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10月28日(日)-インド市場ますます噴き上げか?

先週、インド証券取引委員会(SEBI=Securities and Exchange Board of India)が海外投資家に対するデリバティブ(金融派生商品)への投資規制をするとのニュースが報じられてからムンバイ証券取引所30種株価指数(BSE SENSEX 30 Index)の下落が続いた。
それが今週になって回復基調に転じ、25日に未登録外国人による投資規制強化を発表されると、これを受け資金流出めぐる投資家懸念が後退、26日には去る16日の時間中に付けた19,174.44ポイントの高値を更新、19,243.17ポイントで引けた。
また、夜のニューヨーク市場のインドADRも銀行株のICICI Bank (IBN)HDFC Bank (HDB)が10%以上の上げを記録し、India Fund (IFN)も最高値に迫る勢いになるなど噴き上げた。

先週の規制案では海外投資家が株式市場から資金を引き上げる可能性をめぐっていろいろな憶測が流れたが、25日の決定は、結局のところ、海外の機関投資家(FII=Foreign Institutional Investors)によるインド株投資をきちんとした形でやらせようということのようだ。
インド証券取引委員会(SEBI=Securities and Exchange Board of India)のダモダラン(Meleveetil Damodaran)委員長は、記者会見上で「今日のように、インド市場に直接投資できなかった人たちが参入を許可される-これが我々の目標である。いずれ我々は一連の施策を通して目的を達することになるだろう。(Allowing access to such people as today do not have access to our markets directly - that's our goal. We will get there through a series of measures over time.)」と述べた。

願わくば機関投資家のみでなく、いずれ一般個人投資家にも門戸が開かれることを期待したいと思う。
門戸が開かれれば、例えば在外インド人を相手に展開しているCitibank India NRI accountが外国人でも使えるということになろうか。
ただ、原文にある over time は「ゆっくり時間をかけて」という意味もあるだけに本来のインドの役所流にやられると実現可能性は著しく低くなるけどね。
いずれにせよ、これでインド株式市場は年末にかけてさらなる噴き上げが期待できる環境になったというわけだ。

India eases restrictions on foreign investors
(インドが外国人投資家に対する規制を緩和)
(October 26, 2007 Financial Times by Joe Leahy in Mumbai)
India's stock market regulator eased the criteria for foreign institutional investors seeking to register to buy shares in the country's domestic market on Thursday, potentially opening the door wider for the entry of more hedge funds.
Meleveetil Damodaran, the chairman of the Securities and Exchange Board of India, also promised broader medium-term reforms to allow greater market access, including introducing more derivatives products and improving cost efficiency.
"Allowing access to such people as today do not have access to our markets directly - that's our goal. We will get there through a series of measures over time," Mr Damodaran told a press conference.

(10月25日の)木曜日、インド市場の規制当局は、今まで以上にヘッジファンドが参加する可能性のある海外の機関投資家(FII=Foreign Institutional Investors)によるインド株式投資のための登録基準を緩和した。
インド証券取引委員会(SEBI=Securities and Exchange Board of India)のダモダラン委員長は金融派生商品(デリバティブ)の売り出しや、費用効果を高めることを含む、より多くの市場参入を可能にするための中期的な改革をも約束した。
「今日のように、インド市場に直接投資できなかった人たちが参入を許可される-これが我々の目標である。いずれ我々は一連の施策を通して目的を達することになるだろう。」と、ダモダラン委員長は記者会見で述べた。

The regulator was confirming the introduction of a series of proposals aimed at curbing foreign investment in the market via offshore derivative instruments, known as participatory notes (P notes).
Sebi sparked a panic last week when it released the draft proposals, which analysts believe had the underlying aim of cooling mass foreign investor inflows into Indian stocks in recent weeks.
These have driven up the value of the rupee, creating concern over systemic risk to the monetary system and undermining the country's export competitiveness.

規制当局は参加証書(Pノート)で知られるオフショアの金融派生商品(デリバティブ)を通じた外国の投資を抑制することを目的とする一連の提案を承認した。
インド証券取引委員会(SEBI)がその草案を配信した先週、ここ数週間にインド株に投資した外国人一般投資家の投資熱を冷ますものと信じるアナリストたちの恐慌を誘発した。
これらはルピー高によって、金融制度におけるシステミックリスクと、輸出競争力が弱体化することに対する懸念を生み、さらに増幅された。

P notes are derivatives based on underlying Indian stocks or derivatives that are sold by investment banks to investors, especially hedge funds, which either are not eligible to register to invest directly in India's market or do not want to go through the trouble of registering.

参加証書(Pノート)とは、インド株を原資産とする金融派生商品(デリバティブ)又は投資銀行、特にへッジファンドによって投資家に販売される金融派生商品(デリバティブ)のことをいい、ヘッジファンドはインド市場に直接投資するためにインド証券取引委員会(SEBI)に登録するにはふさわしくなく、またその登録の手間をかけることを彼らは望んでいない。

Mr Damodaran said Thursday the curbs earlier announced on P notes, including a ban on new notes based on domestic derivatives and severe restrictions on those based on underlying stocks, would go ahead as proposed.
However, to make it easier for former P note investors to come through the front door, he announced Sebi would ease rules governing the ownership of funds seeking to register as foreign institutional investors.
Whereas presently, no single shareholder in a fund is permitted to hold more than 10 percent, he said this would be eased to 49 percent - a measure making it easier for entities controlled by individuals and corporates to enter the country.

木曜日、ダモダラン委員長は、早々に今回の参加証書(Pノート)の規制は、国内の金融派生商品(デリバティブ)を元にした新しいものを禁止、インド株を原資産とする金融派生商品(デリバティブ)に厳格な制限条項を含めたものになると発表した。
しかし、旧参加証書(Pノート)を持った投資家が正規の手続きをしやすくするために、彼は、インド証券取引委員会(SEBI)は海外の機関投資家として登録しようとするファンドの所有者に対する規則を緩和すると発表した。
現在は10%以上の株式保有を許可されたファンドの株主はいないが、彼はインドに入ってくる個人や法人にとってより使いやすくなるようこれを49%まで緩和すると述べた。

He also loosened rules requiring that funds investing in the market have a track record of one year or more.
This would now apply to the manager of the fund rather than the fund itself. The earlier rule had meant that newly set up funds were ineligible to register.
He also said pension funds, foundation funds, endowments, university funds and charitable funds would also be eligible to invest, even if these were not subject to a regulator in their home markets.

彼は1年もしくはそれ以上の期間にわたりインド市場に投資するファンドが必要とする規制の緩和をしている。
これは、今やファンドそのものよりむしろファンドマネージャーに適用されている。以前のルールは、新しく立ち上げたファンドは登録不適格を意味していた。
彼は年金基金、財団基金、寄付基金、大学基金、慈善基金は、たとえそれらが自国市場の監督機関の支配下にないとしても投資適格となる、と述べた。
*金融派生商品(デリバティブ)

金や原油などの原資産、株式や債券などの原証券の値の変化に依存してその値が変化する証券で、大きく分けてスワップ、オプション、先物、先渡しの4つある。
代表的なのはスワップとオプション、スワップは通貨や金利を交換して取引することで、オプションは買える権利(コール)と、売れる権利(プット)を売買することである。

10月18日(木)-ブラックマンデーから20年

明日は1987年10月19日のブラックマンデー(ニューヨーク株式市場の株価大暴落、ダウ工業株30種平均株価の下落率が前週末比22.6%を記録)からちょうど20年目に当たる日だそうだ。
先週までの記録的な世界株高からは想像もつかないような出来事だが、ちょっとだけきな臭い動きになってきたのは気のせいだろうか。

まず今週になってダウ平均(Dow Jones Industrial Average Index: ^DJI)が先週11日の最高値14,279.96ドルから徐々に下げ基調になっていること。
このまま今週下げて終わると7月高値と見事にダブルトップを形成することになる。
そして、インド証券取引委員会(SEBI=Securities and Exchange Board of India)が海外投資家に対するデリバティブ(金融派生商品)への投資規制をするとのニュースが報じられてからムンバイ証券取引所30種株価指数(BSE SENSEX 30 Index)の下落が続いた。
今までの新興市場は株価下落の当事者でなく、米国市場に引きずられていただけだが、昨日、今日などはインド主導で下げただけに新たなリスク要因が芽生えたとも言えなくはない。

ただ、こんなことを書くと、また「狼少年」だとか、たかが数日の下落でオタオタするなと怒られそうだが、何よりもイヤなのは、私が持っている香港株コールワラントの伸びが今までよりも相当に鈍くなっていることだ。
原資産銘柄(underlying)の株価はそれなりに上げているにもかかわらず、コールワラントの伸びは鈍く、逆にマイナスになる日もあるくらいで、このあたりは喜び勇んでコラムを書いた半月前とは様相がまるで違ってきている。
私がたまに買って失敗しているプットワラントの伸びが悪いときは、相場が下げた日が絶好の買い場となっていることが多く、その例から言うと、売りシグナルがチカチカと点滅しているような気がしないでもない。
たまたま私の持っているワラントがそうであるだけかもしれないが、過熱感のある香港市場だけに注意が必要だろう。
とりあえず、最近では秋から冬にかけてはあまり下げたという記憶がないだけに、来週早々、何十年かに一度のハリケーンが来ることのないように心の中で祈りたい。
とはいえ、8月までのようにショートポジションを大きく取る気にはとてもならないので、せいぜいキャッシュ比率を高めるようにするのが精一杯だろうか。
もし、この動揺が世界市場に大した影響をもたらさなければ、それこそ年末まで棒上げ相場が続行することだろう。

インド株過去2カ月で最大の下げ-国外からの投資抑制を懸念
(2007.10.18 ブルームバーグ)

インド株式相場は続落し、センセックス30種株価指数はここ2カ月で最大の下げとなった。
来週決定される国外からの投資に対する規制強化策を受け、インド株への投資が抑制されるとの懸念が広がった。
ICICI銀行とブハルティ・エアテル(Bharti Airtel)の下げがきつかった。
インド証券取引委員会(SEBI=Securities and Exchange Board of India)は、ヘッジファンドを含む未登録投資家によるインド株投資の抑制策について、25日に決定する。
インドではヘッジファンドの活動が認められておらず、代わりにデリバティブ(金融派生商品)を通じてインド株への投資が行われている。
ボンベイ証券取引所のセンセックス30種株価指数は前日比717.43ポイント(3.8%)安の17998.39で終了。前日は1.8%下落した。
ナショナル証券取引所上場の50銘柄で構成するCNXニフティー指数は208.30ポイント(3.8%)安の5351。
時価総額でインド最大の銀行、ICICI銀行(ICICIBC IN)は78.05ルピー(7%)安の1038.8ルピー。
国内最大の携帯電話サービス会社、ブハルティ(BHARTI IN)は84.65ルピー(7.7%)下げ1019.4ルピー。

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10月11日(木)-国民生活センターの機能縮小案に思う

先日、約2年前に起こった耐震強度偽装事件の教訓が全く生かされていないような記事がひっそりと読売新聞の家庭面に掲載されていた。
今度の舞台は国民生活センター、ここは1970年に特殊法人として設立され、2003年から独立行政法人になったところで、言うまでもなく消費者保護行政の隠れた主役である。
現在では職員数は約110人、相談調査部、商品テスト部など7部4課5室1館で構成され、東京都港区高輪に相談調査部などが、神奈川県相模原市に商品テスト部の施設があるが、今年度の予算は35億4700万円、必ずしも多いとは言えない規模だ。

そして、その国民生活センターは先月、内閣府の私的懇談会「国民生活センターの在り方等に関する検討会」の最終報告により、業務縮小方針が示されたと、読売新聞は報じている。
「小さな政府論」を標榜する人たちに言わせれば、行政改革の一環であり、聖域なしになるのは当然とまで言い切るだろうが、これは全くのお門違いだ。
小泉政権が推進した規制緩和政策、これ自体の方向性は間違ってはいないが、これを推進することはレフェリー役(の役人)が今まで以上に必要となるということを意味する。
そうしなければ、ルールを守らせるための監視が緩くなり、結果的に消費者がバカを見るからだ。
要するに、規制緩和とともに実施すべき行政改革とは、手取り足取り行政の官庁をスクラップし、レフェリー官庁を充実させないといけないということが全く認識されていない。
と、言うかわざとそうしているとしか思えないフシもある。
つまり、官はすべて不要と切り捨てにかかった小泉・竹中コンビを私がペテン師だと言ったのはこういう理由によるものだ。(2005年8月27日「今日の一言」

そして、2005年11月から翌1月頃にかけて「きっこのブログ」で一大トピックになった耐震強度偽造事件と同じ図式となりそうなことが国民生活センターでも起きようとしている。
つまり、耐震偽装がなぜ起きたかと言えば、レフェリー役が官から民になり、その結果、不動産業界関係者が胴元とレフェリーを兼ねた八百長をやっていたからだ。
耐震強度偽装事件に関してどの程度八百長が行なわれていたかは彼女のブログに詳しく載っているので参考にするといい。

耐震強度偽装事件に関する「きっこのブログ」記事一覧

この悪夢の歴史がまた繰り返されようとしている。
読売新聞は、「全国消費者団体連絡会事務局長の神田敏子さんは「製品事故が相次ぐ中、国民生活センターの原因究明機能への期待はますます高まっている。現段階で、他の機関がどの程度まで消費者の視点に立ったテストを実施できるか分からず、不安だ」と話す。委託先には産業技術総合研究所や各種の試験研究機関などが挙がっている。しかし、これらの機関は企業からの検査依頼も受けており、消費者の誤使用などを想定した柔軟な検査ができるのかといった指摘もある。」と書いている。

つまり、企業の製品に欠陥があるかないかをテストする検査機関が外部委託されるようだが、その機関が企業の紐付きでない保証はどこにもない、ということを暗に言っているようなものだ。
仮に紐付きでないとすれば、原資は税金なのだから何も組織を複雑化させる必要は全くない。
耐震強度偽装事件で一番問題になったのは検査機関が業者の紐付きであったことなのだから、政府当局者は全く歴史に学んでいないということになる。
はっきり言って「バカ」である。
そうでなければ、やはり「国民にとって重要で権力者の邪魔になるところから」整理縮小するのであろう。
違うというのであれば説明してもらいたいものだ。
あれだけ問題のあるNHK(特殊法人)はなぜ民営化の論議にさえならないのか。

どうなる国民生活センター
(2007.10.6-7 読売新聞家庭欄)
■「縮小前提」改革に異論

消費者被害の解決に取り組んできた国民生活センターの改革案に異論が続出している。
一般消費者からの直接相談の廃止、商品テストの大幅な外部委託化など、業務の縮小が盛り込まれたからだ。
製品事故や消費者トラブルが相次ぐ中、同センターの役割が問われている。

内閣府の私的懇談会「国民生活センターの在り方等に関する検討会」(座長・野村豊弘学習院大教授)が先月25日、東京都内で開かれた。
最終報告案について協議が行われたが、検討会委員の間から相次いで異論が出され、この日予定されていた最終報告の公表が延期となった。
異論が相次いだのは、消費者からの相談を直接受け付ける制度の廃止と、製品事故の原因などを調べる商品テストの大幅な外部委託化についてだった。
同委員で埼玉大学非常勤講師の原早苗さんは「センターは消費者の駆け込み寺的な存在。直接相談の廃止などの業務縮小は、センターから現場感覚を失われてしまう」と指摘する。
しかし、2日後に公表された最終報告も、業務縮小の方針は変わらなかった。

内閣府が一貫して業務縮小にこだわるのは、政府が現在、独立行政法人の整理合理化計画を策定しているためだ。
すべての独立行政法人の事業をゼロから見直し、年内には同計画を閣議決定
する。
同センターも例外ではない。
内閣府の担当者は「消費者行政を充実させたいという要望はよく分かる。一方で、国の財政も厳しい。板挟みの状態」と打ち明ける。
同委員で弁護士の山口広さんは「消費者行政への期待が強まっているのに、そもそも予算削減ありきの中で、センターの役割を検討することに無理がある。独立行政法人の整理合理化の一環として業務の効率化を優先するのはおかしい」と話す。

今回の検討会は、今年4月から始まり、計9回の協議を重ねてきた。
もともとは、来年度から始まる同センターの次期中期計画づくりに向け、同センターの業務内容を検討することが目的だった。
製品事故や消費者トラブルが相次ぎ、同センターの機能強化を求める声は強い。
今回の最終報告では、裁判以外の方法で民事紛争を解決する「裁判外紛争解決手続き(ADR)機関」としての役割を同センターに持たせることになった。
同センターは、消費者から苦情相談を受けた場合、事業者とのあっせんを行ってきた。
しかし、現行の国民生活センター法には、あっせん行為は明文化されておらず、事業者が話し合いを拒絶した場合、その時点で解決の道は閉ざされていた。
同法を改正して法的な位置づけを明確にすることで、被害の救済と防止を図るという。
同センター理事の田口義明さんは「業務の効率化は必要なこと。最終報告を踏まえた改革を進めていきたい」と話す。
紛争解決機能と各地の消費生活センターヘの支援に重点を置いた活動をしていくという。
国民生活センターの今後の役割が注目される。

■商品テストも外部委託

東京都心から電車で約1時間。神奈川県相模原市に国民生活センターの商品テスト施設がある。
食品や家電などを調べる設備のほか、自動車の屋外走行テスト場もある。
ここでは地方の消費生活センターからの依頼や消費者の製品事故情報などをもとに、毎年約60件の商品テストを実施。性能や安全性、欠陥の原因究明などを行い、問題があれば結果を公表する。
「テストがきっかけとなり、国や業界団体、業者が安全対策や製品の改善に向けて動き出すことは多い」と商品テスト部職員は胸を張る。

窒息死の相次いだこんにゃく入りゼリーでは、業界団体が高齢者や子どもは「食べないで」と警告するマークを作成。
ヘナ配合の白髪染めでは、かぶれの原因となる化学物質を含むものもあるため、厚生労働省は使用前に必ずバッチテストをするよう促す注意書きの徹底を求めた。

商品テストは、かつて各地の消費生活センターでも盛んだったが、地方の財政悪化などのあおりを受け、年々減っている。
2007年の消費生活年報によると、2006年度に商品テストを実施したのは全国で25機関。2000年度の69機関に比べて大幅に減っている。
こうした事情を背景に、消費者団体からは、国民生活センターの商品テストを外部委託化することに対して反対の声が上がっている。
全国消費者団体連絡会事務局長の神田敏子さんは「製品事故が相次ぐ中、国民生活センターの原因究明機能への期待はますます高まっている。現段階で、他の機関がどの程度まで消費者の視点に立ったテストを実施できるか分からず、不安だ」と話す。
委託先には産業技術総合研究所や各種の試験研究機関などが挙がっている。
しかし、これらの機関は企業からの検査依頼も受けており、消費者の誤使用などを想定した柔軟な検査ができるのかといった指摘もある。

一方、同センターは、消費者から直接受ける相談業務を段階的に廃止する。
廃止により、深刻な消費者トラブルを早期発見する機能が低下するという見方もある。
同センター理事の田口義明さんは「消費者から電子メールで送られてくるトラブル情報は引き続き受け付けており、こうした生の声に触れることで、問題点を見いだす『センサー機能』は保てる」と説明する。しかし、「国民生活センターの在り方等に関する検討会」委員で、日本女子大非常勤講師の夷石(いせき)多賀子さんは「一方的に送られてくる文字情報だけでは限界がある。実際に消費者とやり取りする中から、重大な問題点が見えてくることは多い」と言う。

同センター改革の最終報告では、消費者問題を扱う中核的機関としての役割を求めているが、消費者の視点や現場感覚を失っては中核としての役割は担えない。
主婦連合会副会長の大河内美保さんは「地方の消費者行政が縮小される中、センターを頼りにしている消費者は多い。整理合理化の波に負けず、センター自身も自分たちの存在意義を、誇りを持って訴えてほしい」と話している。(竹之内知宣、板東玲子)

最後に、私が今から3年前に書いたエッセイ「カルトとヤクザが支配する国」から、バブル以降の歴代の政治家の本音(裏)のメッセージを再度紹介したい。
これは当時の国政選挙であまりの棄権者の多さに私が皮肉を込めて送ったメッセージであるが、郵政選挙で小泉自民党が大勝した後の政治状況にも十分に当てはまることではなかろうか。

今まで応援(棄権)をしてくれてありがとう。
(面白くないことはやらないのが一番ですよね。わかります。その気持ち・・・)
現在、私どもの政党とそのシンパが国政の最大勢力を維持できるのもあなた方の(怠慢)のおかげです。
政治みたいな難しいことは我々プロに任せていただければ(我々にとって)悪いようには致しません。
皆さんはもっと仕事を(死なない程度に)してたくさん稼いで(貢いで)ください。
できるならば国債も買って(金を貸して)いただくともっとありがたいのです。(返せないかもしれませんが)
いつも本当にありがとう。(あなた方は世界一の貢くんです。)
そうそう公務員もリストラ・・・あなた方の言うこともっともですよね。
(検察庁・国税庁・裁判所・公正取引委員会・会計検査院・・・あんなに人いらないですよね。そうすれば私たちに噛み付こうなんて不届きな役人も出ないでしょうから)
さすがです。役人ももちろん減らしますよ~(国民にとって重要で我々の邪魔になるところから)

10月4日(木)-相場の格言と金融占星術

株式相場の格言に「月の八日にもの買うな」というのがある。
これの意味するところは、日本の株式市場は、往々にして月始めが相場の天井になっていることがあり、浮かれた気持ちで買いに走るとヤケドするよ、という戒めの言葉である。
それの典型例は「節分天井の彼岸底」の格言、日本市場は年間を通して、年末年始で盛り上がった株式相場が節分を境に急速に衰え出し、3月のお彼岸の頃に底値圏にあることが珍しくないという教えである。

それで、何が言いたいかというと、たまには先人の教えに従うのも悪くないということだ。
昨日、今日のハンセン指数(Hang Seng Index: ^HSI)は8月上旬以来、久しぶりに連続で500ドル超の下げを記録した。
特に昨日は29,000香港ドルを窺うかの上昇ぶりから一転しての下落、昨夜のニューヨーク市場では中国ADRが目を疑うような暴落を演じた。

そのような中、香港市場爆上げの主力である中国人投資家は、1日から7日まで国慶節(建国記念日)休暇となり、あいにくパワー不足の状態だ。
彼らが市場に戻ってくる8日(月)から再度上げ相場となる期待も十分にあるが、香港市場はすでに8月中旬の暴落からわずか1ヶ月余りで8,000香港ドル以上の噴き上げ相場となっていて、調整があってもおかしくない時期である。
さらに、米国市場もダウ(Dow Jones Industrial Average Index: ^DJI)が7月高値とダブルトップを形成しそうな感じで不気味である。

中国個人による香港株直接投資解禁、依然として詳細検討の段階=高官
(2007.9.28 ロイター)

[北京 28日 ロイター] 中国国家外為管理局(SAFE: China's State Administration of Foreign Exchange)の高官は28日、中国の個人投資家に香港株への直接投資を認めるプログラムについて、依然として詳細を詰めている段階にあると明らかにした。
このプログラムによる資金流入期待を背景に、香港市場に上場している中国企業株(H株)は、8月20日に計画が発表されて以来、50%超上昇している。
ただ中国当局はその後、資金流出の総額に上限を設けるとの方針を示すなどプログラムの内容を後退させている。
SAFE高官は、金融関連のフォーラムで「関連当局が協議や調整を行っている。リスクをコントールできるようにするためだ」と述べた。

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そこで、私は相場の格言に従い、先週ドテン(ショート→ロング)したばかりの三井住友銀行(8316)とジャフコ(8595)を手仕舞い、中国人寿保険(2628)のコールワラント"2277"も利確することにした。
こんなチキン(臆病)な投資をしていてはダメとは思いつつ、売り注文を出す私がそこにいた。
ちなみに、ワラントに関しては先月24日の「今日の一言」でも「買い」の詳細を書いたので、一応総括しておこうと思う。
いかがだろうか。
これは非常にうまくいった例だが、ワラント投資が原資産に投資するのに比べていかにリターンが高いか実感できるだろうか。
もっとも裏目に出た場合のリスクも高いことは言うまでもないがね。

ワラントコード 2277
原資産銘柄 中国人寿保険(2628) (参考)米国ADR: LFC
ワラントタイプ コール(原則として原資産価格が上昇すれば儲かる)
買値 0.61香港ドル(9月24日)
売値 1.2香港ドル(本日の最高値)
売付株数 50,000株
売却益 29,500香港ドル(約442,500円)=手数料等は含まず

今、私の手元に、元バンクオブアメリカの山中康司さんと、香港資産運用奮闘記の石田和靖さんが「金融占星術」と「海外投資」を合体させて作ったという「投資手帳(2008年版)」がある。
実のところこれを真剣に見るのは今が最初なのだが、この手帳のスケジュール帳は今月から始まっていて、何と今日の午前5時41分から明日の午前7時26分までの25時間45分の間は、「ボイドの時間帯」と呼ばれ、日常生活において特に注意すべき時間帯で、しばしば想定外のミスを犯したり、この時間帯に取った行動を見直すハメになるそうだ。
要するに「投資行動においても判断が鈍ったり、妙に冴えていると思い込んだりすることが多々ある」ということらしい。

確かにそうかもしれない。
2日の夜のTD Ameritradeにおける(ボイドの時間帯の)投資は失敗した感があるし、今日も、香港ワラントの売却は「寄付き」でやろうと思ったのを指値に変えて成功したのだから・・・
それでも結局のところ、私が「ボイドの時間帯」に取った行動(売り注文)は後悔することになるのだろうか。
「当たるも八卦、当たらぬも八卦」、次の「ボイドの時間帯」は日本時間で9日の夜、そして「水星逆行&ボイド」に該当する投資に最悪の時間帯が日本時間で12日(金)の昼となる。
もしかして、かの占いによれば、ブラックマンデーが来るとすれば15日(月)ということになるのか。


10月2日(火)-年末に向かって急騰相場(skyrocketing)は続くのか?

1057.28ドルも急騰したハンセン指数の上昇を見て何を今更と言うなかれ。
さすがに4桁上がるのは今年の香港市場でも滅多にないことだが、そのおかげで私が9月24日に買った中国人寿保険(2628)のコールワラント"2277"はわずか1週間で2倍以上になった。
惜しむらくは「遊び」でなく「全力買い」すべきだったことか。
それとも今からでも追加投資すべきだろうか。

ところで、急騰相場に沸く各国の市場の中で、不気味なことに米国発の大暴落は、1929年の世界大恐慌も、1987年のブラックマンデーも10月にやってきているが、今年3度目の世界株安を示唆するような動きが投資家の間に見られるとブルームバーグは伝えている。
一方で、彼らの空売りやプットオプションを買っている動きが、さらなる噴き上げ相場の到来を告げていると予測する人たちもいる。
これがどちらに動くかは今週1週間の動き、特にダウ平均が昨夜の上昇の勢いのまま14,000ドル台からさらに上昇するのか、7月とのダブルトップを形成して下落に転じるかで決まるであろう。

つまり、空売りしている株は意に反して上昇相場が続けば損切りせざるを得なくなり、その買戻しの動きで、上昇を始めた株がさらに噴き上げ相場を作り上げるという構図になるからだ。
逆に弱気派の意図するように株価がピークアウトすれば、売りが売りを呼び、瞬く間に株価は下落し、9月になってからはサブプライム問題に関するニュースが出てもほとんど反応がない(株価が下落しない)ものが、急に脚光を浴びる図式になるというわけだ。

ただ今のところは弱気派の読みは裏目に出そうな勢いだ。
それに中国株に関しては米国のADRが下げても本国市場では我関せずといった動きも今年は顕著だ。
年末に向かって今の急騰相場(skyrocketing)は続くのか?
これについてほとんどの人は疑問を抱くことすらないだろう。
唯一不安があるとすれば、「ほとんど人が強気」になっていることかもしれない。

新興市場の株式空売り増加-DWSやフィッシャーは一段と強気に
(2007.10.1 ブルームバーグ)
10月1日(ブルームバーグ):投機的な取引を手掛ける投資家らの間に、新興市場の大手企業50社の株式の約3分の2に対する弱気な見方が広がっている。
こうした状況を受け、強気派はかえって、ブラジルや中国などの株価上昇が持続するとの観測を一段と強めている。

ブルームバーグのデータによれば、バンク・オブ・ニューヨーク新興市場 50ADR(米国預託証券)指数構成銘柄のうち36銘柄は9月14日までの1カ月間に空売りが増加した。
ブラジルの国営石油会社、ブラジル石油公社(PBR: ペトロブラス=Petroleo Brasileiro)のADRの空売りは9月に2006年7月以来の高水準に達した。
韓国3位の金融機関、ウリ金融持ち株会社(WF: Woori Finance Holdings)の空売りは4年ぶりの高水準だ。

また、利用者数で携帯電話会社世界最大手、中国のチャイナ・モバイル(CHL: 中国移動=China Mobile)の株式オプションのプット・コール比率は9月に2.07倍と、2000年以来の高水準となり、投資家が株価下落に備えてプット(売る権利)を買っていることが示唆されている。

弱気派(bears)は、最高値を先週更新したモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)新興市場指数(Morgan Stanley Capital International Emerging Markets Index)の過去5年間にわたる300%超の上昇局面は終わったとみている。(EEM: iShares MSCI Emerging Markets Index)

一方で、DWSスカダー(DWS Scudder)やクレディ・スイス・グループ(Credit Suisse Group)、フィッシャー・インベストメンツ(Fisher Investments)は、新興市場は経済成長によって、1998年や2000年のような株価急落を回避できると予想しており、弱気派の見方は誤りだと指摘。
DWSは、弱気派の動きは相場下落を招かず、むしろ弱気派の買い戻しで、相場上昇に拍車が掛かると予測する。

DWSスカダー(運用資産3330億ドル)の投資戦略委員会のロバート・フローリック(Robert Froehlich)委員長は、「私には一段と強気になるサインだ(To me, it's a more bullish sign.)」と述べ、「他市場よりも上昇していることや高騰していることを理由に相場が下落するはずだという人々もいるが、私はこうしたやり方では投資利益は得られないと思う」と指摘する。

同委員長は新興市場を有望な投資先とみており、新興市場株は今四半期に最大8%上昇すると予想している。
DWSスカダーはMSCI新興市場指数が8月16日までの18日間に18%下落した際に、中国と台湾、韓国、ポーランドで株式保有を増やした。
同指数はその後26%上昇し、最高値1204.90を付けている。

原題:Emerging-Market Short Sales Climb, Entice Bulls at DWS, Fisher

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