水の都−ベニス

9/4(Tue) ベニスへのエクスカーション
宿泊先 Arcella / 120,000L (EUR61.97=\6,720) per night
諸費用 交通費 FS / パドバ-ベニス: 2等 4,500L(EUR2.32)=\250
ヴァポレット(vaporetto) / 1日券: 18,000L(EUR9.3)=\1,010
入場料 ドゥカーレ宮殿: 18,000L(EUR9.3)=\1,010
アカデミア美術館: 12,000L(EUR6.2)=\670
関連サイト 欧州総合リンク イタリア ベニスとその周辺
ベニスの写真館

パドバからベニスまでは列車で30分の距離である。
私が乗ったものは主に地元客が利用するIR (The inter-regional trains)というもので、同じ区間を走っても IC (The Inter-city trains)より料金が若干安い。
そのせいか立たなければならないほど車内は混んでいた。

ベニスに着いた私はさっそくヴァポレット(水上バス)の1日券を買う。
歩いて回るのを基本にしたいなら1回ずつ買ってもよかったが、3回乗れば元が取れる(1回券は6,000L/EUR3.1)ので、旅行者にとっては1日券を買う方がいい。
ただチケットのチェックは甘いので、何回か乗っているうちに買って損したと思うだろうが、キセルがばれると高額の罰金を取られるのが欧州の常だから気をつけた方がいいだろう。

ベニスのサンタ・ルチア駅(Venezia Santa Lucia/Ferrovia)からサン・マルコ広場(S.Marco)までヴァポレット(水上バス)に乗っていると、運河の両サイドにはいくつかの歴史的建築物を見ることができる。
サン・マルコ広場(S.Marco)はベニスの中心だけあって人出も多く非常に賑わっている。
ただ、ここが将来、水没するのではないかというのは事実のようで、現に広場には水たまりがところどころにできていて、運河の水位が少し上がっただけで、たちまち水浸しになりそうである。

「20XX年、水の都は海の中」
水没の危機に瀕するベネチアでようやく始まった対策の効果は?
(Newsweek Japan 2001.3.21号 by バービー・ナドー)
ベネチア旧市街のサンマルコ広場に、老舗レストラン「クアドリ」がある。
店の名物はホタテ貝のサフラン風味グリルに、焼きジェラート、それに・・・ゴム長靴だ。
1階のカフェは昨年、アドリア海の高潮でほとんど水につかりっぱなし。
支配人のアドリアノ・ツィラルディは、ディナーの客が2階に上がるときに足元がぬれないよう、ゴム長靴を貸すことにした。
カフェの客がひざまで水につかりながらカプチーノをすすることもある。「面白がるお客様もいますが、ベネチアに住んで、働いている私どもには悪夢です」と、ツィラルディは言う。

ベネチアはいわずと知れた「水の都」。
アドリア海の海水面上昇と地盤沈下のせいで、1500年前からゆっくり沈み続けている。
度重なる浸水によって、16世紀に建てられた宮殿の土台は腐食し、貴重な芸術作品は湿気とカビに脅かされてきた。

だが、ここ数年はとくに危険な状態だ。
サンマルコ寺院の入り口は昨年、250日間もくるぶしの高さまで浸水した。
サンマルコ広場が水浸しになると、第二次大戦時の空襲警報のサイレンが鳴り、観光客は板の上をつま先立ちで歩かされる。
クリスマス前後には、浸水が17日間続くという記録的な事態になった。

こうなると、イタリア政府も重い腰を上げざるをえない。
今月にはサンマルコ広場を10センチかさ上げする作業が開始される。
これは浸水しやすい地区の海抜を上げる計画の一環で、同時に古い下水道も整備する。
浸水が起きると下水道があふれ、ヘドロやネズミの死骸などが広場に流れ出すためだ。

計画には4年間で2100万ドルの費用がかかるが、その場しのぎの対策であることは提案者側も認めている。
「せめて観光客の靴がぬれないようにしたい」と語るのは、全国の建設・土木会社が設立した「ベネチア再生委員会」のアンナ・ランギエーリだ。

■計画開始はまだ10年先

だが、「その場しのぎ」にさえなるのかどうか。
先ごろ技術者のチームが18世紀の画家カナレットの風景画を調べたところ、当時はサンマルコ広場に接する海水面が現在より34センチ低かったことがわかった。これでは10センチかさ上げしても、まだ足りない。

となれば、「モーセ計画(MOSE Project)」の出番になりそうだ。
市が20年前から検討してきた計画で、旧約聖書のモーセのように海を2つに分けようというもの。
ベネチア周辺のラグーン(潟)とアドリア海を結ぶ3カ所の水路に、79の可動式水門を設置。海面の上昇幅が1メートルを超えると水門を閉めて、一時的に海を分断する。

市政の連立与党である緑の党は、この計画では水門を年間250日も閉めることになり、ラグーンが「汚水だめ」と化すと主張。環境保護活動家も、ラグーンの脆弱な生態系への悪影響を懸念している。
だが市当局は、水門閉鎖は年に約300時間ですむと言う。
それに、ラグーンは観光客や近くの製油所のせいで、とっくに汚染されていると反論する。

論議はあるにせよ、モーセ計画がベネチアの頼みの綱であることは確かだ。
ジュリアノ・アマート首相は、4月にも予定される総選挙までにゴーサインを出すもよう。誰が次期首相になっても、この決定は支持するとみられる。
しかし、実際の計画開始は8〜10年後になる。その間にもベネチアには水が押し寄せてくる。

米マサチューセッツ工科大学は1999年の報告書で、ベネチアは80年以内に海に沈むと予測した。
このままでは市の人口は減少し、経済も成り立たなくなる。
昨年秋には、約1000人の商店主が市の無策に抗議するため、サンマルコ広場で「長靴デモ」を行った。
レストラン支配人のツィラルディも、対策が進むことを願っている。
長靴だけでなく、スキューバダイビングの道具も貸すのは、ごめんこうむりたい。

最初の見学はドゥカーレ宮殿(The Doge's Palace/Palazzo Ducale)、ここの中はティントレット(Jacopo Robusti Tintoretto)や、ヴェロネーゼ(Paolo Caliari Veronese)などの絵画が飾ってあり美術館のようでもあるが、Newsweekの記事によれば、「宮殿の土台は腐食し、貴重な芸術作品は湿気とカビに脅かされてきた。」という。
たぶん数年以内にイタリア政府はこれらを保存するための移転計画を立てざるを得なくなるかもしれない。

その後、外に出てサン・マルコ広場(写真)を散策していると雨がポツポツと落ちてきた。
地中海性の気候は夏は雨がほとんど降らないので、傘の準備などしていない。
7年前の欧州旅行のときも同じ目にあったことを考えると、どうやら9月は雨が降る日もあるようだ。
広場のカフェでは生演奏をしているが、当然ながら観客は1人もいなくなっている。
仕事とはいえ可哀想な気もする。
私はと言えば、雨中を歩き続ける気はないので、昼時ということもあり回廊の中にあった1軒のレストランに入ってみるが、場所柄結構な値段を取る。
幸いにしてボラれることはなかったが、晴れていればもう少し風情のあるところで食事ができたのにと思うと残念である。

雨がやんだので路地の散策に行く。
土産物屋やホテル、レストランなどがあり、本当ならこういうところで食事をと考えていたが、雨には勝てないので仕方がないと諦める。
雨がやんで人通りも多くなり、街は再び活況を取り戻す。
でも、小さな運河沿いには、こういう路地が多数あり、こんなところにホテルを取ったら帰り着けない、というより観光案内所で紹介されてもわからなかったかもしれないね。

サン・ザッカリア(San Zaccaria)から再びヴァポレット(水上バス)に乗り、 アカデミア(Accademia)で下りる。
ここにはベネチア派絵画の傑作を集結したアカデミア美術館(Accademia Gallery/Gallerie dell' Accademia)で再び芸術鑑賞をする。
ここは人気があるのかコンスタントに入館者が続いていて思ったよりも混んでいた。
何の気なしに入ってみたが、意外に見どころの1つだったかもしれない。

美術鑑賞を終えてリアルト(Rialto)まで行ってみる。
この界隈はサン・マルコ広場と同じくらい賑わっていて、レストランや土産物屋も多く、雰囲気もいい。
もし、ベニスに泊まるならこの界隈がいいと思った。
雨の方は降ったりやんだりで、ヴァポレット(水上バス)を下りたスタンドに折りたたみの傘(10,000L=EUR5.2)や使い捨てのレインコート(3,000L=EUR1.5)が売っていたので、それを買おうと思うと、皮肉にも雨がやむという状況が続いていた。
多くの観光客は使い捨てのレインコートを着ており、涼しくなってきたときのための即席の上着にもなるので、これを買うのがいいのかもしれないね。

リアルトから駅へ戻るのに町並みを見ながら帰ろうと路地をぶらぶらと歩いていたら道に迷ってしまったようだ。
しかも観光名所からも離れてるようであまりよくない。
1990年代に一緒に旅した私の友人はマップリーディングしながら町歩きをするのが得意だったが、私はどちらかというと苦手なのだ。
やはり夕方に近づいている時間帯は、素直にヴァポレット(水上バス)に乗るのが懸命なようだ。
ようやくたどり着いたローマ広場(Pizzale Roma)にはパドバ行きのバスもあるとガイドブックには書いてあったが、あちらの駅前には遅くまでやっているレストランがなかったので、ベニスのサンタ・ルチア駅(Venezia Santa Lucia/Ferrovia)まで戻って夕食を取ることにする。
"totobar"というレストランで、ツーリストメニューにあったパスタにローストチキンのセットに、白ワインにカプチーノを付けて、サービス料(15%)込みで、締めて70,150L(EUR36.23=\3,930)というところだ。
ちょっと散財し過ぎたかな、という気がしないでもないね。
それよりボラれたという感じもするがな・・・

帰りは午後8時発のIC (The Inter-city trains)、おそらくこの時間帯はほとんどの人がレストランにいる時間だから仕方ないのかもしれないが、車内はガラガラで、買ったチケットがIR (The inter-regional trains)用のものだったので、しっかりと検札で追加料金を取られてしまった。
昔はこんなに仕事熱心ではなかったようなイメージがあるのだが、これも時代が変わったということなのか、単に車掌の暇つぶしの犠牲になっただけなのか?
やはり宿泊はベニスにすべきだったと後悔するのであった。

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