2010年の千葉ロッテマリーンズ以来、史上2度目のレギュラーシーズン3位からの下克上と(Nippon Professional Baseball-日本シリーズ2010詳報)(2010年11月8日-千葉ロッテ、史上最大の下克上成就)、1989年の読売ジャイアンツ以来(Nippon Professional Baseball-1989年度日本シリーズ 試合結果)、史上4度目の日本シリーズ3連敗4連勝をダブルで克服するという、もし、達成していれば、今後数十年にわたってプロ野球史で語り継がれるだろうと思われる伝説を作り損ねたチームがある。
2017年11月、アレックス・ラミレス(Alex Ramírez)監督率いる横浜DeNAベイスターズ、日本シリーズ第6戦、延長11回裏に福岡ソフトバンクホークスの川島慶三選手がサヨナラタイムリーを放ったところで、奇跡への夢は潰えた。(Nippon Professional Baseball-SMBC日本シリーズ2017詳報)
その直前の試合、私は11月2日の日本シリーズ第5戦を現地観戦できるという幸運に恵まれた。
1998年の日本一以来、19年ぶり、それも、レギュラーシーズン3位からの下克上という夢を追って日本シリーズに進出した横浜DeNAベイスターズは、今や日本シリーズの常連であるパシフィック・リーグの王者、福岡ソフトバンクホークスの前に初戦から3連敗を喫して、そのまま4連敗していれば、苦労して入手したチケットの払い戻しの憂き目に遭うところだったからだ。
しかし、第4戦は横浜DeNAベイスターズのルーキーの濵口遥大投手の、あわや日本シリーズ史上初のノーヒットノーランかという快投で勝利、そして、迎えた第5戦、苦闘の末に横浜DeNAベイスターズが逆転勝利を収めた後の観客席で、まさに奇跡への道を感じたほど私は興奮していた。
ここで、2017年の横浜DeNAベイスターズが日本シリーズの進出するまでの経過をスポニチの野球ニュースでもって追っていきたい。
これは私の備忘録であると同時に、このページを訪れていただいた横浜DeNAベイスターズの熱烈なファンに捧げたい。
■2016年のクライマックスシリーズ(CS)
今年の横浜DeNAベイスターズがレギュラーシーズン3位から下克上目前までいった快挙の布石は、昨年のCSのファーストステージで読売ジャイアンツを破った経験が生きたとも言えるだろう。(2016年11月9日-横浜DeNAベイスターズ初のCS出場、日本一は二刀流大谷の日本ハムに)
このあとの日本シリーズでは、二刀流の大谷翔平選手を擁する、パシフィックリーグの覇者、北海道日本ハムファイターズがそのまま日本一になった。
残念ながら、日米通算200勝を挙げた黒田博樹投手を擁する広島東洋カープは、彼の有終の美を飾らせてあげることはできなかった。(Nippon Professional Baseball-SMBC日本シリーズ2016詳報)
■2017年のクライマックスシリーズ(CS)
昨年に引き続いてクライマックスシリーズ(CS)に進出した横浜DeNAベイスターズ、ドームなし球場のリスクである天候不順を物ともせずに、ロードゲーム8連戦を勝ち抜いたのはさすが、2010年の千葉ロッテマリーンズ以来、史上2度目のレギュラーシーズン3位からの下克上を目指すことになった。
クライマックスシリーズ(CS)における下克上システムについてはいろいろ論議があるが、2010年の千葉ロッテマリーンズといい、今年の横浜DeNAベイスターズといい、レギュラーシーズンの上位チームとの過酷なロードゲームの連戦を勝ち抜かなければならなかったということは、もっとスポットライトが当たってもいいと思う。
野球を知っている人なら、これがどれだけ大変なことかわかるはずだからだ。
ちなみに、2010年の千葉ロッテマリーンズの下克上は、以下のPDFファイルの記録を見れば、それこそ奇跡と呼んでも構わないくらいのものだったと思う。(2010年クライマックスシリーズ・ファーストステージ結果 2010年クリマックシリーズ・ファイナルステージ結果 2010年日本シリーズ結果)(Nippon Professional Baseball-日本シリーズ2010詳報)(2010年11月8日-千葉ロッテ、史上最大の下克上成就)
■2017年の日本シリーズ(Nippon Professional Baseball-SMBC日本シリーズ2017詳報)
下克上を狙って日本シリーズに挑んだ横浜DeNAベイスターズ、いきなり初戦から3連敗、やはりクライマックスシリーズ(CS)から通算して、レギュラーシーズンの上位チームとのロードゲーム10連戦は、レギュラーシーズン2位の阪神タイガースの死のロード(8月の長期ロードで成績が際立って悪くなる傾向が顕著)を超える試練だったようだ。
それでも地元に帰ってきて2連勝と意地を見せたところは、3連敗から4連勝での19年ぶりの日本一への息吹を感じることができた。
最後の第6戦は、8回までリードして奇跡の逆転日本一に望みを繋いだかに見えたが、守護神の山﨑康晃投手が9回裏に内川聖一選手に同点ホームランを打たれ、最後は延長11回裏に川島慶三選手がサヨナラタイムリーを打たれて万事休した。
第2戦の7回裏の「今宮神の手!リプレー検証判定セーフ(2017年10月30日 日刊スポーツ)」(PDF)が今回の日本シリーズの命運を分けたように思う。
もっとも、この直前の横浜DeNAベイスターズの守備で併殺が取れなったことが、福岡ソフトバンクホークスの逆転を招いたため、倉本寿彦選手のエラーが相当に痛かったと言えるだろう。
短期決戦は往々にしてそんなところに勝負の分かれ目が出るので、本人が一番悔しい思いをしたことだろう。
なお、第2戦が行われているとき、私は友人主催のイベントで、ハロウィンのシーズンということもあって、DB.スターマン抱きつきタオル(フード付)を被りながら密かに応援していたが試合の方は負けてしまった。(2017年10月31日-ラバ吉(Lovers Kitchen)の「至福のワイン会」)
第4戦のルーキー左腕、浜口遥大投手の快投は目を見張るものがあり、8回1死までのノーヒットノーランは、日本シリーズでも記録に残るほどのもので、史上4人目の快挙となった。(2017年11月1日 スポニチ-DeNA浜口 8回1死までノーヒット投球!鶴岡に初安打許すも快投)
このゲームは私が現地観戦したもので、見ていてハラハラドキドキするような展開、最後は守護神の山﨑康晃投手が8回2死から登板して見事にセーブ、ヤスアキジャンプを8回、9回と2度やる幸運に恵まれた横浜ラストナイトは劇的な勝利で、週末の福岡決戦へと望みを繋いだ。(2017年11月14日-2017年横浜DeNAベイスターズ、下克上の夢を追った夜)
ちなみに、この試合のことは、11月3日付の日本の英字紙「Japan Times」でも"BayStars closer Yasuaki Yamasaki embraces pressure of must-win games(ベイスターズのリリーフエース、山﨑康晃は必勝の重荷を背負っている)"として守護神の山﨑康晃投手の活躍が報じられた。
ちなみに、山﨑康晃投手の登板シーンはメジャーリーグのウェブサイトでも報じられているようで、話のメインはリリーフカーのことなのだが、嬉しい限りである。(MLB on June 28, 2017 - This Japanese league closer rode in from the bullpen atop a sweet sports car)
観戦前に中華街で腹ごしらえ | |
山崎康、執念またぎS!大魔神・佐々木以来 ベイ6947日ぶり (2017年11月2日 スポニチ) |
ほんの少し前に、絶体絶命の修羅場をくぐり抜けたとは思えない。 試合後、取材を終えたDeNA・山崎康が言った。「息、ニンニク臭くないっすか?」。 前夜は焼き肉を食べた。 けろっとした、人懐っこい笑顔。 この強心臓こそが、ハマの守護神の真骨頂だ。 「チームが“頼むぞ”という場面で抑えられた。 自信につなげたい」。 出番は1点リードの8回2死一、二塁。 「柳田まで回ったら、いくぞ」。この回に5番手・パットンが登板した時点で、そう告げられた。 プロ入り後に2度しかない、2015年8月29日の広島戦以来となるイニングまたぎ。 「自分のボールを信じていた」。柳田を138キロの宝刀ツーシームで空振り三振に仕留めた。 9回は3安打で2死満塁のピンチ。 最後もツーシームで明石を一ゴロに抑えた。 8回を終え、一人静かに9回のマウンドを待っている時間。 さまざまな思いが山崎康の脳裏に去来した。 4~5月にかけては守護神の座から外れ、中継ぎに回った。 「悔しくて眠れない時もあった。その悔しさを忘れず、生かした。その頑張りで今、いい時間を過ごせている」。 日本シリーズ初セーブ。 球団では日本一となった1998年10月26日の大魔神・佐々木以来6947日ぶりとなる同シリーズのセーブだ。 不振に苦しんでいた昨夏、その偉大な先輩から「(抑えは)俺だって怖かったよ」と声を掛けられ、気が楽になった。 これで昨年のCSファーストSの巨人戦から11試合連続無失点。 「小さな大魔神」は防御率0.73と堂々のポストシーズン男ぶりを発揮している。 「きょう抑えたのを偶然にしたくない。日本一は誰も見たことがない場所。気を緩めずやっていく」。 かつて、悔しさのあまり眠れなかった日々。 今は「毎晩寝る前に、胴上げ投手になるイメージをつくりながらやっている」という。 実現まで、あと2勝。 歓喜の瞬間を迎える準備は整っている。 (鈴木勝巳) |
最後の第6戦は、8回までリードして奇跡の逆転日本一に望みを繋いだかに見えたが、守護神の山﨑康晃投手が9回裏に内川聖一選手に同点ホームランを打たれ、最後は延長11回裏に川島慶三選手がサヨナラタイムリーを打たれて万事休した。(2017年11月5日 西日本新聞-ソフトB内川奇跡呼んだ 独占手記 ありがとう横浜 足を手術したのにドラ1で指名)(PDF)
ここでもサヨナラタイムリーの伏線が併殺崩れであったことは、第2戦に続いて因縁めいたものとなった。
確実にアウトを重ねることができなかった横浜DeNAベイスターズに対し、そうしたミスを得点に結びつけた福岡ソフトバンクホークスとの実力差が出た日本シリーズとなった。
アレックス・ラミレス(Alex Ramírez)監督が「What a wonderful year for us!(何て素晴らしい一年だったんでしょう)」と最後に言ったことが、今年の横浜DeNAベイスターズの躍進を象徴しているものだと私は思う。(2017年11月5日 スポニチ-ラミDeNA「何て素晴らしい一年」 若さゆえの勢い、若さゆえのミス)(PDF)
2015年は前半戦首位ターン(2015年7月16日-横浜DeNAベイスターズ17年ぶり前半戦首位ターン/シーズン最終結果は最下位/2015年10月2日 産経新聞-DeNA中畑監督辞任・・・球団留意も“大失速”の責任取り)、2016年はクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ進出、そして、今年は日本シリーズ進出、一歩ずつ階段を上がってきているので、来年は今年の悔しさを忘れずに、セントラル・リーグ優勝、そして20年ぶりの日本一を目指して頑張って欲しいと思う。
蛇足ながら11月5日は母校の神奈川大学が全日本駅伝で20年ぶり3度目の優勝をしたと報じられた。(2017年11月5日 日刊スポーツ-神奈川大20年ぶり3度目V 東海大、青学大破る)(PDF)
横浜DeNAベイスターズも来年はそんな歓喜の輪に入ることができるのだろうか。
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