上海雑技は見逃せない

12/27(Sat)

朝食を取った後、ホテルの部屋に戻ってきてフト思った。
19時30分開始の上海雑技見物までやることあるのか。
こんなことなら寒くてもJTBの「蘇州(Suzhou)日帰り観光(550元=7,260円)」に参加すべきだったか。
しかし、このツアーは上海に戻ってくるのが17時30分の予定、時間に正確な日本ブランドツアーだから大丈夫かと思うが、2時間というのは海外では長いようで余裕がないものだ。
単純に考えれば1時間で夕食を取って、タクシーで移動すれば問題ない、というレベルであったが、上海最後の食事を簡単に済ませたくないとも思ったのだ。

そこでホテルのビジネスセンターでいろいろと情報を見ながら考えた。
とりあえず上海博物館(上海博物馆/Shanghai Museum)で時間を潰して、午後はマッサージにでも行けばいいだろうと。
結局、何も考えていないのと同じことだが、個人旅行ってこんなものかとも思う。
ホテルから上海博物館へ行くには上海地铁(Shanghai Metro)の1号線に乗って人民広場駅(人民广场站/People's Square)で下車、もはやこの路線は通勤電車のように乗っているので、回数券が欲しいくらいだ。
もっとも地下鉄、バス、タクシーなどの上海の公共交通機関の共通カードで上海公共交通卡(Shanghai Public Transport Card)というものが売っているようなのだが、地下鉄の駅で看板があるところはいつも人がいなかったので、結局買わずに終わってしまった。
デポジットの有効期間や払い戻し手続きなどの情報が英語で得られないというのもネックではあったけどね。

上海博物馆(Shanghai Museum)
(Photography permitted no flash:ストロボを使用しない写真撮影はOK)
Shanghai Museum Shanghai Museum
Shanghai Museum Shanghai Museum
Shanghai Museum Shanghai Museum

上海博物館は寒さのせいか土曜日のせいかわからなかったが、行列ができるほどの混雑だった。
展示物は中国古代の青銅器、彫刻、陶磁器、印章や歴代の絵画、書物、貨幣などがあり、思ったより見どころがあった。
さすがに故宮博物院、南京博物館と合わせ中国三大博物館に数えられるだけある。
また、各階には案内チラシが中国語と英語のみならず日本語のものもあったので、展示物がより理解できてよかったと思う。
何せ中国の歴史は4000年、少なくとも上海では博物館が一番の見どころかもしれない。

云南南路(Yunnan Nan Lu)
South Yunnan Road South Yunnan Road

上海博物館での見物が終わった後、私は雲南美食街(云南美食街/Yunnan Road Gourmet Street)へ行ってみることにした。
ここが博物館から徒歩で行けるのと、一度は有名どころを押さえておきたいと思ったからだ。
雲南美食街のある雲南南路(云南南路/South Yunnan Road)に着くと、ガイドブックでも紹介されていた小紹興大酒店(小绍兴大酒店/Xiaoshaoxing Restaurant)もある。
しかし、私はあえて地元の人で溢れかえっていた鮮得来(Xiandelai)という庶民的な店にトライした。
もちろん中国語しか通じないし、何だかわけのわからない料理が出てきたが、味はそれほど不味くはなかった。
まあ、20元(260円)程度の定食に文句を言っても始まらないが・・・
そして、少し歩いた寧海東路(宁海东路/East Ninghai Road)との交差点にあったケバブ屋、これが安くて美味しい。
何と1本たった3元(40円)、10本くらいのまとめ買いをする人も多く、そばにあったゴミ箱には食べた後の大量の串が捨てられていた。

昼食後はこれも雲南南路にあったマッサージ屋の李巧云扦脚服务室(Li Qiaoyun Foot Reflexology Service)に入ってみる。
メニューに英語の併記はあるものの、店内ではもちろん通じない。
それでも足マッサージが1時間でわずか30元(400元)とは安い。
初日に入った四川中路(Sichuan Road Middle)沿いのマッサージ屋に匹敵するものがある。
おそらく、これが上海のマッサージ価格の下限なのだろう。

雲南南路から地下鉄に乗るなら8号線の大世界站(Dashijie)へ行くのが便利だ。
この駅は地下2階で亜龍国際広場(亚龙国际广场/Yalong International Plaza)に直結していて、建物の中はレストランやカフェ、ファーストフードがあり、花旗銀行(Citi Bank)のATMもある。
ちなみに、ここにあるSPR咖啡でカプチーノ(大)を頼むと1杯32元(420円)もする。
日本人の私からすれば大したことないが、定食が20元(260円)、マッサージ1時間が30元(400円)の世界が隣にあるのだ。
何が違うのかと言うと、スタッフが英語ができるか、できないかだ。
結局、私は張(Zhang)さんお勧めの上海新天地(Shanghai Xintiandi)へ行かなかったが、彼女曰く、「英語ができれば収入は倍、だから上海の人の英語勉強熱はすごいです」と言っていた収入格差が、物価の差になるという当たり前のことから言えば、新天地で食事をすると香港かシンガポール並みになるというのは想像に難くない。
それにも増して、英語の通用度もいずれ東京が上海に追い越されるのは時間の問題だと感じた一時だった。

上海杂技(Shanghai Acrobatic Circus)(上海商城剧院)
(本来は写真撮影ができないのだが、こっそりと高感度モードで撮影)
Shanghai Acrobatic Circus Shanghai Acrobatic Circus
Shanghai Acrobatic Circus Shanghai Acrobatic Circus
Shanghai Acrobatic Circus Shanghai Acrobatic Circus

マッサージしてもらって、コーヒーを飲んでいたらいつの間にか移動しないといけなくなっていた。
今夜の夕食はきちんとしたレストランでと考えていたので、どこにしようか迷ったが、上海商城劇院(上海商城剧院/Shanghai Centre Theatre)まで行くのに慌ててタクシーに乗るより、先に移動した方がいいだろうということで、またもや地下鉄に乗る。
移動はどうしても人民広場駅での乗り換えを挟むので、ここでのバトルだけは避けることができない。
何とかならないものかと、ここを通過するたびに思うが、これに慣れてしまうと逆に日本で並ばなくなりそうで怖い。

夕食はクリスマスイルミネーションが未だに残っていた久光百货(Jiu Guang Department Store)の8階にある潮楼潮州菜馆(Chaolou Chaozhou Reataurant)で取ることにした。
早い時間だった割には小奇麗な格好をした中国人の家族もチラホラといて、デパートで買い物をした後に食事をしに来たという感じだった。
それを見た私は一般庶民でこういうところで食事をするのが当たり前の経済力を上海人は持っているきたのだと、改めて思わざるを得なかった。
ビールを頼み、2品ばかり注文をして夕食を終えると、雑技の開演の時間まで1時間を切っていた。
どこかでデザートとコーヒーでも、といった目論見はあっさりと消え、私は会場へ急いで行くハメになってしまった。

上海商城劇院ではすでに受付が始まっており、西洋人の姿もかなりあった。
やはりチケット売り場や中のスタッフが英語が話せるというのは大きなアドバンテージなのだろう。
ショーが始まる前、英語で写真は撮らないようにというアナウンスが流れたが、私はストロボを使わずに高感度モードで何枚かこっそり撮った。
ショーもそれなりに洗練されていて、さすが本場のショーだった。
上海に来たなら雑技は絶対に見て帰るつもりだったので、滞在最終日に公演があって本当に良かったと思う。
こっそり撮った写真もすごいグッドタイミングのものもあり、合格点を自分で付けたい。(爆)

中国は観光大国になり得るか

12/28(Sun)

ホテルから空港までは往路と同じようにエアーポートバス5号線(机场五线:22元=290円)が使えることは調査済だった。
バス停も確認したので、始発のバスを待って乗ればいいだけだったのだが、復路はホテルのスタッフも勧めたようにタクシーで行くことにした。
今回の滞在でボラれたり不愉快な思いをしなかったのが一番の理由だ。
それどころか深夜のタクシーでさえ、黙っていても領収書を寄越すほどの律儀さだったので、彼らに対する信頼感は来る前に比べれば格段に良くなっていた。
事実、空港行きのタクシーのドライバーも誠実で、私が200元(2,640円)を出して20元のお釣り(260円)をチップとして差し出したとき、彼は私の手を握り締めてお礼を言って帰っていった。(もしかして出し過ぎ?)
2005年4月にここで反日デモが行われたとはとても信じられない気持ちだった。

実質3日間に上海滞在を終えて思ったことは、おおよそここにいる限り、中国が社会主義圏の国であるという雰囲気を感じなかったことだ。
もっとも鉄道や長距離バスを使った旅行をしていないし、雇ったガイドはJTBの手配だから、そのあたりは割り引いて考えないといけないのかもしれないが、思ったより不愉快さを感じることはなかった。
ただ、地下鉄の車内ではマナー啓発みたいなものが中国語のテロップで流れていたが、こればかりは一朝一夕には直らないだろう。
それに少なくとも英語が通じるところは笑顔を振りまくことが金につながることを知っているようで、一昔前の中国商店のイメージはそこにはない。
また、加州牛肉面大王(Calfolnia Beef Noodle King)や、豪享来(Haoxianglai)中西餐厅のようなフードチェーン、あるいはコンビニエンス・ストアでは「いらっしゃいませ(欢迎光临/huanying Guanglin/ファンイン・グァンリン)」の挨拶が徹底されていた。
こういった点は日本では当たり前でも中国では今まで見られなかったことだ。
もし、これで中国個人旅行がしやすくなれば、何しろ歴史的遺産はたくさんあるのだから、アジアに巨大な観光立国が誕生することになる。
それには一部の中国人だけでなく、全体としてホスピタリティを向上させることが必要だが、彼らがそれによって収入増につながることを身をもって体験するようになれば、アッという間に変わるだろう。

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