今日から新しい人生を歩みたい人のための投資入門講座

【2013年1月1日掲載/2013年11月29日最終更新】

ここで私が書いていることは、一般的な投資本で書かれているような投資のテクニックではない。
今まで投資とは無縁だった人が、どうしたら新しい人生の幕開けを迎えることができるかの心構えなどを、私の経験に即して書いたものだ。
現在、投資をしていて何かヒントになるようなものを、とお望みならば、「エッセイのトップページ」もしくは、「今日の一言 月別インデックス」からお好みのコラムをお読みになるといいだろう。
一方で、投資は家事のようにやらないといけないと思っているけれど、できれば手間をかけたくないと考える方は、友人のPharmさんが、「投資はお風呂掃除と同じだと感じる庶民にオススメサービスは?」を書いてくれた。
私も超初心者のための外貨投資入門(2013年版)というコラムをあらためて書いてみたので、参考にするといいだろう。
今、こんな大袈裟なことを書いている私も1997年11月24日に山一證券が倒産するまでは、現在の3種の神器と呼ばれる、投資も英語もコンピューター(当時はWindows95の時代)も私の日常生活とは無縁だったのだ。
そう考えれば貴方にもできるだろう。
今日というこの日が貴方にとって新しい人生の幕開けとなることを心から願っている。


■プロローグ

今からちょうど半年前、私は「Toward a dream-come-true『経済的自由への扉は開かれた』」というエッセイを書いた。
2003年9月20日、「金持ち父さんへの道(The journey to financial freedom)」を書く中で、投資に人生の活路を見出すことを本格的に決意してからわずか9年後のことだ。
このとき私はこう書いた。
「1997年11月24日の山一倒産で終身雇用本線は脱線することがあることがわかり、最近では終着駅にある年金の泉も枯れそうだとわかっていながらそれに乗り、まして満員の特急目指して立ち席覚悟で切符を買うのは馬鹿げているのだ。新しい泉は自分で見つける。『金持ち父さん』路線か、森永卓郎氏の言う『年収300万生活』路線かどうかは個人の考え方だろう。でも行き先は自分で開拓するのだ。その過程で同行の友が生まれるだろう。少なくとも満員の終身雇用本線の列車に乗り、車掌(公務員)に毒づく人生よりマシだと思う。」

正直言って、昨年5月の香港・マカオ旅行から半年間に及ぶ香港詣は、偶発的な出会いが生んだ産物かもしれない。
しかし、11年前にこのウェブサイトを立ち上げたとき、プロフィールのページに書いた「50代前半でリタイア、あとは南の島でのんびりと・・・」ということが実現の一歩手前まで来ているのは、当時から夢を実現してみせる、という強い信念を持ってやってきたからだと思っている。
スティーブ・シーボルト(Steve Siebold)著、弓場隆訳の「金持ちになる男、貧乏になる男」(How Rich People Think)にはこう書かれている。
「貧乏になる男は『現状に安住すること』を子どもに教え、金持ちになる男は『夢を追い求めること』を子どもに教える。」
自分でやろうともしなかったことを子どもに教えられるわけがない、ということは即座に理解できるだろう。

世の庶民と呼ばれる人たちは、私自身や家族も含めて、金持ちではないことの方が多い。
そこから自分が変わるためにはどうするか。
「金持ちの考え方を学び、まねをし、行動を起こせばいい。」と著者は言う。
単純に言えば、「庶民感覚なんてクソくらえ!」ということだ。
私がここでも、また先月のブログ(今日の一言)でも、彼の著書に書かれている言葉を引用することが多いのは、プロローグに「私は人生最初の25年間を貧乏人の考え方で過ごし、いつも貧しくて困っていた。しかし、考え方を変えると行動パターンも変わり、やがて金持ちの仲間入りを果たすことができた。私やその他の金持ちの成功例は特別なことではない。あなたもその気になれば同じことができるのである。」と書かれているからだ。
実体験に裏付けされたものには価値がある、と私は強く信じている。


■お金に対する気持ちを切り替えよう

投資を始める前に、最初にやらなければならないことは、自分の中に持っている「お金に対する気持ち」を180度転換することだ。
スティーブ・シーボルト(Steve Siebold)著、弓場隆訳の「金持ちになる男、貧乏になる男」(How Rich People Think)では、これを「信念」と呼んでいるが、おそらく同じことだ。

具体的な例を挙げよう。
マネー雑誌や投資本などで書かれている「老後不安」、その根拠として多く使われている総務省統計局の「平成24年版 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)」、その中の「高齢者の家計」を見て欲しい。
「平成23年(2011年)の高齢無職世帯の1世帯当たりの月額収入(税込み)は185,000円、一方、生活費などの消費支出と税金などの非消費支出を合わせた実支出は、221,000円となっており、家計収支は36,000円の赤字となり、不足分は金融資産の取崩しなどで賄われている。」と書かれている。

これを見て貴方がどう思うか。
私が投資を本格化させたきっかけは、ボーナスの支給額が減ったことだ。
2001年、2002年は日本でもITバブルの崩壊で株式市場が急速に冷え込み、サラリーマン受難時代の幕開けともなったからだ。
このとき私は「ボーナス減も年収減も一時的なものでなく、これから恒常的にそうなる。それを乗り切るためには収入源を多角化するしかない。」と考えた。
多くの人が給与明細を見て節約に走る中で、私は収入源の多角化を目指して学習を始め、そして今に至っているのだ。

一方で、この赤字分を埋めるために貯金をしないといけないと考えるのは、少々短絡過ぎるだろう
まずは、「家計の防衛のために(2006年3月21日掲載)」にある資金係数表(Excel)を使っていろいろ試算することから始めた方がいいだろう。
なぜなら、これは今、老後を迎えている人の平均値であって、将来も同じようになるかは保証されていないからだ。
日本崩壊 沈みゆくこの国から資産を守る方法」の著者、午堂登紀雄氏は、「貯金によって『安心』は得られるが、安心と引き換えに、『自分の世界を広げる機会』を失うかもしれない。また、節約志向は収入源を多角化するチャンスを逸している。」と言う。
彼は節約志向の人について、「貯めることには熱心だが、上手な使い方や増やし方には鈍感で、それを考えるのも苦手、「自分では何も考えたくないけど、利益だけは欲しい」という強欲的な発想をしがちで、投資詐欺などによく騙される。一方で騙されない人は、有益な情報も含めて、すべてを遮断するので、有望なチャンスすら逃してしまう。」と書いている。
特に、配偶者がいる人は、このようなことを夫婦で話し合うということが重要である。
夫婦の一方だけが投資の意義を理解していても、もう一方が貯金と節約を絶対視していたら、損失をこうむったときに逆境を乗り越えることはほぼ不可能である。

今、公務員や一流企業勤めの中高年男性には、職場宛に「皆様の年金不安を解消するためにお勧めしたい○○があります。」という投資勧誘の電話がかかってくるだろう。
「何でそんな電話を頻繁にかけて来るのか。誰が引っかかるのか。」とお怒りの方はよく認識するといいだろう。
節約志向で貯金好き、投資下手な日本人の多くは、午堂登紀雄氏に言われるまでもなく、世に蔓延る「老後不安ビジネス」のターゲットなのだ。
彼らの話を一方的に遮断して電話を切るのは自己防衛策としては悪くないと思うが、私は「必ず(顧客が)損をする投資話」がどういうものか勉強するいい機会と捉えて相手をすることもある。
なぜなら、「老後不安ビジネス」の終着駅は、退職金が振り込まれる銀行の投資信託部門のセールスであり、在職中に「投資などやりたくない、興味もない」と言っていた人が、実際に老後を目の前にして「老後不安ビジネス」のカモになるからだ。
日本の銀行で販売している投資商品は、手数料がバカ高く、パフォーマンスが悪い商品ばかりが並んでいるが、これは決してカモの多さと無縁ではないことを肝に銘ずるべきである。
友人のPharmさんは、これらのことに関して「投資は万人に必要な護身術」とも書いている。
若いときの失敗はいくらでも取り返せるが、「老後不安ビジネス」に引っかかったらお手上げである。


■投資のための準備

投資するための資金を準備しよう。

これがないと何も始まらない。
とりあえず投資の練習のためとはいえ50万円から100万円程度の金は用意したい。
独身者や夫婦共稼ぎで子どもなし(DINKS)の人は比較的簡単に用意できると思うが、子どもがいたり妻が専業主婦だったりすると難しい人も多いだろう。
こういった人で、将来(老後)のために、あるいは、子どもの結婚資金のために、などという理由で貯蓄(個人年金などの貯蓄性保険商品を含む)をしている場合は、それを投資に回そう。
正直言って、これらの目的のための貯蓄が実を結ぶ確率は、今の経済情勢から見てかなり厳しいと言わざるを得ない。
退職金でも入らないと資金の用意はできない、などと言っていると「老後不安ビジネス」のカモになる可能性が大きい。
ご注意あれ!

株マップ.comなどの証券会社、FX会社の比較サイトを使って、どこに口座を開くか検討する。

比較検討が面倒であれば、素直に株マップ.comで証券会社総合ランキング1位のSBI証券、FX会社総合ランキング1位のGMOクリック証券の2つに開けば問題ないだろう。
株式投資をするための証券会社については、ETF(上場投信=Exchange Traded Fund)の選択を容易にするため、米国株口座のあるところに口座を開いた方がよく、できれば外貨(米ドル)を円に戻さずに、シティバンク新生銀行など自分の外貨預金口座へそのまま送金できるところが望ましい。
私は米国株の取引をFirstradeで行っているが、投資初心者に海外口座の開設は困難なので、日本で米国株取引ができるところを選んで欲しい。(参考:米国証券会社(Firstrade, TD Ameritrade)の口座開設と活用について
ちなみに私が口座を持っている大和証券は、米国株口座と外貨直接送金可能の2つの条件を満たしている。

銀行口座の見直しをする。

今まで自宅や職場の近く、あるいは職場の指定といった理由で銀行口座をお持ちだと思うが、それとは別に投資資金の出し入れ用(ハブ)口座として、証券会社などとの資金のやりとりが有利な銀行に口座を開設した方がいい。
残念ながら地方銀行や信用金庫は投資用のハブ口座には不適格なところが多いので、日常生活資金用に特化すべきだ。
ここで注意しないといけないのは、間違っても預金(日本円・外貨ともに)金利の多寡で銀行を選んではならないということだ。
銀行を選ぶ際に重要なのは、投資用の金融機関(証券・FX・外国銀行)やオンラインショップなどと、どれだけリーズナブルかつスムーズに資金をやりとり(決済)できるかであって、自分のところに資金を囲い込もうという意図がありありな銀行は、即座に切り捨ての対象である。
また、将来的に外国で資産運用とお考えなら、オンラインで海外送金のできる銀行に口座を持つといいだろう。
まずは、日常生活資金用の口座と投資資金用の口座を厳格に分別しよう。
これは、家計を管理する上でも重要なことである。

投資商品や証券用語の基礎を学ぶため、FX投資やETF投資の入門書を買ってみる。

これらの本は投資のテクニックを学ぶためのものでなく、商品の基本や証券用語などを学ぶためのものである。
私の初心者向けのお勧め投資は、FX(外国為替証拠金取引=Foreign exchange)とETF(上場投信=Exchange Traded Fund)なのだが、とりあえず、これらについて学んでみるといいだろう。
特に、証券用語の成行注文(market order)や指値注文(limit order)、逆指値注文(stop limit order)などの言葉がわからないようでは株式やETFの発注すらできないし、レバレッジ(leverage)やスワップポイント(swap value in points)といった言葉がわからなければFX投資はできない。

去る12月27日のワールドインベスターズ「24時間テレビ打ち上げ&忘年会」に参加させていただいたときにお会いした晋陽FPオフィス代表のカン・チュンド(Choong Do Kang)さんに、投資初心者のためのETF(上場投信=Exchange Traded Fund)入門書があったら教えて欲しいとお願いしたところ、北村慶氏の「ETFとは何か」と、ご自身の著書である「ETF投資入門」の2冊を紹介された。
そしてFX投資に関しては、エフピーウーマン著、田嶋智太郎監修の「日本一やさしいFXの学校」という本が私の手元にある。
ほかにもいろいろあると思うが、とりあえずこれらの本を読んでみたらいかがだろうか。

月に数回は経済誌やウェブサイトの記事を読んでみる。

今まで新聞しか読んだことのない人でもこれからは経済誌やウェブサイトの記事を読むクセをつけよう。
定期的に購読する前に試し読みをしたいなら、インターネットカフェがお勧めだ。
ここには漫画だけでなく、最近では経済誌なども置いてあって、ソフトドリンクなどもあるので喫茶店代わりにもなる。
ところで、将来有望な市場は、残念ながら日本でなく東南アジアを中心とする新興国だ。
特にETF(上場投信=Exchange Traded Fund)に投資する場合は、そういった意味でも国際経済事情のチェックは必須と言えるので、雑誌やウェブサイトもそういう視点で見る必要がある。

ウェブサイトで私がお勧めしたいのは、JB Press(日本ビジネスプレス)、もちろんすべての記事ではないが、Financial TimesEconomistなどの英字メディアの翻訳版があるので、私が特に気に入っているところだ。
また、ウォール・ストリート・ジャーナル日本版ニューズウイーク日本版ブルームバーグ日本版ダイヤモンド・オンラインもいいと思う。
あとは仲間贔屓になるが、ワールドインベスターズTVは、日本ではあまり知られていない新興国情報を知るためのいい手がかりになるだろう。
日経新聞を購読している人はそのまま継続するといいが、ほかの新聞は国際面が希薄なので、投資には必要ないだろう。
ちなみに、私の友人であるReimeiさんは、10年以上前に私にこう言ったことがある。「Financial Timesが最も日本の経済事情を正確に報道している。」


■実際にFXとETFに投資してみよう

FX(外国為替証拠金取引=Foreign exchange)

FX(外国為替証拠金取引=Foreign exchange)投資をお勧めする理由

  1. 少ない元手で取引できる。(自分のリスク許容度に合わせてレバレッジを変更できる。)
    デモ口座を使えば資金を入れなくても練習できる。資金を入れてトレードするのはデモ口座で練習してからでも遅くはない。
  2. 24時間取引可能なので、自分のライフスタイルに合わせて取引できる。
  3. 取引手数料が安い。
  4. 高金利通貨と円の通貨ペア(例えば、豪ドル(AUD)/円(JPY)や、南アフリカランド(ZAR)/円(JPY)など)で、ロングポジションを取った場合のスワップポイントが魅力的である。(参考:2012年3月25日−スワップ狙いのFX投資で早期リタイアは実現するか 2012年6月9日−スワップ狙いのFXデモトレードの成果
  5. 平成24年(2012年)分の取引から一律20%(所得税15%、地方税5%)の申告分離課税となり、損失の繰越控除(3年間)ができるようになった。(国税庁−外国為替証拠金取引(FX)の課税関係
  6. ショート(売り)の取引が容易である。
  7. 国際経済情勢に敏感になれる。

私が投資を本格化させた頃に書いたエッセイの一つに「初心者のための外貨投資入門(2002年12月1日掲載)」というものがある。
当時はFX(外国為替証拠金取引=Foreign exchange)がそれほど一般的でなく、また怪しげな業者も多かったので、とても初心者向けなどと言えるものではなかった。
従って、当時は証券会社の外貨MMF(Money Market Fund)が、金利(予定利回り)が高く、為替手数料は安く、換金が随時できるので、初心者向けとしてはお勧めの商品だったのだ。
ちなみに、10年前もオーストラリアドル(AUD)が高金利通貨だったようなので、21世紀前半における投資基軸通貨の一つは、オーストラリアドル(AUD)として差し支えないだろう。

ところで、現在はFXが投資ツールとしては一般的にものとなっているし、業界も健全化されているので、レバレッジを低くしてリスクを抑えれば、かつての外貨MMF並みの運用も可能になる。
外貨MMFと全く同等のリスクに抑えるならばレバレッジを1倍、私が思うに2倍か3倍までなら初心者向けと言えるだろう。
FX投資初心者に一番馴染みやすいキャッチフレーズは、「ベトナム株、中国株、毎月分配ファンドで夢を見るっ!」の管理人、 ベトカブさんが実践する「元本12万円で年4回豪華ランチを食べる方法!」だろう。
彼は私と同じワールドインベスターズのメンバーで名刺交換もさせていただいたことがあるが、その彼は昨年の4月21日付で、私よりも明確に「5年後にサラリーマンを引退します」とブログに書いている。
もっとも、資金が豊富にあれば、野村雅道氏が書いているような「働かずに毎年1000万円稼げる 私の『FX(外国為替保証金取引)』超活用術」ことも可能になるのだ。

ここで気をつけていただきたいのは、FX(外国為替証拠金取引=Foreign exchange)は「両刃の剣」であることだ。
低レバレッジ(1倍から3倍)のFXは、外貨MMF(Money Market Fund)並みの感覚で取引できるが、10倍以上のレバレッジをかけた場合は、きちんとしたリスク管理ができていないと、すべての証拠金(FX取引用の資金)を一夜にして失うこともあり得るものだ。
少なくともFXで一財産を築こうなどと欲張らないことが重要で、これで資産形成ができた人は、宝くじで1等賞金を当てた人並みの確率だと思った方がいい。
実際のところ、私もFXを始めた昨年に関しては、ビギナーズラックなのか、年間トータルで利益を出すことができたが、最初の3ヶ月は口座を閉じなければならないような危機に瀕したこともあり、FXで継続的に資産を増やし続けられるとは思わないのだ。

それでは、何がお勧めなのかと言うと、ショート(売り)の取引が容易なのと、国際経済情勢に敏感になれる、の2点だ。
特にショート(売り)は、ある程度投資に慣れてきた人でも使いこなせない人が多く、世界的な経済危機が5年周期くらいにあるような状況で、投資もロング(買い)一本で成功することが非常に困難になっている。
そこで、容易にショート(売り)ポジションの取れるFXが格好の練習台となるわけだ。
ここで多くの人がショート(売り)ポジションを躊躇するのは、高金利通貨と円の通貨ペア(例えば、豪ドル(AUD)/円(JPY)や、南アフリカランド(ZAR)/円(JPY)など)で、ロングポジションを取った場合のスワップポイントが魅力的な反面、ショート(売り)ポジションを取った場合のマイナスのスワップポイントも大きいからだ。

しかし、そのようなスワップポイントの多寡は、為替の値動きの激しさに比べれば、取るに足らない程度のものである。
FX投資をデモ口座で練習し、助走期間を終えた後に、レバレッジを上げた投資をしてみると、それがよく理解できるようになる。
スティーブ・シーボルト(Steve Siebold)著、弓場隆訳の「金持ちになる男、貧乏になる男」(How Rich People Think)には、「貧乏になる男は『小銭を貯める』ことを考え、金持ちになる男は『大金を稼ぐ』ことを考える。」と書かれている。
FXで大金を稼ぐことは困難だが、金持ちになる信念(メンタリティ)を身に付けることは容易にできる。

投資を手がけていれば経済情勢には自然と興味を持ってくるものだが、FXは為替の取引なので、必然的に国際経済情勢に敏感にならざるを得ない。
儲けようと思えば、必然的に経済関係のウェブサイトはチェックするようになるはずだ。
iPhoneやスマートフォンを持っている人は問題ないが、従来型の携帯電話でもブルームバーグ日本語版のモバイルサイトは見られるので、それをお気に入りに入れておくといいだろう。
そうなれば、今まで通勤電車の中や暇つぶしでゲームをやっていたものが、経済誌を読んだりウェブサイトでニュースをチェックするようになることだろう。
それが次なる投資のステップアップに繋がるわけだ。

ETF(上場投信=Exchange Traded Fund)

ETF(上場投信=Exchange Traded Fund)投資をお勧めする理由

  1. 一般の投資信託と違って証券取引所に上場されているので個別株と同じルールで取引できる。
  2. 個別株と違って特定の市場全体、特定のセクター全体という形で投資できる。
    個別株に投資するにはその銘柄の研究が欠かせないが、成長している市場に投資すれば、誰でも儲かる可能性が高い。
  3. 米国株口座で取引すれば、ニューヨーク証券取引所に上場されているETFに投資できるので、投資のバリエーションが広がる。
    特に相場の下落局面において、ETF Database - Inverse Equity ETF List、あるいはList of Inverse ETFs (Short ETFs / Bear ETFs)で紹介されているようなベア(ショート)のETFに投資できることは非常に魅力的だ。

ETFについてのより詳しい解説はFanet Money Lifeに掲載されているので、そちらをご覧になるといいだろう。
この中で自分が成長しそうだと思った市場(セクター)にコツコツと投資をしていくことが、経済的自由、あるいは豊かな人生への第一歩となる。
その成長しそうだという市場の見極めのためにも国際経済情勢に敏感になる必要がある。
その取っ掛かりのために資金が少なくても投資できるFXをやり、国際経済情勢に興味を持った上で、本命のETF投資を手がけるという按配だ。
つまり、FXは投資や経済に興味を持つための動機付けぐらいに考えておけばいいのである。
ちなみに、アメリカの大手投資銀行のゴールドマンサックス(Goldman Sachs)は2007年の経済予測レポート(BRICs and byond)で、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に次いで成長が期待される国として、ネクスト11(N-11:イラン、インドネシア、エジプト、韓国、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコ)を挙げている。
米国株口座を開設された方は海外ETF.comあるいは、Index Universe.comからお好みのETFを複数選んで投資してみるといい。
どれを選んでいいかわからないという方は投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2012でトップになったバンガード・トータル・ワールド・ストックETF (VT: Vanguard Total World Stock Index ETF)に投資してみるといいだろう。
こうしてみると日本に上場されているETFに比べてはるかにバラエティに富んでいることがわかる。
私がなぜ米国株口座のある証券会社に口座を開いた方がいいと書いた理由がおわかりいただけただろうか。(2013年11月24日−投信で手堅くlay-up!−ネット証券 米国株(米国ETF)口座の比較まとめ

一方で投資本の中には「投資初心者はまず投資信託から」というアドバイスが書かれていることがあるが、私はこれには懐疑的である。(2005年4月28日−個別株より投資信託がリスクが低いなんて嘘?
当時の株式新聞に「現在の投信会社は投信、年金双方を運用している会社がほとんどで、一部では、投信の信託報酬が事実上、年金の赤字補填に向けられているケースもあるという。ある銀行では、事実上、不良債権処理のため投信を積極販売した、とのうわさがもっぱらだ。預金保険料を合わせれば0.1%のコストになる預金に対し、信託報酬で年1%強、販売手数料で約3%が徴収できる投信の妙味は確かに大きい。ただ、勢い余って、かつての証券会社さながらのノルマ販売に至っているとの観測もある。」と書かれていたことが、現在も当てはまる可能性は大いにあるだろう。
そういった意味でも個別株と同じルールで取引できるETFの方が初心者向けと言えるのだ。
晋陽FPオフィス代表のカン・チュンド(Choong Do Kang)さんは、投資信託協会とのインタビューで「ETFが世界中で買われているベストセラー商品だということ、そして個人が使いやすい商品である。」と答えている。
私もこれについては同意見だ。


■毎月分配型ファンドへの投資の是非

毎月分配型ファンドは私に言わせれば投資初心者向けの商品ではない。
しかし、一部の投資家が毛嫌いするほどのものでもないだろう。
少なくともこのタイプのファンドのリスクを理解して投資するのであれば、退職金などまとまった資金の一部を運用するには適していると思っている。
事実、「利回り18% この高分配ファンドでラクラク生活ができる」といった本も出版されているほどだ。
それに、このタイプの商品は日本特有のものではなく、米国でも香港でもシンガポールでも販売されている。
それでは、「Toward a dream-come-true『経済的自由への扉は開かれた』」と内容は重複するが、一部を紹介したいと思う。

私は現在、ダイワ米国リート・ファンド(毎月分配型)へ投資している。
これについては2012年4月22日付の「500万円の投資で毎月10万円、年率20%の分配金で束の間の宴を楽しもう」というコラムで書いたが、正直言って、これが退職後の生活資金の柱にできるならこれほど楽なことはない。
それができないのは、橘玲氏が「毎月分配型投信の不都合な真実」で書いているように、毎月の分配金が歪な形で出ていることで、このような状態が長続きすることはなく、それゆえ、束の間の宴を楽しもうという表題になったのだ。
しかし、今のところ、年率20%近い分配金は魅力的であることに変わりはなく、基準価額が下落した場合でも、それがリスクの許容範囲に収まっている限り、保有を続ける価値があるとして、私は投資に踏み切った。

この類のファンドへの投資は、懐疑的な意見も多いだろうが、私はあえて言おう。
日本の公的年金もすでに日本の毎月分配型投信と同じ運命にある。
学習院大学経済学部教授の鈴木亘氏は、2012年3月30日付のブログ「年金積立金は、本当はいくら残っているのか?」で、厚生労働省の第1回社会保障審議会年金部会へ提出された資料[基礎年金国庫負担について−P14『年金積立金及び取り崩し額の推移』」を元に、現在の40代の人たちが年金受給資格を得られる2030年代には公的年金の積立金の枯渇が避けられないと論じている。
日本の毎月分配型投信の分配金のほとんどはタコ配だが、日本の公的年金も大した違いはないとわかるだろう。
「同じタコなら食べられるうちに食べる」ということだ。
日本の公的年金は65歳まで待たないと貰えないが、毎月分配型投信の分配金を貰うのは今すぐにでもできるからだ。


■私がショート戦略にこだわる理由

ここで、私がなぜショート戦略にこだわるか書いておこう。
それは、先にも書いたように、今や世界的な経済危機が5年周期くらいにあるような状況で、投資もロング(買い)一本で成功することが非常に困難になっているからだ。
今でも投資本のほとんどは長期投資が王道といった感じの書き方をしているのだが、私に言わせれば、かつてはそれが正しいやり方だったとしても、これからはそうとも言い切れないのではないかと思うのだ。
なぜなら、インターネット取引などなかった時代は、国や地域毎の分散投資が有効だったものが、今や主要国の一角が崩れたら総崩れになる経済状況だから、例えば米国株と新興国ファンドに分散している、などというポートフォリオは全く意味をなさないからだ。
従って、金融資産(paper assets=通貨や証券)と実物資産(real assets=不動産や貴金属)に分散しなければならないが、投資初心者に実物資産に投資しろ、と言っても無理だろう。
従って、ショート戦略によって保険をかける(リスクヘッジする)ことを勧めるのだ。

それではいったいどんな局面で上げ相場の反転(保険)を意識し始めればいいのか。
手前味噌になるが、私が書いた2007年のブログを紹介しよう。
この年はBRICs諸国の最後の吹き上げ相場になった年で、この年の11月初頭をピークに世界の株式市場は下落し始め、2008年9月15日のリーマンショックへと繋がるのである。
まずは、2007年3月28日の「BRICsポジション、クローズへ」だが、今思い起こせば早過ぎたかという気がしないでもない。
しかし、「2月下旬以降、米国の住宅市場のことがニュースにならない週はないほど、このことが世界市場を揺り動かしているが、私は素人ながらある仮説を立ててみた。それは、株価が下がるたびに繰り返される『サブプライムローンの問題は大した影響はない、経済のファンダメンタルズは健全だ』などという政財界要人の発言は、裏を返すと、それに伴って株価のつるべ落としを一時的に防ぎ、ヘッジファンドなどが自らの大口顧客の売りを捌くために私たち素人の買い手を誘っているのではないか、ということだ。」というコメントは私にしてはいい線だったのではなかろうか。

決定打は2007年7月8日の「中国市場はまたもやアナリストの読みを外すか?」だ。
この中で最も重要なのは、Financial Timesの記事「Beijing's cooling process begins(中国政府の景気過熱抑制策の始まり)」の中「Long queues were seen outside brokerage houses in the main cities, as a new generation of investors rushed to put some of their savings into equities.(主要都市の証券会社の外側には貯金を下ろして株を買おうと殺到する人たちの長蛇の列が見られた。)」というものだ。
その2ヶ月前、2007年5月13日の「HSBC香港でワラント投資を」でも私は同じような記事を紹介している。
ちなみに、ナスダックのITバブルが最高潮に達した1999年も、ニューヨ−クのタクシードライバーが携帯電話を片手に証券会社へ注文を入れている姿が報じられていた。
つまり、投資に無縁だったような人たちが群がるように株式投資に殺到を始めたという記事が流れたときは、すべてのロング(買い)ポジションを解消せよというサインなのだ。
私が英字メディアの翻訳版が掲載されているJB Press(日本ビジネスプレス)をお勧めだという理由がご理解いただけただろうか。


■セミナーに出席したり投資仲間を作ろう

ワールドインベスターズ「24時間テレビ打ち上げ&忘年会」 ワールドインベスターズ「24時間テレビ打ち上げ&忘年会」
ワールドインベスターズ「24時間テレビ打ち上げ&忘年会」(2012年12月27日)

私はこれまでにも様々なパンローリングファイナンシャルアカデミーなどが主催する投資家向けのセミナーに出たり、ワールドインベスターズ(Facebook)などを通じて知りあった投資仲間とのオフ会(off-line meetings)に参加している。
日本では投資していることを職場や実社会の仲間内で公言しにくい雰囲気があるため、どうしても孤独になりがちだ。
また、自分のやっていることが正しいのか懐疑的になることもあるだろう。
そういうときは、自分が読んだ本の著者がやっているセミナーに出かけたり、仲間を作って飲み会をすることがいい気分転換になる。(2013年4月3日−投資の手始めにワールドインベスターズトラベルカフェに行ってみよう
実際に、これらのことは私が今まで投資している中でかなり生きている。
最後に、スティーブ・シーボルト(Steve Siebold)著、弓場隆訳の「金持ちになる男、貧乏になる男」(How Rich People Think)の一節を紹介して終わりとしよう。
I wish you good day to start your new life today! Good luck with everybody!(今日が貴方の新たな人生の幕開けとなりますように!皆様の幸運を祈ります!)

貧乏になる男は誰かに「救出される」のを待ち、金持ちになる男は自分で「道を切り開く」
貧乏になる男はいつか誰かによって発見され、救出され、金持ちにしてもらえると心の中で思い込んでいる。
まるで運動不足と食べすぎで肥満している人が、自分をスリムな健康体にしてくれる夢の新薬をじっと待ちわびるようなものだ。

貧乏になる男は誰かがもうすぐ助けに来てくれると信じているが、金持ちになる男は誰も救出に来てくれないことを知っている。
充実した人生を送りたいなら、自分で道を切り開いて成功を勝ちとるしかないからだ。
基本理念は「自助努力」と「自己責任」である。
金持ちになる男は年をとってから政府や家族の世話になることを期待していない。
誰かに何かをしてもらうのを待つのではなく、自分から積極的に何かをするのが彼らの特徴だ。

幸いなことに、努力すればするはど、支援してくれる人がたくさん現れる。
自力で財産を築いた金持ちは、野心に燃えて成功をめざして頑張っている人に共感を覚え、正しい方向に進むための力になりたくなるからだ。
自分が金持ちになる前に苦労していたころを思い出させる人に親近感を抱き、熱意と粘り強さに心を打たれ、支援の手を差し伸べたくなるのである。

財産を築く過程では、最初こそ自分で努力して道を切り開く必要があるが、それ以降は多くの成功者の助けを借りながら前進しつづけることができる。
その違いは、貧乏になる男が何もせずに初めから誰かの助けを期待するのに対し、金持ちになる男は誰の助けも期待せずに自分で積極的に行動することだ。
要は、一生懸命に努力すればするほど、結果的により多くの助けを得ることができるということである。
自力で財産を築いた人というのは、誰の助けも期待せずに自分の力で夢を追い求めようと奮起した人という意味で、実際には途中で多くの人の力添えを得て成功している。

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