近江八幡−左義長祭り
新大阪駅で「鉄ちゃん」した後で、私は朝食を駅構内で取りながらどこへ行こうかと思案していた。
有馬温泉へ行くには早すぎたし、大阪市内はあまり見どころがない。
京都の定期観光バスに乗ってもよかったのだが、ふと思い立って近江八幡へ行ってみた。
駅前の観光案内所でパンフレットをもらうと、偶然にも15日は「左義長祭り」の日だったのだ。

この「左義長祭り」は近江八幡に春の訪れを告げるお祭りで、織田信長も盛大に行い、自ら華美な衣装で躍り出たと伝えられている。
左義長の中心に据え付けられた「山車(だし)」は、その年の干支にちなんだものを、黒豆、小豆、胡麻、昆布、するめ、鰹節等の食材と約2〜3ヶ月の時間を費やして地域の人たちによって作り上げられたものだ。
その数、全部で13基、勢ぞろいするのは初日の「左義長宮入り」のときだけ。
そのときに居合わせた私は真にラッキーと言えようか。

朝方は雲が多かった近江地方も、左義長宮入りとなる頃になると絶好の天気に恵まれた。
12時過ぎには通りを練り歩く山車(だし)が現れ、場所によっては女性の担ぎ手がいる山車もある。
仲屋(すわい)町通り沿いにある酒遊館で日本酒の利き酒を楽しみ、近江西川で近江牛を食した私は、思わぬシャッターチャンスにほろ酔い気分でカメラを向ける。
同じような感じの観光客がテレビクルーの前をモロに遮って「ジャマ!ジャマ!」って怒鳴られていたりもする。
むろん、生放送ではないので、このシーンはカットなのだろうな。
また、山車の集合場所となっている日牟禮八幡宮の中は露店もたくさん出て、地元の人のみならず、観光客やテレビクルーも含めてごった返していた。
午後1時、さすがに山車が13基勢ぞろいすると壮観なもの。
祭りのプログラムによれば、午後2時から2時間半かけて山車は町内を練り歩くらしいのだが、夜には大阪に戻らないといけない私はこれにて退散。
近江八幡駅前にあるディスカウントチケットショップLIFEの自動販売機で、大阪行きのチケットを買って電車に乗り込む。
夜は鶴橋で待ち合わせたhideya氏とう〜やん氏アリラン食堂へ・・・
昼も肉、夜も肉・・・これじゃダイエットとは無縁だわな。

日牟禮八幡宮と村雲御所瑞龍寺
日牟禮八幡宮 日牟禮八幡宮 日牟禮八幡宮 日牟禮八幡宮
村雲御所瑞龍寺 村雲御所瑞龍寺 八幡山 八幡山
左義長宮入り
左義長だし 左義長だし 左義長だし 左義長だし
左義長だし 左義長だし 左義長だし 左義長だし
左義長だし 左義長だし 左義長だし 左義長だし
左義長だし 左義長だし 左義長だし 左義長だし

平成20年左義長だし説明
奉納町 命題 製作者 材料 製作の意図の説明
第一区 絆富明未・御殿引手(はんぷめいみ・ごてんひきて) 第一区青年部 金時豆、ローズヒップ(紅茶)、するめ、友志良質(麻)他。 鼠は子孫繁栄の象徴ですが、現代では、子孫繁栄より失われつつある親子の絆が大切だと思い、絆をテーマにしました。
また、白鼠は12支の中で蛇をも上回る富をもたらす神の使い、台の襖引手も財力の象徴とされています。
引手の五三桐の紋は秀吉の紋で、特に秀吉は引手に拘り、また、信長から「猿」以外に「はげ鼠」と呼ばれていた説もあり、五三桐御殿引手を製作し、明るい未来への扉(襖)の手掛りになる棟願い奉納いたします。
第二区 吉兆ネズミ 第二区 金時豆、うずら豆、小豆、板麸、コーヒー豆、ガム、粟、菜種、かんぴょう、海苔、きび。 今年の干支であるネズミは、江戸時代の書物の中に「福の神」「大黒天の使い」と記されていることから、第二区では虫にはネズミ、台には大黒天が持つ小槌(槌)が使われている「糸輪に五つ槌」の紋をモチーフに作製しました。
槌には「邪悪を撃つ」、「福をもたらす」という2つの意味があると言われ、その意味に願いを込め第二区区民老若男女みんなで作製した左義長を奉納します。
参和会 蓬莱鏡(ほうらいきょう)と桐蒔絵鏡箱(きりまきえきょうばこ) 参和会若衆一同 鏡箱(黒豆、するめ、マンゴウ等)
鏡(にぼし、太刀魚の背鰭、あじのゼイゴ、にしん(皮)、いわし(皮)、ぶり(皮、鰭、しっぽ)、カンパチの皮、さば(皮)等)
虫(春雨、桜でんぶ、するめ等)
帯(寒天等)。
蓬莱鏡とは、不老不死の仙人が住むという島、蓬莱山の姿を文様化したもので、中国を源流とする吉祥文様の一つで蓬莱文様をあらわした鏡は、婚礼調度の鏡の定番でした。
本年はこの蓬莱鏡と桐蒔絵鏡箱を作成しそれに帯を絡ませました。
身体を取り締めるものである帯は、生命にかかわる呪術的な力をも有すると考えられます。干支の鼠は子孫繁栄の意味があり、今年は夫婦の鼠を作成し家族の幸せを願い作成しました。
仲屋(すわい)町 財運・白寝ず身 仲屋町 山くらげ、いもがら、のり、かんぴょう、あおさ、グリーンスピリット、麻、ひまわりの種、唐がらし等 白ねずみは、古事記にて大国主命を救った逸話があり、後に大国主命と大黒天が同じ神さまとして信仰され五穀豊穣の神・大黒天の使いとして尊ばれ、ネズミはせっせと働くことから、ねずみという言葉は「寝ず身」に通じ、一生懸命働く行動力、堅実な労働により蓄財を果たすシンボルとして子孫繁栄、豊穣、富貴を運んでくる三匹の白ねずみと宝船を波に乗せ吉夢、幸運が皆に降り注ぐことを願い奉納いたします。
<優勝>
為心(いしん)町
宴舞・献上 為心町左義長製作委員会 菜種、海苔、道明寺粉、味甚粉、唐辛子、乾燥ふかひれ。 古来、子ども達の遊びとして伝わる羽根突きは神事を伴う厄除けとされ楽しんだ儀式とされています。
人々は子どもの健やかな成長を願い、鼓を打ち囃子踊りにぎやかに様子があります。
その後貴族では絢爛な意匠をこらし極彩色を用いた華麗な羽子板を婚礼や縁起物に使われました。
今年、豪華絢欄な羽子板を台に用い、神事を祝う活気のある様子と富と幸福を招くと言われる様子である白いねずみをおき日牟禮八幡宮に奉納致します。
<準優勝>
宮内町
「先駆者」 宮内町山車制作部 ラグラス、麻、スルメ、落花生、ガム、唐草子、タコの実、ドライトマト、菜種、氷餅、胡麻、干瓢、ゼラチン、寒天、紫芋、キビ、アラザン、抹茶、海苔、ヒジキ、道明寺粉、水引。 郷土を代表する近江商人である西村太郎右衛門は朱印船貿易で遠く安南まで交易の道を開き莫大な富を築きます。
その開拓者精神は商売の城を超え、未開の地への交流の礎を築いたという意味でも後世に大きな功績を残しました。
探究心溢れる一匹の白鼠が、長寿繁栄の象徴でもある伊勢海老を大船に仕立て、慶賀を表す帆立貝には満帆の風を受けて航行する姿を太郎右衛門に準(なぞら)え、七界の宝物と先駆者の心意気を載せ奉納致します。
魚屋(うわい)町 松竹梅・飾扇子 魚屋町青年部 黒豆、とうもろこし、えいひれ、焼のり、あられ、かつおぶし、青のり、一味とうがらし、ガム、にんにくスライス、紅イモ等。 扇子の形状は末広がりに通ずることから昔より縁起の良いものとして親しまれてきました。
「松と竹は寒中にも色褪せず、また梅は寒中に花開く」ということで縁起の良い松竹梅を描いた扇子を背景とし、古くから五穀豊穣、子孫繁栄の象徴として親しまれている子(ね)を配し、この扇子と子(ね)の力で新しい風が吹くようにと願いをこめ、これを奉納いたします。
新町通り 子と恵方盤(えほうばん) 新翔会 はるさめ、するめ、小豆、とうもろこし、青のり、ほうじ茶、タピオカ、クレープエッグ。 恵方とは、その年の干支に基づいて定められた縁起の良い方角のことで、万事において吉とされていますが、その恵方を知るために用いられたのが恵方盤です。
内側に東西南北の方位を表わし、その外側には十二支を、さらにその外側には雲を配しています。
本年は干支頭の子年であり、本年だけでなく今後にわたり万事良い方向に進むことを祈念し、子(ね)と恵方盤を奉納いたします。
恵方盤は天井に吊って飾られるため方位が特徴的です。
紫竹会 物産宝船 紫竹会左義長製作保存会 赤こんにゃく、でっち羊羹、丁字麸、ういろ、栗饅頭、瓦せんべい。 八幡城や日牟禮八幡宮に訪れる多数の方々が、私たちに八幡名物は何かと尋ねられたらどの程度の物産品名が答えられるだろうか。
そんな疑問から、一度八幡名物といわれる物産品と地場商品だけにこだわって山車を製作することにしました。
左義長祭当日多くの見物客が訪れる時、多くの方々に八幡名物の物産品を知ってもらい益々の物産品と地場商品の繁盛を祈り物産品で出来た宝船を製作しました。
本町 花蝶螺鈿硯屏(かちょうらでんけんぴょう) 本町青年会 黒豆、トウモロコシ、友白髪、アーモンド、ミルキー、かんぴょう、ガム、桜えび、ゴマ。 「子(ね)」は昔の時刻の名で今の午前零時を表す。
1日の終わり、また新たな日が始まる中で、このいつ何が起きてもおかしくない不安定な時代に、「今日も1日平和であるようにと願えるゆとりの時間があれば。」と思う。
「硯屏(けんびょう)」とは、書道をする際に使用する衝立の事で、筆を持つ心をたかぶらせ、ある時には、沈静させる為に用いる物である「硯屏」を台材にした。
池田町  はなねずみ 池田町青年会 桜えび、するめ、寒天、伊勢海老、あられ、黒豆、など。 子(ね)は子宝、宝を産み出す縁起物と言い伝えられております。
台には、国宝の華籠の紋様を模した器を用いました。
近江八幡左義長祭りの特徴である食べ物の素材感と色彩感を生かし、物を表現するという部分に至高を凝らし、国宝の華籠に負けないように、模様の華には海の王者、伊勢海老で力強く、また華やかに仕上げました。
池田町一同、吉祥の気持ちを込め奉納致します。
十區曾 大黒ねずみ 十區曾左義長実行員会 コーヒー豆、レーズン、黒ごま、焼きたら棒、粒あられ、かつお、たつくり、きびもち、するめ。 平成二十年の干支であるねずみは、大国主の大黒様がスサノオの計略により焼き殺されそうになった時、ねずみが助けたとされている事から五穀豊穣と金運を司る神の大黒様と深い緑のある動物です。
古来、ねずみには不思議な力があるとされ、災厄を予知したり、棲み着いた家で様々な吉祥をもたらす伝承が残っています。
特に白いねずみは大黒様のお使いとして崇められ、災害や病難から守り、健康、金運を招くといわれています。
<第三位>
第十一区
貴妃の白檀扇子(きひのぴゃくだんせんす) 第十一区 友白髪、しょうが、ガム、するめ、梅ぼし、マロニ、アマランサス、もちあわ。 白鼠は古来より金銀財宝を運ぶ縁起最勝の動物とされ中国唐時代には玄宗の妃・楊貴妃が寵愛したとされます。
また貴妃は美貌と健康を保つ為、住居には香木の白檀をふんだんに使い、高級な白檀扇子を多く携帯したとされます。
白檀は心を落ち着かせ、その香りは永久に消えません。
中国医書には「−切の熱脳を除く」とされます。
無病の象徴でもあるこの白檀扇子をバックに、福徳を導く白鼠を配しました。
激動の昨今、心平穏な日々がいつまでも続く事を祈願し奉納致します。

関連サイト
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