去る29日、今年は新年早々トラブル続きだったゆえ、困ったときの神頼みではないが、厄払いをしてもらいに鎌倉の鶴岡八幡宮へ行ってきた。
事前調査をして行ったわけではないが、奇しくも当日は鶴岡厄除大祭(節分前直近の土日を含む3日間、今年は1月28日から30日)に当たっていた。
そこで、今年は厄年ではないのだが、厄年以上に悪いことばかりが続くので、1万円もの大枚を叩いて厄除祈祷をしてもらうことにした。
この厄除大祭のときは、通常の祈願とは違って、名前を書いた厄難焼納札(やくやきふだ)を浄火にくべ、より強くお祓いを行うそうだ。
祈祷は各回100人ずつまとめて行い、最初に舞殿において厄除祈祷を行い、その後で厄難焼納札(やくやきふだ)を焼納する儀式が行われる。
その甲斐があったのか、厄払いから帰宅すると、偶然にも先日申請をした海外旅行傷害保険の保険金の給付決定通知が送られてきていた。
携行品損害プラス帰国後の肺炎治療費も給付の対象となっていて、事前に療養費も出るとは聞いていたとはいえ、検査や毎日の点滴費用などで2万円近くの出費があっただけにこれは大きかった。
総額で約5万5千円、厳密に言えば損失補填なのだが、この臨時収入で温泉にでも行こうかな。
鶴岡厄除大祭 | |
去る28日、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX=New York Mercantile Exchange)で取引される3月限月のウェスト・テキサス・インターメディエート(WTI=West
Texas Intermediate)原油先物価格が前日比で一気に3.85ドルも急騰し、89.49ドルで取引を終えた。
60ドル台まで落ち込んだ半年前に比べればずいぶんと上昇したものである。
この原油価格の上がり方はBRICsを始めとして世界株高に沸いた2007年を彷彿とさせるものがあるが、チュニジアの政変に始まった中東情勢の不安定さがこのまま続くようだと、原油価格は再び100ドルの大台を突破し、2008年上期のような急騰が再来すると予想されている。
フィナンシャルタイムズ紙によれば、国際エネルギー機関(欧米諸国)がOPECに対して原油価格の沈静化を要請したことに対し、アブドラ・サレム・バドリ事務局長が投機家(speculators)を非難して原油の増産要求を突っぱねたとあるからだ。
ほとんどの中東諸国が非民主国家であることから、こうした民主化要求が広がりを見せる可能性は十分にあり得る。
これが中国なら平然と武力鎮圧しろと言い、政権側に武器や金まで授けるのだろうが、欧米を始めとする西側諸国は民主主義を正義としていることから、政権側とどれほどずぶずぶの仲になっていても、石油のために市民のデモを力ずくで鎮圧しろとは口が裂けても言えまい。
それにエジプトのムバラク政権が仮に崩壊した場合、その受け皿の一つが、世俗法によってではなくイスラム法(シャリーア)によって統治される、イスラム社会の確立を目標としている「ムスリム同胞団(Al-Ikhwan/Muslim
Brotherhood)」と言われる。
これではエジプトがトルコのような穏健なイスラム国家になるどころか、1990年代のアルジェリアのように血なまぐさい内戦が起こることになるだろう。
このように独裁政権が崩壊すれば万歳とは言い切れないところに中東の難しさがある。
いずれにせよ、今年の上期はエジプトが国際金融市場を揺さぶり続けるのは間違いないだろう。
日本のメディアは今のところ単なる中東の政変劇という視点でしか記事を配信していないようだが、円高ドル安によって原油高の衝撃を吸収できる間はいいが、為替が円安ドル高に振れれば国民の悲劇はリーマンショックが襲う前だった2008年上期の比でないだろう。
私に言わせれば、2008年のリーマンショック以降の円高原油安を奇貨とするべき(2008年10月26日「円高、原油安は日本にとってグッドニュースではないのか」)だったと思うのだが、今からでも円安原油高に備えた政策を取るべきではなかろうか。
また、そういったことは日経新聞を始めとする主要メディアの経済面に書かれていて然るべきではないのか。
しかし、私が2007年7月6日「スタグフレーションの足音が聞える」、2006年7月30日「原油高で家計直撃!?」や2005年12月23日「第三次石油ショックを防ぐためか?」で書いたように、国民がパニックを起こすのを防ぐために官僚とマスコミが示し合わせてわざとやっているとしか思えない、というのが現実だろう。
それに経済に疎いなどと公言するような菅直人首相には霞ヶ関の官僚だって愛想を尽かして非公式な情報を上げようとは思わないだろう。
事実、27日にS&Pが日本国債の長期格付けを「AA」から「AAマイナス」に引き下げたことについても首相は、「初めて聞いた。本会議から出てきたばかり。そういうことには疎いので、改めてにしてください。」と言ったと報じられた。
ほとんどの人は「(経済に)疎い」というところに論点がいってブログやツイッターで首相を血祭りに上げていたようだが、私は首相が「(本会議後に)初めて聞いた」ということも大いに問題だと思う。
また、日本国債の格下げを受けて債券市場では国債が売られて長期金利が上昇し、為替も対ドルレートで1円近く円安に振れた。
これが一時的な現象なのか、それとも橘玲氏のコラム「シミュレーション 20XX年ニッポン『財政破綻』」がいよいよ現実になろうかという前兆なのかはわからない。
いずれにせよ、2008年秋から続く円高局面がそろそろ終わりを告げるというサインにはなりそうである。
Oil near $100 level as Mideast tensions grow By Javier Blas and Richard Edgar (January 28 2011 Financial Times) (中東の緊張が高まるにしたがって100ドル近くに達する原油価格) |
Oil prices closed the week nearing the $100-a-barrel mark amid tension in the Middle East and stronger economic growth in the US. 原油価格は中東情勢の緊張と米国経済の力強い成長の真っ只中で1バレルにつき100ドルの水準に近づいて今週の取引を終えた。 But Abdalla El-Badri, secretary-general of the Opec oil cartel, said the market was well supplied and dismissed calls for a boost in the group's output in spite of rising prices and mounting worries about the impact on global economic growth and inflation. しかし、石油輸出国機構(OPEC)のアブドラ・サレム・バドリ事務局長は、市場には十分な供給がされていて、原油価格の上昇にもかかわらず、産油国への増産の要求は却下された。そして、原油価格の上昇が世界経済の成長とインフレに対する影響を懸念していると言った。 ICE March Brent, the global benchmark, rose on Friday to a peak of $99.63 a barrel, up 2.1 per cent on the week and the highest level since late-2008. 金曜日、国際指標である3月限月のICEブレント原油先物価格は1バレルにつき99.63ドルまで上昇した。この週は2.1パーセント上昇と、2008年後半以来最も高いレベルであった。 Nymex March West Texas Intermediate rose to $89.73 a barrel. The price of the US benchmark has dislocated from the rest of the US and global oil market due to rising inventories at the key pipeline hub of Cushing, Oklahoma. ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX=New York Mercantile Exchange)で取引される3月限月のウェスト・テキサス・インターメディエート(WTI=West Texas Intermediate)原油先物価格は、1バレルにつき89.73ドルに上昇した。この米国指標価格は、オクラホマ州のクシンにおける在庫の上昇によって、米国のその他の価格と国際原油価格を左右し続けている。 The price difference between Brent and WTI reached an all-time high of more than $12 a barrel this week. The spike on Friday came as traders bought the commodity after unprecedented unrest in Egypt. ブレントとWTIの価格差は、今週、1バレルにつき12ドル以上の空前の高さにまで達した。金曜日の価格の突然の急上昇は、トレーダーたちがエジプトのかつてない騒乱の後で商品を買ったために起きた。 Although the Arab country is a small oil producer, traders were worried because it is an important gateway for Middle East oil through the Suez Canal and the 200-mile long Sumed pipeline, which connects the Red Sea and the Mediterranean. このアラブの国が小規模の産油国であるとはいえ、トレーダーたちはそこが紅海と地中海を結ぶスエズ運河と長さ200マイルのスメド・パイプラインを通じて中東原油の重要な出入口となっているため心配したのだった。 The closure of either or both choke-points would divert tankers around the southern tip of Africa, adding 6,000 miles to transit. According to estimates by the US Department of Energy, both gateways saw oil flows of 2.1m barrels a day in 2009, the latest data available. いずれか一方、あるいは双方の要衝の閉鎖は、タンカーを6,000マイル多いアフリカ南端を迂回させることになるだろう。米国エネルギー省による推計によると、利用できる最新のデータとして2009年に双方の出入口を通った原油の流通量は1日当たり210万バレルに達していることが確認できた。 "I think people are keeping an eye right now on Cairo," said an executive at one of the top oil trading houses. 「私は、人々は目下のところカイロに注目していると思う」と、あるトップ石油商社の役員が言った。 Traders are also concerned that political protests could spread to other Middle East countries that are more important to global oil markets such as Saudi Arabia. The spike in oil prices towards $100 has raised concerns about its impact in global economic growth and inflation. トレーダーたちは、政治的な抗議がサウジアラビアのような世界的な原油市場にとってより重要である他の中東諸国にまで広がる可能性が出てきたことを心配している。100ドルに迫る原油価格の急上昇は、世界的な経済成長とインフレの影響に対する懸念を高めた。 The International Energy Agency, the western countries' oil watchdog, has asked Opec to boost supplies and bring down prices. 西側諸国の原油監視機関である国際エネルギー機関(IEA)は、OPECに供給を促進して、価格を下げるよう依頼した。 Mr El-Badri said he saw no fundamental supply-and-demand reason for oil prices moving above the $100 a barrel and blamed speculators instead. エル・バドリ氏は、1バレル100ドルを上回って動く原油価格の基本的な需要と供給の理由がないことを見て、その代わりに投機家を非難した。 "People [are] borrowing money and instead of investing in productivity, they invest it in all commodities," he told the Financial Times in a video interview at the World Economic Forum in Davos. エル・バドリ氏は、「人々はお金を借りて、生産性に投資する代わりに、それをすべての商品に投資する」と、ダヴォスの世界経済フォーラムのビデオインタビューの中でファイナンシャル・タイムズに語った。 Mr El-Badri said the cartel's current production and inventories were enough to supply the current demand. But he repeated that the cartel will respond to physical shortages. エル・バドリ氏は、OPECの現在の生産と在庫が現在の需要に応じるには十分であると言った。しかし、彼は実需に不足しているならOPECはそれに応じると繰り返した。 "If we see that there is an imbalance in the market, Opec will act. It is not our interest to see an imbalance." 「我々は市場に不均衡が生じているのを確認すれば、OPECは行動するだろう。我々は不均衡を確認することには関心がない。」 |
私が世界最大と言われるSNS、フェイスブックを認識し出したのは昨年の8月、マレーシアのデサルで会ったシンガポール人の夫婦からアカウントを持っていないのか、と聞かれたのがきっかけだった。
その時点で、すでにウェブサイトやブログもあり、さらにmixiやワールドインベスターズといったSNSにも参加していた私はとても管理し切れないと、メール(英文)のやりとりだけで終わらせてしまっていた。
ところが、年末年始の旅行で会って友人となった人たちは、ほとんどがフェイスブックのアカウントを持っていた。
もっとも留学生など北米の居住者が多かったというのもあるが、旅先で知り合った人に渡す名刺にウェブサイトのアドレスなどを刷り込んでいた私は、これからはフェイスブックのURLも必要なのかと感じるようになっていた。
それがきっかけというわけではないが、グアテマラで4日間旅友であったサトシさんからフローレスで一緒だったタカさんや、年越しメンバーがフェイスブックに集まっていると聞かされ、私もアカウントを作ることを決意した。
まだフェイスブックの使い方が今ひとつわからないでいるのだが、海外投資家の端くれとして株式上場しているかどうかだけは調べてみた。
とりあえず今は上場の準備段階というところのようだが、フェイスブックの株式が上場したからといって儲かるかどうか懐疑的なのはニューズウイークの記者だけではあるまい。
古今東西、広告収入が収益源と言われた企業の株式がブームが去った途端に失速するのは枚挙に暇がない。
それに実名登録が基本のSNSに広告が割り込んできて、いらぬセールスをされるリスクを負うならアカウントを閉鎖しようと思うのは、実名登録に抵抗感のある日本人ユーザーだけなのだろうか。
世界中でパソコンを持てないような途上国の人たちも携帯電話さえあれば繋がれるフェイスブックは確かに魅力的だ。
最近起こったチュニジアの政変劇のウラでは、フェイスブックユーザーたちが情報交換に勤しんでいたと言われている。
何しろ、途上国では携帯電話がコミュニケーションの最重要ツールであるのはもはや常識だし、英語でのやりとりを苦にしない人の割合もアジア(残念ながら日本はそうではないかもしれないが)を始めとしてこれからも増えるだろう。
こう考えると、モバイルアクセス可能なフェイスブックのユーザーはまだまだ加速度的に増える可能性もある。
2012年(今年でなく来年)の米国市場の目玉とも言われるフェイスブックの上場、大化けするか失速するかはアナログメディアの下馬評の逆なのかもしれない。
それに使って良いものだと思うものには投資をしろ、というのも真理だからね。
フェイスブックが1240億円調達、財務情報開示に向け準備 (2011.1.22 ロイター) |
[シアトル 21日 ロイター] ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手「フェイスブック」は、ゴールドマン主導による海外投資家向け株式私募を通じて10億ドルを調達した。 これまでにゴールドマンとロシアの投資会社デジタル・スカイ・テクノロジーズから5億ドルを調達しており、これで目標としていた15億ドル(約1240億円)の調達を達成したことになる。 米証券当局は、株主が499を超える場合、会社に財務情報の開示を義務付けている。 フェイスブックは、今年中に株主は499を超える見通しとした上で、年内もしくは2012年4月末までの情報開示に向け準備を行っているとした。 英文記事:Facebook to unveil financials, raises $1.5 billion |
フェースブックの意外な「お値段」 (2011.1.19 Newsweek Japan) |
最近、何かとメディアを騒がせている世界最大SNSのフェースブック。 今度は金融大手ゴールドマン・サックスとロシアの投資会社デジタル・スカイ・テクノロジーズが5億ドルを出資、おかげで時価総額が推定500億ドルに膨れ上がった。 だが、本当にそんな価値があるのだろうか。 フェースブックの資産は、世界の12人に1人がつながっているとタイム誌が持ち上げたバーチャルなネットワーク。 ただしウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、同社は2カ所のデータセンターに投じた7億ドルを含む巨額のインフラ整備コストを抱えている。しかも財務状況を開示していない。 巨大ネットワークの本当の価値はどの程度なのか。 ポテンシャルが高いのは明白だ。これほど多くの人々が(バーチャルな)1カ所に集い、個人情報を明かしているのだから、ターゲット広告にとってはまたとない格好の舞台となり得る。 ただし、それはユーザーが買い物のためにフェースブックを利用している場合の話。旧友に連絡を取るためフェースブックに登録している人たちが、広告が割り込んでくることを歓迎するとは限らない。 フェースブックがユーザーのネット閲覧状況を広告主に開示できるかどうかも、定かではない。 12月には米連邦取引委員会(FTC)が、フェースブックのユーザーは広告主のネット閲覧情報へのアクセスをブロックできるという規制を提案した。 フェースブックは恐らく来年あたりにIPO(新規株式公開)に踏み切るだろう。 ゴールドマン・サックスは今回の出資で、IPOを引き受ける理想的な立場も手に入れた。 同社の顧客にとっても、巨額の利益を得るチャンスかもしれない。 もっとも、フェースブックが本当に莫大な利益を上げられる企業なのかという重要な疑問は残されたままだ。 ゴールドマン・サックスの出資によってフェースブックの見掛けの価値が跳ね上がったのは確かだが、広告収入への期待が外れるような事態になれば、投資家は大やけどを負うかもしれない。 ゴールドマン・サックスが大口顧客を手っ取り早く儲けさせるために、フェースブックの価値をつり上げたのではないことを祈ろう。 関連記事:フェースブックの「ゴールドマン価値」は本物か |
私は去る14日のコラムで、今回の旅行中「二度」死にそうになったことを書いた。
こんなことを淡々と書いているが本当に死んでいたら新聞の小さなベタ記事で「海外旅行中の邦人が事故死」と書かれていたことだろう。
それ以外にも私は二度、着替えの入ったバッグを盗られた。
一度目は「置引き」、二度目は「車上荒らし」にあったためだ。
わすか2週間の旅行中に、荷物を二回盗られ、二度死にそうな目にあった人の話を聞いたことはあるだろうか。
私はない。
自分自身、20数年の海外旅行経験でこれだけのトラブルに見舞われたのは初めてだ。
ただ、着替えが盗られたといってもほとんどが捨てる予定だったものだというのは不幸中の幸いだが、中には当時の時価でAU$200(約16,000円)したセーターや、旅行記の下書きをしようとして入れていたemobileを失ったのは痛かった。
実のところ一番痛かったのは日本の電子機器(デジカメや携帯)の充電器でこれはほとほと参った。(汎用性がないので海外では入手が困難なのだ。)
そして、その盗難にあったことに対する保険金の請求のために、私はウェブサイトを確認してみた。
私が持っているクレジットカードは、デルタスカイマイルシティクラシックVISAカードと、マイレージ・プラスセゾンカードの二枚で、いずれも海外旅行傷害保険が付帯されることになっている。
ところが、前者はシティアシストとして、「海外旅行に行く場合、空港に行くまでのタクシー、リムジンバス、鉄道料金等、公共交通乗用具の料金や、宿泊を伴う募集型企画旅行の料金をシティカードでお支払いいただくだけで、旅行保険が適用になります。また海外に行ってから、公共交通乗用具の料金をシティカードで支払えば、その時から保険が適用されます。」とある通り、旅行代金のカード払いを条件に付帯されることになっている。
一方、後者は何もしなくとも自動的に付帯されることになっている。
高額の年会費を負担してる方が条件が悪いというのも何か釈然としないものがあるが、ここではそれには触れないでおく。
私は有償で航空券を買う場合は、マイル加算のために必ずクレジットカード払いにしているので、ほとんどの場合、問題はないのだが、微妙なのは特典航空券の場合だろう。
確認したわけではないが、特典航空券の場合でも税や燃油サーチャージ分は別建てでカード払いにさせられることが多いので、実質的にはそれでクリアできるのではないだろうか。
もし、不安なら空港までの足をカード払いにすれば、その時点から保険が適用されるのであればそうすればいい。(保険会社とクレジット会社との間で確認は取れるようだが、証拠のためにチケットや領収書を取っておくことは言うまでもない)
いずれにせよ、カードの申し込み画面の、海外旅行傷害保険は付帯しているいうのを鵜呑みにせず、自動付帯なのか条件付なのかを確認しておいた方がいいだろう。
それと米国やオーストラリアのように医療費が嵩む地域での保険で担保される限度額だ。
最高300万円、ニューヨークで入院しなければならなくなったとき、これで足りたかどうかはわからない。
そういった意味では私は運が良かったというべきなのだろうか。
年末年始休暇を使ったアメリカ・メキシコ・グアテマラ旅行から去る10日に帰国した。
「明けましておめでとう」という年賀状をもらった人に対して返信ができるような状況でも寒中見舞いを出せるような状況でもなかった。
2010年の旅行のし過ぎに対して、「自重しろ」との天罰が下ったのだろうか、無事というにはほど遠い、命からがらの帰国であった。
2011年1月9日の午前9時(現地時間:日本時間は23時)、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港にいた時点で体調は最悪だった。
それにも増して、出発が12時45分から17時15分へ、4時間半の遅れとアナウンスされ、いっそうの疲労感が増す。
デルタスカイクラブのメンバーシップであると言っても空港で過ごす7時間は辛いものがある。
おまけに前夜のオフ会の二次会で酷い咳が出始め、ホテルでそのまま倒れこんだ私に、ほとんど声が出ないという試練まで神は授けた。
もしかして身体障害者になってしまうのか、という恐怖が私の心を支配し始めた。
どの程度声が出せたかというと恋人同士の会話を耳元で囁いているレベルの音量である。
少しでも煩かったりすれば、全く聞えないレベルであった。
空港では幸か不幸か検診(health check=一昨年の豚インフルエンザの流行期には各空港であった)もなく、おまけに搭乗窓口の日本語が流暢なイケメン青年は、私が即製した「風邪引いたので声が出ません(I
have no voice due to catching cold.)」(この英語は正しくないが通じた)メモを見せても、平然と「もうすぐ搭乗です。安心してください」と日本語で言って微笑むだけだった。
その結果、デルタ航空がよく飛行機に乗せてくれたな、という感じで座席に付いたのだが、機内での私は声は出ない、咳を続けて呼吸困難に陥り、生き返って安堵の息をつき、時計を見て、日本の領空に入るのはいつだろう、命が持つのだろうかという感じだった。
突然死というのはこういう状況で起こるのか、あるいは自宅が近づいてホットした瞬間に訪れるのかはわからない。
もとより1月3日のカンクンで、セントロへ行くバスに乗っているとき、意味不明の爆発音みたいなものと同時に大破したガラスの破片を浴びていれば死んでいたのだから同じと言えば同じようなものだった。
機内で生き返るたびに安堵の涙を人知れず流し、自宅についたのは1月11日になっていた。
ニューヨークで突然声を失った私が、そのまま死んでもおかしくない状況だった。
しかし、神は私に生きろといったのかもしれなかった。
病院での検査は、肺炎と喉頭炎だと言われ、点滴を受けた。
そして、入院はしなくとも、自宅で安静にしろと厳命されたのだ。
白血球の数は死線をさまようレベルだったそうだから・・・
今回の旅行は数々のアクシデント、それに反する素敵な旅友達との出会いがあった。
死神とともに帰国した私に今度は何が待っているのだろうか。
これが今年の最悪期になるのだろうか。