2017年7・8月-四国旅行 (7/30 奥祖谷観光) |
7/30(Sun) | 祖谷渓タクシーによる奥祖谷観光(天空の村-かかしの里・奥祖谷二重かずら橋と野猿) 二重かずら橋 11:18-(三好市営バス)-11:50 久保 12:24-(四国交通バス)-13:34 大歩危駅前/大歩危 13:51-「特急・南風9号」-14:42 高知 16:49-「特急・南風13号」-19:04 宿毛 |
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私が今回の四国旅行で奥祖谷の、それも名頃のかかしの里という、ほとんどの人が聞いたこともないであろうところへ行こうと思ったのは、ほんの偶然とも言えることからだった。
実のところ、名頃という村のことは私が行った前日(2017年7月29日)にテレビ朝日の番組「なかなか行けないニッポンの秘境! スター野宿旅!!」で紹介されたことにより、俄かに脚光を浴びているかもしれないが、私がここに着目したのは、奥祖谷の観光名所である二重かずら橋に行くための三好市営バスの時刻表を調べていた時に、複数のバス便の終点として出てきた地名だったからだ。
一般の人は、奥祖谷を観光するのに、自家用車やレンタカーを利用するので、こんなことで悩まないが、二重かずら橋まで行くバスが一日2本と、超絶に不便な観光地で、その手前の名頃まで行くバスが何本かある。
名頃に泊まって、朝の散歩を兼ねて、山道を歩けば健康のためにもなるし、と思った私はインターネットで検索を始めた。
まずは、三好市の大歩危・祖谷観光NAVIで奥祖谷の宿泊施設を調べてみる。
民宿などはウェブサイトがないところもあるが、住所に「京上(きょうじょう)」や「菅生(すげおい)」と書かれているところが多いことがわかる。
おそらく、名頃にある民宿などはなさそうだなと思いながらも、念のために「三好市 名頃」で検索すると、出てきたものは民宿などがあるとはとうてい思えないコラムの数々だった。
「人形村“かかしの里”に見る限界集落の現実(nippon.com-2014年7月28日)」「四国見聞録 徳島県三好市・祖谷かかし村 軒先でバス停でみんなで談笑?! 人口40人集落 住民が作り『寂しくない』(毎日新聞-2016年4月14日)」「Explore the hidden Japanese village where dolls replace the departed (The
Verge on May 2, 2014)」
最初のコラムにあった「限界集落」、ウィキペディアによれば、限界集落とは、日本独自の概念で、過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者になって冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になっている集落を指すとされている。
これらのコラムで必ず登場する「かかし工房」の綾野月見(あやの・つきみ)さんも65歳を過ぎている。
彼女が存命なうちに「日本一有名な限界集落、名頃」に行こうと思ったのはこのときだった。
そして、当日、私は奥祖谷の観光のために、あらかじめ祖谷渓タクシーを8時から2時間貸しの契約で予約していた。
最初は、二重かずら橋と奥祖谷観光周遊モノレールを周遊コースにしようと思っていた私は、モノレールに乗る代わりに、かかしのメンテナンスがしっかりしている間に、名頃を訪れようという気持ちに傾いていた。
ただ、モノレールに乗って奥祖谷の景色を見るというプランも捨てがたかったので、ドライバーに聞いてみると、乗車時間が1時間ほどあって、それに乗った後で名頃に寄って、さらに二重かずら橋へ行き、私が乗ろうとしている三好市営バスの帰り便に間に合わせるのは難しいとのことだった。
そこでモノレールの駅舎だけ見るなら大丈夫だろうということで行ってみると、ちょうどモノレールが出発する時間らしく、何人かの観光客が待っていた。
ちなみに、この近くにはいやしの温泉郷というホテルがあるので、機会があれば泊ってみるといいだろう。
午前9時過ぎ、名頃集落の入り口に着いた私を出迎えてくれたのは、バス待ちをしているだろうと思われるかかしだった。
このバスの待合所の周辺にも、生きている人間は1人もいなかったが、バスの時刻表だけは本物だった。
タクシードライバーの女性は「かかしも含めて全部レプリカよ!」と言ったが、復路をバスにしようと思っていた私は、ウェブサイトから印刷したものを持っていたのだ。
不思議な気分だった。
ここでバスを待っていても本物はやって来ないというドライバーの発言が事実に聞こえるほどかかしだらけの村だった。
どこまで行っても生きている人に会うことはない。
晴れた日曜日の9時過ぎなら、いくら高齢化が進む集落であっても行き交う人がいそうなものだが、ひと気が全くない集落を歩いていると、日没後にここを歩いていたらお化け屋敷にいるより怖いだろうと思う。
途中の一軒家で老齢の男性が出てきて、「ゆっくりと見て行ってくだされ」と言った。
軒下には「かかしノート 2016年12月~ かかしの母 あやの」とペン書きされたノートがあったので、私も一言書いておいた。
ほかにも「ペンション三嶺」と看板が掲げられた建物や、酒屋、工務店などもあったが、いずれも往時のものであって、今では全く営業してなさそうな感じだった。
それと、名頃小学校(2012年3月31日閉校)にも寄ってみたかったのだが、ここにもかかしの生徒がいるのだろうか。
最後に「かかし工房」と書かれたところに行ってみると、かかしの作者である綾野さんにお会いすることができた。
生きている人間に会うのは2人目だ。(笑)
綾野さん曰く「元気なうちはかかしを作り続ける」とのことだが、かかし作りの跡継ぎはなかなか難しいものがあるのだろうな。
時間があればいろいろお話したり、「かかし基本台帳」なるものを閲覧したりしていきたかったのだが、残念ながらお別れしないといけなかった。
生きている人間よりかかしの方が多いユニークな集落、名頃、綾野さんはかかし作りも教えてくれるそうなので、時間がある方はやってみてはいかがだろうか。
ただ、自家用車がない方は超絶にアクセスが不便なので、京上(きょうじょう)バス停周辺の民宿に泊まるといいだろうか。
天空の村-かかしの里 | ||||
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名頃のかかしの里を後にした私たちは二重かずら橋へ向かう。
8時から2時間の契約で借りた祖谷渓タクシーをここで降り、11時18分発の三好市営バスが来るまでの1時間余りを楽しむことにした。
ここは入口から下って右から順に、男橋、女橋、野猿と続いている。
今日は暑いし、日曜日ということもあってかなりの人出で賑わっていて、男橋を渡り切ったところから下りられる川べりにも多くの人が来ていた。
ここは祖谷のかずら橋とは違って外国人の間では知名度があまりないのか、それとも超絶にアクセスが不便だから来れないのか、いずれにしろ日本人しかいないようだった。
私は最初から川に入ろうと思って水着を着込んできたので、短パンを脱いで川に入ってみる。
まあ、短パンもままでも良かったのだが、川の中で滑って転ぶとずぶ濡れになるし、ズボンの着替えは宿毛の秋沢ホテルへ送ってしまったので、安全の期すためにそうしたのだ。
水着になったとはいえ、さすがに、泳ぐまではいかなかったが、川の水は冷たく、しかも綺麗なので気持ちがいい。
川の深さから言えば、膝上までの丈の短パンやミニスカートなら濡れることはないのだが、川にじゃぶじゃぶ浸かっている人はあまりいない。
かずら橋の川べりでも泳いでいるという外国人なら、ここはお勧めしたい場所だ。
ちなみに、野猿というのは人力で川を渡るロープウェイなのだが、それに乗る順番を待っていると時間がなくなりそうだったので、女橋を渡って引き返すことにした。
実際のところ、トリップアドバイザーの口コミ評価にあるように、私の感想も二重かずら橋の方がかずら橋よりもはるかに良かった。
秘境感があるというだけでなく、こちらの方が自然の中で遊んでいるという感覚が得られたからだ。
祖谷のかずら橋の近くにある琵琶の滝は単に見るだけで終わりだが、奥祖谷では滝壺の中に入って遊ぶことができるだろう。
二重かずら橋は、外国人のみならず、日本人の間でもまだ知名度が高くないと思われるが、名頃のかかしの里と、剣山のハイキングを組み合わせて日帰りか、1泊2日のツアーにすれば欧米人受けするものになると思う。
日本人は人目を気にして遠慮する人が多いのだが、私の旅行経験から言えば、欧米人、特に白人は性別年齢問わず、水辺で遊ぶというコンセプトがとても好きだ。
ここでは、盛夏の間しか川遊びができないかもしれないが、そういうものを組み込むことによって新たな需要が喚起できるならやってみた方がいいと思うが、いかがだろうか。
奥祖谷二重かずら橋と野猿 | ||||
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11時18分発の三好市営バスはほぼ定刻通りにやってきた。
バスといってもタイで良くみかけるミニバスと同じだ。
乗客は地元の高齢者と、剣山からの帰りと思われる女性グループだった。
1日2本しかない超絶に不便なバス路線に乗るのは、私のような酔狂な人間しかいないのだろうが、途中の停留所から乗って来る人は皆無だった。
これなら外国人向けのミニバスツアーをやった方が余程乗客が集まるだろう。
日本の交通行政は国土交通省の認可がないと何もできないと聞いたことがあるが、ミニバスを走らせるくらいなら各自治体の裁量でやらせればいいと思う。(国土交通省 一般乗合旅客自動車運送事業(乗合バス事業))
久保バス停 | |
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三好市営バスから四国交通バスの乗り換えは、久保又は京上(きょうじょう)バス停になるのだが、久保は単に始発停留所というだけで、周辺には何もない。
京上(きょうじょう)は民宿などがあるので、何かあるかもしれないが、本格的に食事をするなら、かずら橋まで行かないと何もなさそうだ。
私は宿毛へ行くの列車の時刻表と睨めっこしながら、かずら橋で下りて食事をするか、大歩危駅まで行くか考えていた。
当初の予定では、大歩危15時41分発の「特急・南風13号」に乗る予定だったので、どちらで下りるにしろ2時間ほど時間があった。
ただ、ここで私は思い切って早めの列車に乗り、高知で昼食を取ることに決めた。
大歩危駅でチケットを見せると、早めの列車に乗るなら自由席なら構わないということだったので、駅前の前川酒店でビールとつまみを買い込んで乗ることにした。
大歩危駅では14時20分発のJR四国の観光列車「特急・四国まんなか千年ものがたり-しあわせの郷紀行」が停車していたので、アテンダントのお姉さんと一緒に写真を撮ってもらう。
私の振り替えた列車は13時51分発の「特急・南風9号」なので、それまではこういうことで時間を潰すのが一番だ。(笑)
大歩危駅 | |
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私が乗った列車が高知に着いたのは14時42分、ここで昼食を取って、宿毛に向かうときは、予定していた「特急・南風13号」にするつもりなので、2時間ほど空き時間がある。
その間に昼食を取ろうと思ったのだが、日曜日にひろめ市場に行くと混雑しているような気がしたので、ここは帰京する日に行くことにした。
そこで、途中のはりまや橋までとさでん交通のトラム電車で行ったところで、ちょうど営業しているレストランを発見したので、そこで有名な(!?)の鰹のタタキ定食(1,360円)を食べることにした。
入った時間が午後3時過ぎと中途半端な時間だったので店は空いていてゆっくりと食事を味わうことができた。
これならひろめ市場へ行っても大丈夫だったかな~
高知 | |
とさ市場 | |
高知駅 |
高知発16時49分の「特急・南風13号」に乗った私は、駅で買ったビールで飲みながら終点の宿毛を目指す。
最初は高知市内に泊って観光しようと思ったのだが、高知の柏島というところが、まるで南国のようなエメラルドグリーンの海であると聞いて、是非とも行ってみたくなったからだ。
おまけに、ここはスノーケリングやダイビングもできるとあったので、高知県の西端にある宿毛を目指すことになったのだ。
しかし、宿毛でも高知から特急で2時間以上かかるので、とても高知から柏島まで日帰りは無理、それで今回は宿毛を拠点に楽しむことにした。
宿毛に到着したのは午後7時過ぎ、駅構内の観光案内所も閉まっており、ホテルまでの行き方も今一つわからなかったので、駅前に止まっていたタクシーでホテルに向かうことにした。
結果的に歩けそうな距離であったが、今日は移動が多くて疲れも溜まっていたので、これで良しとしよう。
さて、明日は柏島を目指すか、それとも片島港7時発の宿毛市営定期船に乗って沖の島を目指すか、考えあぐねるところだ。
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