九州旅行の最終日は天気予報通りに雨が降っていた。
K国氏が地獄巡りの観光ツアー(亀の井バス定期観光)は雨でも問題ないと言っていたので、昨夜のうちに何時にどこから出発するかリサーチしておいたのだ。
私が使えるのは別府駅発、午前9時か10時20分、所要2時間20分とあったのでどちらでもよかったのだが、終わってから昼食と温泉をと考えると早起きがベターと思った。
昨夜の酩酊にもかかわらず早起きを断行した甲斐があってAコース午前9時発のバスに間に合う。
車内ではバスガイドのお姉さんが「龍巻地獄の間欠泉が出る時間が不定期なので、所要時間(終了予定時刻)にズレが生じます。飛行機や列車の時間に間に合わない恐れのある方はおっしゃってください。私はできるだけのことをしますが・・・」とアナウンスし、平身低頭していた。
私は極めて日本的な「至れり尽くせり」サービスと思った。
バスツアーに限らず、こうしたイベントの終了時間で、30分程度の遅れは計算に入れるのが旅行の常識だと思っていた私は、日本ではそうではないことを改めて学んだような気がした。
つまり、30分遅れると飛行機に乗れないという人が参加者の一部にいたことで、バスガイドの言葉は特に午前発のショートトリップには日常茶飯事であることも・・・
短時間でいろいろ見たいという気持ちはわかるが、それだけお互いにストレスが溜まるだけだろうに・・・
このバスツアーでは9箇所ある地獄のうち金龍地獄を除く8箇所を巡る。
バスガイド曰く、ここだけは地獄組合に属していないので8地獄共通入場券の対象ではないからとのことだ。
金龍地獄を見たい人は個人でどうぞということらしい。
写真左上の海地獄から順に見て回るが、地中から熱湯、噴気、熱泥が勢いよく地上に吹き上げる様子が各所で見られる。
当然ながら各所には「立ち入り禁止」の札があるが、100度近い熱湯の中にまかり間違って入ったら大火傷で死んでしまうだろう。
そういった雰囲気が感じられることから「地獄」と命名されたのだろう。
山地獄ではそんな温泉熱を利用し、象やカバ、ラマ、フラミンゴが飼育されており、中でもカバの「昭平くん」はここのアイドル的存在ともなっているそうだ。
動物を飼っていると言えば、鰐がいる鬼山地獄、ちょうど私が行ったときは餌付けの時間(毎週水曜日と日曜日の午前10時)だったのだが、その鰐が餌に飛びつく様相はまさに地獄にピッタリだ。
そして、最後に行った血の池地獄と龍巻地獄のうち、いつ吹くかわからない問題の間欠泉があるのは龍巻地獄の方だ。
バスガイド曰く、「間欠泉はどうやらすぐには吹かないので、先に血の池地獄を見てから15分程度たったら間欠泉を見に来てください。」とのことだったが、いつまでたっても吹く気配がない。
こればかりはわからないので、運次第ということだったが、周囲にいた人は何と1時間近く待っている人もいたようだった。
結局、一吹きもせずにアナウンスが流れ、いつもなら長くても40分〜50分待てば吹くはず(バスガイド談)が、今日は「本当に」いつ吹くかわからないという感じになった。
こんなこともあるのだね〜とバスガイドは苦笑し、車内では乗客に対し「申し訳ない」を連発していた。
まあ、こればかりは自然現象だから諦めるしかないのだけどね。
ちなみに「飛行機に間に合いそうもない」人たちはタクシー相乗りで直帰するハメになったようだ。
彼らは間欠泉が10分ほど待てば見られるという幸運に恵まれなければそうなる運命にあったような気もするけどね。
バスガイド曰く、「ここの間欠泉は誰しも時間に余裕があるときはすぐに見られ、時間がない人がいるときに限ってなかなか見られないのよ。」とのこと。
これこそ人それぞれが持った運なのだろう。
別府地獄巡り観光が終わって駅へ戻る。
相変わらず雨が降っていて、湯布院をチラッと覗こうという気も失せてくる。
ここでどうしたかというと、亀の井ホテルでピックアップしてきた「おすすめ飲食店ガイドマップ」を頼りに店を探す。
やはり、最後は関アジ、関サバに代表される海の幸がいいだろうということに・・・
ホテル雄飛の1階にある「とよ常」、ホテルアーサーの近くにある「大和田鮨」、そして新宮通りの「石松寿し」あたりか。
少々値は張るが、別府の最後を飾るなら多少の贅沢をしてみるか。
別府亀の井ホテル、ホテルアーサー推奨の大和田鮨、左側が関アジのたたき | |
駅前高等温泉 |
JR九州の特急「白いソニック」 |
食事の後は、駅前の温泉で一休み。
ここは2階の大広間に休憩室があり、また宿泊(予約制)もできるようで、個室が7部屋で1泊2,500円、大広間では1,500円という格安の値段なので、浴室さえ改造すれば外国人旅行者にもPRできるのではないかとも思う。
別府での全日程が終了し、さてここから博多まで何で行くか、と駅の時刻表などを見てみる。
最も早いのは小倉経由で行くもの、景色と鉄道旅行を楽しむなら湯布院経由で行くものだが、前者の特急「ソニック」も後者の特急「ゆふいんの森」も指定席は満席。
確かに今日は日曜だし、ここは週末旅行に予約が必要な日本だから、こういう状況も理解できるのだが、今回の旅行は行き当たりばったりの旅だったので、予約なんて眼中になかった。
侮りがたし九州!といったところだが、疲れた身に立ち席のリスクがある自由席は酷。
ということで、奮発したグリーン車だが、小倉までは追加料金の1,530円を払えば済むだけだ。
最初は小倉で特急を下りて、門司港へ行こうとなんて思ってもいなかった。
何でそんなことを思ったかというと、2時間程度の余裕があったのと、友人の倉布人さんがブログでそのあたりのことを触れていたのを思い出したからだ。
ガイドブックにも「レトロな町」が見どころと書いてあったので、ちょっとくらいは見る時間があるだろうと寄り道をしてみた。
駅を下りると雨は止んでいたものの、寒風が吹きすさむあいにくの気候で町の散策は早々に切り上げる。
そんな中でも湾内観光遊覧船とか人力車とかが営業しているあたりが凄い。
風に吹かれて観光するなんてマジで正気の沙汰とは思えない気候だったからだ。
まあ、レトロな町並みは写真の通り。
もっと暖かくなってから来るといいかもね。
最後は土産物屋で試食させてくれた激旨の「霜降りアジ(アジの中でも脂が一番乗っているもの)」とふぐを買って帰る。
う〜ん、土産代でいくら使ったんだ・・・
と、いうことでアッという間に過ぎ去った3日間。
土曜日のドライブ観光に連れて行ってくれたK国氏に感謝の意を込めて旅行記を終りにしたい。
どうもありがとうございました。