日本市場は鉄火場か?
(金持ち父さんへの道−その2)
【2004年11月3日掲載】

私にとって2004年10月は非常にショックな月だった。
前年に「金持ち父さんへの道」を書いたとき、私はヤフー(4689)の長期投資を軸に株式投資戦略をするつもりでいた。
それが5月と8月の株価暴落、6月の上昇相場や9月の株式分割のニュースにさえ上昇しない株価を見るにつけ、戦略の変更を決断した。
それは資産が倍増した持株の半分を売却して、ほかの有望な銘柄に乗り換えるというものだった。
ちょうど会社四季報の秋号が出た時期でもあった。
そして9月18日号の週間東洋経済は「会社四季報」集計、業績好調度1000社という特集を組んでいた。

しかし、9月下旬を底値と思って新たに買った銘柄は10月になっても下落を続け、私はあっと言う間に多額の損失を計上した。
その間、多くの銘柄が市場の悪材料に敏感に反応するといった2000年夏から2003年春までの景気後退期によく見られた様相を呈していた。
しかも昨年夏以降の円高は主に外国人投資家による日本株投資によるものだったので株高につながったが、今月の円高は単に米ドルが安くなっただけなので全く日本市場には反応していない。
日銀は10月29日付「経済・物価情勢の展望(Outlook for Economic Activity and Prices)」で景気回復局面は続くとしているが、内閣府が発表する景気動向指数(DI: Diffusion Index)は不安定な先行きを暗示する内容となっている。(日経新聞−景気ウオッチ

多くの識者は様々な控除の縮小による政府の実質増税策を過少評価していると思う。
なぜなら配偶者特別控除の廃止が影響するのは2004年分の所得税の確定申告(多くのサラリ−マンは勤務先を通して年末調整を受ける)、そして2005年度の住民税に対してなのだ。
彼らの多くは給与明細や税額通知を見てからショックを受けるのだから・・・
また、2005年以降は、老年者控除の廃止と公的年金控除の縮小が、消費の主役である高齢者を直撃する。
彼らは比較的恵まれているとはいえ、受ける精神的打撃は1997年の消費税率が3%から5%になったときを超えるかもしれない。(財務省−税制
そして、彼らの大部分がもっとシビアな倹約(draconian retrenchment)に走リ出したとき景気悪化は誰の目にも鮮明になるだろう。
残念ながら「大企業のサラリーマンのボーナスが増額になる」というニュースが流れるのは今年だけかもしれない。

2003年5月26日、ベンジャミン・フルフォード(Benjamin Fulford)がフォーブス(Forbes)に「日本の救命具(Japan's Lifesavers)」という論文を掲載した。
「世界第二位の経済に、まだ最後の希望の兆しはある」と・・・
しかし、1年後、Newsweek Japanの2004年3月31号のコラム"On Japan"でピ−ター・タスカ(Peter Tasker)が「日本の景気回復を望まない人々(PDF)」というものを掲載した。
それが不況への序曲でないことを祈りたい。
だが、日本経済が株高でインフレになっては困る大きな理由がある。
それは「借金」だ。
「デフレが続かないと(金利が上がって)困るんだ。」
政府だけでなく、多くの債務者はそういう状況にある。
日経225種平均株価(998407)
日経JASDAQ平均
日本市場の代表的な指数のチャートを見ると2004年4月と6月をダブルトップとして下り坂になっている。(東証株価指数時系列データ
つまりこれからは長期投資が利益を生む可能性が少なくなったと言ってもいい。
要するに上昇基調にある銘柄を見つけたらそれに乗り、1週間から半月程度で売り抜けるという方法だ。
場合によっては3日だ。
もはや、日本市場における株式投資はカジノのテーブルゲームだ。
短期で勝負して勝ち逃げするのが原則、もちろん、損をしたらさっさと見切りをつけて諦める。

そして、私は賭けに出た。
含み損(unrealized loss)を出している銘柄を売り払い、10月になってから急騰を続けるオリコン(4800)に余剰資金をすべて投入した。
上昇基調にある銘柄の株式分割日(権利落ち日/ex-date/10月26日)から1週間はさらに上昇を続ける公算があったからだ。
参考までにオリコン(4800)の株式分割権利付き最終売買日(payable date, payment date)は10月25日
証券用語解説は(日本語英語
これは株式分割から約8週間は新株(子株/new share)を売れないという日本株取引の制約がもたらす市場のマジックが未だに健在だからだ。
売り時を間違えなければ勝算は十分にあった。
私はこの株を11月1日に売ることを考えていたが、29日に最高値から下落し始めたのを機に売却した。
10月に出した損失の60%をわずか4日間でリカバーした。
まさにカジノゲームそのものの感覚だった。
しかし、これは私にとってもはや人生ゲームの1つでしかないのだ。
再度言う。「失敗したら?200万円の損失で私の人生が終わるわけではない。」

最後に株式新聞(2004.10.28)で掲載されていた株式投資のヒントを紹介しよう。
もちろん、私も投資の参考にするつもりだ。
それではこちらからどうぞ

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