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9月29日(火)-150バーツのタイATM引き出し手数料

タイ関連の掲示板などでご存知の方も多いだろうが、2009年4月から外国(要はタイ国外)の銀行のキャッシュカードを使ってタイ国内のATMで現金を引き出そうとすると1回当たり150バーツ(約420円)の手数料がかかることになった。(Thai banks have imposed a 150-baht transaction fee for ATM withdrawals from overseas accounts. Bankers say the fees cover transaction costs charged by network providers MasterCard Worldwide and Visa Worldwide.) (Bangkok Post - Local banks defend foreign ATM fees)

私は今回のアセアン旅行を前に友人からタイ国内のATMで引き出しをすると、ぼったくりのような手数料がかかるとだけ聞いていた。
従って、日本円のキャッシュを多めに持参し、それをバーツに両替するのと、タイ国内のATMでシティバンクのキャッシュカードを使って引き出すのと、どう違うのか試してみることにした。
まず、到着日の16日のバンコクのスワンナプーム空港内にあったサイアム・コマーシャル銀行(Siam Commercial Bank)で日本円の現金を両替する。
3万円が10,797バーツになって返ってきたので為替レートは1バーツが2.78円、ちなみに、この日のOandaのレート(仲値)は1バーツが2.68円だった。

一方、ATMからの引き出しは同日のサムイ島で実施した。
お試しなので500バーツだけ引き出したのだが、帰国後にシティバンクのウェブサイトの明細をチェックすると、150バーツが上乗せされて引かれていた。
要するに、シティバンクの海外ATM利用手数料は、2009年5月11日から1回当たり210円がかかるようになっているが、これにプラスしてタイ側でも手数料を徴収されるようになっているというわけだ。
為替手数料自体は1バーツが2.8円なので現金両替と遜色ないのだが、手数料を含めた実効レートで計算すると、引き出し額が少ないと大きく損をすることがよくわかる。
つまり、500バーツを引き出すのに、トータルで2,032円(650バーツ×為替レート+210円)かかっており、実効レートは1バーツ当たり4円となる。

タイの銀行家は金持ちの外国人旅行客から徴収する手数料としては安価なものだと考えている節があるが、よくよく考えてみるといい。
確かにバンコクはアジアでも大都市になり、タイ株だけでファンド(投資信託)を構成できるようになるほど経済も発展した。
しかしながら、依然としてタイでは150バーツあれば十分な食事ができるし、バックパッカーの中にはそれで1泊する者すらいるだろう。
バンコクは決してシンガポールや香港、あるいは西欧諸国のような高物価諸国ではない。
ATMの手数料貧乏を避けるためには、1回のATM使用で手数料が気にならないほどの額、例えば1万バーツ(これだと手数料込みの実効レートは1バーツ=2.86円に下がる)を引き出すしかない。
私ならホテル代や現地ツアー代はクレジットカード払いにするから、夜遊びでもしない限り、これほどの高額の現金を引き出せば1回の滞在費を賄うことができるだろう。
ガイドブックによれば、多額の現金を持ち歩くことはリスキーだと書かれているが、複数の財布に分散して所持すればいい。

ちなみに、タイのATMでは画面上で引き出し手数料がかかる旨の表示がされなければ、150バーツの手数料が徴収されないのではないか、という書き込みを掲示板で散見するが、おそらくそれは間違いだ。
少なくともサムイ島のATMではそんな表示があった記憶がないし、引き出し後の取引明細書がいるかどうかも聞かれなかった。
すべてはシティバンクのウェブ明細で判明したことだ。
私の友人の中にはタイ好きの人が多いが、このことをあまり話題にしていないのは、金額が気にならないのか、このことを知らないのだろう。
私も依然としてタイに行く機会が多くなるだろうが、当分の間は滞在日数分の円キャッシュを持参した方が賢明らしい。


9月14日(月)-タイキャンペーン当選

タイレストランガイド今日、差出人が「ワイワイタイランド○○智子」、件名「キャンペーン当選者へのお知らせ」というメールがウェブ上の受信トレイにあった。
一瞬、スパムかウイルス付きメールかと思って開かずに捨てようかと思ったけど、タイランドとキャンペーンに思い当たる節があったので、恐る恐る開いて見た。
すると、本文に「『タイ料理を食べてタイへ行こう!』キャンペーンF賞当選おめでとうございます!!下記のフォームに記入して頂き、9月末日までにご返信よろしくお願い致します。」とあった。
そう、先月15日にやったタイレストランでのオフ会でもらった抽選券を使って応募したものが当たったようなのだ。

さて、F賞って何だ?というのがメールの本文には載っていない。
特賞のバンコク往復航空券を筆頭に、Aから順番に行くと末等に近いレベルだ。
想像していても仕方がないので、先月のコラムからリンクを探し出してキャンペーンサイトへアクセスすると、F賞というのはどうやらタイレストランガイドらしい。
ちなみに特賞からE賞までは

特賞 成田-バンコク往復航空券
A賞 ハーン・ヘリテージ・スパ:イミューン&デトックストリートメント 90分(フットバス+ボディーマッサージ+コンプレス)
B賞 ロイヤルオーキッドホリデイズで行く「タイ旅行5,000円割引クーポン」
C賞 チェンライゴルフアカデミー&リゾート 宿泊券2泊3日・朝夕食事付・空港~ホテル無料送迎付き
D賞 タイレストラン「沌」お食事券 2,000円分
E賞 「THE TRIANGLE COFFEE」

ところで、紹介文にある、「シーン別オーダー帳では「初めてのタイ料理の時」「お子様連れの時」「デートの時」など色々なシーンで活躍するオリジナル注文リスト付きです。」というのはタイ語は併記されていないのかな。
これがタイ語も併記されていれば現地で使うこともできるのだが、ウェブサイトのページ見本を見る限り、日本語解説だけのようだ。
とりあえず、バンコクのレストランも数件紹介されているようなので、今度のバンコクオフで試しに行ってみるのもいいかも。
まあ、いずれにせよ、期待もしていなかったキャンペーンが当たったというのは運がいいと言えるのだろうか(笑)


9月12日(土)-成田空港の自動化ゲート

皆さんは成田空港に自動化ゲートなるものがあることをご存知だろうか。
これは2007年(平成19年)11月20日から運用が始まっていたらしいが、私はマカオ在住の友人からこのことを教えてもらうまで全く知らなかった。
旅行記をご覧いただければおわかりの通り、私は2007年12月以降、成田空港へ7回も足を運んでいるにもかかわらず、そんなものを目にしたこともなかった。
それに、成田空港のウェブサイトを見るときも、自分が予約したフライトがどちらのターミナルから出るのか確認するぐらいだからそれほど詳しく見たことはなかった。

しかし、今日トップページを見たところ、それらしきリンクがないので、検索をかけたところ、「お知らせ」の中に「自動化ゲートの設置について」とあって法務省入国管理局へのリンクが貼ってあるだけだった。
法務省入国管理局が言うように、「出入国の手続を簡素化・迅速化して利便性を高めるために」やるのであれば、もっとPRしたらどうなのだろうか。
少なくとも成田空港、各航空会社、大手旅行代理店のウェブサイトのトップページにリンクが貼ってあってもよかろうに、これではまるで作ったあとは知るかという典型的ハコ物行政のIT版(これをIT公共事業と呼ぶ人もいる)にしか見えない。
それとも制度が始まったときにはPRしていて私が見落としただけなのだろうか。
あるいは今でも空港に行けば大々的に書いてあって私が見過ごしているだけなのだろうか。

もっとも私はパスポートに押された出入国のスタンプも記念の一つと思っているし、日本の3大バカンスシーズンのド真ん中に突っ込む旅行をするつもりもないので、自動化ゲートの利用申請をするつもりはないのだが、繁忙期にしか旅行に行けないような人たちは登録した方が今後とも便利になるのではなかろうか。
それとも初回に自動化ゲートの申請書類を書かされるのと、毎回出入国審査の順番を待つのを比べた場合、日本人用の出入国カードが廃止されているので後者の方が楽なのだろうか。(笑)
それにしても思う。
成田空港の自動化ゲートは利用登録してなくても害はないが、アメリカのESTA (Electronic System for Travel Authorization)のときといい、こうしたもののPRに日本は難があるという感じがする。
それとも自動化ゲートの利用申請に指紋を登録することが、犯罪者扱いするのかなどと非難する一部の思想家から攻撃されてPRをやめたのだろうか。
いずれにせよ税金を使って作ったものなのだから、利用率が低いなどと非難される前にPR努力をした方がいいように思えるが、いかがだろうか。

ちなみに渡航先で入国スタンプの押されない西欧などに渡航する場合、無人レーンを通過してしまうと、海外旅行傷害保険の申請などで出国日の証明がいる場合、法務省に対して個人情報の開示請求を行う必要があるため、あらかじめ有人レーン型の自動化ゲートを利用し、その場で証印を押すように申し出た方がいいように思える。
それとも国際線の搭乗券の半券でも日本を出国したという証明になるのだろうか。


9月6日(日)-フードスタンプ受給者増は米国経済のアキレス腱か

米農務省(USDA/U.S. Department of Agriculture)食品栄養局(FNS/food and nutrition services:旧食品消費者局/FCS=Food and Consumer Service)が所管する栄養補給支援プログラム(Supplemental Nutrition Assistance Program:旧フードスタンプ・プログラム/Food Stamp Program)には「アメリカを強くするフードスタンプ・プログラム(Food Stamps Make America Stronger)」という標語が書かれている。

ところが、その言葉とは裏腹に米国経済はフードスタンプの受給者が急増することによって腰折れのリスクが高まっていると、エコノミストたちは恐れている。
確かにウェルス・ファーゴ(Wells Fargo)のチーフエコノミストのジョン・シルビア(John Silvia)氏が言うように、フードスタンプの受給者増は、消費者が立ち直らないことを示唆しているし、消費者が旧来の景気回復のときのように来年の経済成長に寄与することはないだろう。
この問題は個人消費支出が米国経済の原動力であり、GDP(Gross Domestic Product=国内総生産)のおよそ3分の2を占めているという現実からすると、オバマ政権のカンフル剤の効き目が切れたときに経済は再び失速するという指摘も当たっているだろう。
ダウ平均(Dow Jones Industrial Average/^DJI)は4日終値の時点で9,441.27ドルと、今年の3月9日に付けたリーマンショック後最安値の6,440.08ドルから大幅に反発しているが、10,000ドル到達時点が節目となるだろうか。
心理的にも半値戻し(2007年10月9日の最高値は14,198.83ドル)となるだろうし、このあたりで米国経済に先行き明るい材料が存在するか再点検されることになるに違いないからだ。

しかし、フードスタンプの受給者は世界経済が好況を謳歌していた2007年当時でさえ多かったように思える。
21世紀になってからのアメリカは貧富の差が加速度的に広がっていたし、2007年3月11日の「食事も買えない?ニューヨーク市の下級公務員」というコラムで私はこう書いている。

私が8,000 city workers rely on food stamps(8,000人もの市職員がフードスタンプに依存している)という記事の中で誤訳かと思って何度も辞書を引いた箇所がある。
"The feds have actually praised the city for increasing access to food stamps.(実のところ政府はフードスタンプの利用者が増える自治体を称賛し続けている。)"
何で国家財政が悪化する原因を作る自治体を連邦政府(The fed)が称賛(praise)し続けるのか?
私はわけがわからなくなった。
ところが米国債は世界中の投資家が買ってくれることに気づいた。
それを組入れているファンド(投資信託)も多い。
そして、アメリカは市(地方自治体)の財政は独立採算だし、おそらくニューヨーク市債まで外国人投資家は(直接)買わないだろう。
そうすると納得できる。
要するに、ニューヨーク市債はほとんどアメリカ人のリスクで引き受けることになるが、連邦(国)債は世界中、特に主要購入国である日本政府(国民)に、リスクを分散できる。
ニューヨーク市の財政問題は国内問題で終わる可能性が高いが、アメリカの財政破綻が現実化すれば、それを避けるために、米国債の買い手が協力してくれるからだ。
そう、「総下流時代」の著者、藤井厳喜氏が言う、「アメリカなくして日本なしでなく、日本なくしてアメリカなし」というのはこの記事からも言えることなのだ。
日本政府が何十兆円もの米国債を買って、イラク戦争の戦費を負担し、アメリカ人の低所得者をも(間接的に)助ける一方で、自国民は放置されているどころか、もっと税金を払えというのは怒りを通り越して呆れるしかない。

つまり、米国のエコノミストが予測しているよりは影響は軽微になる可能性もあるということだ。
ただ、こういったネガティブなニュースがクローズアップされるか否かはそのときの経済情勢によるところが大きい。
ただ、今年になって中国の株価が米国の株価にリンクしないことが多いような気がするので、2007年に新興国の株価が急騰していたときに言われたデカップリング(減速傾向が顕在化しつつある米国経済と、高い成長率を続ける新興国の経済が離れる=違った方向に進む)というのが顕在化し始めたというのは先走りし過ぎなのだろうか。

US families turn to food stamps as wages drop
(賃金下落に伴って米国人一家はフードスタンプに頼る)
(September 4 2009 Financial Times)
By Sarah O'Connor in Washington
The number of working Americans turning to free government food stamps has surged as their hours and wages erode, in a stark sign that the recession is inflicting pain on the employed as well as the newly jobless.

無料のフードスタンプに頼る米国人労働者の数が、不況が新たな失業者だけでなく、就労者にも痛みを与えている明確な兆しとして、彼らの労働時間と賃金が減るに従って急増し続けている。

While the increase in take-up is often attributed to the sharp rise in unemployment - which on Friday hit 9.7 percent - the Financial Times has learnt that some 40 per cent of the families now on food stamps have "earned income", up from 25 per cent two years ago.

経済の縮みの増加はしばしば失業率(4日の金曜日、9.7%を記録した)の急増につながるが、本紙はフードスタンプを受給中のサラリーマン一家の約40%が、それが「給与所得」となっていて、その比率が2年前の25%から増えていることを突き止めた。

The agriculture department, which runs the programme, attributes this rise to workers having their hours cut back.

フードスタンプを所管する農務省(USDA/U.S. Department of Agriculture)は労働時間の減少がフードスランプ申請の増加につながっているという。

"I'm sort of stunned, it seems like a dire warning...that even the jobs people are retaining in this recession aren't at the wage level and hours level that they need to provide for their families," said Heidi Shierholz, economist at the Economic Policy Institute.

「私は少し愕然としている、仕事を持った人たちでさえ彼らの家族を扶養するために必要な賃金と労働時間の水準にない不況の中に残っていることが怖ろしい警告のように見える」と米経済政策研究所のエコノミスト、ヘイディ・シエーホルツ(Heidi Shierholz)氏は言う。

The pace of outright job losses in the US has started to recede, prompting hopes that the labour market could be stabilising. Official figures on Friday showed that non-farm payrolls dropped by a better than expected 216,000 in August, but still marked the 20th consecutive month that the US economy has shed jobs.

米国の完全失業者数の増加は労働市場が安定し得るという期待が促進されることによって歯止めがかかり始めた。しかし、金曜日の公式統計によれば、8月の非農業部門の雇用者数の減少が21万6千人と予測されたよりは良かったものの、米国企業が雇用を減らしているため20ヶ月連続で減少している。

Less attention has been paid to those still in the workforce, whose incomes are also being squeezed. The average working week is now about 33 hours, the lowest on record, while the number forced to work part-time because they cannot find full-time work has risen more than 50 per cent in the past year to a record 8.8m. Wages and benefits have decelerated.

その統計には所得も圧迫されている労働者のことは、未だに雇用者数の減少といったことよりも注意が払われていない。平均週労働時間は最低記録の約33時間となり、その上、労働者はフルタイムの仕事を見つけることができないためにパートタイムの仕事を余儀なくされ、その数は昨年よりも50%以上も上がって880万人を記録した。賃金と手当ては減り続けている。

The food stamp data suggest that "the labour market problems are more significant than you would expect, given just the unemployment rate", said John Silvia, chief economist at Wells Fargo. "For me it suggests the consumer is not going to rebound or contribute to economic growth for the next year, as the consumer would in a traditional economic recovery."

フードスタンプのデータは「まさに失業率が示す労働市場の問題は予想されているより重大である」ことを示唆する、また、私にとって、そのことは、消費者が立ち直らない、すなわち消費者が旧来の景気回復のときのように来年の経済成長に寄与することはないことを示唆する、とウェルス・ファーゴのチーフエコノミストのジョン・シルビア氏は言う。

Consumer spending has traditionally been the engine of the US economy, making up about two thirds of GDP. Economists fear that people may be unwilling to resume that role.

個人消費支出は伝統的に米国経済の原動力であり。GDP(Gross Domestic Product=国内総生産)のおよそ3分の2を占めている。エコノミストたちは国民がその役割を担うことができないかもしれないことを恐れている。

Kevin Concannon, undersecretary for food, nutrition and consumer services at the agriculture department, called the increased enrolment of working families "very significant".

農務省の食品栄養消費者局(FNS/food, nutrition and consumer services)の担当次官は、サラリーマン一家の登録者数が増えていることは「非常に重大な」ことであると考えた。

Food stamps are distributed once a month on electronic cards that can be spent at many grocery stores. The $787bn stimulus bill added about $80 (Euro 55, Pound 50) to a family's monthly allowance, which now stands at an average $290.

フォードスタンプは多くの食料雑貨店で使うことのできる電子カードとして月1回給付される。7870億ドルの景気対策法により約80ドル(55ユーロ、50ポンド)が一家の毎月の手当てに加わったため、現在は平均で290ドルかかっている。

関連サイト


9月5日(土)-シティバンク、外貨TC発行手数料改訂

シティバンクのウェブサイトにトラベラーズチェック(TC)の発行手数料が10月から改訂される旨の記事が掲載されている。
日本の銀行のキャッシュカードを使って海外ATMから現金を引き出すことなんて考えられなかった時代の海外旅行には必須のアイテムだったトラベラーズチェック(TC)、今ではあまり使うこともなくなってしまった感がある。
従って旅行仲間内でもほとんど話題にならないし、私自身も海外送金をしようかと思ってウェブサイトにアクセスして初めて気付いたというレベルだ。

口座又はクレジットカードのステータス 平成21年9月30日(水)まで 平成21年10月1日(木)以降
非保有者 購入総額の1% 購入総額の2%
一般口座 無 料 購入総額の1%
シティゴールドプレミアム又はシティゴールド口座 無 料 無 料
シティカードジャパン株式会社発行の
シティプラチナカード又はシティゴールドカード保有者
無 料 無 料

最近の旅行でTCを使って得をしたと思えるのは、昨年9月に行ったコルシカ島と今年のゴールデンウイークに行ったメキシコだろうか。
コルシカ島の郵便局はユーロのTCから現金化するときの手数料が無料だったし、メキシコでは円から直接ペソに換えるより、日本で円を米ドルのTCに換え、そこから現地でペソに換える方が得なくらい円のレートが悪かった。
今後、TCの利用方法として一番有効なのは、円高のうちにコツコツと外貨預金をし、円安局面で海外旅行を考える場合に、旅費として活用するのが一番だろうか。
要するに投資とは言わないまでもそういった知識を生かせない限り、今後TCを使うメリットを感じることはないように思える。
一般的には、素直に海外ATMから現金を引き出した方が楽でいいという結論になろうか。
但し、最近では海外ATMでの引き出しに手数料が別枠でかかるようになっているので、あまり細かい引き出しは得策ではない。

ところで、一部の旅行仲間が海外ATMからの現金の引き出しでなく、クレジットカードのキャッシングの方が帰国後に即返済すれば得であると書いているが、これは今後変わってくるだろう。
なぜなら割賦販売法の改正(与信管理規制の強化)によってクレジットカードのキャッシングに業者側の旨みがなくなってくるので、それを穴埋めするための手段を講じてくることは容易に想像がつくからだ。
例えば、三井住友VISAカードは、10月から国内キャッシングの翌月一括返済の取扱いを中止するという。
海外キャッシングは今のところ影響がないようだが、要は「利息を多く払わなければ(リボ払いをしなければ)国内でのキャッシングを認めない」ということだ。
今後、業者側はこういった手段を使ってくるようになるだろう。
逆に考えれば、私たちにはデメリットになる、というわけだ。


9月2日(水)-民主党怒涛の308議席、ついに政権交代

2009年8月31日付の新聞去る8月30日の総選挙で民主党が308議席を獲得して衆議院で第一党となり、来る16日召集の特別国会にて鳩山代表が首相に選出されることが確実となった。(関連記事:日系メディア BBC Financial Times/日本語訳版付
このことに関して詳しく書くのは別の機会にするとして、私が思うに、硬直した日本の政界でようやく民主主義国家としては当然とも言うべき「与野党の獲得議席逆転による政権交代」が実現したということが一番大きなことだと思う。

今まで自民党がどんなに悪政をやろうが、それに代わる野党がなかったことが、1955年体制以降、細川・羽田連立内閣の時期を除けば、55年間も政権交代がないという、世界でも稀有な存在であり得たのだ。
今回、民主党に投票した人の多くは、一度政権交代をした方が日本のためである、といった動機だろう。
私もたびたび書いているが、今までの選挙でも、たとえ野党の政策が不満でも、自民党の長期政権が官僚を堕落させ、政治・行政に緊張感を欠いたと信じているからこそ、彼らに入れてきた。
今回とて、民主党の政策に共感してというよりは、自民党の老醜議員を駆逐するための千載一遇のチャンスとみたからだ。

民主党の政策集にはいろいろ書いてあるが、自民党政権との一番の差異は情報公開になるだろうか。
当然ながら一般紙やテレビでは報道すらされなかったようだが、民主党の鳩山代表は5月16日の代表就任後の会見で政権交代の暁には官邸の記者会見をすべてもメディアに開放することを宣言している。
今週発売の週刊誌、夕刊紙が一様に「歓迎民主党」なのはそういった側面もある。
逆に、テレビ局が早速あら捜しを始めているなどと聞こえてくるのは、記者クラブ開放が彼らにとって割を食うからか。
また、閣僚就任が予想される顔ぶれを見ても、少なくともITがダメなどという老醜議員が大臣になるようなことは確率的に少なくなるだろう。
そういった意味ではITを使った電子行政が進むことも期待できるし、役所のウェブサイトに情報を載せるとオレの仕事(役所の情報をもったいぶって支持者に知らせること)がなくなる、などというバカな地方議員もいなくなるだろう。
理想を言うならばシンガポール並みになって欲しいとも思う。
それに、今まで無駄金ばかり使って役に立たない電子申請システムも、大臣自らが検証できるような人材がトップになれば、今後は改善されるだろう。

電子投票もそうだ。
現行制度下だと全国の自治体で選挙のたびに大量動員される公務員の人件費だってバカにならない。
例えば、電子投票先進国とされているブラジルは、国際経済的にはBRICsの一角を占めているが、未だにスラムなども多く、コンピューターなど知らない住民も多いだろうに、電子投票が全面的に導入されているのだ。
もはや、こういう時代において、自分の名前を自書してもらいたいなどと言って、電子投票法制に反対していた自民党の老醜議員にはお引取りいただくしかない。

一方、大きな懸念は、右派系の人ならずとも気になる外交と国防・治安政策だ。
奇しくも前回の細川連立政権のときの新生党代表幹事は現在の民主党代表代行の小沢一郎氏、彼が当時の社会党に国防政策の「踏み絵」をさせ続けたことが社会党の連立離脱を生み、仰天の村山政権誕生となっただけに、今回も同じ轍を踏まないとも限らない。
当時と今とではお互いの衆参両院の議員数は天と地ほども違うが、今回、民主党が社会民主党、国民新党と連立政権を組むのは、今の参議院の情勢を見据えたものだから来年の夏の参議院選挙まで小沢氏が社会民主党に我慢できるか、というのが大きなカギになるに違いない。

何と言っても連立相手の一つ、社会民主党の福島瑞穂党首は「警察官の拳銃使用は絶対反対。犯罪者と言えども人権はあるから傷一つ付けてはいけない。たとえ凶器を持った凶悪犯と言えども警察官は丸腰で逮捕に向かうべき。警察官がそれで殺されてもやむを得ない。無理に犯人を捕らえなくともいいのでは。」などとテレビで公言して、スタジオ中を仰天させた経歴の持ち主、民主党の隠れ極左議員ともども国防・治安政策のガンになりかねない。

それでも今は日本の政権交代を祝しておきたい。
その理由は最初にも書いたとおり、戦後60年以上たってようやく大正デモクラシー以来の複数政党制が機能することが立証できたからである。

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