イタリアの移民の現実

9/5(Wed) パドバ 10:34-(FS/IC612)-12:55 ミラノ(セントラル)
ミラノ市内観光
宿泊先 Monopole / 190,000L(EUR98.13=\10,640) per night
[booking sites for you / agoda.jp Booking.com Hotel Club venere (英語) JHCホテル (日本語)]
諸費用 IC Train パドバ-ミラノ: 2等 34,400L(EUR17.77)=\1,960 / 予約料: 5,800L(EUR3.0)=\330
Metro ミラノ / 1回券: 1,500L(EUR0.77)=\80
入場料 ドゥオーモのリフト: 9,000L(EUR4.65)=\500
ブレラ絵画館: 12,000L(EUR6.2)=\670
関連サイト 欧州総合リンク イタリア ベニスとその周辺 ミラノとその周辺
ベニスの写真館

Newsweek Japan 2001.8.15/22合併号は、イタリアの移民のことについて「地下経済から太陽の下へ」という表題でコラムを掲載していた。
その最後のコメントは「公式統計も外国人労働者の需要を30万人とはじき出しているのに、右翼政党の北部同盟(Lega Nord)は不法滞在者は投獄すべきだと提案している。ロベルト・マローニ(Roberto Maroni)労相も最近、仕事をもたない外国人は「国から追い出すべきだ」と語った。これが、勤勉な移民に対するイタリア流の「歓迎」らしい。」というものだ。
そして私はこの現実に直面する黒人の乗客と同じコンパートメントに乗り合わせることになった。

Migration News
Italy's new minister of labor and welfare, Roberto Maroni, in July 2001 announced that immigrants must have a work contract/permit if they want to come to Italy, with the number to be decided in consultation with Italian businesses; illegal migrants ordered out of Italy who did not leave within one week could be jailed for up to four years. In 2000, 110,000 illegal immigrants were ordered to leave Italy illegally, but only 36,000 left. Ships are continuing to carry migrants to Italy. About 15 ships, some with several hundred migrants aboard, were detected in June-July 2001.

西欧の列車では指定席であっても、予約した当人が来るまでは自由に座っていていい、という暗黙の了解がある。
事実、コンパートメントの外側には、予約済の区間が明示してあり、それ意外の区間においては自由席というわけだ。
もちろん、ベニスとミラノを結ぶ幹線を走るIC(Inter-city Train)に途中駅であるパドバ(Padova)から乗らないといけないので、昨夜のうちにコンパートメントを予約しておいたのだ。
それは実際正解だった。
パドバから乗り込んだ私は通路をふさぐように立っている乗客をかき分け、目指すコンパートメントに辿り着いた。
予約していなければ席に座ることなく、2時間の長旅をするハメになるところだった。

しかし、6人乗りのコンパートメントに入った時、私が目にしたものは、予約した席に黒人の男が、その対面の席には彼の仲間と思われる男が2人、それぞれ大きな体を広げ、他の乗客を威嚇するような態度で座っている姿だった。
それを見た瞬間に嫌な気がしたが、意を決して、自分の席を占拠している黒人の1人に「そこは私の席であること」を告げた。
果たして彼は残る1つの空席を指差し、「そこへ座ればいいだろう。気にするな」と言った。
窓際にいたイタリア人のカップルらしき人は我関せずの態度で窓の外を見続けていた。

ベローナ(Verona)に着くと、私のいるコンパートメントにイタリア人の親子連れがやってきた。
そう、彼ら3人がおそらく正規の予約客だったのだ。
イタリア人の親子は入ってくると、当然ながら黒人たちに「出て行くように」告げた。
しかし、黒人たちの発した言葉は信じられないものだった。
"Fuck you! Get out here! (くそったれどもが!ここから出て行くのはお前らだ!)"

彼らの態度からひと悶着あるだろうとは思った。
しかし、彼らはイタリア人親子が呼んできた車掌にも同じような悪態をついて叩き出した。
親子は諦めて通路に立ち尽くしていた。
私も身の危険を感じ、出て行こうとしたが、意外にも彼らは私に向かってこう言った。
「俺たちは黒人だ。白人たちは俺たちにまともな仕事をくれない。そしてイタリアから出て行けと言う。お前はカラード(有色人種)だから俺たちの気持ちがわかるか?」
私の拙い英語力では、彼らの言ったことで聞き取れたことはこれだけだ。
あとは切々と心情を訴えているようだったが、そのうち窓際のカップルも身の危険を感じたのか、目的地に近づいたのか、コンパートメントから出て行ってしまった。
残されたのは黒人3人に私だけだった。
完全にやばいという状況だったが、意外にも彼らは私に一通り話し終えると、黙ってコンパートメントから出て行った。

長くて重苦しい2時間が終ったあと、私はミラノ中央駅に降り立った。
例の親子はジェノバ(Genova/Genoa)までバカンスを楽しみに行くということだった。
お互いの不幸を慰めあい、午後にはいいことがあるようにと祈りながら別れた。


ドゥオーモ
Duomo Duomo
ドゥオーモの全景 ドゥオーモの屋上
street paformer Duomo
ドゥオーモ広場の大道芸人 ドゥオーモの内部
ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のギャレリア
Galleria Vittorio Emanuele II Prada
ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のギャレリア プラダの本店

私はミラノ駅の近くにあったMonopoleというホテルを取ると、メトロでドゥオーモ(Duomo)へと向かう。
やはりゴシック建築の傑作と言われるここは外せないからだ。
駅を下りると、目の前にドゥオーモ(Duomo)と、スカラ座(Teatro alla Scala)へ抜けるヴィットリオ・エマヌエーレ2世のギャレリア(Galleria Vittorio Emanuele II)が見える。
ドゥオーモ(Duomo)の内部は美しいステンドグラスが散りばめられ、まさに荘厳な欧州の教会の跡であることを十分に感じることができる。
しかし、天気のいい日はエレベーターに乗って屋上へ出るのがいいだろう。
ここからの街の眺めはまた格別で、360度のパノラマを十分に楽しむことができるからだ。

ドゥオーモ(Duomo)を出てヴィットリオ・エマヌエーレ2世のギャレリア(Galleria Vittorio Emanuele II)へ行くと、アーケードの両側にはカフェやレストラン、そして日本でもお馴染みのプラダの本店がある。
意外にもマクドナルドまであって、イタリアは、こういったファーストフードをどちらかと言えば嫌っていたと思っていたのだが結構賑わっている。
日本と違うのはビールを販売していることと、タバコを吸っていた少年を店員が追い出したことだ。
日本では大人たる店員がこんなごく当たり前のことをしても、先ほどの列車の黒人たちと同じように、「客を何だと思ってる!」とか因縁付けられて凄まれるが、彼らはすごすごと退散したようだ。
これを見て私は日本よりイタリアの方がずっとマシだと思ったが、どうも今日はこんなシーンばかりに巡り合う運命にあるようだ。

ブレラ絵画館(Pinacoteca di Brera)で美術鑑賞をしてぶらぶらと街歩きをしていると陽が暮れてくる。
欧州を一人旅していると一番困るのが夕食のレストラン探しである。
あまり畏まったところは入りづらいし、かと言って、ハンバーガーとビールで終らせるのは侘し過ぎる。
そこでピッタリなのがチャオ(Ciao)というファーストフードレストランだ。
そこそこメニューにバリエーションがあるし、ビールももちろん売っている。
総額で15,000L(EUR7.75=\840)も出せば十分食べられるのも嬉しい。

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