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厚生労働官僚の大罪−「国民の掛け金、5兆円の大損」−年金の運用をやめろ

民主党代議士・上田清司氏のページ
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「政府はタパコや発泡酒の税率を引き上けるなど税制を変えて年金の財源に当てようとしています。
民主党の試算でも税制を変えることで、2兆円の財源が確保できると試算している。
ところか、厚生年金を運用する年金資金運用基金の運用結果は、2002年度の半年(4月〜9月)だけで2兆112億円の赤字を出した。
原因はリスクの高い株式投資での失敗です。増税して国民から2兆円取っても、危険な運用をした結果、モれ以上の額を失っているのだからまったく意味がない」(民主党代議士・上田清司氏)


国民年金、厚生年金の掛け金を運用するのが年金資金運用基金(旧年金福祉事業団)である。
2003年1月23日に開かれた衆議院予員会で上田代議士が原生労働省の官僚たちの天下り先として、そして年金崩壊の元凶として追及した特殊法人だ。
この特殊法人が、1986年に年金資金の運用を始めて以来、われわれ国民の掛け金をドプに捨て続けている。
2000年度は2兆3123億円、2001年度は1兆3084億円、そして2002年度はなんと半年で2兆112億円。
この2年半だけで実に5兆6000億円もの穴をあけた。2000年の厚生年金支給総額は約20兆円だから、支給総額の1割以上の掛け金をドプに捨てたわけである。

先述の国会で、小泉首相は上田代議士にこの巨額損をどうとらえるかと問われ、「安全確実なもので運用すべき」と答弁した。だが基金はいまもなお危険な株式市場に資金の約40%を注入しようとしている。
民間企業がこれだけの巨額の損失を出したならば、当然責任が問われ、役員は退陣だ。
ところが、年金資金運用基金はこれまで一切責任を問われたことはない。
それどころか2001年の特殊法人改革で前身の年金福祉事業団が廃止されたにもかかわらず、名称を変えただけで生き残ったのである。

年金資金運用基金によると、運用資金のポートフォリオは社会保障審議会の答申を受け、厚生労働大臣が決定する。
投資する株の銘柄や信託する金融機関の選定は3人の投資専門員を含む基金の常勤役職員が案を出し、基金の理事会で決定するという。つまり、運用の失敗は理事会の責任に帰すると言える。
「市場運用部分で大きな損失を出したことは大変なことだと思っていますが、結果としてマイナスが出たからといって、責任を負わせることはできないじゃないですか。市況がこれだけ厳しい状況ですから、いまの時点だけ取って言われれば、損失を出したと言える。しかし、長期的に見れば利益が出るということです。投資というのは、必ずしも元本が保証されるものではありませんから。」(年金資金運用基金企画部企画課)
厚労省の指示するポートフオリオに従って運用しているのだから、どれだけ損が出ようが責任はないという開き直りだ。


■天下り先確保のための「運用」

函館大学の磯村元史客員教授は、年金資金運用基金が資金運用をすること自体がもともと無理なのだと言う。「通常、預った資金の投資運用には、まずその資金の性格にふさわしい運用の理念と方針を立てる戦略責任者がいて、その方針に従い、債券や株などへの投資額の配分を行う配分担当者がいる。ところが、年金資金運用基金は役人の天下り先。金融の知識や投資経験もない天下り官僚が、戦略責任の役割も、配分担当者の役割も担えるわけがない。能力のない年金資金運用基金が運用しているのですから、掛け金が減る一方なのは当然です。」
基金の近藤純五郎理事長(2002年12月就任)の役員報酬は現在約2000万円。巨額の損失を出した森仁美前理事長(1997年2月〜2002年12月在任)は約2600万円もの報酬を得ていた。
これだけの高額報酬を得ていながら、基金に運用能力はまったくないというのである。これでは国民はたまったものではない。

シンクタンク構想日本代表で、慶應大学総合政策学部の加藤秀樹教授は基金の欺瞞を次のように指摘する。「積立金は将来給付に使う資金です。政府の手元にたまっているというだけで、本来、リスク運用していい”余資”ではない。それを厚生労働省は余資=自分が自由にしていい資金であるかのように考えている。国民の合意なしに、一円たりともリスクを負わすべきではありません。」
さらに基金が毎年支払ってきた運用手数料は300億〜400億円にものぼる。
厚生労働省の官僚たちは、基金が手数料を支払っている金融機関にも天下りをしている。天下り先のパイプを必死で繋ぐために運用にこだわっていると、見られても仕方あるまい。
加藤氏は長期運用でリスクが回避できるという考え方がおかしいという。「最近の研究では長期というのは最低でも50年間のことを指す。厚労省は20年や30年を長期としているようですが、これではリスクの減少はできない。長期運用は収益性が一定のところに落ち着くというだけで、必ずしも収益性が上がるというわけではないというのが有力な学説です。」(加藤氏)
厚労省は、過去30年の実績を引き合いに出し、株式投資は収益が上がる投資だと説明する。だが、それは高度経済成長やバブル期の特殊な時代の「実績」に過ぎない。


■年金官僚は法律違反である。

われわれの掛け金は今後もさらにドプに捨てられる可能性が高い。
前出の磯村元史教授が説明する。「厚労省が最近発表した5年後のポートフォリオでは国内株が12%、外国株が8%で、運用資金全体の20%を株式投資することを決めている。運用資産全体の利回りは年4.5%を目標としている。だが、今日のようなゼロ金利時代では債券などでも1%の利回りを得るのは難しい。仮に1%の運用利回りが得られたとしても、4.5%にはほど遠い。その不足分を株式の運用で稼ぎ出そうというわけです。2008年に予測される資金量で4.5%の運用利益を出そうとすると、株式で年率18.5%の運用をしなければならない計算になる。こんな高い利回りを毎年稼ぎ出せる株は、まともな銘柄では無理です。リスキーな株を買わなければ目標の利回りをあげることはまず不可能でしょう。」

まるでバクチのような運用に手を出さない限り、運用益がでない仕組みになっているのだ。掛け金を支払っている国民は、リスクを負った運用をすることに一度も同意していない。にもかかわらず、バクチに負ければ、年金の支給額は勝手に減らされる。
冒頭の上田代議士は、基金の廃止だけでは問題は解決しないという。厚労省の年金官僚たちを法律違反で厳しく取り締まるべきだと主張する。
ちなみに年金掛け金の運用について定めた厚生年金保険法第79条の6(運用職員の責務)には、こうある。(積立金の運用に係わる行政事務に従事する厚生労働省の職員は、積立金の運用の目的に添って、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。)
上田氏が話す。
「職員の義務規定が明確に書かれているが、年金局資金運用課は、この法律を遵守していない。『慎重かつ細心』とあるわけですから、慎重な運用を心掛けなければならない。しかし、ヘタな運用をして元本を減らし続けている。これは、慎重かつ細心の注意を払って、職務に全力を挙げていないことの証であり、明確な法律違反です。その違法状態を放置している小泉首相や坂口厚労相は、歴史に残る大罪を犯している。」
運用で穴をあけただけではなく、基金は運営のために2001年度には1200億円ものカネを支出している。
これもすべてわれわれの掛け金。基金はいますぐ廃止すべきだ。

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