1つらしい。
で、彼女たちの制服はというと・・・白のタンクトップ、オレンジ色のホットパンツ、小麦色のタイツ、白のソックスに靴といった格好だ。
"The Hooters Girl uniform consists of: White Hooters tank top, orange shorts, suntan hose, white socks, solid white shoes, brown Hooters pouch, name-tag and of course...a smile!"

セクシーなウエートレスだけが売りじゃない
BUSINESS TRENDS
(Newsweek Japan 2003.7.2)
アメリカの批評家H・L・メンケンは、かつてこう言った。「アメリカ人の嗜好を低く見積もったせいで、破産した例はない」
ファストフードチェーン「フーターズ」が成功している以上、メンケンの主張もあながち誤りとは言えない。
露出度の高い制服を着たウエートレスで有名なフーターズは、設立後20年で338店舗に拡大。年商は7億5000万ドル以上だ。
ホテルやカジノへの事業拡大計画のほか、日本進出の構想もある。
セクハラや性差別の批判をはねのけながら成功するコツを、フーターズ・オブ・アメリカ社のマイク・マクニール副社長に聞いた。
Q セクシーなウエートレスが成功の秘訣か。
A 最初は、かわいい女の子目当てで来店した人も、次からは食事を楽しみに来るようになる。
Q 制服が、だぶだぶのジーンズだったら?
A 当社は、女性のセクシーさだけをビジネスの武器にしているわけではない。
ウエートレスが美人ぞろいなのは確かだが、ちゃんと服を着ているし、下着もつけている。
フェミニストは当社が女性の外見を重視しすぎだと批判し、宗教家は男性が妻以外の女性に目を向けることにいらだっている。
だが、こうした声が少数意見だということは、当社が成功していることからも明らかだ。
Q フェミニズムの抵抗は強い?
A いちばん大変だったのは、10年前に政府が当社に男性を雇わせようとしたときだ。
当社は、公民権法に男性差別に関する規定はないし、女性のセクシーさをセールスポイントの1つにしている以上、女性を雇わざるをえないと反論した。
当社のウエートレスは1万4000人を超えるが、彼女たちから仕事を奪って男性に与えろというのは理不尽だとも言った。主張が認められてよかった。
Q 女性を搾取していないか。
A 強制的にフーターズで働かせているわけではない。外から店内が見えないようにしているわけでもない。
うちで働いていたからといって、公職に就けないわけでもない。フーターズで働いているのは、女性たちの選択であり、権利だ。

ファーストフード店にしては露出度の高い格好をした彼女たちの時給を聞いて驚くなかれ!
何と、たった2ドル13セント(\250)だ。もちろん、これは基本給でこれにチップがプラスされる。
"Hooters Girls are paid an hourly rate of $2.13 an hour, plus tips. "

日本の物価は世界でまだまだ高い!もっと安くなるはずだ!
と言ってる方へ・・・ひとこと言いたい。
今の時点で勝ち組と言えるテリトリーに属し、それなりの収入を得ている人を除けば、つまり平均的労働者の賃金がこのレベル、これはもしかするとこれは私の将来かもしれないし、あなたかもしれない、もちろんあなたの旦那かもしれないが、時給3ドルくらいになれば物価水準も国際標準になるということを意味しているのだ。

つまり、今の賃金水準、生活水準を維持して物価だけが安くなるなんてことは一部の人を除けばあり得ないと思った方がいいということなのだ。
ちなみに賃金だけが下がって、物価は暴騰するというシナリオは日本の場合は十分にあり得る。
国債バブルがいつはじけるか?ってことだよ。

そう、Newsweek Japan 2003.7.9 の紹介はアメリカのアイスクリームのチェーン店、コールドストーン・クリーメリー(Cold Stone Creamery)だ。自分だけの特製アイス(create your own)を作ってくれるらしい。双方ともスターバックス(Starbucks)のように飛躍するかな?


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