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国債は間違いなく暴落、紙くずになる

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本誌先週号(2月1日号)に掲載された評論家・立花隆氏の「国民の財産が紙クズになる日」が、大きな反響を呼んでいる。
「日本経済の実態は、まさに立花さんか指摘した通り。税収はもとより、年金や保険制度なと国家システムも破綻状態にあります。いまは、それが表面化していないだけで、いざ表面化したときには、もう手遅れになっている。立花さんか描き出したような、破綻のシナリオが現実化する。」(水谷研治・中京大教授)
本誌編集部にも、読者からかなりの数の問い合わせがあった。与野党の政治家も、この論考に注目しているという。
大新聞が書かなかった日本経済の実態に、慄然として背筋か寒くなったという人も多いのである。


立花氏が先週号で明らかにした、日本経済の現状分析は抜粋すると以下の通りだ。

日本の財政は42兆円(兆円単位で四捨五入。以下同じ)しか税収がないのに、82兆円使うという極端な赤字財政になっており、赤字分は国債で補っている。
今年は小泉公約の国債30兆円粋が守りきれなくて36兆円発行することになったとさかんに報じられたので、国債が年間36兆円しか発行されていないと思っている人が多いが、実際には、過去に発行した国債を返済できないための借り換え債発行がそれ以上(年間75兆円)あり、総額年に141兆円だ。年度末の国債残高は450兆円にもなり、税収の10%をその返済にまわしたとしても、返済に100年以上かかる(今は10%返済どころか、借金がふえるばかりで返済はゼロ以下。もはや100年でも返せない)。
これだけ借金の山をかかえて破産しなかった国は、世界史上類例がありません。

■円、株、国債が同時大暴落

いまのところ、小泉政権に対する「ギリギリレベルの信頼感」によって日本政治経済システムが支えられているが、それが崩れれば「アルゼンチンと同じことが起きる」と立花氏はいう。
要するに国債デフォルト(債務不履行)、銀行取引停止、国民資産の凍結など国家的な破産である。
Newsweek Japan 2002.8.28 沈没へのカウントダウン)(日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日/ベンジャミン・フルフォード著
一部に主張されているインフレ・ターゲット政策について、立花氏はこういう。
「一部の経済学者は、かなり前から、この経済苦境(デフレ不況)を脱するためには、人為的に一定のインフレを起すほかないといい(インフレ・ターゲット論)、そのためには、ヘリコプターでお金をバラまくくらいの過激なことをしろとまでいっていた(ヘリコプター・マネー論)。(中略)為政者の一部も、実は心ひそかに大インフレが起ることを願っているのではないか。返済に100年以上もかかるような大借金(国債)をしてしまったら、大インフレを起して借金をチャラにしてしまうのが実はいちばん手っ取り早い。日本政府は、過去にそれをやった経験があるから、そういう誘惑にとらわれやすい。」

戦前の日本政府は「戦時公債」という形で一般の国民に大量の国債を買わせた。
大宣伝を行い、松坂屋などデパートの催事場で国債がじゃんじゃん売られたが、戦後の物価が1000倍になる猛烈なインフレで、ほとんど無価値になってしまった。
換金しても二束三文にしかならないので、束にして押し入れにしまったり、棺桶に入れて故人とともに焼いたりしたケースもあったという。
実はいま、それと似た事態が進行している。政府は2003年3月10日から、郵便局・民間金融機関を通じて個人向け国債を売り出すことを決めた。俳優・松本幸四郎や小雪などを宣伝ポスターに起用し、大々的に売り出している。利率は郵便局の定額貯金(年利0.07%、固定金利)より有利な「年利0.09%、変動金利」に設定された。

「今回発行される個人向け国債は市場金利の上昇に連動して金利が変動するという。しかも、元本保証されている。だからインフレにも対応できるということなのでしょうが、実際にはオイルショックや消費税率の引き上げなどイレギュラーなインフレには金利は連動しない。この国債でインフレヘッジすることはできないでしょう。今後10年間で、もっとも可能性が高いのは消費税率アップによる金利上昇です。だとすれば、1000万円以上の預金があり、ペイオフ対策する必要がある人を除いては、この国債を買う意味はないのではないか。」(経済評論家・角川総一氏)
政府は、また国民の財産を収奪することによって国家財政の再建を狙っているのではないか。今回発行されるこの個人向け国債をみると、そんな懸念を抱かせるのである。「危機」は間近に迫っている。


■ババをつかむのは国民だ!

「立花さんが指摘する通り、いつ、どんな形で破綻を迎えるか。
明日かもしれないし、もっと先かもしれないが、リスクがどんどん高まっていることは間違いない。
いまは微妙なバランスの上にのっているといえるでしょう。いってみれば、国や金融機関、投資家が、一種のパパ抜きゲームをやっていて、いまのところまだゲームはつづいている。しかし、ゲームが終わると思った瞬間、国債の投げ売りなど一気に破綻する。

それがいつかとよく聞かれますが、国に対する信用があるうちは大丈天。しかし、どんどん臨界点に近づいている。これだけ借金していても、まだ公共事業をどんどんやって景気を回復させ、税収を上げればいいという類の議論がありますが、そんなことで対処できるレベルはとっくに超えています。
私はこれまでに何回か、国会で財政問題を質しましたが、塩川正十邸財務相らの答弁は能天気で、ピントが外れていました。非常に不安を感じています。」(旧大蔵省出身の民主党・古川元久代議士)

格付け会社ムーディーズは2002年5月、日本国債をA2にまで下げ、南アフリカのボツワナ共和国より低い評価とした。
宮沢喜一元首相も、公然と、「国債暴落の可能性が否定できない」とコメントしている。
旧来型の自民党のバラまき政治のツケがまわって、ついに日本が破綻する可能性が高まってきた。
「国債が大暴落するシナリオは、4つあります。いま銀行は自己資本を確保するのに必死ですが、いよいよとなったら収益を確保するために大量に保有する国債を売却するかもしれない。それによって国債が暴落する可能性がある。これが第一。
仮にそれを日銀が引き受けたとしても、日銀もすでに大量の国債を引き受けてきていますから、国債の格付けがさらに引き下げられる可能性がある。これが第二。
第三に、2006年のBIS(国際決済銀行)規制見直しによって、国債にも一定の引当金を積むように求められるのは必至ですから、その時点で銀行が国債売りを加速させる可能性がある。
第四に、立花氏が警鐘を鳴らしたインフレ・ターゲット。日銀がストレートに株や、不動産を貫い上げれば間違いなく金利が上昇し、国債が暴落します。」(慶応大学・金子勝教授)

それにしても、これだけの危機にも手をこまねき、選挙に通ることだけに汲々として国を破綻に追い込もうとしている政治家たちの罪は許しがたい。
立花氏は、こう締めくくっている。
「日本は(中略)世界の政治地図、経済地図がどんどん塗りかえられていく激動期にあって、自らの政治的アイデンティティも、経済的アイデンティティも見失った状態で、漂流をつづけている。早く、第二の幕末期を脱して、第二の維新を実現しないと日本国は歴史の谷間に埋没して終ってしまうだろう。」
われわれはいま、まさに歴史の転換点に立っている。

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