9/11(Tue) | シチリア島への1日ツアー(TIM Travel) アメリカ東部時間9時(イタリア現地時間15時)"アメリカ同時多発テロ事件") (英語版"Attack on US") 事件の発端はアメリカの脅しが原因か? |
宿泊先 | 佐藤さん宅でのホームステイ |
諸費用 | ツアー費用: 35LM=\9,400 |
関連サイト | 欧州総合リンク マルタ イタリア シチリア ワンパス博士の戒厳令下のNY情報 |
今日は、一昨日からホームステイで佐藤さんのところへ来ているTさんとシチリア島への1日ツアーへ参加する。
マルタとシチリア島のポッツァーロ(Pozzallo)やカターニア(Catania)を結ぶVirtu Ferryは、1日1〜2便と少なく、シチリア島への日帰り観光をするならば断然ツアーの方が便利だ。
ただ、タオルミーナ(Taormina)とエトナ山(Mt. Etna)をセットにしたツアーは4月から10月の火曜と土曜しかない。
また、私たちはフェリーの出るグランドハーバー(Grand Harbour)までの送迎をトニーさんがやってくれたが、ホテルなどに泊まっている人はオプションで送迎を付けられる。
むろん、ヴァレッタから歩いて15分くらいの距離にフェリー乗り場はあるが、あまり現実的な方法とは言えないだろう。
7時にマルタを出発したフェリーは約1時間半でシチリア島のポッツァーロ(Pozzallo)に到着する。
ここから観光バスに乗ってツアー客は一路エトナ山(Mt. Etna)へと向かう。
エトナ山はヨーロッパ最大級規模の活火山で、昔から噴火を繰り返しているところだ。
つい2ヶ月前にも噴火し、外国メディアでは盛んに報じられたばかりだ。(アジア防災センター/災害情報−イタリア火山噴火)
今は小休止している状態のようで、観光客も次々に山へ登っていく。
一応、現地では火山の活動状況の観測をしているのだろうから、いきなりここで活動を再開する可能性はあまりないだろうが、活火山の上にいるということは自然の怖さを感じられるところでもある。
Pozzallo, Mt.Etna and Taormina | |
Tour operated on every Monday, Wednesday, Thursday and Friday Outward: Dep. Malta 7:00 - Arr. Pozzallo 8:30 Homeward: Dep. Pozzallo 21:30 - Arr. Malta 23:00 |
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MT. ETNA: The largest and most active volcano in Europe. The climb to the crater takes us through picturesque villages and an ever changing landscape. The lower slopes of the volcano are extremely fertile with groves of oranges, lemons and other Mediterranean flora and of course vines which produce Sicily's best wines. We go through forests of chestnut trees which gradually give way to oak, beech, birch and pine. TAORMINA: Sicily's prime tourist resort was discovered by the British aristocracy in the mid 1800's. Facing Etna and the blue Mediterranean, this peaceful panoramic resort, 206m above sea level was colonized by the Greeks who built a theatre in the Hellenic period - 3 B.C. The present Teatro Greco, altered by the Romans, is the venue for classical plays every summer. The main street, the elegant Corso Umberto, with its cafes. restaurants and boutiques is a bustle of nationalities. |
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inclusions (35LM, Chirdren under 4 years Free of charge)
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エトナ山(Mt. Etna) | |
私は、ここが噴火のあった跡なのか〜などとのんびりした様子で山歩きを続け、ところどころ景色の良さそうなところでデジカメを構えて写真を何枚か撮る。
スキー場で写真を撮ったときもそうなのだが、自分がいい構図だと思って撮った写真でも、所詮は素人のもの、こうやって公開して見ると大したことはない。
タオルミーナ(Taormina) | |
次なる目的地はシチリアでも風光明媚なタオルミーナ(Taormina)、ここは映画「グランブルー(Le Grand Bleu)」で有名になったリゾート地だ。
町中ではリゾート客がカフェで昼の一時を楽しみ、通りでは土産物屋が軒を並べている。
通りを歩いていると時折日本人観光客もいたりして、結構な人気スポットになっているようだ。
シチリアというとマフィアを思い浮かべるところではあるが、ここにいる限り、そういう雰囲気は全くない。
もっとも、そういう雰囲気があったら観光客がたくさん寄ってくるようなことはないけどね。
あと、ここの海は写真で見るだけでも滞在意欲をそそるものがあるが、海水浴に適した海岸はあまりないようで、あくまで南国の雰囲気を楽しむという感じのところみたいだ。
アメリカ中枢テロ勃発 |
それはイタリア観光中だった私にとって「遅れて知ったニュース」の1つだった。
現地時間の午後3時、タオルミーナにいた観光客でおそらくこの惨事を知った人はあまりいなかっただろう。
それほど現地はのんびりと観光気分が漂い、カフェで談笑する人たちの笑顔が町中の雰囲気を象徴していたのだった。
まさか、遠く離れたアメリカで大惨事が起きているとは、誰もが想像だにしなかったに違いない。
タオルミーナを出発するときでさえ、私たちのツアーの英語ガイドは「何か大きな事件があったらしい」とだけしか言わなかった。
要するに、このガイドも自分で確かめたわけではなく、休憩時間中に誰かに聞いたことを伝えただけだったのだろう。
バスの中ではエトナ山の噴火のビデオが流れ、今日観光したところを復習しなさい、みたいな雰囲気が流れていた。
乗客の誰も英語ガイドの言う「事件」のことを話題にしなかったところを見ると、ほとんどの人は飛行機事故か中東の爆弾テロぐらいにしか思ってなかったのかもしれない。
そして、ツアーは再びフェリーでマルタに戻った。
船内の放送で、いかにもイタリア系の人の名前が次々に呼ばれ、入国審査のときに別室に連れて行かれたのを見た私は、顔つきからマフィアのチンピラが捕まったのかと思ったぐらいだった。
こういう臨検がなぜ行なわれたのか、いつも行なわれているのかはわからないが、10数人が一度に取り調べを受ける現場を見るのは初めてであった。
今考えると、このとき国際交通機関はすべて臨戦態勢にあったのかもしれない。
港にトニーさんが迎えに来てくれたので、彼の車で佐藤さんの家へ戻る。
家へ帰り着いた私たちが見たものは、食い入るようにCNNを見つめる佐藤さん夫妻の姿だった。
「ただいま」「お帰り」という挨拶以外、何も会話がない状態がしばらく続く。
英語のCNNのニュースなど聞き取れる力がない私でさえ、流れる映像と、画面の下に流れるテロップの断片から、シチリアでガイドの言った事件が「このテロ事件」であることがわかるほどだった。
佐藤さんはむろん、旦那はもっと真剣だった。
彼の名前はハッサン(Hasan)、当時は現役のマルタ航空(Air Malta)のパイロットだった。
おそらく帰宅のときから一言もなしにテレビを見続けていたのだろう。
憔悴しきった表情で彼が私たちに話しかけたとき、時計はすでに翌日になろうとしていた。
9/12(Wed) | ヴァレッタ市内散策 タ・アーリ(Ta' Qali)でのショッピング |
宿泊先 | 佐藤さん宅でのホームステイ |
諸費用 | バス / タ・アーリ-スリエマ: 0.40LM=\110 |
関連サイト | 欧州総合リンク マルタ |
佐藤さんの旦那のハッサンさんが、マルタ航空へ勤めに行く。
昨日のことで、ショックは大きいようだが、何とか気力を振り絞っているような感じがある。
おそらく世界中の航空機のパイロットが同じような気持ちを抱いていることだろう。
一方の私たちは佐藤さんの車でタ・アーリ(Ta' Qali)のショッピングセンターへ買い物へ行く。
ここは、作業中のマルタ人の職人や手工芸品を見たりするのには最適のところで、ハンディクラフトセンターの土産物屋では、グラスや金・銀・線条細工(filigree)、陶製や鉄製品、ニットウェアなどが売られているのだ。
前回来たときも私はここへ連れて来てもらったのだが、佐藤さんはホームステイに来ている人たちをここへ連れて来るのが好きなようだ。
一通り買い物をした私たちはイムディーナ(Mdina)で別れ、私はスリエマ(Sliema)へとバスへ向かう。
何を隠そう、イムディーナ(Mdina)とラバト(Rabat)は前回来たときに苦い思い出がある場所だ。
そのおかげで佐藤さん夫妻との出会いがあったということもできるが、私にしては観光自体はすでにしているし、何か運命的なものを感じたのだった。
バレッタ観光 | |
スリエマ(Sliema)の賑わいは相変わらずだった。
散策を終えた私は1件のインターネットカフェに入り、パソコンを立ち上げる。
何と言っても昨日のことについて日本語の情報というものはマルタにいる限りほとんど入らない。
インターネットでニュースサイトを検索するのが一番確実なのだ。
とは言え、私が海外でインターネットカフェなるものに入るのはこれが初めてだった。
日本語が表示されるのか?打てるのか?
そういう不安を抱えて、もし、英語サイトしか見れなかったらスタンドで英字新聞を買ってカフェで読もうと思った。
しかしながらそんなことは杞憂だった。
日本語サイトが表示されるのはむろん、スタッフに聞いたらタイプもできるということだった。
各メディアのサイトを見ると昨日のアメリカの惨事で記事が埋め尽くされている。
アメリカ国内に発着するフライトは全面的にキャンセルしていると書かれている。
マジか?
私が乗るフライトはアリタリア航空とはいえ、アメリカへもフライトを飛ばしているし、この事件の欧州への影響は全くないのだろうか?
幸いにしてハッサンさんはマルタ航空に勤務しているので、帰宅すれば空港の状況がわかるだろうが、彼は他国のフライトを心配できる状況ではないだろうから必死に私も情報収集を試みる。
アリタリア航空のサイトを見ていた限りでは、イタリアから日本へのフライトに影響はないようだが、搭乗手続きに通常以上に時間がかかることが警告されていた。
ふと隣を見ると涙を浮かべながらメールを打っている女の子の姿があった。
もしかすると、友人がテロに巻き込まれたのか?
どんな内容のメールなのか見ることはできないが、一心不乱にパソコンのモニターを見続ける姿はとても尋常のものではなかった。
そして、周囲を見るといつの間にかパソコンの台が大方ふさがっている。
リゾート地のネットカフェに昼間からこれだけの人が入ることも珍しいのではないだろうか。
おそらくここにいる人が一番気にしていることは、昨日のテロのことだろう。
それだけあの事件が欧米人の心に残した傷は深いと言えるかもしれない。
9/13(Thu) | ゴゾ島のラムラビーチで海水浴 |
宿泊先 | 佐藤さん宅でのホームステイ |
諸費用 | ツアー代金(トニーさんへ): 30LM=\8,040 ゴゾフェリー / 車+ドライバー: 5.75LM=\1,540 / 一般: 1.75LM=\470 |
関連サイト | 欧州総合リンク マルタ ゴゾ島 |
今日は、実質的にマルタ滞在の最終日である。
相変わらずの好天に恵まれた中、私はトニーさんとTさん、そして彼女の学校仲間の4人で再びゴゾ島へ遊びに行く。
私にしてみれば5日前にも行ったところなので、女性たちと暇つぶしに行ったようなものだ。
とりあえずトニーさんの案内で島内をドライブの後、彼女たちは史跡観光へ行くというので、私は島内を代表するラムラビーチ(Ir-Ramla)で降ろしてもらって旅の疲れを癒すことにする。
できれば彼女たちと一緒にビーチにいるのがよかったのだが、そこまでは出来すぎというもの・・・
一応、待ち合わせ時間を決めたものの、そこはマルタ時間のトニーさん、特に今日は大好きな日本人女性が2人も一緒だということで張り切ってドライブに回っていることだろう。
案の定、約束の時間を30分以上もオーバーして現れたトニーさん一行、忘れられることはないと思ったが、置いてきぼりを食ったら最後、42番のバス(午後5時から7時まで1時間毎)にでも乗って戻るしかない。
ガイドブックによれば、港とビクトリアを結ぶ25番のバスとは、ビクトリア(Victoria)以外にもアインシーレム(Ghajnsielem)で乗り換えられる
幸いにもじりじりと照りつける太陽の下で何本かのビールを開けた後、彼らは戻ってきた。
夕食は本土に戻ってマルタ料理のレストランで食べる。
トニーさんとドライブに行ったときのメリットは、こういうレストランに連れて行ってもらえることもあるのだ。
せっかく女性2人とエクスカーションへ出かけた割にはほとんど記憶がないのが残念だが、やはり今回の旅の終盤は例のテロ事件の記憶が強烈過ぎたのかもしれない。
9/14(Fri) | マルタ(ルア) 16:10-アリタリア航空(AZ)885-18:10 ミラノ(マルペンサ) 21:15-アリタリア航空(AZ)7786-翌15:55 東京(成田) |
関連サイト | らっしゃい東京 (http://www.tcvb.or.jp/) |
成田空港 (http://www.narita-airport.or.jp/) |
いよいよ帰国の日を迎えたが、このとき主要国の空港に向かう人たちの関心は、飛行機が無事に飛ぶかということだったに違いない。
聖子さんの旦那のハッサンさんの情報で、出国手続きには2時間前でなく、3時間前に行かないとダメだということで、トニーさんにもそのような形で空港へ送ってもらう。
最後の別れを済ませ、空港に入った私は2年前に来たときとは様変わりした光景に驚く。
荷物検査は厳重を極め、カウンターへの列も遅々として進まない。
近くにいた日本人カップルの話だと、ミラノから成田へのフライトがあるだけでもマシというような状況だ。
テロの概要はメディアの報道の域を出ないが、私の持っている情報は誠に微々たるものだった。
とにかくなるようにしかならないというのがこの時の乗客の認識だった。
ミラノの乗り換え口でも検査は厳重だった。
列は二重、三重になり、全員が黙々と係官の指示に従って検査口に進む。
乗り換え時間は3時間あったが、このままでは土産を買う時間もないのかな、とも思えるような長い時間が過ぎる。
幸いにトラブルもなく検査口を通過すると、そこにはリラックスしたいつもの空港の風景が私を待っていた。
あと10数時間、何事もなければ無事にわが家に着くことができるだろう。
佐藤聖子さんの近況(2005.6.1現在) |
テロ事件後の2002年2月24日、佐藤聖子さんはテレビ東京系列で放映された「世界に嫁いだ華麗なる女性たち」に出演したのがきっかけで新規のビジネスを展開し、その関係で頻繁に日本とマルタを往復していています。 最近お会いして確認したところ、今ではマルタの情報提供やホームステイ先の紹介などはしているようですが、マルタでのホームステイ自体の受け入れはしていないということです。 マルタに興味を持った方については、中央地中海通信のウェブマスターの坂田氏が音頭を取って情報交換会などを催しているようですので、サイトをチェックして連絡を取ってみることをお薦めします。 |