去る7月5日に新生銀行本店で行われた「香港の投資環境と国際税務」に出席してみた。
ここでは、新生銀行やマネックス証券などが出資して香港で設立された日本ウェルス銀行(Nippon Wealth Bank)で口座開設することの優位性と、海外で資産運用した場合の税務申告についてセミナーが行われた。
今まで海外の金融機関に口座を開いて資産運用するというのは、金融商品取引法第58条の2(外国証券業者が行うことのできる業務)及び、金融商品取引法施行令第17条の3(国内にある者を相手方として有価証券関連業に係る行為を行うことができる場合)の規定に基づいて、非居住者口座が開設可能な海外の金融機関を各々が探し出して行うというのが一般的な定義付けだったので、海外投資アドバイザーならともかく、日本国内でセミナーをやる金融機関が現れるとは思ってもいなかった。
しかも口座開設資料を請求したら、「グローバル資産防衛のための 『香港銀行口座』活用ガイド」(岩崎博充著)も同封されていた。
内容的には「国際金融都市『香港』で一番使いやすい銀行の見極め方」という連載コラムと同じようなので、わざわざ買うこともないだろうが、興味のある方は一読するといいだろう。
ところで、この日本ウェルス銀行(Nippon Wealth Bank)の優位性の最たるものは日本語ですべてが完結するということだ。
私の持っているHSBC香港の場合、日本語の口座活用マニュアルやお助けサイトはあるものの、基本的に英語で対応しなければならないことから、口座は開設したものの長期間放置して口座が凍結されたり、英文の通知が読めなくて新しいセキュリティデバイスがアクティベートできないといったことが頻繁に起きている。
また、口座開設に必要な書類もパスポートと日本語の住所証明だけで大丈夫なので、HSBC香港のように英文の住所証明が必要だったり、口座開設理由を英語で説明しなければならないといった気苦労とは無縁だ。
しかしながら、日本ウェルス銀行(Nippon Wealth Bank)は最低預入資産がUSドルで10万ドル(約1040万円)必要なことと、インターネットバンキングに対応していないことがデメリットの一つになるだろう。
私も口座開設書類だけは取り寄せたものの、さらに多額の運用資金を香港の銀行に投入するわけにもいかないので、今のところは何もしていない。
ただ、国の内外を問わず、個人口座の場合はいずれ相続という問題が発生する。
そのために海外口座の場合は、共同名義口座(Joint Account)を作って、リスクヘッジをするのだが、インターネットサイトで「海外口座 相続 弁護士」と検索することとたくさんのウェブサイトがヒットするところを見ると、今や海外口座の相続というのはポピュラーな事例なのだろう。
それに、2016年3月2日付のアメジスト香港のスタッフブログ「香港での遺言書作成のススメ」や、私の友人で国際ビジネスコンサルタントの加藤由美子さん(第二文化國際有限公司/Daini Bunka International Limited/Company No: 1918468)(地址:香港中環皇后大道中2號 長江集團中心19樓 Address: Level 19, Cheung Kong Center, 2 Queen's
Road Central, Central, Hong Kong 電話:+852-3478-3616 e-mail)が言うように海外口座の所有者には加齢とともに相続という頭の痛い問題が降りかかる。
日本語対応してもらえる日本ウェルス銀行(Nippon Wealth Bank)の場合、これらの負担がどの程度軽減されるかわからないが、いずれにせよ、中高年世代になってお金を海外に持ち出すときは相続のことまで考えておきたいものだ。
私は先月下旬、大人の休日倶楽部パスで行く北海道・東北の旅というテーマで、道東と札幌、仙台を巡ったとき、土曜日(6月25日)の宿泊とはいえ、札幌のリーズナブルなホテルが全くと言っていいほど空室がなかったことを覚えている。
いつものように、楽天トラベルで検索をかけたところ、空室があったのはいずれも2万円以上するようなホテルばかりで、ただ単に寝られればいいと思っていた私にとっては法外な金額であった。
仕方がないので、今年の政策テーマにもなっている民泊業者の一つ、Airbnb(エアビーアンドビー)に登録をして宿泊先を探そうと思ったほどだ。
幸いなことに(ブログネタ的には幸いではないかもしれないが)、agoda.jpで検索すると、札幌市内中心部のホテル・ロンシャンサッポロが1万円台で空室が残っており、さっそくそこを取ることにした。
結果的に、何でここに空室が残っていたのか不思議なくらい立地条件も良く、普通のビジネスホテルのサービスは十分に受けられたところだった。
ここ数年は日本にも大勢の外国人観光客が訪れていて、それで主要観光地におけるホテルの予約がタイトになっていることは知っているが、それにしても異常な状況だった。
私が札幌のホテルを予約したのは6月3日、宿泊日の3週間前だったし、応当日がゴールデンウイークやお盆休みのときではないので、格別に遅いというわけではなかった。
それでも取りづらかったのには何かわけがあるのか調べてみると、2016年7月14日付のCNN Japanの記事で「ガイドブックが選んだアジアの旅行先、1位は北海道」(英文記事:Lonely Planet's top Asia spots for 2016)ということで、「世界の旅行者に利用されているガイドブック『ロンリープラネット(Lonely Planet)』がこのほど、アジアで今年訪れたい旅行先のベスト10を発表した。トップには、この春新幹線が開通したばかりの北海道が選ばれた。」とあった。
なるほど、外国人旅行者が例年にも増して殺到しているというわけだ。
しかし、それだけではないはずだと思い、もう少し調べてみると、2015年12月8日付のNHKの特集で「ホテルが取れない。なのに空き部屋が・・・」というものがあった。
記事には、「ホテルが集中している札幌の中心部です。客室が288あるこのホテルも、毎日のように発生する空き部屋に悩んでいます。その原因は、宿泊日を前にした大量のキャンセルです。」とあった。
このあとにも記事は続いている。
すべてを読み終わったとき、私はフト思った。
これは日本だけでなく、他の国でも起こりうることで、そのリスクをどうやって回避していくかというと、おそらくはダブルブッキングだ。
このようなホテル側の空室リスクを避けるために取った行動によって、時として利用者がその煽りを食い、それがために「繁忙期にトラブル招くアゴダ(agoda)の後払い(pay later)システム(2014年1月9日)」というコラムに繋がるというわけだ。
2016年の夏は政治の季節なのか、去る10日に行われた参議院議員選挙のほかにも、東京都民の方は31日に都知事選挙もあり、いろいろと考えさせられる年となっている。
ところで、大型選挙の陰でひっそりと目立たないように報道されているが、私たちに大きな影響のある相続関連の法改正が実施されようとしている。
とりわけ私たち中高年世代は、親が年齢的に鬼籍に入る方もいて、相続という二文字が頭の中にちらつく年代でもある。
また、親世代が要介護状態にある場合、彼らの面倒を見るのが女性であることが多く、実の親の場合はともかく、配偶者側(義理)の親の場合、その貢献が相続の際には金銭的に評価されないといった法的不備が是正される予定になっている。
そして、この法制審議会の民法(相続関係)部会の出した試案については、「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」に関する意見募集として、今年の9月末までパブリックコメントを募集している。
参考までに、遺産相続の手続きの簡素化に関するパブリックコメントは現時点で募集がされていないが、日経新聞の記事によれば、年内実施とのことなので、近々実施されることだろう。
ちなみに、このパブリックコメントについては、出しても無駄ではないかという意見もあるが、2013年2月11日付の「紺色の人」のコラム「出すのはムダなの!?『コピペでパブリックコメント』の問題点」や、2013年2月18日付のohira-y氏のコラム「パブリックコメントは形式的に行われるだけなのか?」にも書かれているように、あながち無駄とは言えないようだ。
実際のところ、2013年2月27日付の「電子申告(e-Tax)による所得税の確定申告終了」で紹介したように、きちんとした意見を政府機関に出せば、実施されるかどうかは別として回答を得ることもできるので、パブリックコメントも一度くらいは国民の権利として出してみてもいいと思う。
自分にとって直接関係する法案が出されることなどあまりないので、コメントするしないは別にして改正試案の内容を見ると勉強になるだろう。
慣れないことで頭が痛くなる人も多いだろうが、たまには違う脳みそを使ってみようではないか。
配偶者の遺産相続拡大 「義父母の介護」などに金銭的考慮 法制審が中間試案 (2016.6.21 産経新聞) |
法制審議会(法相の諮問機関)の民法(相続関係)部会は21日、配偶者の遺産相続を拡大するなどの民法改正について中間試案をまとめた。 遺産分割について、婚姻後に一定期間が経過した場合に配偶者の法定相続分を増やすなどの案が盛り込まれた。 法務省は今後、パブリックコメント(意見公募)を実施した上で、平成29年中に改正法案の国会提出を目指す。 相続に関する規定の見直しは平成27年2月、当時の上川陽子法相が法制審に諮問。 高齢化社会の進行で相続をめぐるトラブルの増加が予想されることから、国民の意識や実情に即して相続法制を見直す必要があると判断していた。 配偶者相続に関する民法改正は、昭和55年に3分の1から2分の1に引き上げられて以来、行われていない。 試案ではまず、婚姻期間が長く、財産形成に配偶者の貢献が大きいと考えられる場合は、配偶者の相続分を増やす見直しが盛り込まれた。 現行法では婚姻期間の長短にかかわらず、法定相続分は一定だ。 試案には、相続財産が婚姻後に一定割合以上増加した場合、配偶者の相続分を増やす。 婚姻後一定期間(20年または30年)が経過した場合、法定相続分を増やす-など複数案が記された。 また、相続人以外の人が介護などで献身的な貢献をした場合、相続人に金銭の請求ができる案も盛り込まれた。 現状では、例えば長男の妻が義父母の介護をしても妻は義父母の財産を相続する権利はない。 こうした場合、妻が相続人である長男らに対して金銭の請求ができるようにする。 金額が協議で決まらない場合は家庭裁判所が決める。 妻の請求金額については、各相続人が法定相続分に応じて責任を負うものとしている。 ただ、この見直し案では死去した人に関わる全ての人の「貢献」を考慮しなければならず、請求が“乱発”される恐れもあり、相続の紛争が複雑・長期化するとの指摘もある。 また、試案では、相続による権利の変動で、配偶者がこれまで住んでいた建物から即時退去を迫られるケースに対応する方策も記された。 配偶者の居住権保護の観点から、遺産分割終了時まで(例えば6カ月)住み続けることができる「短期居住権」の設定や、終身・一定期間などの「長期居住権」を設け、遺産分割時に選択肢の一つとすることなどが盛り込まれた。 |
遺産相続の手続き簡素化 法務省、戸籍情報を証明書1通に (2016.7.6 日経新聞) |
法務省は5日、遺産相続の手続きを簡素化するため、相続人全員の氏名や本籍地などの戸籍関係の情報が記載された証明書を来春から発行すると発表した。 これまでは不動産や預金などを相続する場合、地方の法務局や銀行にそれぞれ全員分の戸籍関連の書類を提出しなくてはならなかった。 今後は必要書類を一度集めて法務局に提出すれば、証明書1通で済む。 法務省は年内にパブリックコメント(意見公募)を実施した上で、今年度中に不動産登記規則を改正し、2017年度の運用開始を目指す。 新たに導入する簡素化に向けた制度では、相続が発生した場合、まず相続人の一人が全員分の本籍や住所、生年月日などを記載した申請書類をつくり、相続人全員分の戸籍と亡くなった人の戸籍をそろえて法務局に提出する。 この書類をもとに法務局が証明書をつくる。書類を精査し、内容を確認すれば、公的な証明書として保管する。 相続人には証明書の「写し」が交付される。 証明書は別の法務局でも使えるため、地方の不動産などを相続する場合、負担軽減につながる。 法務省は各金融機関でも相続申請時に証明書を活用できるよう調整する。 預貯金などの遺産も相続人は金融機関ごとに大量の書類を用意する必要があるうえ、金融機関側でも審査に多大な手間がかかっている。 書類の確認作業を一度にして、証明書を様々な所で使えるようにすれば、相続人と金融機関の双方の利便性が高まるとみている。 相続時に価値の小さい山林などの不動産相続が放置される事例は多く、社会問題になった例もある。 東日本大震災時には住宅地の高台移転事業の際、既に死亡した人の名義のままで現在の所有者が分からない土地が多くあり、自治体の用地買収が難航し、復興工事の遅れにつながった。 法務省は煩雑な相続手続きがこうした問題の一因だとみて対策を検討していた。 相続のあり方の見直しを巡っては、今回の見直しとは別に法制審議会(法相の諮問機関)の民法部会が6月に中間試案をまとめた。 結婚期間が長期にわたる場合に配偶者の法定相続分を2分の1から3分の2に引き上げることなどが柱で、様々な論点で見直しの検討が進んでいる。 ▼遺産相続 不動産を遺産相続する場合、死亡した人と相続する人の双方を確定するために書類の準備が必要だ。 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本がいるほか、転籍や婚姻をしている場合は除籍謄本も必要になる。 相続人全員の戸籍謄本や住民票、遺産分割協議で相続した場合は遺産分割協議書や印鑑証明書もそろえなければならない。 現行制度では複数の地域での不動産相続や金融機関の預貯金の相続を申請するたびに書類一式が必要だ。 法務省が来春始める新制度では最初に申請する法務局で証明書をもらえば、次の場所ではその証明書のみで申請できる。 現行では書類に不備があると再提出が求められ、手続きの遅れにつながる。 複数の金融機関の遺産を相続する際には、1人の被相続人について各金融機関が別々に確認作業に追われ、無駄な労力を費やしているとの指摘もある。 |
25年ぶりの優勝に向けて快進撃を続ける広島東洋カープで活躍を続ける黒田博樹投手が、昨日の阪神タイガースとの試合で勝利投手となり、野茂英雄投手(2005年6月17日-やったね野茂、日米通算200勝)以来の日米通算200勝の金字塔を打ち立てた。(2016年7月24日 スポニチ-黒田が日米通算200勝達成 次は「大きな目標」25年ぶりVへ)(Japan Times on July 23, 2016 - Hiroshima hurler Kuroda earns 200th career
victory)
昨シーズン、ニューヨークヤンキース(New York Yankees)から広島東洋カープへ男気カムバックと言われて復帰した彼にとって、広島東洋カープが今シーズン優勝すれば(かなり濃厚だが)、200勝と相俟って、まさに感極まるシーズンとなるだろう。
彼がメジャーリーグの高額年俸を蹴って日本球界に復帰した気持ちの中には、現役引退は広島東洋カープでという思いが相当にあることだろう。
今シーズンのチームの躍進と200勝という節目を達成した彼にとって、これらのことは彼の選手生活の花道を飾るに相応しいものになりそうだ。
私が2013年のゴールデンウイーク、2014年6月と2年連続でニューヨークのヤンキースタジアム(Yankee Stadium)に行った目的は、イチロー選手や、マー君こと田中将大投手を見ることが目的だった。
黒田投手が在籍していたことは知っていたが、当時は彼らほど注目を集める選手ではなかったように思う。
結果的にピッチャーはローテンションの関係で2人とも生で見ることはできずに残念だったが、41歳という年齢の黒田投手は今年で見納めになる可能性も高いだろう。
今シーズンは私が応援している横浜DeNAベイスターズもクライマックスシリーズへの出場権が得られる位置(3位)にいるので、最後まで頑張って欲しいと思っているのだが、日本シリーズでの黒田投手の雄姿を見たいという気持ちもある。
黒田投手の生観戦は相当に困難だと思うが、このまま広島東洋カープが優勝するならトライする価値は十分にあるような気がしている。
先週の台湾旅行に行った際に、フェイスブックの旅人コミュニティ「地球が遊び場」で知り合った台湾人の許(Hsu)さんに台南で再会してオフ会をした。
そのときに最初に連れて行ってもらったレストランが、台湾軍人のコスプレができる「一七二營本部連軍事主題餐廳(172nd regiment military
restaurant)(地址:台南市安平區安平路154號 電話:+886-(0)6-2800108)」だった。
ここの基本メニューは、火鍋(hot pot)なのだが、私たちが店に行ったときは閉店間際(営業時間: 11:30から21:30、月曜休)だったので、コスプレだけさせてもらうことにした。
場所は安平區(Anping District)にあるので、台南駅からはタクシーなどで行かないといけないようだが、単に食事だけするだけでなく、コスプレも楽しめるので、ちょっとした台湾旅行の思い出になると思う。
ちなみに、レストランのオーナーは英語ができるので、意思疎通が困難になることはあまりなく、そういった点でもお勧めだろう。
私が行ったときは台湾では酷暑の時期なので、できれば火鍋も美味しくなる秋に訪れるといいかもしれない。
また、許(Hsu)さん曰く、台湾に来る日本人観光客は多いけれど、台北だけでなく、台南にもっと多くの人に来てもらいたいとのこと、彼は日本語の読み書きもできるので、フェイスブックでお友達になったら是非とも台南に遊びに行ったらいいだろう。
ここで、問題になるのが、台湾での滞在日数なのだが、たとえ2泊程度しかなくとも問題はない。
日本からのLCC(Low Cost Carrier=格安航空)の直行便がある高雄(Kaohsiung)から台南までは臺灣鐵路(Taiwan Railways)の自強號(Tze-Chiang Limited Express)で30分程度、運賃は片道106元(約350円)だ。(参考:高雄國際機場/Kaohsiung International Airport)
今では台湾鉄道のウェブサイトにも日本語があるので、それで最終列車をチェックしてから出かけるといいだろう。
ところで、この区間のチケットなのだが、30分程度の距離なら自動售票機(自動券売機/Ticket Vending Machine)で買う無座票(自由席・立席券)で十分、窓口は指定席を取ろうとする人で混んでいることが多いからだ。
無座票でも空席があれば座れるし、自席に指定券を持った人が来たときは譲るシステムになっており、これは西欧の鉄道でも見られるものだ。
台南から高雄(Kaohsiung)までの週末の最終列車は、23時32分発の潮州(Chaojhou:屏東縣/Pingtung County)行きの自強號(Tze-Chiang Limited Express)、台南に到着したときに自動券売機でチケットを買っておき、列車の乗り過ごしに気をつければ、夜遅くまで遊ぶことができるだろう。
ちなみに、台北方面へは夜行急行の莒光(Chu-Kuang Express)532號(台南0:20-5:54台北)が、高雄(Kaohsiung)発基準で金土日のみ運行している。(参考:2013年2月台湾旅行)
身体はかなりキツイと思うけど、臺灣桃園國際機場(Taiwan Taoyuan International Airport)発の日・月曜の朝便で帰るなら、台北でのホテル代を払う代わりに、台南への弾丸往復といった時間の使い方があることを覚えておくといいだろう。
去る7月10日に行われた参議院議員選挙で政権与党が圧勝し、自民党、公明党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党などの改憲勢力が、国会発議の要件となる3分の2(非改選と合わせて162議席)に必要な74議席以上を確保した。(2016年7月11日 産経新聞-改憲勢力3分の2超 発議可能に 自公で改選過半数超 自民1人区は21勝11敗 現職2閣僚落選 近く内閣改造へ)
これは、本日付の産経新聞の黒沢編集委員のコラムにあるとおり、「改憲勢力3分の2」は日本国民の危機意識の表れであるとも言えるだろう。
そして、今年と来年は、日本国憲法の改正論議を俎上に上げる絶好の機会であり、安倍首相がこの機会を逃せば、今までのように、国防政策に関する不毛な国会論戦が延々と続くことになるだろう。
奇しくも、同じ日の紙面で、「中国の南シナ海支配認めず 仲裁裁判所『法的根拠なし』と初判断」(英文記事:CNN - South China Sea: Court rules in favor of Philippines over China)とあるように、日本近海で中国のきな臭い軍事行動が露わになっている状況では、国防を軽視というか侮辱するような野党の主張が国民に支持されないのは当然なのだ。
実際のところ、自民党の憲法改正案や、安倍政権の内政が気に入らないということで、野党第1党の民進党(旧民主党)候補に投票しようと思っても、政権を握っていた当時の無能、多数の売国議員が跳梁跋扈していることに加え、共産党の藤野保史政策委員長の「防衛費は人殺し予算」発言(2016年7月5日 JB Press-防衛費は「人殺し予算」、出るべくして出た藤野発言)に見られるような亡国政党と組むようでは凋落傾向に歯止めがかからなくても致し方ないだろう。
まさに、私が「健全な野党がないのが日本の最大の政治的欠陥(2014年12月20日)」と書いたときから日本の政治状況はまるで変っていないことが良くわかる。
民主主義国家として実に嘆かわしいと言わざるを得ない。
ところで、今回の参議院議員選挙における与党の圧勝を受けて、日本の株式市場は急回復の様相を見せている。
去る7月8日のコラムで「黄昏のアベノミクス相場、放ったらかし投資家にお勧めな日経平均ベアETF(1580)」と書いたときがボトムで、そこから今までの凋落ぶりがウソのような急騰を演じている。
日経平均株価は、7月8日の終値(15,106.98円)に比べて、わずか2日間で988.67円の上昇、現時点の日経平均先物の上げっぷりを見る限り、明日にはBrexit(英国のEU離脱)ショックを完全に払しょくできそうな勢いだ。
本日の午後5時に配信されたトレーダーズ・ウェブの記事「出遅れ修正は進む、三段上げで下げトレンド脱出なるか」では「日経平均は11日の上昇(601円高)で前の週の弱い動きを払しょくし、きょうの上昇で25日線を上に抜けた。ホップ、ステップときて、13週線(16231円)や26週線(16381円)を上回る大きなジャンプが見られれば、いよいよ下げトレンド脱出の期待も高まるのだが、さていかに。」と書かれていた。
果たして、今までとは違った力強い上昇を演じることができるか、それとも私が予想しているように、8月になった途端に「ナ・ダ・レ(雪崩)」が起きるのか。
この先1か月ほどが、今年の日本市場の正念場と言えるだろうか。
2016年6月7日に掲載した「HSBC香港のクレジットカードポイントを商品券に交換してみた」という記事で、HSBC Premier Master Cardの利用者特典であるRewardCash Programme(報奨プログラム)で得られたポイントを商品券に交換したことを書いた。
また、同じ記事でTraveler Rewards Programme(旅行者ポイントプログラム)で得たポイントを商品に交換したことを書いたが、こちらは送り先が香港と中国の住所しか指定できず、やむを得ず、友人の加藤由美子さんの会社所在地(参考:2015年12月10日-HSBC香港の本店でトラブル解決とポートフォリオの見直しを)を指定したのだが、それが届いたということで、「越境会3周年記念大会@沖縄宮古島『日本を考える、世界を考える、そして地球を考える』」でお会いしたときに渡してもらうことができたのだ。
RewardCash Programme(報奨プログラム)は、クレジットカード利用額が250香港ドル(約3,300円)につき、1ドル分のポイントがもらえることになっているが、Traveler
Rewards Programme(旅行者ポイントプログラム)の方は、指定されたショップで買い物をしたときに限ってポイントが加算されることになっている。
日本居住者にとって利用しやすいのは、日本国内にあるショップか、オンラインホテル予約サイトになるかと思うが、幸いなことにホテル予約サイトは、リンク先の香港サイトから入って日本語サイトへ辿り着いた後で予約を入れてもポイントが加算される。
ただ、前述したように、交換ギフトの送り先が日本にできないので、非居住者の場合は、香港在住の友人、オフショア保険やファンドの積み立てをやっている人なら独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA=Independent
Financial Advisers)、あるいはHSBC香港のプレミアリレーションシップマネージャーに頼んで一時的に預かってもらうしかない。
さて、私が入手した交換ギフトは、 HK$300 MasterCard Prepaid Card、邦貨換算で4千円分の価値があるのだが、有効期限は2018年2月となっている。
これと、先月受け取ったPerknshopPerknshopの商品券、それに崇光(SOGO)で使えるギフト券(gift certificate)の800香港ドル(約10,500円)と合わせれば、それなりの買い物が楽しめるだろうか。
2013年から始めたふるさと納税による特産品獲得も通算8回目、年収がフルタイムで働いていた時代に比べて減っているので、特例控除額の拡充(個人住民税のふるさと納税に係る特例控除額の上限を所得割額の1割から2割に拡充)があったにもかかわらず、私にとってのふるさと納税枠は減ることになった。
さとふるのふるさと納税控除の上限額のシミュレーターに2015年(昨年)の給与の源泉徴収票のデータを入れてみたところ、給与収入だけの計算だと上限額はわずか2万円弱、今年の方が給与収入は確実に減るので、おそらく1万円程度になるだろう。
私の場合は、配当所得がそれなりにあるが、国内分は源泉分離課税なので、確定申告する海外分の配当所得を加算しても、ふるさと納税の控除上限額は2万円程度と推測できる。
もっとも、今年はトレードが好調な株式譲渡所得が上積みされる可能性が高いが、こればかりは1年が終わってみないといくら加算されるかわからないし、今後も今の好調さが維持できる保証もない。
とりあえず、寄附の上限は昨年同様に2万円と思えば間違いないだろう。
そこで、今年のふるさと納税の第一弾は鹿児島県南さつま市へすることにし、お礼品は秀美園の完熟アップルマンゴーをもらうことにした。
マンゴーと言えば、タイなどの東南アジアへ旅行したときはいくらでも食べることができるが、日本でも九州地方の特産品として宮崎県や鹿児島県はマンゴーがあるようだ。
また、九州は今年の4月14日に起きた熊本地震からの復興を合言葉に頑張っているようだが、熊本県に対しては熊本地震災害義援金として寄付したので、今回は今年の3月にHappy Birthday Kyushu Passの旅で訪れた鹿児島県を応援してみようと思ったのだ。
近年になってますます過熱するふるさと納税の謝礼品合戦だが、東洋経済では制度の功罪を問うような記事が掲載された。
2015年12月9日付の「ふるさと納税ブームに潜む地方衰退の『罠』」と、2016年5月24日付の「ふるさと納税を100倍にした九州男児の手腕」だ。
これに関連して2015年12月6日付でMachi Logに掲載された「飛び出す公務員:ふるさと納税が14億円以上集まった3つの理由 – 長崎県/平戸市」というコラムがあった。
人口減などで地盤沈下の激しい地方都市の中にあって、こういった記事が掲載されることによって、地域が活性化されるといいと思う。
ところで、九州は熊本地震からの復興を合言葉にHISでは「九州ふっこう割ツアー」を格安で提供している。
今年の夏は家族で行ってみたらいかがだろうか。
歴史的なBrexit(英国のEU離脱)が決まった英国国民投票(The UK's EU referendum)から2週間、日本市場にとっては日経平均株価が1,286円の急落を演じた2016年6月24日(2016年6月25日 日経新聞-英EU離脱、内外で市場大荒れ 日経平均1286円安)はセリング・クライマックス(selling climax)になるどころか、暗く長いトンネルの入り口になるのではないかという懸念が浮上している。(2016年7月6日 日経新聞-株大幅続落、待ち受ける暗く長いトンネル)
実際のところ、Brexitのあった日の翌営業日(6月27日)から7月4日まで日経平均株価が今年初めて6日続伸し(2016年7月4日 日経新聞-東証大引け、6日続伸 急落からの買い戻し、売買は3番目の低水準)、株価が回復の様相を呈したのにかかわらず、7月5日から今日まで4日続落し、結局のところ、6月24日の終値(14,952.02円)と比べて、わずか154.96円高いだけの15,106.98円で引けた。
今年の日本市場は、メッキの剥がれた黄昏のアベノミクス相場と言えるだろう。
ところで、2016年6月26日号の日経ヴェリタスは、主要国の株式市場の6月第4週の週間騰落率で、震源地のイギリス(FTSE 100種)が+1.95%だったにもかかわらず、日本(日経平均:-4.15%)とイタリア(FTSE MIB:-7:09%)の下げが突出していると書いている。(各国・地域の株価指数週間騰落率)
さて、仮に、6月24日の引け値で日経平均株価の下落に対して上昇する日経平均ベア上場投信(1580)(10株単位で投資可)に投資したとすると、この日の終値(7,360円)と比べて、今日の終値が7,240円と、わずか120円安いだけのレベルにまで回復している。
参考までに、日経225連動型上場投資信託(1321)(1株単位で投資可)は6月24日の終値15,450円に対し、今日の終値は15,390円、空売り(ショート)していた場合、含み損が解消して、何とプラスになっている。
つまり、私が「英国国民投票(The UK's EU referendum)でギャンブルするならショートポジションがベターか(2016年6月19日)」で書いた「今年のトレンドは円高株安、ロングポジションの含み損は解消不能だが、ショートポジションの含み損は2週間程度で解消可能なのが今年の上半期の流れ・・・」というのが7月になっても未だに継続中であることがわかる。
それと、前出のコラムで紹介した川口一晃氏の「今までの例で言えば、1月相場が下がった年は4月が危ない。4月もダメなら6月、8月と危なく、10月が最も危ない。」というのが今年も当てはまるとすれば、今年の秋までは日経平均ベア上場投信(1580)を買って放置しておくのが、初級投資家や面倒くさがり屋さんにはピッタリの投資法と言えるだろう。
ちなみに、信用取引口座を持っている方は、日銀のマイナス金利政策で業績悪化が表面化している銀行株の空売り(ショート)が儲けやすいと思う。(2016年7月7日 日経新聞-銀行株安、日米に波及 欧州不良債権問題や金利低下も重荷)
そこで分水嶺になりそうなのが、7月28日、29日の日銀の金融政策決定会合なのだが、ここでは市場が熱望する追加緩和策が出るのではないかと期待されている。(2016年7月7日 日経新聞-初の「サプライズ感なき追加緩和」 黒田日銀決めるか)
それゆえ、ここで何も出なかった(現状維持の)場合は、4月28日の後場のようなネガティブサプライズとなって、日経平均株価は暴落するだろう。
一方、期待通りに緩和策が出ても、記事によれば、市場には緩和観測が既に広がっているので、サプライズ感が出にくいとあるため、それほど株価の上昇には繋がらない可能性もある。
つまり、これから7月下旬にかけて日経平均株価が上がったとしても、緩和策によって、より一層の上昇があるよりも、今年は毎月恒例とも言える月初の株価暴落に備えた利益確定売りが出やすくなるかもしれない。
要するに、どちらに転んでも8月上旬の日本市場は「ナ・ダ・レ(雪崩)」になりそうな予感が芽生える。
まさに、今年の相場は「熊(bear)の咆哮、2016年の投資のキーワードは戻り売り(sell on rally)」なのだ。
私の見立てでは日経平均株価は秋口には13,000円台まで下落する感じもあるので、証券投資セミナーでよくある買い時トークは今年に限っては論外と言えるだろう。
私が懸念しているのは、海外市場が本格的に崩れることによって、日本市場の低迷が今年で終わらず、来年以降も引きずる可能性があることだ。
そうなった場合、企業業績や雇用情勢への影響は避けられず、それこそ日本経済は再び暗いトンネルへと入っていくことになるからだ。
株大幅続落、待ち受ける暗く長いトンネル 証券部 宮川克也 (2016.7.6 日経新聞) |
6日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続落し、下げ幅は一時500円を超えた。 英国の欧州連合(EU)離脱決定で1286円下げた後、4日まで823円戻していた流れを断ち切るかのような値動きに、市場関係者の嘆きは深まる。 Brexitは暗く長いトンネルの入り口にすぎないのではないか-。市場の関心は今後待ち受ける不透明要因に集まる。 5日に続き、株価の重荷になったのは欧州経済の変調だ。 イタリアの銀行は不良債権比率が高止まりしており、事態を重視した欧州中央銀行(ECB)は不良債権の処理を求める書簡を送った。 だが、銀行問題の解決が一筋縄ではいかないことは日本ならずとも経験済みだ。 ある銀行アナリストは「同じ南欧でも、2010年頃からの欧州危機で銀行部門の改革に着手したスペインと異なり、イタリアの対応は手ぬるかった」と指摘する。 英国のEU離脱が決定して以来、「欧州経済などに不透明感が強まるきっかけがあると、世界的にリスク回避の動きに傾きやすい」(三井住友アセットマネジメントの吉川雅幸チーフマクロストラテジスト)。 7月中にはイタリアの銀行部門の現状をチェックするストレステストの結果が判明するとされ、市場は当面、イタリアの動向に左右されやすくなる。 英国の不動産ファンドで解約を停止する動きが相次いでいるのも不安を増幅した。 ポンド売りを起点にした円買いの動きが強まり、円相場が1ドル=100円台に突入。 輸出企業の業績悪化が再び意識された。 東証1部の約8割が値下がりするなか、マツダが6%安、JFEホールディングスが5%安となった。 今週末に控える2つのイベントを見極めようとする動きも広がっている。 まずは8日に発表される6月の米雇用統計だ。 5月の米雇用統計は就業者数が市場予想を大幅に下回る内容だった。 「米国は既に完全雇用に近く、次回も就業者数の大幅な伸びは期待しづらい」(日興アセットマネジメントの神山直樹チーフ・ストラテジスト)という。 もともと7月の利上げはほぼないというのが市場の見方だったが、次回の雇用統計も内容が悪ければ利上げ時期は一段と後退しかねない。 日米金利差拡大への期待が剥落すれば円相場の高止まりが続き、海外で稼ぐ日本企業にとって打撃となる。 国内に目を転じると、さらに根深い問題が意識され始めている。10日の参院選だ。 日本経済新聞など各紙朝刊は6日、参院選を前に世論調査の結果を公表した。 自民党は非改選と合わせて単独過半数をうかがう情勢で、憲法改正に前向きな「改憲勢力」は国会発議に必要な3分の2に迫る。 「改憲機運が高まれば経済政策がおろそかになるのではないか」。市場ではこんな不安がくすぶり始めている。 年初から日経平均が19%下がっているものの、与党勢力は衰える兆しがない。 与党内に「株安でも選挙で勝てる」との意識が広がれば政権運営のベクトルは安倍晋三首相の念願である憲法改正に向かう。 急激に冷え込んだ今日の日本株相場が象徴するように、市場は先々のリスク要因に身構えている。 トンネルはいずれ抜けるとしても、その先の光明はまだみえない。 |
去る7月1日、バングラデシュの首都ダッカで武装集団が飲食店を襲撃し、イタリア人9人、日本人7人を含めた人質20人が殺害されるという痛ましい事件が起きた。(2016年7月2日 産経新聞-日本人7人の死亡確認 13人救出、IS系が犯行声明)
今回のテロ事件では、主に仕事で渡航している人が犠牲になったようだが、最近では世界各地でテロ事件が発生し、一見すると安全と思われる国や地域で、一般の海外旅行者が巻き込まれることも多くなってきた。(2016年6月29日 CNN Japan-イスタンブール空港で爆弾テロ、死者36人 ISIS関与か)(2016年3月23日 CNN Japan-ベルギー連続テロ 死傷者260人、ISISが犯行声明)
従って、外務省の海外安全ホームページで「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」以上の国だけをチェックすれば良いとは言えなくなってきた。
強いて言えば、大勢の外国人が集まるような場所をできるだけ避けることだろうが、最近の傾向として空港が狙われるので、そればかりは避けようがない。
それでは海外旅行自体を止めるか?
しかしながら、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS=Islamic State of Iraq and Syria)」のような国際テロ組織が完全に殲滅されることはないため、今だけ海外旅行を中断すれば済むという問題ではないし、それではテロに屈して人生の楽しみをやめることにもなりかねない。
それを避けるためには、最低限の自衛と情報収集だけは怠らないようにしなければならない。
そういったときに役に立ちそうなのが、外務省海外旅行登録「たびレジ」だ。
このことは2015年11月20日付のコラム「外務省海外旅行登録『たびレジ』」でも紹介したが、今年の夏休みや9月の連休に海外旅行される方は是非とも使ってみるといいだろう。
気休めにしかならないとは言え、ニュースなどをリアルタイムでチェックするような人を除けば、渡航先に関する注意喚起メールが来るだけでもいいのではないだろうか。
それと、昨年11月のパリ同時多発テロのときに掲載されたCNN Japanの「まず『逃げろ』、テロが起きたらすべきこと 英ガイドブック(2015年11月24日)」も参考になるだろうか。
この記事は、英国の国家テロ対策警備室(Nactso/National Counter Terrorism Security Office)が作成したNaCTSO Guidance Note 1/2015の3ページ目の抄訳となっているので、万が一のときにどうすればいいのか読んでおくといいかもしれない。
もっとも、そのようなことにならずに無事に旅行できることが一番なのだが、そろそろ日本政府もこうしたものを準備して欲しいものだ。
まず「逃げろ」、テロが起きたらすべきこと 英ガイドブック (2015.11.24 CNN Japan) |
(CNN) パリで同時多発テロが起こり、各国が対応を迫られるなか、2005年にロンドン同時多発テロが発生した英国では、事件に巻き込まれた際にどのようにすればいいのか、具体的な行動をガイドラインとしてまとめてネット上で公表している。 以下に、内容の一部を紹介する。 大急ぎで逃げる(Run)
そうした場合は、落ち着いて両手を見えるようにし続け、脅威とみなされるような突然の動きを避け、当局者の指示に従うこと。 英文記事:What to do in a terror attack: 'Don't play dead' (November 20, 2015) |
2016年6月23日に実施された英国国民投票(The UK's EU referendum)で、ほとんどの人が予想していなかった英国のEU離脱という結果に終わった。(2016年6月24日 BBC Japan-【英国民投票】 キャメロン首相辞意表明 EU離脱支持の勝利で)
そのため、開票速報とともに相場が進行した日本では、10時から12時にかけて、残留派優勢と離脱派優勢の速報が入り乱れて、日経平均株価も為替相場も乱高下、結果的に離脱派が徐々に優勢になって、正午過ぎにはドル円相場が100円割れ、後場の寄り付きと同時に大方の銘柄は暴落して、ロングポジションを持ったまま昼休みを迎えた個人投資家は、多額の損失(含み損)を出すことになったようだ。
6月24日の日本市場が開くまでは残留派優勢の予測の元に、6月第3週の世界株安の痛手から回復傾向にあったため、ほとんどの投資家は、このようなドンデン返しがあるとは思いもしなかったのだろう。
ただ、こういうことがあるので、6月18日のアメジスト香港特別セミナー「明日の世界マーケットはこう動く」で登壇した酒匂隆雄氏は「40年間為替の世界にいた私から言わせてもらえれば、個人投資家がギャンブルするのはおやめなさい。結果がどちらになっても為替は大きく動くだろうからリスクが大きすぎる。」と言われたのであろう。
特に、一般的なシフトのサラリーマン(休憩時間が12時から13時)の場合、2016年6月24日のYahoo!ファイナンスダイジェストを見てもわかる通り、10時過ぎ、あるいは11時過ぎの異変に対処できないと思われるので、ことさらリスクが大きいと言わざるを得ない。
実のところ、ロングポジションを持った投資家にとっての、「前場天国、後場地獄」は、4月28日に開催された日銀の金融政策決定会合で現状維持声明が出された後にもあったことで、これで今年は2回目の梯子外しというわけだ。
つまり、二度あることは三度あるので、今年に限って言えば、サラリーマン投資家は重要な政治・経済イベント前にはポジションを縮小するスタンスで臨んだ方がいいだろう。
ところで、私はどうだったかと言うと、去る19日のコラム「英国国民投票(The UK's EU referendum)でギャンブルするならショートポジションがベターか」で書いたように、若干のショートポジションを残して、というか含み損を抱えたまま、24日の朝を迎えたのだ。(苦笑)
当然ながら、このときは世論調査の結果が残留派優勢の中で大方の株価は上昇中、ショートポジションの銘柄は東京市場の脆弱さから、しばらく含み損のまま放置しても大丈夫と判断し、ほかの銘柄でロングポジションを取りながら均衡を図るつもりでいた。
ただ、私が世論調査というもので気になっていたのが、The Economist's "Brexit" poll-trackerで貧困層(Poor)と熟年者(Old)に焦点を合わせると、EU離脱派(Leave)が大きくリードしていたことだった。
ドンデン返しがあるとすれば、橘玲氏が2015年6月8日付で掲載した「大阪都構想の住民投票が教えてくれた“単純な事実”」と同じ構図、要するに、BBC Japanが掲載した「離脱派が勝った8つの理由」の中にあるシルバーパワーが侮れないということだった。
「大人の休日倶楽部パスで行く北海道・東北の旅」の途上、私は釧路から摩周湖と屈斜路湖に遠征することにした。
釧路で迎えた24日の朝はどんよりと曇っており、これから行く摩周湖もロンドンと同じように「霧」で有名なところなので、果たして湖面が見られるかどうか、宿泊先のラビスタ釧路川のスタッフ曰く、6月の釧路はほとんど太陽が出ていないということだったので期待薄であった。
ところが、釧路から列車に乗って摩周駅に下り立ったとき、そこには一面の青空が広がり、摩周湖第1展望台へ行く阿寒バスのドライバーが笑みを浮かべて、「今日のお客さんはついているよ。真っ青な摩周湖がくっきりと見えるよ。今月初めてじゃないかな。」と言ってきた。
午前10時過ぎ、私は列車からバスに乗り継ぐまでの間、フト思い立ってYahoo!ファイナンスのアプリを開いてニュースをチェックすると、そこには信じられない記事が刻々と配信されていた。
「日経平均は433円安、下げ転換に1万5900円割れ (10時13分配信 モーニングスター):買い一巡後は、伸び悩み、株価指数先物にまとまった売り物が出たのをきっかけに下げに転じ、軟調に推移している。」
こうは書いてあっても、明らかに利益確定売りとは違うと思った私は、前出のThe UK's EU referendumに繋ぐと、EU離脱派が予想外に善戦していることがわかった。
私はここで勝負に出た。
自分にツキがあると信じて、ショートポジションを膨らませたのだ。
初めて見た摩周湖は、どこまでも蒼く、吸い込まれそうな色合いだった。
気温も釧路とは比べ物にならないくらい暖かく、サイクリングでもしたら気持ちいいだろうと思った。
湖畔を散策し、マイナスイオンをたっぷりと吸ってリフレッシュした私は、摩周駅へ引き返すバスドライバーに声をかけて乗り込んだ。
こんなローカルバスに乗るような酔狂なお客は私だけだったが、この不便極まる公共交通機関を使ったことで、私はiPhoneの画面に集中することができたのだ。
摩周湖第1展望台を出発したのは11時25分、東京市場の前場が終わる5分前だが、もはや、このときにはEU離脱派が残留派を引き離しにかかり、それとともに日経平均株価は凋落を始めたときだった。
株価が下落して喜ぶというのは投資をやらない方から見ると変な話だが、私の場合はショートポジションを膨らませたので、結果的にそうならざるを得ないのだ。
摩周駅に到着し、昼食を取った後で、駅前の足湯に浸かりながら自分のポートフォリオを眺めたとき、朝方までマイナス表示だったものがすべてプラスに変わり、一方で、日経平均株価や為替相場は阿鼻叫喚の様相を呈していた。
やはり、今年は「熊(bear)の咆哮、2016年の投資のキーワードは戻り売り(sell on rally)」ということなのだろうか。