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5月28日(月)-ZARDの坂井泉水さん死去

1990年代を通じて好きだったアーティストの1人、ZARDの坂井泉水さんが亡くなった。
思い起こせば、ZARDを知ったのは「揺れる想い」がヒットしたとき、それ以来、彼女がアルバムを出すごとに買って聞いていた。
まだ、わずか40歳、あまりにも早すぎる死であった。
しばらくは彼女のアルバムでも聞きながらご冥福を祈ることにしよう。

ふとした瞬間に視線がぶつかる
幸運(しあわせ)のときめき覚えているでしょ
パステルカラーの季節に恋した
あの日のように輝いている
あなたでいてね

負けないでもう少し
最後まで走り抜けて
どんなに離れてても
心はそばにいるわ
追いかけて遥かな夢を・・・

ZARDの坂井泉水さん死去、病院のスロープから転落
(2007.5.28 毎日新聞)
ZARDの坂井泉水「負けないで」などのヒット曲で知られる人気歌手、ZARD(ザード)の坂井泉水(さかい・いずみ、本名・蒲池幸子=かまち・さちこ)=さん(40)が27日、入院していた東京都新宿区の慶応大病院で脳挫傷のため死去した。
病院のスロープから転落したとされ、警視庁四谷署は詳しい状況などを調べている。

同署によると、26日午前5時40分ごろ、同病院の外に取り付けられたらせん状スロープ下のコンクリート地面に、坂井さんが倒れているのを通行人が見つけた。靴ははいており、ジーンズにTシャツ姿で、27日に死亡が確認された。
所属事務所「リレーションズ」によると、日課にしている散歩から病室に戻る途中で、前日の雨でぬれていたため足を滑らせ約3メートル転落し、後頭部を強打したという。

事務所によると、坂井さんは昨年6月に子宮けいがんのため摘出手術を受け、入退院を繰り返したが、肺への転移が見つかったため、今年4月に同病院に入院。
抗がん治療はうまくいっていたという。秋にアルバムの発売を予定し、3年ぶりのライブツアーも計画中で、病室でスタッフと打ち合わせをしたり、詞を書きためるなど再起を目指していた。

坂井さんは神奈川県出身で、東京都町田市在住。
レースクイーンを経て、1991年にZARDのボーカルとして「Good-bye My Loneliness」でデビュー。
1993年の「負けないで」が大ヒットし、1994年のセンバツ入場行進曲にも選ばれた。
1997年のベストアルバム「ZARD BLEND」は累計250万枚を記録。
2000年の「Get U're Dream」はNHKシドニー五輪テーマ曲になった。

1999年には高額納税者の長者番付の「歌手」部門で5位にランクイン。
「揺れる想い」「君がいない」「Don't you see」などミリオンセラーを連発し、テレビやラジオなどにほとんど出演しないことでも知られていた。

事務所は「坂井泉水が数々のヒット曲とともに、いつまでも皆様の心の中に生き続けることを願ってやまない」とコメント。
葬儀は密葬で行い、ファン向けの「お別れの会」を予定している。

5月27日(日)-飲み会3連荘

去る24日、はなまち氏の音頭で、シンガポール在住のKayさん、未だお会いしたことのなかった、地球を渡り歩く謎のたびちゃん氏、そして弊サイトの掲示板の常連でもある与太郎氏らが京都に集うと聞いたので、単なる飲み会があるというだけにもかかわらず大枚叩いて行ってきた。
これでKayさんとはこの半年間だけでも東京、香港、バンコク、そして京都と、4回ものオフが実現したことになる。
しかも、かつてハワイ在住、今は流浪の旅路にある大江戸ピロ氏が日本に来ていると連絡があったので、彼にも声をかけると、参加可能とのこと、これにて夢のオフ会が実現した。
2001年当時のネット上の夢談義では、本来ならこの飲み会はポルトガルのロカ岬(ユーラシア大陸の最西端)でやるつもりだったはずだが、なぜか京都の居酒屋になってしまうところはご愛嬌。
ちなみに私の宿泊先は【じゃらんnet】でオープン記念キャンペーン価格「スーペリアシングル1泊-8,000円」を呈示していたホテルモントレ京都、かなり豪華な造りで、ただ単に寝るだけのために泊まるには惜しいかも。
せめてスパでも使えれば良かったのだが、午後のみの休暇、飲み会のお開きが11時過ぎだったので、残念ながらダメだった。

飲み会の話題は、ほぼ全員が海外に出ることが年中行事の人たちだけに話は必然的にそちらの話題へ。
たびちゃん氏曰く、「今、円安、円安と騒いでいるが、オレが海外へ初めて出た頃は1ドル360円、1ポンド600円の時代、その頃に比べればまだまだと」
まあ、確かにそうではあるかもしれないが、一度円高時代の旅行感覚が身についてしまうと、そうもいかないというもの。
ただ、私自身も自分のポートフォリオの外貨建て部分が多いので、円安になればなるほど含み益は増えるのだが、日本での生活者の一人としてはあまり喜べない。
メディアやエコノミストの多くは、円安が日本企業の収益を上げる云々と言っているが、今や企業の収益増は従業員の賃金増にはほとんど結びつかないし、逆に輸入品の価格が上がって国民生活に悪影響を及ぼす、ということにあまり言及しない。
スポンサーの意向を無視できない民放はともかくNHKがそういう報道をすべきと思うのは私だけだろうか。

日が変わって25日、この日はドシャ降り。
別に観光しようとは思っていなかったが、これでは外を出歩く気さえ全くしない。
ふと思い立ってインド雑貨 Five Rivers Storeをやっているう~やんに電話して昼食でもと声をかける。
平日の昼間で時間に融通がきくのはさすがネットショップ専業たる強みか。
行ったところは通りすがりに見つけた、3月19日にオープンしたばかりという韓国家庭料理の「こるもく(住所:京都市中央区河原町三条上ル恵比寿町446番地 Tel: 075-241-9410 定休は月曜と祝日)」、小じんまりとしたカウンターのみ8席の店、どちらかというと小料理屋って感じの店だ。

夜は袋井に移動して、前の会社で一緒だった倉布人さんの旦那と飲み会。
一頻り(ひとしきり)小泉・安倍インチキ改革のことで話がはずむ。
「今年から税源委譲で所得税が減り、住民税が増えるみたいだが、政府が言うように税金だけを見ればトータルで変わらなくても、定率減税が完全になくなり、しかも国民健康保険料は住民税スライドなんだから負担は増えるじゃないかと・・・」
日本の政治家はそんな簡単な原理すら知らずに法案を審議しているのだろうか。
もし、知っていてやっているのだったら犯罪的であるな。

そして、昨日は旭高校時代の同窓会が新横浜フジビューホテルであった。
数年前にやった同窓会には先約があって参加できなかったので、今回は参加することにした。
参加者は100名にも上る盛況で、2次会にもほとんどが流れてきた。
1年のときに同級だった幹事のIくんにはあらためてお礼を言っておきたい。
あらためて思うに、四半世紀もの歳月はやはり長いもので、10代で結婚したFさんはすでに孫がいるとか、Mくんは3人、Oさんは4人の子持ちだとか、あるいは逆に、Iさんは癌で亡くなったとかいう話で盛り上がる。
話を聞くと、地元で住んでいたりする人も多いようで、それが今日の盛会につながったのかも・・・
そのOさん曰く「銀座のクリニックでレーザー近視矯正手術をしたら視力が2.0にまでなったとのこと」、詳しいことはあまり聞かなかったが、視力の回復率は97%だとか・・・
それと、高校のときに好きだった女の子が不参加だったので、どうしているのかな、と思い、話を振ってみると未だに独身らしいとか。
高校の卒業名簿でも引っ張りだして連絡してみようかな(笑)


5月23日(水)-バイアグラは時差ボケに効くのか

海外旅行や出張など、特に横への移動があるときに悩まされるのが時差だ。
これを解消するために、飛行機に乗ったとたんに時計を現地時刻に合わせ、眠たくもないのに酒を飲んで無理やり寝たり、逆に映画など見て起きていたり・・・
それでも到着から2日ぐらいは時差ボケになるときもある。
最近では東南アジアへ行くことが多くなり、ほとんど時差を意識しなくてもよくなったが、かつて欧州方面によく行っていたときは時差ボケの解消は重要なテーマだった。

ところが、これをバイアグラ(Viagra)に含まれる成分であるシルデナフィル(sildenafil)で多少なりとも解消できるのでは、と発表したのがブエノスアイレスにあるキルメス国立大学(Quilmes National University)のディエゴ・ゴロンベック(Diego Golombek)氏のチームだ。
彼らはバイアグラが、人間の体内にある環状グアノシン1リン酸(cGMP=cyclic guanosine monophosphate)と呼ばれる分子を増やすため、時差ボケに対して効果があると信じているようだ。
この難しいcGMPというのは、簡単に言えば勃起(ぼっき)を助ける効果があるらしい。
要するに、脳に一種の興奮状態を作り出して脳の中の体内時計を早く進めているというわけだ。
でも、そうやって人為的、かつ一時的に時差ボケを解消できたところで、その副作用はないのだろうか。
彼らは、薬を使うことに対しての副作用はない(No 'side effects')とは言っているが、仮に飛行機でニューヨークからパリへ(時差は6時間、ニューヨークが午前9時のときにパリは午後3時、ちなみに夏の間は東京は午後10時)着いたとして、パリの到着日は元気でも、何日かたって薬効が切れ、時差ボケが文字通り時間差でやってきたら何の意味もないと思うがいかがだろうか。

バイアグラは「時差ぼけ」に効くと、アルゼンチン研究
(2007.5.22 CNN Japan)

【ワシントン】 男性の勃起(ぼっき)不全治療薬「バイアグラ」が時差ぼけの解消に有効だとする研究結果を、アルゼンチンの研究者が21日、米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した。
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにあるキルメス国立大学の研究者、パトリシア・アゴスティーノさんやサンティアゴ・プラノさんらは、実験用のハムスターを用いて、飼育箱のライトを昼夜に関係なく、点灯したり消したりして、人工的に時差ぼけ状態にさせた。
その後、「バイアグラ」の成分シルデナフィルをさまざまな濃度で与えたところ、シルデナフィルを投与しなかったハムスターよりも、50%早く、時差ぼけ状態を解消したという。
特に、「東向きフライト」と同様の状態で生じた時差ぼけに、大きな効果があった。
逆に、「西向きフライト」ではあまり効果が見られなかったという。
研究者らは、本来の目的よりも薄い濃度であれば、多くの人々の時差ぼけを解消するのに役立つのではないかとしている。

原文:Viagra reduces hamster 'jet lag' by New Scientist.com


5月20日(日)-あほ~な奴らがキチガイをのさばらす

18日付の読売新聞は、警察庁幹部の話として、「防弾チョッキのわずかなすき間が命取りとなったことは、手足への銃撃は命にかかわらないため、任務の性質上、隊員も覚悟しているが、今回は不運としか言いようがなかった」と報じている。
何が不運なものか。
キチガイが銃撃しているのに対して反撃させなかったあほ~がいけないのではないか。
それが「不運」で終りでは、23歳の若さで殉職した愛知県警特殊急襲部隊(SAT)隊員の林一歩(かずほ)氏と遺族の方が可哀想というものだ。
これは、保身しか考えない警察幹部、何かと言うと「拳銃の使用がどうのこうの」というマスコミ、そして、一番のガンはキチガイの人権を守れという頭の腐ったあほ~による人災だ。

身近な危機から身を守る本」の著者、柘植久慶氏はこう言う。
「現代は殺され損の時代である。被害者の人権など何処かへ吹っ飛んで、加害者の人権だけが何かと問題にされる。悪徳と呼びたくなる人権派弁護士が介在し、事件を別の方向へと持っていってしまうのだ。だから自己の生命は誰も助けてくれないし、たとえ殺されても誰も面倒を見てくれない。殺されないためには各人がそれなりの準備をし、襲撃者をたたき伏せねばならないだろう。
過剰防衛などという理解に苦しむ法律が存在している。防衛であることは認めるが、やり過ぎだから罪に服せというわけだ。ところが、不意に襲撃されたとき、手加減しながら戦えるかと言いたい。適当にあしらって勝てることなど子供相手でない限り、まったく考えられないのである。正当防衛がほとんど認められないのがわが国の実情である。これが適用されるのは警察官の拳銃使用と一部の例外くらいだろう。過剰防衛などという、こんな法律はなくすべきだ。」

柘植氏は、「正当防衛が適用されるのは警察官の拳銃使用と一部の例外くらい」と言っているが、どうやらそれも怪しいものだ。
甲府市の会社員のケース(2006年5月20日「今日の一言」)や今回の事件を見る限り、日本では正当防衛は認められないと思った方がいいのかもしれない。
おそらく、今回の事件も現場は射殺もやむなしと思っていても、幹部連中が過去(瀬戸内シージャック事件)のトラウマで制止したのだろう。
それに、人質は元妻だったということから、犯人が射殺されれば、逆に警察を逆恨みして何を言うかわからないし、それに便乗した、あほ~なマスコミが「犯人を殺さなくてもよかったではないか」などと警察を吊るし上げることが容易に想像できる。
要するに、日本の国民が「暴力はどんなときもいけない」などという常軌を逸したメンタリティを払拭し、あほ~なヤツらのプロパガンダに染まらないようにしない限り、ますますキチガイが跳梁跋扈する世の中になるのだ。

いずれにせよ、犯人の銃撃で死傷者が出ても警察が応戦できないばかりか、いくら人質がいるとはいえ、投降してくれと土下座するなどというのは常識では全く考えられないことだ。
これが悪しき前例にならなければいいと思うのは私だけではあるまい。
ちなみに、この警察官の銃器使用が正当かどうかというのが、日本の場合、イラクに派遣されている自衛官にも適用される(2004年11月4日「今日の一言」)という非常識さだ。
装備を充実すればいいなんていうのはチャンチャラおかしいとは思わないのか。

日本ではこの正当防衛という概念が希薄なことが、どれほどの弊害をもたらしているのか、机上の空論を振りかざしているあほ~どもには理解できないのだろう。
政府は、18日、銃器対策で新たな施策を検討するプロジェクトチーム(PT)(内閣官房や警察庁、法務省など関係省庁の課長級で構成)を立ち上げたようだが、この銃器対策を担当するトップは高市早苗・内閣府特命担当大臣なのだそうだ。
彼女がどれほど治安対策に精通しているかどうかわからないが、銃器問題というのは、沖縄及び北方対策、科学技術政策、イノベーション、少子化・男女共同参画、食品安全を所管する大臣の仕事なのだろうか。
国家公安委員会委員長でもある溝手顕正・内閣府特命担当大臣(防災担当)がやるべきだと安倍首相は考えないのだろうか。
それに彼女がPTに検討課題として指示したという

  1. 銃刀法の罰則強化など関係法令の見直し
  2. 銃器の密輸防止のための水際対策の一層の強化
  3. 学校教育での銃器対策教育のあり方

だが、学校で教える銃器対策って何を指すのか。
銃声の聞き分け方と身の伏せ方を教えるっていうのならいいのだけどね。

SAT隊員死亡「今回は不運・・・」、迫られる装備改善
(2007.5.18 読売新聞)

愛知県長久手町の立てこもり事件で、同県警特殊急襲部隊(SAT)の林一歩(かずほ)巡査部長(23)(18日付で警部に2階級特進)が銃撃を受けて死亡したことで、警察当局は、優秀な人材を失うとともに、装備改善を迫られることになった。
銃などから完全に身を守る装備をしながら、現場で機敏に動き回らなければならないという、相反する課題を乗り越えることを宿命とするSAT。警察庁は対策への模索を始めた。

テロ対策などで犯人制圧を行うSATの隊員になるには、体力テストや銃技能テストで優秀な成績が必要なうえ、協調性も重要視される。
このため、約25万人の警察官のうち、8都道府県で約300人しかいない超エリートだ。
拳銃に加え、ライフル銃、サブマシンガン、特殊閃光(せんこう)弾などを使いこなし、防弾ヘルメットや防弾チョッキなどをフル装備すると重量は約20キロにも及び、これをつけたまま、ロープ一本でビルから降りるなど、立てこもりやハイジャックなどを想定した訓練を日々行っている。

今回も、フル装備で救出作業に携わっていたが、防弾チョッキのわずかなすき間が命取りとなったことに、警察庁幹部は「手足への銃撃は命にかかわらないため、任務の性質上、隊員も覚悟しているが、今回は不運としか言いようがない」と漏らす。
装備について、「犯人側に手の内を知らせることになる」として、警察庁はその性能を一切明らかにしていないが、既に諸外国の特殊部隊と同レベル(警察庁幹部)といい、それだけに対策も難しい。
同庁幹部は「より軽量化、より防弾化を高めてもらうよう、メーカーに依頼するなどして、何とか進めるしかない」と話している。
「弾100発ある」説得で土下座の警官撃つ・・・住民恐怖の夜
(2007.5.18 読売新聞)
暴力団関係者の凶弾が、またも社会を震撼(しんかん)させた。
警察官1人が命を落とした愛知県長久手町の住宅街で17日に発生した立てこもり事件。元暴力団組員の大林久人容疑者(50)は「近づいたら撃つぞ」「弾は100発ある」と、自宅隣の建物の中からわめき散らし、説得のため土下座した警察官や、救出しようとした機動隊員らに容赦なく発砲した。
包囲する警官隊とのにらみ合いは深夜になっても続き、周辺住民は恐怖の夜を過ごした。

◆現場◆

パン、パン、パン。夜の住宅街に拳銃の発射音が何度も、とどろいた。
通報で駆けつけた木本明史巡査部長(54)は大林容疑者に右肩を撃たれ、門の前で倒れていた。
当初は木本巡査部長の無線機を通じて苦しそうなうめき声が聞こえていた。
午後6時ごろからは聞こえなくなったため、県警は午後9時20分ごろ、木本巡査部長の救出に踏み切った。
盾を持った機動隊員ら数十人が横一列になって壁のような体勢で一気に玄関先になだれ込み、倒れていた巡査部長を引きずるようにして、助け出した。
しかし、救出する様子を見た大林容疑者が窓から顔を出し、何かをわめきながら数発発砲。
このうち、1発が周辺を警戒していた林一歩(かずほ)巡査部長(23)に当たり、林巡査部長は収容先の病院で死亡した。
死亡した林巡査部長は愛知県出身で、2002年4月に採用され、一宮署勤務後の2005年4月から機動隊に配属されていた。
先月1日に巡査部長に昇進したばかりだった。妻と長女がいる。

◆目撃者◆

現場から県道を挟んで約30メートル東にある愛知学院大商学部2年の男子学生(20)は、最初の発砲があった時、大学の寮の自室にいた。
タイヤがパンクしたような音を3回聞いた。
外に出たところ、警察官から「発砲事件だ。近寄るな」とどなられたという。
その直後にも発砲音は2、3回聞こえた。
部屋からは、大林容疑者が窓から拳銃を持って顔を出している様子も見えたという。
まず、女性が現場の門の前で撃たれた。
大林容疑者は警察官に向かって「裏から突入するなよ。ここは、分かるシステムになっているからな。弾丸は100発ぐらいある」とわめいていたという。
その後、説得に当たっていた警察官2人のうち、木本巡査部長が敷地内に入って行くのを見た。
大林容疑者は、木本巡査部長に「土下座しろ。帽子をとって、頭を地面につけろ」と要求。
木本巡査部長はその通りにしたが、大林容疑者は発砲し、木本巡査部長は門の前で倒れたという。
「銃器犯罪は断じて許されない」政府が新たな対策検討へ
(2007.5.18 読売新聞)

政府は18日午前、銃器対策で新たな施策を検討するプロジェクトチーム(PT)の初会合を内閣府で開いた。
愛知県長久手町で発生した拳銃発砲立てこもり事件、長崎市長射殺事件など銃器犯罪が相次いでいることを受け、銃刀法の罰則強化や銃器情報提供者への懸賞金制度創設などを検討し、7月上旬までに結果をまとめることを決めた。
PTは、内閣官房や警察庁、法務省など関係省庁の課長級で構成している。
銃器対策を担当する高市沖縄相は「市民生活を脅かす事件が発生しており、さらに一歩踏み込んだ対策を実施することが国民の安全と安心を守る喫緊の課題だ」としたうえで、

  1. 銃刀法の罰則強化など関係法令の見直し
  2. 銃器の密輸防止のための水際対策の一層の強化
  3. 学校教育での銃器対策教育のあり方

などを検討するよう指示した。
これに関連し、塩崎官房長官は18日の閣議後の記者会見で「銃器犯罪は断じて許されるものでなく、強い憤りを感じる。
政府として銃器対策推進計画を採択したが、現下の情勢を踏まえた一歩進んだ対策の実施へ向け、知恵を絞ってもらいたい」と述べた。
長勢法相も記者会見で「銃器管理が今の状況でいいか見直すことがあるのではないか」と語った。


5月19日(土)-ドバイに惚れた男

私が昨年夏のイタリア・マルタ旅行へ行くために使ったキャリアがエミレーツ航空だった。
この航空会社は円安ユーロ高、原油高のダブルパンチの中で欧州へ行く航空券(燃油サーチャージ込み)が唯一20万円を切るものだった。
それだけにエミレーツ航空の欧州行き路線は人気があり、加えて私の旅友達は、「ドバイ(UAE)はイスラム文化を感じられるブランドショッピングのメッカ」となっており、そのために最近では女性観光客が大挙して押し寄せているので、いつも混んでいるらしい、と言っていた。
その友人はまた、金を使う気で行くのでなければ、ドバイはつまらないかもしれない、とも言っていたので、マルタ行きの飛行機の乗り継ぎの合間に寄ってみるだけで十分だと思った。
そして、行った後の感想も一言でいえば「中東のシンガポール」であった。
要するに、シンガポールがビジネスとグルメと買い物の街(政府はそのイメージを変えようとしているが)であるのと同じように、ドバイも格安旅行者にとっては魅力があまりないと思ったのだ。
ましてカジノもないのであれば、2度目の訪問はないかもしれないと感じたほどだった。

ところが、ドバイ(UAE)に惚れた男がいる。
香港資産運用奮闘記の管理人であり、私の友人でもあるkz@銅鑼湾こと石田さんだ。
彼のウェブサイトは昨年夏には知っていたが、実際にお会いしたのはアジア株「タイ株」海外投資ロングスティの管理人で、バンコク在住の友人でもある阿部さんが来日して講演した先月のタイ株投資セミナーのときだ。
彼の雑記(Diary)の内容が先月以降、ドバイ一色と言っていいほどになってきているが、実際に話を聞いたときにも投資対象としてのドバイ(というより湾岸諸国)への熱い思いを感じたものだった。
私自身、昨年夏にドバイに行ったときには、当然ながら一旅行者としての目で見ていたので、投資をしようとする人が見るとこんなに違うものなのかと思ったものだ。
今のままいくと、彼のハンドルネームもkz@ペルシャ湾と変わる日も近いことだろう。(笑)

その石田さんから、とうとう「ドバイ株投資完全マニュアル」を出すことになったと聞いた。
彼曰く、「今、世界から注目されている「ドバイ(UAE)」に投資するための、おそらく日本で初めての、本格的ドバイ株投資マニュアル本」とのこと。
発売日は来月13日、発売日前の6月3日~6日にかけて、Amazon予約キャンペーンを行うようなので、希望者はこちらのキャンペーンページから登録できる。
ちなみに、登録者にはもれなくマニュアル本に掲載しきれなかったドバイ企業レポートをくれるそうだ。

今、ドバイ(UAE)は

が現在進行形で行なわれていて投資先としては非常に有望であるとのこと。
ポストBRICsは石田さんが言うようにドバイ(UAE)を始めとする湾岸諸国というのも十分にあり得ることだ。
そして、先月のIMFレポートの分析が当たっているなら、米国の経済成長に支障が生じた場合の波及効果もそれほど大きくないことになる。(2007年4月9日「今日の一言」
今は市場規模がそれほど大きくないのでIMFレポートに書かれているよりリスキーだと思うが、将来的には国際分散投資のカテゴリーの一つに加えてもいいだろう。


5月13日(日)-HSBC香港でワラント投資を

相場の格言に「市場は最高に見えるときに最も危険であり、最悪に見える時に最も魅力的である(The market is most dangerous when it looks best; it is most inviting when it looks worst.)」というのがある。
去る5月2日の日経ビジネスには「英エコノミスト誌から」として「バブル崩壊前の日本を思い出させる中国の株式市場」という記事があった。(原文はChina's stockmarket bubble - The people's republic in the grip of popular capitalism on Apr 26th 2007
「急騰する中国株式市場の分け前にあずかろうとする投資家の初心者たちが、口座を新設するために中国招商証券の北京支店に列をなしている。(WOULD-BE share punters, keen for a piece of China's booming stockmarket, are queuing to open accounts at a Beijing branch of China Merchants Securities.)」という出だしで始まる記事は、いつ相場が暴落してもおかしくない危険性をはらんでいる。
また、国際戦略情報研究所の原田武夫氏は「マーケットは今年6月に「瓦落(がら)」となる」とも言っている。
以前から「下げ相場への準備を」と書いている私は現在絶好調な海外市場を見ながらHSBC香港の口座を使ってワラント(warrants)に投資するための勉強を始めた。

ワラントは、オプションを証券化した有価証券で、ワラントの対象銘柄や株価指数(underlying)が上がると思えばコール(call)、下がると思えばプット(put)を買うことになる。
コールワラントは、ある商品(株式や為替など)を満期日に特定の価格(権利行使価格)で買うことができる権利をいい、プットワラントは売ることができる権利で、ワラントの価値に大きな影響を及ぼすのは、原資産価格(Underlying Price/Spot Price)、ボラティリティ(Volatility)、残存期間(Expiry/Maturity)の3つと言われている。
要するに、ワラント価格は実態価値(Intrinsic Value)と、時間的価値(Time Value)で構成されているので、原資産に値動きがないと儲けることができないし、時間が経過するごとに価値が少なくなっていくからだ。

ワラントの魅力は「元手は小額で予想が当たれば大きい」というものだ。
これは新たにできた小口投資家用の口座、SmartVantegeの人にとっても有力な投資方法である。
一方のリスクは、ワラントに投資した元本に限定される(株式の信用取引のように追証がない)が、予想が外れた場合に損切りが速やかにできないと、全額を失う場合も多いと言う。
こうしたリスク回避には、Two-Way Limit Order(W指値=売値の上限と下限を双方指定する注文)が有効だろうか。
私は為替証拠金取引(FX/foreign exchange margin trading)をやっていないので、こうしたものは一からの勉強となるが、すでにFXをやっている人にとってはそれの応用で投資できるのではなかろうか。

現在、好調な香港市場が下げ相場になったときに儲けるための手段は、定期預金(time deposit)にして放置するか、債券(bonds)あるいは金(gold)(これは必ずしも上がるとは限らない)を買うかということになろうが、さらにもう1つのチャンネルがこのワラントというわけだ。
なぜ、慣れないワラントに手を出そうというのかと言うと、HSBCのPowerVantage口座保有者には信用取引(margin trading)のサービスもあるが、これは香港の永住権を持つ18歳以上の者(Securities Margin Trading service is available to HSBC Premier and PowerVantage customers+. +This service is only offered to Hong Kong permanent residents aged 18 or above.)しかできないし、できたとしても買い(purchase)しかできないからだ。

ワラントを勉強するにあたって本を買おうと思ったのだが、今やFX本が花盛りでワラントの本など大きな書店でもほとんど並んでいない。
何軒か本屋をハシゴして見つけたのが「「eワラント」必勝テクニック-フィスコトップアナリストが直伝!」、最初からネット書店で仕入れてもよかったのだが、初心者向きの本かどうか中身を見てから買いたかったからだ。
もちろん、ここで書かれている内容は日本の証券会社で投資するワラントのことであるが、戦略はどこでも同じだから全く問題はないだろう。
とりあえず、英語で書かれている用語を単に和訳したところで、何のことか理解できなければ意味がないので、こうしたところから始めようというわけだ。

まずは、HSBC香港のワラント(warrants)検索画面(Warrant Search, Term Sheets)から必要と思われる用語を抜き出してみた。
解説は前出の著書や、よくわかる金融用語辞典eワラント研究室ゴールドマン・サックス・eワラントなどを参考にさせていただいた。
実際の投資はLot Sizeのところに表示された株数単位で行なうが、初めは最小単位でどんなものか試してから本番に入ろうかと思っている。

ちなみに、メールで問い合わせたところ、HSBC香港では現在のところ、株式の空売りとベアファンドの取り扱いはないとのことである。(We currently do not provide securities short selling or bear Mutual Funds services. For information of the investment services we offer, please feel free to visit our website. Should you have further queries, please feel free to contact our PowerVantage Investment Service Hotline on (852) 2996 6000.)

用語 解説<用語集のダウンロード(Excel)
Issuer ワラントの発行会社、検索画面Macquarie Warrantsの方が秀逸。
Underlying 日本語では対象銘柄あるいは原資産と呼ばれ、ワラントが対象とする個別銘柄、株価指数などのことを指す。
Warrant Type 原資産(Underlying)が上がると思えばコール(Call)、下がると思えばプット(Put)を選択する。
コールワラントは、ある商品(株式や為替など)を満期日に特定の価格(権利行使価格)で買うことができる権利をいい、プットワラントは売ることができる権利をいう。
Expiry (Maturity) 満期日。HSBC香港の検索画面では、今から3ヶ月以内、6ヶ月以内、6ヶ月以上先から選ぶ。
Strike 権利行使価格のことで、Exercise Priceとも言う。
Implied Volatility インプライド・ボラティリティは、重要な指標の1つで、日本語では予想変動率と呼ばれ、これは歴史的変動率(Historical Volatility=実際の過去の相場の変動率)をもとに、今後の相場動向の予想や需給関係を加味して、今後、原資産がどの程度動くかの予想値を算出したもの。
原資産価格の変動幅が大きいほど、ボラティリティは高くなり、また、ボラティリティが高いほど、プレミアムは高くなり、逆にボラティリティが低いほど、プレミアムは低くなる。
Break Even 満期日までコールワラントを保有した場合に、原資産が損益分岐点となる価格まで上昇していれば損益ゼロとなる。プットワラントの場合は逆に損益分岐点となる価格まで下落していれば損益ゼロとなる。但し、手数料は考慮されていないと思われるので注意が必要。
Moneyness 満期日になったときに買ったワラントが実態価値(Intrinsic Value)を持っているかどうかの判定基準で、%表示は、現時点の原資産価格(Underlying Price/Spot Price)と権利行使価格との乖離度を示す。

ITM/In the Money コールワラントは原資産価格が権利行使価格を上回っている状態、プットワラントは原資産価格が権利行使価格を下回っている状態をいい、損益分岐点(Break Even)を超えてITMの状態にあるワラントは満期日まで持っていても利益が得られる可能性がある。
どのワラントを買うか迷ったときや初級者は、ITMのワラントを選ぶといい。
OTM/Out of the Money コールワラントは原資産価格が権利行使価格を下回っている状態、プットワラントは原資産価格が権利行使価格を上回っている状態をいう。
OTMのワラントは実態価値(Intrinsic Value)がないため、満期日が近づき、ITMになる可能性が少なくなるにつれて(概ね残存期間が1ヶ月を切ると)急速にワラントの価値が下がり、満期日にはゼロになる。
逆に短期間で原資産が急騰(プットワラントの場合は急落)し、ITMになればギアリング効果が高いのでリターンも大きくなる。
ATM/At the Money 原資産価格と権利行使価格が同じ状態をいう。
ATMのワラントも実態価値(Intrinsic Value)がないため、満期が近づくにつれてワラントの価値が下がり、満期日にはゼロになる。
Premium プレミアムとは、損益分岐点(Break Even)となるまでにどれだけ原資産の価格が上昇(コールワラントの場合、プットワラントの場合は下降)する必要があるかを、現時点の原資産価格(Underlying Price/Spot Price)に対する割合で示した指標で、長期保有の場合の判断材料として非常に役立つ。
すなわち、コールワラントを購入して満期日時点の受取りで利益を得るには、原資産価格が購入時のプレミアム分以上に上昇する必要がある。
従って、プレミアムが小さいほど満期日まで保有した場合のリスクは少なくなり、こうしたワラントは長期保有に適しているとも言える。
Effective Gearing Ratio ギアリングとは、ワラント投資の効率性を示すもので、普通株式に投資するのに比べて何倍のリターン(又はリスク)があるかを指標化したもの。
ギアリング=原資産の価格×1ワラント当たり原資産数(Conversion Ratio)÷ワラント価格
これにデルタ(Delta)をかけたものが実効ギアリング(Effective Gearing Ratio)である。
短期で勝負しようという場合は、実行ギアリングが高いワラントを選ぶといいが、時間的価値(Time Value)減少のリスクが大きく、満期日までの残存期間に注意する必要がある。
デイトレードから数日間の短期トレードの場合、ワラントの価格変化率は原資産の変化率に実効ギアリングをかけたものが目安となる。
Delta コールワラントのデルタは、原資産の価格の上昇に対して、ワラントの価格が何%上昇するかを示す。逆にプットワラントのデルタはマイナス表示され、原資産の価格の下落に対して、ワラントの価格が何%上昇するかを示す。
例えば、デルタが80%の原資産の価格が1香港ドル上昇した場合、コールワラントの価格は0.8香港ドル上昇すると予想される。逆にデルタが-30%の原資産の価格が1香港ドル下落した場合、プットワラントの価格は0.3香港ドル上昇すると予想される。
デルタが50%(プットワラントは-50%)を超えているものはITMである可能性が高く、原資産の上下によってワラント価格も連動する可能性が高い。
Conversion Ratio 日本語では1ワラント当たり原資産数と呼ばれ、ワラントがどれだけの原資産を対象としているかをあらわす。例えば、この数値が0.1になっていると、1ワラント当たり0.1株が対象となっていることを示している。

5月6日(日)-消費税がフリーターを増やした

フリーライターで元国税調査官の大村大次郎氏の著書「国税調査官が教えるなぜ金持ちが増えたのか?-税が格差社会を作った」の中に「消費税がフリーターを増やした」という一節があった。
要は、企業にとって正社員を雇うことは消費税の負担増になるので、昨今の不況下ということも相俟って非正規雇用の増加に拍車をかけているとのことだった。
収入が低い世帯ほど負担が重くなる消費税の逆進性の問題については、至るところで見聞きすることなのであるが、このことを知っている人はどの程度いるのだろうか。
実は私もこのことは彼の著書を見て初めて知ったことなのだが、もしかすると、国税当局者、経営側(財務・経理部門)や公認会計士、税理士以外の人はほとんど知らないのではないだろうか。

ここでいう消費税がなぜ非正規雇用者を増やすことになるのか、ということについては消費税法第2条第1項第12号(課税仕入れの意義)の例外規定に原因があるようだ。
この規定は法人が商品やサービスの対価として支払った金額のうち消費税分に該当するものは、原則として仕入税額控除の対象となるというものだが、所得税法第28条第1項に規定する給与等を対価とする役務の提供(消費税法基本通達11-1-2:雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく給与等を対価とする労務を提供のほか、過去の労務の提供を給付原因とする退職金、年金等も含む)は除く、と明記されている。
単純に言えば、社員の給与と退職金は消費税法上では経費にならない、ということだ。

ところが、企業が正社員を雇う代わりに派遣会社から人を受け入れれば、経理上は派遣会社に対する労働者派遣料(外注費)ということになり、消費税の仕入税額控除の対象となる。(消費税法基本通達5-5-11)
つまり、企業は正社員を直接雇っても派遣社員を受け入れても同じぐらいの経費がかかるとしたら、消費税分を仕入税額に計上できる方を選ぶだろう。
当然ながら、正社員を雇った場合には、企業が支払うことになっている健康保険料や厚生年金保険料といった法定福利費(労使折半)の負担増のリスクがあるため、これがますます社員の非正規化に拍車をかけているのは言うまでもない。

経団連は消費税率を2ケタにすることを公然と主張しているし、政府は夏の参議院選挙が終わった後には増税論議に着手するだろう。
もし、与野党の国会議員が口先だけでなく「格差是正」を本気で掲げるなら、まずは企業が正社員を雇うことによって生じるデメリットを是正するか、非正規雇用者の待遇を企業が改善できるようにしなくてはならない。
今さら消費税を廃止することが非現実的なことであるならば、少なくとも人件費を消費税法上の課税仕入れとみなす規定を入れ、社会保険料の料率を下げることが必要だろう。
おそらく、企業が非正規雇用者の待遇改善に二の足を踏むのはこの二つが原因と思われるからだ。

ただ、それによって短期的には国の収入が減るので、政府は財政の悪化を持ち出して難色を示すだろう。
しかし、公租公課の負担能力が十分とは言えない非正規雇用の人たちに税金や国民健康保険の請求書を送りつけても滞納になるだけで、事務コストがかさんでかえって財政が悪化することがわからないのだろうか。
それで増税したり健康保険料を値上げすれば、ますます滞納が増えるばかりだ。
それよりも、彼らがそれらを負担できるようにすることが長い目で見れば得策だとは考えないのだろうか。
本来なら野党や労働組合がそういうことは主張すべきなのだが、彼らは非正規雇用者の待遇改善にはあまり興味がないらしい。
おそらく安倍政権が失態を演じ続けても野党が国民の支持を取れないのはそういう姿勢に原因があるのだろう。
一方の大企業の経営者でさえ目先のことしか考えずに社員の非正規化を推し進めるが、そのツケが回りまわって自分たちの身に降りかかることがわかっていないのだろうか。
それとも自分たちだけは海外逃亡を図るからいいというのだろうか。

消費税がフリーターを増やした
消費税の導入というのも、フリーターの増加に大きな影響を与えている。
消費税というのは間接税である。実際に消費税を負担するのは消費者で、企業は消費者から預かった税金を納付するだけ、という建前になっている。
しかし、この建前は錯覚でもある。
企業にとっては、自分が持っている金の中から消費税を払わなければならないわけである。
それが預かり金であろうとなんであろうと、企業の負担になっていることには変わりはない。
「社会全体で5パーセント物価を上げましょう、企業はそれで5パーセント利益が増えるはずだから、それを税金として払いなさい」
それが消費税なのである。

そして消費税というのは、実は人件費にかかる税金なのである。
消費税というのは、「課税売上-課税仕入」という式で算出される。客から預かった消費税から、仕入れなどのときに支払った消費税を差し引いた残りが、納付する消費税ということになるのだ。

この課税売上-課税仕入という式をもっと具体的に表せば、「(売上-経費+人件費)×5%」という図式が成り立つ。
なぜ人件費がプラスされるのかというと、人件費には消費税はかからないという建前なので、課税仕入の中に人件費を入れることができないのだ。
売上-経費というのは利益のことだから、消費税を算出する式は「〈利益+人件費)×5%」ということになる。
つまり、消費税というのは、企業にとっては利益と人件費にかかってくる税金ということになる。
法人税や住民税は利益にかかってくるものだが、消費税はさらに人件費にもかかってくるのだ。

たとえば、売上が1億円、経費が7000万円の企業があったとする。
経費のうち人件費が3000万円だった。
この企業は、利益は次のとおりだ。
売上1億円-経費7000万円=利益3000万円
法人税や住民税は、この利益3000万円に税率をかけたものとなる。
しかし消費税の計算は次のとおりになる。
(利益3000万円+人件費3000万円)×消費税率5%

つまりこうしてみれば消費税は、人件費にかかってくる税金ということがいえる。
ということは、企業が消費税を減らそうと思えば、当然、人件費を減らす努力をする。
人を雇って人件費を払うより、アウトソーシングなどを利用したほうが消費税は安くなる。
ここでも「人を雇うと税金が高くなる」という仕組みになっているのだ。
そのため企業は正規で人を雇うのを控え、アウトソーシング会社などを利用しだした。
アウトソーシング会社は、アルバイトや派遣社員など、いつでも首にできる形で人材を用意する。
この構図が、フリーターを増加させている一因でもあるのだ。
実際、フリーターが急増したのは消費税が導入されて以降のことなのだ。
派遣社員に税金のウマ味-消費税で控除対象
(2006.10.20 税務会計情報ねっ島TabisLand-週刊NP)
景気回復が本格化し、雇用状況も好転しているが、長期化した不況の影響もあり、正社員ではなく、パートやアルバイトを中心に採用を行う中小企業は増えている。
なかでも、「ピンポイント」で欲しい人材を確保できる派遣社員がクローズアップされているが、この派遣社員の活用には税金面でのウマ味もある。

通常、正社員への給与や社会保険料などは、課税仕入れとは見なされない。
また、社員への住宅手当や残業手当、金額過大で給与と見なされた交通費、一時所得と見なされた社員への報奨金なども課税仕入れとはならない。
そのため、こうした経費は、消費税の仕入れ税額控除を適用することはできない。
正社員だけではなく、アルバイト社員やパート社員の給与や賞与、退職金についても同様。
仕入れ課税とならないため、同控除は適用できない。

ところが、派遣会社を通して派遣社員を雇う場合には、派遣会社へ支払う派遣料は課税仕入れとなるため、消費税の仕入れ税額控除を適用できる。
各種手当を含めた正社員への給与などと、派遣社員への派遣料を比較し、さして大差がない場合には、派遣社員を雇ったほうが、消費税の仕入れ税額控除分を安く抑えられるというわけだ。

ただし、節税などのメリットだけで安易に派遣社員を雇い、失敗するケースも少なくない。
派遣料は思いのほか高額なうえに、定着率の良くない会社では、数カ月ごとに派遣社員が入れ替わることもある。
また、正社員との間で摩擦が生じることも少なくない。
経営者としては目先だけでなく総合的に判断したい。
派遣社員活用で人件費削減と消費税節税の“一石二鳥”
(2000.11.17 税務会計情報ねっ島TabisLand-日替り税ニュース・消費税)
いま話題となっているのが、派遣社員を活用することで人件費を削減しつつ、消費税も減らせるという“一石二鳥”の経営手法だ。
総務庁がまとめた「労働力特別調査」によると、8月末の派遣社員数が前年同期を10万人(35.7%)上回る38万人と急増していることが分かった。
この背景には、長引く不況により企業が派遣社員の活用によって人件費削減を図っていることやIT(情報技術)関連の需要が増えていることで即戦力を求める企業の実情もある。
このような企業の事情が派遣社員増加の一因となっているのだが、一方で注目されるのは消費税の納付額を減らせるという税務上のおいしい話だ。
というのも、派遣社員の報酬は、消費税額控除の対象となる仕入れとみなされるからだ。
正社員の給与は消費税の課税対象とはならないから、正社員を増やす代わりに派遣社員を活用すれば、派遣社員の報酬の消費税分だけ納付税額が減る勘定だ。
人件費の固定費化を避け経費削減を図れる一方で、消費税の節税にもなるという“一石二鳥”の人事雇用に、派遣社員の採用を一考する企業が増えそうだ。

関連サイト


5月4日(土)-欧州旅行が大変なのは円安ユーロ高のせいだけなのか

このゴールデンウイークに欧州旅行へ行った人も多いだろうが、最近の円安ユーロ高のせいで、帰国後はことさら懐が寂しくなることだろう。
それもそのはず、去る4月29日にOANDAによる円の対ユーロレートが、1998年10月4日に付けた162.9円(当時はエキュ/XEU)を9年ぶりに更新し、それ以降は163円台で一進一退の状況が続いている。
さらに同じ欧州通貨のイギリスポンドも9年ぶりの安値更新は秒読み段階に入っている。
長期のチャート分析から言えば、ここが円サイドから見てのダブルボトム、ここから反転するか否かというところだが、今年の1月21日の「今日の一言」でも触れたように、BRICs発の暴落相場に端を発する円キャリートレードの手仕舞いでもない限り、円高を期待できる状況にはないようだ。
国際ニュースバリューとしては、1998年6月24日号のNewsweek Japanの特集記事で「円暴落」のことが書かれた時の方がよほど強かったが、当時は「日本発の世界不況を防止せよ」などと言われていた時代、今ではそんなことを言う海外の経済閣僚やエコノミストは一人もいないだろう。
それだけ日本の国際影響力も少なくなったということだろうか。

ところで、9年前にも同じくらい円安であったにもかかわらず、なぜ今回の円安の方が国民へのインパクトが強い感じがするのだろうか。
おそらく当時は円安とか円暴落とか言われても、一部のビジネスマンや海外旅行客以外は、それがどうしたの、というレベルだったからか。
それに今のように外貨投資がポピュラーでなかったし、インターネットによる海外商取引も一部のマニアがやっている程度だったからか。
あるいは可処分所得が少なくなる一方の庶民にとって、円安のニュースはますます世の中が悪くなることへの想像をかきたてるからであろうか。

ユーロという単一通貨がもたらす効果が、特に通貨が弱かった国、例えばスペイン、イタリア、ギリシャ、ポルトガルといった国にとって相当大きいのは事実だろう。
かつて欧州旅行をしたときは、国境を越えるたびに両替が必要で、通貨が強い国はやはり物価が高く、弱い国は物価が安いように感じたものだった。
それが通貨統合のおかげで一変したような気がするのだ。

試しに、1998年のスペイン・オランダ旅行で泊まったホテルの値段をユーロに換算してみたいと思う。
ちなみに当時スペインで泊まったホテルはすべて中級レベルのところばかりだ。
まず最初に欧州中央銀行(ECB/European Central Bank)の旧通貨の両替から旧スペインペセタ(Spanish Peseta/ESP)とユーロの交換レートを見てみると、1EUR=166.386pta (Spanish pesetas)とわかる。
これを例えば、マジョルカ島の中級ホテルであるHorizonteで比較してみよう。
1998年7月当時の値段は、空港の観光案内所を通じた予約レートで、1泊朝食付ダブル(ツイン)ルームで8500ペセタ、これをユーロ換算すると、約51ユーロといったところだ。
そして、昨年夏(7月~9月)のスタンダードダブルは76ユーロとなっている。

これを単純に円換算すると、1998年7月当時は約7800円(1ペセタ=0.92円、ルームチャージ:51ユーロ)、昨年7月1日現在で換算すると約10600円(1ユーロ=140円、ルームチャージ:76ユーロ)、今のレベルだと約12400円(1ユーロ=163円、ルームチャージ:76ユーロ)となる。
この10年間、スペイン経済は好調でそのおかげで物価が上がったとも言えるが、それでもユーロベースでのルームチャージが約1.5倍になっているのは暴騰のレベルだ。
デフレ不況が続いた日本以外ではあまり考えられないが、もし、ルームチャージが9年前と変わってないとすれば、今の為替レートで円換算しても、9年前とあまり変わらないというのがわかるだろう。

これはスペインの一ホテルを例に取っただけだが、もともと通貨が弱かったイタリアやギリシャ、ポルトガルなど、興味があったら比べてみるといいだろう。
私の場合、1990年代は欧州に行っていたことが多く、当時のホテル代や交通費などは旅行記に明示してあるのでそれを参考にするといいだろう。
一昔前に比べて欧州旅行にかかる費用が増えたのは必ずしも円安ユーロ高のせいだけではないかもしれないからだ。
要は通貨の弱かった国の悪く言えば「ユーロ統合による便乗値上げ」かもしれないね。


5月3日(祝)-郵政民営化の光と影

小泉内閣が推し進めた郵政民営化の影響がさっそく出てきたようだ。
私は、ここで「光と影」と書いたが、光の方はあくまでも限定条件付き、影の方は良識がある人なら誰が考えてもそうなるだろうと予想できたことだ。

日本郵政公社の個人向け国債の販売額が今年に入り、計画を下回っている。
4月発行分は初めて2種類ある個人国債のいずれも計画に届かず、販売額は計画の約6割にとどまった。
郵政公社が今年秋の民営化を控え、国債よりも手数料収入が高い投資信託の販売に力を入れていることが背景にある。
国債を販売してほしい財務省には不満がたまりつつある。

要は国債が売れないのならこれを機に本気で無駄遣いをやめる方向に進むというのであれば、このニュースは決して悪いものではない。
ただ、郵政民営化の議論のときも小泉政権によるインチキなすり替え(2005年8月27日「今日の一言」)が行なわれて、結局、国民が望んだ無駄遣いの権化たる独立行政法人(旧特殊法人)や公益法人はノウノウと生き延びていることからも、国債の売れ行き悪化が財政規律の見直しにつながる可能性はあまりないだろう。
むしろ、国債の海外販売を強化するために金利を上げざるを得なくなる可能性の方が高い。
そうなると、団塊世代の退職ラッシュに見舞われる借金まみれの国や地方自治体は言うに及ばず、国債の含み損を抱えることが予想される金融機関、変動金利で住宅ローンを組んでいる人にとっても多大な負担増になる。
最悪の場合、第二の夕張、山一、拓銀が現れ、金融パニックは想像を絶するものになるだろう。

一方で、すでに民営化の弊害も出ている。

職員の「投信の販売目標」は月約1000万円。
郵政公社は「ノルマではない」としているが、職員は「上司からは、達成しないとクビだと言われている」。
職員は客に対し、元本割れのリスクがあることを丁寧に説明しているつもりだ。
しかし「客が完全には理解していないと思いつつ、ノルマを達成するために投信を売ることがある」と告白する。

まるで、一昔前の証券会社のノルマ営業みたいな光景だ。
2005年10月から郵便局での窓口販売が開始されて1年半、従来のイメージしか持っていない私には驚くとしか言いようがない。
そもそも、証券会社と違って郵便局にお金を預けている人はリスク商品に投資するためではなかろう。
あくまで生活費、あるいはリスクを嫌うからこそ預けているのだ。

もともとそういうことをやっていなかった銀行でも1998年12月から投資信託販売が解禁され、今では当たり前のように売っているから郵便局もそのうちそうなる、という人もいるだろう。
しかし、私に言わせれば郵便局は高齢者比率が銀行に比べれば相当高いように思うし、最後の安全の砦と感じている人も多いように思えるのだ。。
また、機械操作の苦手な高齢者にとっては、窓口で応対してくれることが一種の安心感を与えているのも事実だ。
それが、これか・・・と、やり切れない気持ちだ。
このままいくと、かつて地方の郵便局員が一人暮らしのお年寄りの安全確認も兼ねて郵便配達をし、ときには世間話の相手になってやっていた、などという心安らぐニュースもあった郵便局の情景は早々になくなるだろう。
それどころかノルマ達成のために詐欺まがいのセールストークで個別営業をかける職員も出てきて社会問題化するのではなかろうか。

個人国債、鈍る販売 郵政公社、計画の6割
(2007.5.3 朝日新聞)
日本郵政公社の個人向け国債の販売額が今年に入り、計画を下回っている。
4月発行分は初めて2種類ある個人国債のいずれも計画に届かず、販売額は計画の約6割にとどまった。
郵政公社が今年秋の民営化を控え、国債よりも手数料収入が高い投資信託の販売に力を入れていることが背景にある。
国債を販売してほしい財務省には不満がたまりつつある。

「客に個人国債を自ら勧めることはありません。投資信託を売るのが先決だから」 中部地方の郵便局の営業担当職員は、こう漏らす。
職員の「投信の販売目標」は月約1000万円。
郵政公社は「ノルマではない」としているが、職員は「上司からは、達成しないとクビだと言われている」。
郵政公社は各郵便局の投信販売を競わせるためにランキングを作っている。投信の販売実績は職員の手当にも影響する一方で、個人国債は評価の対象外で「職場でほとんど話題にもならない」という。

職員は客に対し、元本割れのリスクがあることを丁寧に説明しているつもりだ。
しかし「客が完全には理解していないと思いつつ、ノルマを達成するために投信を売ることがある」と告白する。
公社の内部資料には、投信と個人国債の手数料収入の比較が掲載されている。
10万円分を販売した場合、10年間の手数料収入は個人国債の604円に対し、投信は6500円と約10倍だ。
郵政公社の2006年度の投信販売額は5955億円と個人国債の約3分の2だが、手数料収入では投信が大幅に上回る。
低金利が続き郵便貯金の残高が減り続けているだけに、投信販売にかける期待は大きい。

一方、郵便局での個人国債の販売計画は郵政公社と財務省が相談して決め、3カ月ごとに売り出される。
4月発行の個人国債の販売実績は1953億円で、計画の3100億円を大幅に下回った。
個人国債は2種類あり、変動金利型(満期10年)が642億円、固定金利型(満期5年)が1311億円売れた。

財務省は機関投資家だけでなく個人にも国債を買ってもらうことで国債市場を安定させようと、2003年に個人国債を導入した。
当初は、郵便局では行列ができ、販売開始当日に売り切れになるところが続出するほどの人気だった。
しかし、2005年秋から郵便局の店頭で投信の販売が始まり、1年後に取り扱い局が倍増すると、個人国債の販売額は落ち込んでいく。
今年1月には初めて、計画を下回った。
財務省にとって、郵政公社は個人国債の販売の主力ルートで、民間金融機関を含めた全体の販売計画の十数%を占めるだけに、郵便局販売の「不振」は痛い。

郵政公社は「お客様のニーズに合わせて、投信も個人国債も等距離で扱っている」(幹部)と強調する。
しかし、財務省関係者は「郵政公社に個人国債を売ろうという意欲が感じられない」と話す。
財務省には「郵便局に国債を買いに行ったのに、投信を勧められた」といった苦情も寄せられている。
楽天証券経済研究所の山崎元・客員研究員は「短期金利が上昇しているため、以前よりも個人国債の相対的な魅力が低下しているのは事実だが、郵便局がより手数料の高い投信に顧客を誘導しているとすれば問題だろう」と話している。

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