私が7月5日にデフレ時代は終わりか?というエッセイを載せた後、固定型の住宅ローン金利が上昇し(10年物の国債の利回りを基準に銀行の住宅ローンの金利が決まるので、国債価格が下落し、金利が上がれば住宅ローンの金利も上がる。)始め、いよいよ悪性インフレ時代の幕開けかと思ったが、今日になって日銀展望リポートで「来年度も物価下落」という予測がなされたという記事が日経新聞に載った。
日銀展望リポート「来年度も物価下落」 (2003.10.31 日経新聞) |
日銀は31日の政策委員会・金融政策決定会合で、政策委員の見通しを示す経済・物価の将来展望(展望リポート)をまとめた。 消費者物価の「大勢見通し」は2004年度も前年比でマイナス圏内。 中央値では0.3%の下落となり、小幅ながらデフレ基調が続くという判断になった。 日銀は金融市場に潤沢な資金を供給する量的緩和策を堅持する方針だ。 日銀が量的緩和継続の尺度とする全国の消費者物価(生鮮食品を除く総合)の「大勢見通し」は今年度が0.3―0.1%の下落。 2004年度は0.5―0.2%の下落となり、いずれもマイナス圏内となった。 政策委員のなかには2004年度で0.5%の物価上昇の予測もあったが、大勢はなおデフレは続くとみている。 来年度は医療費負担やたばこ税の引き上げといった物価の押し上げ要因がなくなるため、下落幅はやや拡大すると判断したもようだ。 日銀は政策委員の多くがプラスの物価見通しを持つまで量的緩和を続けると表明している。 このため、今回の展望リポートで日銀が量的緩和を堅持する姿勢がより明確になった。 |
主要各国はデフレ退治と称して、ジャブジャブと金を市場にばら撒いているようだが、はっきりとした成果が出てるとは言えない。
日本もゼロ金利政策という異常な政策が実施されてからもはや四年以上たつがITバブル相場を演出した以外は暗黒の21世紀に突入していまだに脱出しきれてないようだ。
むしろ「金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏に」という二極化が著しくなり、一般庶民は失業と倒産に加えて老後の不安を恐れてますます財布の紐を締め続けている。
かつては中流の代名詞だった、日本の就業人口の多くを占めるサラリーマン層の多くが貧困層への転落の瀬戸際にある状況ではデフレ退治はおろか景気の本格回復もおぼつかないだろう。(Newsweek Japan 2003.6.11 PDF - 中流なき階級社会の暗い影)
私は思う。もはやゾンビ企業や無益な公共事業に投入する税金を「サラリーマン救済基金」みたいなものを設立して失業保険制度の充実と住宅ローン破産者予備軍の救済に充てるべきだと。
また政府は国策としての持ち家政策の一切を放棄すべきと。
もはや戦後の高度成長時代のモデルは完全に破綻した。
しかしながら、私は驚いている。
いまだに35年の住宅ローンを組んで、マンションを買っている人がいることを・・・
「あなたは3000万円の物件に1億円を払うつもりですか?」
これは72の法則(投資元本が2倍に増えるまでの期間は、「72÷年利」で求められるという法則で、当然借金の場合はこれがマイナスに働く)に毎年払う固定資産税を考えれば極論ではないことが理解できると思う。
私に言わせればマンションを買っていいのは以下の条件のいずれかを満たす人たちに限られる。
なぜなら10年後の資産価値はゼロに等しいからだ。
つまり住むことを楽しみ、飽きたらいつでも引っ越せるということが重要だと考えるからだ。
これから持ち家をしようなんて考えている人はこれらのことを考えるべきだと思う。
デフレの原因は個人消費の低迷だが、高齢者が期待する郵貯の金利はゼロ、熟年世代は住宅ローンに養育費に加え将来の生活不安、これだけの悪条件がそろっていたらどう考えてもデフレ脱却なんか尋常な方法では無理だ。
そう、残された方法はただ1つ。「人為的にインフレを起こす。」
私は10年以内、いや5年以内にそういう事態が訪れるのではないかということを危惧している。
今夜から阪神対ダイエーの日本シリーズが始まる。
ミナミ対中州の飲ん兵衛場所とも言えるこのシリーズは夜のヒートアップも凄そうだ。
敵地のファンが繰り出した飲み屋で殺傷沙汰なんかにはなってもらいたくないものだ。
で、このシリーズは両チームとも打線が凄いというイメージがあるが、実は阪神と井川、ダイエーの斉藤と、久々の20勝投手が出て今日の開幕戦は、何と31年ぶり<堀内(巨人26勝)―山田(阪急20勝)以来>となるシリーズでの20勝対決となるそうだ。
私の予想では今日勝ったチームがそのまま4勝1敗でシリーズを制覇するだろう。
日本のプロ野球はホームチームの利というのはあまりクローズアップされないが、この両チームに関しては地の利というのは大きいのではないかと思うからだ。
いずれにしろ今夜はビールとつまみを手に久々の野球観戦になるだろう。
関連記事
来る11月9日に総選挙が行われることがすでに決定している。
実は公職選挙法の規定によりインターネットを使った選挙運動ができないことはもとより、いろいろな面で無名な候補者が当選するにはハンディがあることをご存知だろうか?
選挙運動と言えば、駅頭の演説、いわゆるパフォーマンス、それと選挙カーからの候補者名の連呼、最後は政見放送というたぶん視聴率数%未満のアンチョコの朗読しか思い浮かばない。
つまり日頃からネットで社会情勢に関するサイトを見たり、図書館などで借りた本を読んで見聞を深めている人以外は誰に投票していいかの基準すら持てないようになっているのだ。
これはマスコミと政治家の著しい怠慢、悪く言えば既成勢力温存のための闇の契約に基づく新規参入妨害以外の何者でもない。
おまけに今のサラリーマンは会社に残った組はサービス残業、残れない組は再就職難で、もはや政治の本質に深く入り込めないようにされているのだから、21世紀のサラリーマンのほとんどは生贄でしかないのだ。
ヘトヘトに疲れて寝に帰るだけのサラリーマンにネットやハードカバーの本を読んでいる時間があるとは思えないし、失業者はそんな金すらもったいない状況下にあるからだ。
そこで今を改革するために何も考えずに投票する方法がある。
これは時と場合によっては私が実践している方法でもある。
すべての条件を満たせばいいが、ダメな場合は1から順に優先度を決めればいい。
いかがだろうか。
あなたも自分なりの基準を作ってそこから始めればいい。
そう、参考までにこういうものを作り始めた。まだ未完成ではあるが・・・
関連サイト
ゴールドコースト(Gold Coast)に在住のK53さんが来日しているのを機に濱の居酒屋「権太」でオフ会を開いた。
多忙なスケジュールを縫ってわざわざ横浜まで来ていただいたのは感謝感激である。
なぜ、横浜か?っていうと、単なる私の思い違いで、彼が横浜に泊まっているとばかり思い込んでいたのだ。
でもって三谷さんにも横浜までお越しいただいちゃったのである。
まあ、彼女はもともと横浜出身だということだが、駅で降りたのは**年ぶりだそうな。
そして左手奥がたがめいぬ氏、あえて言うならば我々は旅サイト繋がりとでも言おうか!
でもK53さんはオーストラリアでの生活を本当に楽しんでいるようで、私は早くあやかりたいものだと意を強くしたのだった。
で、そんな彼に褒めていただいたのが何と私の英語版のページ!
お世辞でも嬉しかったのだ。
そういう彼もオーストラリアで英語の勉強中だとか。
やはり必要は発明の母(Necessity is the mother of invention.)じゃないですね。例えが・・・
もしかすると2003年の海外はオーストラリアか?でもフライトの予約しないと間に合わないかも・・・
今日の読売新聞で、今月末をもってマハティール首相が辞任することが報じられていた。
数少ない親日家である彼の功績を日本政府やマスコミはほとんど評価することはないが、彼ほど日本が失われた10年と言われた中にあって「日本よ頑張れ!」と言ってくれた人はいないと思う。
また、マレーシアがマハティールの長期政権下にあって、国民が他のイスラム諸国のように圧制・内戦・テロ・飢饉・貧困などに見舞われなかったことは大きく評価されていいはずだ。
私はイラクやアフガニスタンの再建にマレーシアの閣僚経験者(イスラム教徒の)を行かせる方が、アメリカ主導でやるより相当マシな結果が出るのではないか?と思ってるくらいだ。
私に言わせれば、マレーシアはイスラム諸国の優等生だからだ。
今後、現在の副首相が首相に就任することが決まっているようだが、今後は日本に対してマハティールほどの思い入れはないと思った方がいいだろう。
それよりも長期政権後の政情不安定化がイスラム原理主義の台頭を招く危険性の方があるかもしれない。
私は中東と違ってアジアのイスラム教徒はそれほど宗教色が強いとは感じてないが、こればかりはインドネシアの例もあるので一概には言えないだろう。
日本に限らず、東アジアのエネルギー戦略の要衝となっている「マラッカ海峡」の当事国であるマレーシアを日本政府やマスコミはそれほど重視していないが、政権の不安定化がもたらす影響はイラク戦争の比でないことを頭の片隅にでも留めておいたほうがいいかもしれない。
マハティール首相月末引退-カリスマ政権に幕 (2003.10.4 読売新聞) |
【シンガポール=中津幸久】マレーシアのマハティール首相(Dato' Seri Dr. Mahathir
bin Mohamad, Prime Minister of Malaysia)が今月31日に引退することが確定した。22年の長期政権を築き、東南アジアの経済成長を象徴したマハティール氏の退陣は、東南アジア諸国連合(ASEAN)にとってカリスマ的な指導者による開発独裁の終えんを意味する。新首相にはアブドラ副首相(Dato'
Seri Abdullah bin Ahmad Badawi, Deputy Ministers)の就任が決まっているが、権力基盤の弱体化は否めず、同国の政局が不透明感を増すことも予想される。 マハティール首相は2002年6月、与党第一党の統一マレー国民組織(UMNO=The United Malays National Organisation)の年次総会で辞意を表明。 引退を疑問視する声もあったが、首相自身が先月の外遊の際、同行記者団に「10月31日で辞める。最終決定だ」と述べた。(BBC News: Mahathir sets retirement date) 国内ではマハティール礼賛ムードが高まっている。 国営ベルナマ通信(Malaysian National News Agency BERNAMA)は3日、首相あての感謝のメールを送るよう国民に呼びかけるコーナーを自社のホームページに設けた。首相の未公開スナップ写真千点を集めた写真展も7日から始まる。首相の演説などを収録した全十巻の「マハティール百科事典」も刊行された。 首相は経済的に遅れた最大民族マレー人と経済的に進取の精神に富む華人の格差解消を目的に、マレー人を優遇する「ブミプトラ政策」や、日本などの経済発展に学ぶ「ルック・イースト政策」など、独自の政策を貫いた。一人当たり国民総生産(GNP)は約3500ドルへと、就任当初の数字から倍増した。 一方で、覇権的手法も目立った。特に、1997年のアジア通貨危機への対応をめぐる対立などから後継者と目されたアンワル副首相を解任・逮捕した際には、与党内からも反発の声が上がり、支持層の離反と、最大野党でイスラム原理主義を掲げる全マレーシア・イスラム党(PAS=Parti Islam SeMalaysia)の躍進を許した。 首相は反欧米姿勢を堅持し、ASEANのリーダーとして組織の発言力向上に貢献した。地盤沈下がいわれて久しいASEANは、強力な指導力を持つシンガポールのリー・クアンユー前首相、インドネシアのスハルト元大統領らに続き、マハティール氏も表舞台から去ることで、いかに求心力を保つか、今以上に厳しい状況に直面することが予想される。 ただ、マハティール氏の威光が直ちに消えるとは考えられない。首相は、引退後はシンガポールのリー前首相のように上級相として閣内にとどまることはせず、執筆や講演活動に従事すると表明しているが、アブドラ新首相の政治的手腕が未知数だけに、政府のご意見番として影響力を行使するものとみられる。(related news: Bussiness week "Malaysia after Mahathir") |
■ルック・イースト政策(Look East policy) 「東方を見よ」の意味で、マハティール首相が1981年の就任直後に提唱した政策。西欧に代わり日本や韓国を経済発展のモデルとし、社員一体となって企業利益を追求する日本的経営を見習うよう主張した。国産車開発にも三菱自動車工業の支援を借りた。 |
関連サイト