去る23日(土)に目黒のスペイン料理屋のカサ・デ・フジモリで「旅人系投資家の集い-スペインの夕べ」と銘打ったWorld Investorsのオフ会を催した。
奇しくも1年前には新宿で第1回目のオフをやった記念すべき(!?)ときであった。
参加者は総勢11名(男性が8名、女性が3名)、旅好きメンバーに絞って参加者を募っただけあって、このオフの前後に旅行の予定が入っている人も結構いた。
かくいう私も来月5日から久々の欧州旅行だが、今年の下半期は相場環境も悪いのに散財の予定ばかり入っていることに苦笑するしかない。
ところで、このオフ、最初はエジプト料理になる予定だったのだが、メンバーの1人が予約を入れようとした店が多人数のパーティーは2時間という制限があるのがネックになり、急遽、幹事特権(!?)でスペイン料理にしたのだ。
実のところ、私はこの店に何回か行ったこともあり、お気に入りの店の一つだからだ。
今回は11名ということで、最初からパエージャ・パーティ(3,800円/税・サービス込み)を注文、料理のサーブのスピードもまさに現地の流れ(!?)だったのだが、いつものように話がヒートアップするとそんなことはお構いなし。
いつの間にかワインもポンポンと空いて、エンドレスの様相、結局閉店近くまでいた私たち、時間制限なしでいられる店を選んだのは正解かも。
ただ、昨年週刊SPAの取材が入ったように、今回は日経マネーの編集部の人が2名も来てくれたのだが、彼らも取材そっちのけで飲んだり食べたり・・・ということなんで今回は雑誌に掲載されることはないだろうな。
ちなみに私は京王プレッソイン五反田に宿泊、もはやこのメンバーで飲むときに電車で家に帰れることの方が少ないからね。
たまに帰ろうかと思ったら乗り過ごすし(爆)
ところで、ここのホテルはシングルで8,400円だったのだが、品川プリンスホテルが夏の間は格安料金を提示している。
空室があったら泊まろうかと思ったのだが、あいにくと23日だけが満室、海外旅行に行くのに燃油サーチャージで二の足を踏む中、思わぬところにゴージャス気分で過ごせるバカンスの穴場があるようだ。
国土交通省が国際拠点空港としているのは成田空港、関西国際空港、そして中部国際空港の3つである。
ところが、これらの空港と地方空港を結ぶフライトは、中部発着のローカル線を除けば、新千歳、福岡、那覇以外の路線はない。
極論すれば、日本の主要空港は6つ、あとは離島住民の足を確保するという政策的な見地から小型航空機が発着できるコミューター空港があれば事足りるのだが、一県一空港というばかげた政策を推進する政府と、その支持者たちは国際線のジャンボ機が発着できる空港の誘致し続けてきた。
維持費も莫大になり、実にばかけだことだが、そんなことは利権に群がる泥棒たちを別にすれば、誰もが感じていることだろう。
ところで、私は海外居住や海外発券の経験がないので、深く調べたことはないのだが、海外から成田(関空・中部)行きのJALかANAのチケットと同料金(もしくはわずかな追加料金)で、さらに近距離の国際線、例えばソウルや台北へ行けたり、国内線のフライトと接続できたりするのだろうか。
何を言いたいかと言うと、例えばタイ航空で成田-バンコク-チェンマイと飛ぶときのバンコク-チェンマイ間や、ルフトハンザで成田-フランクフルト-ローマと飛ぶときのフランクフルト-ローマ間のようなことが日系キャリアでも可能なのかと言いたいのだ。
日本の空に格安航空会社が参入しようとするとき、国土交通省航空局の役人やJAL、ANAの経営陣(これを私は日系航空3バカトリオと呼ぶ)は、両者の競合路線では不毛な価格競争を生み、延(ひ)いては収益悪化から安全性が損なわれ、このことは国民(利用者)のためにならないと言う。
しかし、現実にはバンコク-チェンマイ間にはタイ航空も格安航空のエアーアジアも飛んでいるし、フランクフルト-ローマ間においてライアンエアーとの価格競争の末にルフトハンザが撤退したという話もない。
日系航空3バカトリオの言い分が事実なら世界中で格安航空会社規制論が出てもおかしくない。
『速さだけが「空の旅か』を書いた谷川一巳氏も言うように、大手のフラッグキャリアは国際線と国内線の通しチケットによる外国人旅客を確保することで、格安航空との競合路線のシェアーを維持しているのだ。
例えば日本人がタイ周遊旅行をするときに取りうる選択肢は3つある。
いずれにしようか時間との兼ね合いで選択肢が広がるだろう。
ところが日本に来る外国人がJALやANAを利用したとしたらどうなるか。
1の選択肢がなければ、日系キャリアを利用しようというモチベーションは、チケット代が他社便と比べて安いか、フライトスケジュールが良くなければ、ほとんどないだろう。
まして成田から羽田に移動させられるならば、3を取りうる(日本でいえばJRを利用する)と思わないか。
要は、日系キャリアは日本人のみのためにあると言っても過言でなく、その乗客を奪い合うことになれば、確かに日系航空3バカトリオの言う通り、格安航空の参入は死刑宣告となる。
ついでながら、ある外国人が、シンガポールからソウルに行くのにJALを使って、帰りに東京見物をしたいと思ったとする。
私もそういうことはよくやるのだが、メインとなる旅行先へ行くのに、第三国のキャリアを使い、往路は単なる乗り継ぎ、復路でその第三国でストップオーバーをしたいというのはよくあることだ。
この寄り道が新しい発見につながったり、直行するより体が楽だったりするからだ。
このとき、シンガポールから成田経由、ソウルへのJALの格安航空券がないとすれば、外国人からすれば、JALのチケットは日本との単純往復以外に使わないだろう。
私は海外旅行から帰国するたびに思うのだが、いったい、成田へのフライトから、さらに別の国へ行くフライトに乗り換えをする外国人がいったい何人いるのだろうか。
成田空港でのTransfer(乗り換え)への連絡通路が単なるオブジェにしか見えないのは私だけであろうか。
日系航空3バカトリオは、JALやANAのチケットのあり方を抜本的に変え、成田や関空、中部をシンガポールのチャンギ空港のようなアミューズメント空港にすれば、そこでトランジットしたいという旅客も増え、それが航空業界の収益増につながると思ったことはないのだろうか。
このコラムを掲載後、別のところで以下のようなコメントをいただいた。 さっそくのご指摘感謝致します。 >(日系航空でも海外から成田空港経由で)各地へ定額で乗り継げ、主要空港はそれより安いか成田と同額になっているようです。海外発券、一時やったので調べたことがあります。 >(日系航空の国際線から)国内の乗り継ぎは別に買うよりは安いチケットをつなげるし、乗り継ぎでディスカウントチケットも販売していますよ。 ただいすれのコメントも成田での乗り継ぎに難アリとのことだった。 このあたりが改善されないと苦しいということに変わりはなさそうだ。 |
去る9日に、「インターネット上で謝礼金付きアンケートを装い、収集した個人情報を悪用する業者が横行している」という、一見するとチンケな詐欺事件めいたものが報道されたことを覚えているだろうか。
このニュース、似たようなケースを何かの本で見た記憶があるのだが、思い出せずに今まできた。
ところが、久しぶりに本棚から「あなたの隣りの詐欺師たち」という本を取り出してパラパラとめくると出てきたではないか。
この本の初版が2003年5月、書かれている内容を見ると1990年代後半のインターネット黎明期(れいめいき)からITバブルの頃が時代背景のようだが、そこの手口が形を変えて出現したかのようだ。
要は、「あなたの隣の詐欺師たち」の中の銀行口座がFX口座に名前を変えただけだと思えばいいだろう。
わずかな謝礼に釣られて浅知恵なヤツらが騙されるという図式もほとんど同じだ。
それにしてもアンケートやモニターの謝礼のための住所、氏名はともかく、免許証のコピーを送れと言われたときにおかしいと思わないのか。
しかも銀行口座にしろ、FX口座にしろ、口座開設通知は原則として名義人が申請した住所にしか届かない(転送不可)はずだが、それが名義人でなく、詐欺師の元に届くような抜け穴があるのだろうか。
あるいは窃盗のリスクを冒して名義人のポストから郵便物を抜き取るという荒業を多用しているのか。
いずれにせよ、私が4年前に書いたようにIT社会で一番便利になったのは詐欺師だというのは確かなようで、こうした犯罪は形を変えて増えることはあっても減ることはないだろう。
もちろん、FX口座の偽装アンケート事件が1万円なんてはした金を掠め取るだけのもので終わると私は思っていない。
ところで、2006年(平成18年)12月31日から「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律」が「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」に変わり、いわゆる口座の売買が違法(第16条の2)とされたが、相変わらず架空口座の販売サイトは検索サイトでたくさんヒットするようだ。
中には「このサイトは(取り込み)詐欺ではありません」と謳っているところがあるのが笑える。
かつては、こういう架空口座売買にブラック詐欺(チンケな詐欺師を嵌める詐欺)の陥穽があったようだが、今はどうなのだろうか。
激裏情報の本堂昌哉氏曰く、「今の犯罪は、枝葉の小僧連中がやっているだけ」とのことだが、仮に警察が彼らを摘発したとしても単なる小遣い稼ぎだとされ、業でやっているとされなければ、たった罰金50万円を払うだけ。
これでは警察だって労多くして何とやら。
法律あっても機能せずということなのだろうな。
最後にアングラネットの住人を騙して大金を稼ぎ役所を辞めたという元公務員氏のセリフを紹介して終わりにしたい。
「詐欺を働くために大事なのは、一番最初にやること。つまりオリジナリティが必要なのだ。二匹目のどじょうを追ってもアガリは少ないし、引っかかるカモだって半分もいない。それにオリジナル手口の考案者というのは、たいてい捕まらない。短期間に荒稼ぎして、模倣犯がはびこる頃にはすでに次の手口を考えている。そういう見極めができるのだ。逆に下手打つヤツというのは、そのほとんどが考案者の手口を猿真似したにすぎない。引き際がわからないヤツは、この世界では生きていけないだろう。」
オリジナリティが評価されない日本において一番評価されるのがアンダーグランドの世界というのは痛烈な皮肉としか思えない。
FX口座の無断開設にご用心=謝礼付きアンケートで個人情報収集 (2008.8.9 時事通信) |
インターネット上で謝礼金付きアンケートを装い、収集した個人情報を悪用する業者が横行している。 個人情報を使い本人に無断で外国為替証拠金取引(FX)の口座を開設。 FX会社から報酬を得た上、口座開設者への払戻金まで懐に入れているという。 国民生活センターは「個人情報が口座開設以外に悪用される恐れがある」と警告、FX会社も「甘い話には気を付けて」と呼び掛けている。 関係者によると悪質業者はFX会社と広告掲載契約を結んだ上で、投資に興味を持つ人に対し架空のアンケートを実施。 回答者に2,000円程度の謝礼を支払った上で、住所氏名や免許証のコピーを送付させ、FX口座を開設している。 業者は1口座開設につき約8,000円のFX会社からの報酬と、口座開設者への払戻金の中間搾取で、1件あたり1万円以上を得ているとみられる。 |
インターネット詐欺-ネット取引詐欺 (あなたの隣の詐欺師たち by 成田青央取材班) |
■ネットは無法地帯の幻想 インターネットは匿名の世界だ。 実社会ではとても表に出せないような趣味を持った連中が、堂々とやり取りできる。 幼児愛時好-いわゆるロリコン趣味を持つ者、麻薬やピストルの愛好者、自殺願望者など、アングラネットの世界は今日も賑やかだ。 1998年末に起こった「毒物宅配事件」は、その典型と言えるだろう。 心に悩みを持つ人々の相談に答える掲示板を、ドクター=キリコと名乗る人物がインターネット上に開設、一部の相談者に青酸カリを売り渡していた。 ところが受け取った一人が実際に服毒して死亡、続いてドクター=キリコ本人も自ら命を絶ってしまった。 新聞には「ネットが凶器となって事件が引き起こされた」という見出しが躍り、インターネットは顔も知らない相手から簡単に青酸カリを入手できる恐ろしい場所だと訴える記事があふれた。 いい傾向だった。 マスコミがネット犯罪を盛んに取り上げ、当然の結果として一般大衆が踊らされる。 それは、俺たちの懐が潤うことを意味する。 「バカとマスコミは便いよう」とはよく言ったもので、俺たちの世界のプロパガンダを自ら引き受け、カモをおびき寄せてくれたのだ。ビタ一文払わずに。 ネットでは、非合法な物でも簡単に手に入る-。 それはマスコミが作り上げた、単なる幻想にすぎない。 確かにネットでは、人と接触することなく取り引きできる。 便利な世の中になったものだ。 だが、裏を返せば、接触がないからこそ危険にあふれているのだ。 <S(覚醒剤の隠語)あります> <道具(拳銃の隠語)あります> アングラ掲示板を覗けば、この手の書き込みが簡単に見つかる。 興味本位で手を出しても俺はなにも言わないが、これらの大半が取り込み詐欺だということは覚えておいてもいいだろう。 たいていは品物を渡す前に、架空口座への振り込みを要求される。 その後はもちろん音信不通だ。 騙されたと気がついても、ブツがブツだけにどうしようもない。 弱みのあるヤツにつけこむのは、この世界では基本中の基本というわけだ。 仮に詐欺じゃなくても安心はできない。 もともとこれらの商品は口コミだけで飛ぶように売れる。 だから本物のアウトローは宣伝などという馬鹿げた行為は一切しない。 ネットで販売しているのは素人か、せいぜい組織の三下連中しかいない。 彼らはもし捕まって尋問されたら、品物を売った先など簡単に口を割ってしまうだろう。 だからブツが届いたタイミングを見計らって警察の手入れが入る危険性だって十分にあるのだ。 ネットがらみで検挙される事件というのは、研究所で働く者がクロロフォルムをくすねてきたり、研修医がハルシオン等の向精神薬を転売したり、自分で栽培した大麻を販売したり-。 とにかく、そのほとんどが素人の手による一回性の悪戯という域を越えてない。 拳銃についても同じことで、ガンマニアが改造拳銃を作り、ネットで販売したにすぎない。 マスコミは、そんな素人の悪戯と本物のアウトローによる仕事を一緒にして垂れ流してくれる。 |
■架空口座の販売は アダルト業者・ネット詐欺の味方 身分証明書を偽造して作られた架空口座は、売る側はもちろん、購入する側も検挙の対象になる。 だが、合法的な銀行口座を大量に持っているだけで捕まったという話は、今まで聞いたことがない。 それどころか、どこの金融機関も口座獲得に躍起になっているのが現状だ。 そこに目をつけた俺は、銀行口座を合法的な手段で開設し、いかがわしいヤツらに売りつけて儲けることにした。 したがって俺が扱うのは厳密に言えば架空口座ではないのだが、そのあたりの事情はあとで説明することにしよう。 一昔前、架空口座といえば、脱税目的や横領した金を入れておくことくらいしか使い道がなかった。 ところが、IT犯罪の蔓延とともに、架空口座は俺たちの世界では必須アイテムとなった。 いつだったか、中学生がネットで取り込み詐欺を働いて逮捕された事件が話題になったが、アシがついたのは銀行口座からだ。 この件についてはあとで詳しく触れるが、とにかく中学生の浅知恵では、架空口座まで頭が回らなかったのだろう。 俺はまず、匿名でフリーメールを取得するところから始めた。 そして海外の無料ホームページを設置できるスペースに<架空口座売ります>というシンプルなホームページを設置する。 外国人は日本語がわからないだろうし、違法な画像は置いていないから、管理者に無断で削除されるようなことはない。 そのページには<匿名申込可、注文メール削除>と<半金申し込み、商品到着後残額入金>という2点を明記しておいた。 これは、架空口座を購入したという証拠が残らないこと、それに取り込み詐欺ではないことの2つをアピールして利用者を安心させる目的があった。 販売価格は通帳・印鑑・カード・暗証番号の4点セットで2万円。ネットバンクはなにかと便利だし、他銀行の口座が必要だったりして開設方法が面倒くさいので4万円。 郵便局の口座は、間をとって3万円。 もちろん、この振込先も架空口座で、用心のために毎月変更している。 サービスとして男性名義と女性名義を選べるようにしているが、注文が多いのは圧倒的に女性名義だ。 それは架空口座がおもに、男性のみ有料という出会い系サイトの振込先として使われるからだ。 男の心理として「株式会社○○」という素っ気ない口座名よりも女の子の名前のほうが嬉しいし、たとえ伝票がカミさんに見つかっても、個人名だとなにかと言い訳ができる。 また、ネット詐欺の場合も女性名義のほうが重宝される。 ネットの個人オークションなどは、売買成立から振込完了まで、すべてネット上のやり取りだ。 取引相手が男か女かもわからない。 しかし、口座名が女性の名前だと、相手は勝手に女性だと思い込んでくれる(あなたも「いや、俺はそうじゃない」とは言い切れないはずだ)。 そんなヤツらは、金を振り込んでから商品がなかなか届かなくても「○○ちゃん、忙しいのかなあ?」などと、逆に心配してくれたりもする。 騙されているのにも気づかずに。 |
■オリジナル架空口座の作り方 架空だけど架空じゃない 俺から買った架空口座で悪事を働いた末、捕まった連中もいるだろう。 しかし、俺に捜査の手が及ぶことはないと断言できる。 これまでは便宜的に「架空口座」という言葉を使ってきたが、さっきも少しだけ話したように、俺が売っている口座は架空ではないからだ。 やり方は、インターネットの掲示板へ<モニター募集!謝礼5,000円!!>と書き込むところから始まる。 問い合わせが来たら<ネットで口座開設を申し込んでから通帳が届くまでの日数を調べています>とかもっともらしい理由をつけて、銀行口座を作らせる。 そして、通帳が届いたという連絡があったら<口座の凍結はこちらでやりますから、通帳・印鑑・カード・暗証番号送ってください>とやるわけだ。 もちろん引き換えに、一口座につき5,000円のモニター代を出す。 成功率は、だいたい8割といったところだ。 モニターは使いもしない口座を持っていても仕方がないし、口座凍結の手続きをするのも面倒くさいのだろう。 まあ、ヤツらにしてみればネットから好きな時間に申し込んで、受け取った物を送るだけで2~3万円くらいになるのだから、いい小遣い稼ぎにはなる。 この口座が犯罪の温床になっているなんて、これっぽっちも思っていないはずだ。 その証拠に、一度引っかかったヤツが家族の名前を使って再び通帳を送ってくるケースも多い。 俺にとっては都合のいいリピーターというわけだ。 それとは別にもうひとつ、オリジナルの口座開設方法というのもある。 口座開設にあたっては、郵送で申し込む場合もネットで申し込む場合も、身分証明書の写しが必要になる。 逆に言えば免許のコピーさえあれば、いくらでも口座は作れるってことだ。 近ごろは個人情報の流出が問題になっているが、それでも免許のコピーを扱う仕事はそこらにゴロゴロ転がっている。 携帯電話屋のお姉ちゃんに金を握らせれば、いくらでも「コピーのコピー」を横流ししてくれるのだから。 あるいは「手配書(借金を踏み倒して逃げている者のリスト)」には、たいてい免許のコピーがついている。 たった一枚の免許証コピーから10以上の口座ができるわけだから、コピーを一枚一万円で買い取っても十分に元が取れる。 身分証明書が手に入るルートは、まだある。 知り合いの風俗店オーナー兼アダルトビデオ監督の布辺という男に少なくない金を握らせて、俺の仕事に協力してもらっているからだ。 彼の仕事はどちらも、女の子の年齢には非常に気をつかう。 ちゃんと警察に届出を出して営業していても、18歳未満の子を使うと児童福祉法違反でブタ箱入り。 「知らなかった」とか「俺たちも騙されていた」じゃ済まされない。 だからAVの時は、必ずプロダクションからモデルの身分証明書のコピーが回ってくる。 もちろん風俗店の面接の時も、身分証明書を持参するように徹底させているという。 こうした大義名分のもとに布辺の手元には大量の身分証明書が集まり、そいつが俺に流れてくるというわけだ。 架空口座は女性名義のほうがよく売れるということはすでに話した。 その意味でも、この入手ルートは非常に魅力的だと言えるだろう。 写真付きの運転免許証やパスポートなら身元の確認も確実だが、保険証の場合は姉の名前を語られたら確認する術はない。 ただし、銀行口座を作るだけなら保険証だけでもコトは済む。 だから俺は店で不採用にした女の子の保険証コピーをいただくことも多い。 もちろん、保険証に載っている家族全員の名義で口座を作ることだって簡単にできるが、さすがにそんなかわいそうなことはしない・・・基本的には。 使わせてもらうのは、たとえばこんな場合だ。 AVや風俗で働こうなんて思っている女の子のなかには、少々常識に欠けた子もいるそうだ。 何十万円もするスタジオを押さえたのに、当日になって撮影をすっぽかしたり、店で予約がたくさん入っているのに無断でバックれたりする子だって実際にいるらしい。 そんな子が出てくるたびに、布辺は俺に「お仕置き」および「損失補填」を依頼してくる。 そして俺は遠慮なく、家族全員の名義を使って口座を作らせてもらうのだ。 本人だけが被害を受けるというなら自業自得で済まされるが、こうして知らない間に自分や家族名義の口座が犯罪に使われることもあるというわけだ。 ということで、年頃の娘をもつお父さん、お母さん方たちにひとつ忠告。 彼女たちがAVに出演したり、風俗で働いたりするのを心配する気持ちはよくわかる。 とくに、娘が一人暮らしをしてる場合は他人事じゃないだろう。 だが、このように、もっと恐ろしい陰謀が口をぽっかり開けて待ち受けていることだってあり得るのだ。 くれぐれも娘さんの行動には目を光らせておいたほうがいい。 まあ、それでも手遅れになっている場合もあるだろう。 せいぜい俺の手元にある500件ほどの保険証のコピーのなかに、あなたの名前が載っていないことを祈っていただきたい。 この架空口座に関しては、さらに詐欺師を騙すためのテクニックというのも存在する。 <脱税・詐欺・違法物販売に使える架空口座を売ります>なんてインターネットに書き込んでおけば、浅知恵しか持ち合わせぬ素人詐欺師どもがわらわらと申し込んでくる。 その際、入金させる口座自体を架空口座にしておき、申込金だけをパクって消えることも可能だ。 もちろん被害者は後ろめたい気持ちがあるので、絶対に訴えることはない。 それでも、ここでチンケな取り込み詐欺を働いてもしょうがない。 もっと大きな獲物を狙うのだ。 無事に架空口座を入手したヤツらは、嬉々として悪事を働くだろう。 そもそも普通の口座じゃできないことをやるわけだから、莫大な闇の金が入金される。 だが、彼らはすでに致命的なミスを犯していることに気づいていない。 そう、ほかでもない、この俺に暗証番号を握られているという事実を忘れているのだ。 俺はただ、ネットバンキングで残高を確認していればいい。 時期が来るまでじっと待ち、適当なところで口座を解約する。 銀行には「印鑑をなくしたので、口座をストップしてください」と電話で伝えるだけで事足りる。 その後、銀行印を再登録し、入金されている金をすべて引き出して消えるだけだ。 実に簡単で、しかも完全な詐欺じゃないか-。 こうして詐欺師を騙す詐欺師のことを「ブラック詐欺師」という。 俺がこれまでに売った口座は500以上にのぼるだろう。 もちろん、すべての暗証番号を控えている。 人を騙すことに飽きたら、ブラック詐欺で完全犯罪としゃれこむのも悪くない。 俺が飽きる頃には、口座にたんまり黒い金が眠っているはずだ。 しかも俺自身がやるべきことは、それほど多くない。 ここまで話して、ようやくおわかりいただけただろうか? 最初のほうで俺が言った「ネット取引は、接触がないからこそ危険にあふれているのだ」という本当の意味を。 |
2009年(平成21年)5月21日から施行される裁判員制度について、私は過去4回にわたって懸念を表明してきた。(2005年4月17日、2006年10月15日、2007年8月24日、2008年5月24日)
そして、今回は裁判員制度が骨抜きにされかねないのではないかという懸念を表明したい。
ご存知の方も多いだろうが、裁判員が関与する裁判は、殺人罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪、危険運転致死罪などが罪状とされる事件だ。
最近日本では無差別殺人(テロ)というものが多発している。
これに関してメディアは、加害者たちが格差社会の底辺で抑圧された云々ということを書き、家庭環境や社会生活における不遇を取り上げ、対する市井のブロガーたちはマスコミが世論をミスリードしようとしていると憤る。
今は、市井のブロガーはネット上で憤ることしかできないが、来年以降は裁判員に選ばれれば、こうした事件に直接関わる可能性がある。
そもそもこの制度を導入した理由が、裁判が身近で分かりやすいものにし、司法に対する国民の信頼の向上につながることを期待するということだが、果たしてそうなるのだろうか。
私の手元に日垣隆氏の「そして殺人者は野に放たれる」という本がある。
その中で彼は、刑法第39条(心神喪失及び心神耗弱)の規定によって精神鑑定が乱発され、その鑑定結果を検察と裁判所は量刑判断に対する言い逃れの担保とし、自らの目をもって被疑者の責任能力の判断をしなくなって(思考停止して)いる、と述べている。
また被疑者に対して弁護士が入れ知恵して司法を誘導し、不起訴処分や刑の軽減を勝ち取ることも多いと指摘、この規定は即刻削除すべき条項であると主張している。
仮に、精神鑑定や刑法第39条を是とするならば、刑法第39条の次に以下の条文を付加すべきとも言う。
刑法第39条の2 (1974年5月29日法制審議会総会で決定した刑法改正草案の一部) |
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1 | 故意に、みずから精神の障害を招いて罪となるべき事実を生ぜしめた者には、前条の規定を適用しない。 |
2 | 過失により、みずから精神の障害を招いて罪となるべき事実を生ぜしめた者についても、前項と同じである。 |
つまり、覚せい剤のような薬物摂取や過度の飲酒によって引き起こした犯罪は精神錯乱を理由として免責しない、ということだ。
当たり前過ぎることだが、日本ではその常識が通用しないようだ。
そして、日垣氏曰く、この改正法案は1974年(昭和49年)5月29日に法制審議会総会で正式決定を見ながら、歴代内閣と法務当局もこれを忘却したかのように振舞っていると手厳しい。
その中で2001年6月の宅間守による大阪池田小児童殺傷事件のとき、当時の小泉首相は「重大な罪を犯した精神障害者の処遇」に関して、刑法改正の検討を指示(参考:法務省・厚生労働省合同検討会)したが、結果は「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」が成立したものの、法律の名前通り、あくまで彼らには医療処置を受けさせるのみで、実質的には薬物乱用、過度の飲酒によるエセ精神障害者であっても刑に服さなくて済む余地が残されたままになっているのが実態と言えそうだ。
役所言葉で「慎重に」というのが「ほぼどうしようもないが、(官邸や大臣からの頼みなので)断りきれないときに使い、実際には何も行われないということ」といった故宮本政於氏の言うことは正しかったのだ。
日垣氏も不勉強な森山法相(当時)を自在に操る被害者無視の法務官僚に刑法改正の声は瞬く間に掻き消されたと論じている。
これで、無差別殺人を行った者が、なぜ警察にイの一番に「むしゃくしゃしていた、酔っていてよく覚えていない」などと一見して不可解なふざけた理由を言うかおわかりだろう。
いかにも動機がわからない、正気でない風を装えば、うまくいけば起訴されずに済むからだ。
仮に公判に付されたとしても、こうした犯罪者に対する典型的無罪の判決理由である「被告人は犯行当時、錯乱の状況にあり、自己のおかれた状況を十分に把握できないまま、衝動的に犯行に及んだものとしか言えない。このことからすれば、被告人は自己の行為の是非善悪を弁(わきま)え、それに従って行動する能力を完全に欠如していた可能性が高く、少なくとも合理的な疑いを否定することができない。以上のことから刑法39条1項によって罪とはならない。」を勝ち取ることができると考えているからだ。
事実、平成19年版の犯罪白書の被疑事件の受理・処理の状況によれば、平成18年に検察庁における凶悪事件の不起訴件数は、殺人が1,347件のうち560件(約40%)、強盗が4,208件のうち621件(約15%)、傷害が32,010件にうち9,791件(約30%)、暴行が12,477件にうち6,175件(約50%)と驚くべき高率だ。
この中には警察が送検してきたものの証拠不十分と判断されたものや、情状酌量の余地ありというのもあるだろう。
しかし、こと殺人に関しては介護疲れからやむを得ずといった公判で涙を誘うような(執行猶予が付く)ケースであっても起訴はされるのだ。
この40%という高率は、証拠不十分という理由を別にすれば、精神障害が少しでも疑われる被疑者を公判に付した結果、刑法第39条の適用による無罪という判決(世界に誇る!?有罪率の低下)を恐れる検察の姿勢の表れと言えよう。
これでは、無差別殺人者にとっては司法ゲームを楽しんでいるだけだと言っても過言でない。
少なくとも精神障害者を装えば、死刑にはならない、不起訴なら完封勝利、裁判で無罪なら僅差勝ち、実刑が付けば負け、という単なる司法ゲームだ。
そう、私に言わせれば最近多発している無差別殺人は日本的な一種の殺人ゲームの結果であることがほとんどだ。
被害者や遺族、安全な生活を願う良民からすればたまったものではない。
日垣氏は言う。「何人も、故意に基づく凶悪犯罪に対して、責任と刑罰を免れるべきではない。傷害や死亡事件が明らかに病のみを原因とする過失であるならば、まさに過失犯(刑法第209条、第210条)で裁けばよく、裁判に耐えられないほど重篤な病に雁患している被告に限って(英国では年に4、5件。日本でもせいぜい8、9件程度であろう)現行通り、強制入院を命じれば事足りる。」
さて、先に述べたように裁判員制度が施行され、犯罪被疑者が起訴されれば、それらの事件に国民が裁判員として関わることもできる。
今までなら凶悪犯罪者に精神障害者のフリをさせ、「刑法第39条」による無罪を金科玉条のように叫んでいた人権派弁護士主導の裁判に一石を投じることもできよう。
理屈ではそうだ。
しかし、産経新聞「正論」-日本が司法界に弑(しい)される日に書かれている高崎経済大学助教授の八木秀次氏の言葉が妙に現実味を帯びる。
もしかすると、今までよりも殺人を犯したエセ障害者が大手を振って街を歩くことになるかもしれないという警鐘だ。
「仕事や学業、育児・介護で忙しい人は、裁判員の辞退理由に該当するから、いわゆる「普通の人」は辞退することになる。では実際どのような人たちが裁判員になるのか。考えられるところ、暇な人、人がよくて断れないいわゆる「人のいい人」、社会的な活動に熱心な人々ということになるが、最後の分類の中には当然のこととして、左翼市民運動のプロやセミプロといういわゆる「プロ市民」や創価学会などの巨大宗教団体の信者が含まれることになろう。ここに裁判員制度の導入に日弁連や左翼市民団体、巨大教団が賛成する最大の理由があるのだが、つまり裁判員制度は「普通の人たち」の感覚を反映させると言いながら、実のところ、「特殊な人たち」の意見を裁判に反映させる仕組みなのである。」
それに不起訴とされる被疑者の増大が危ぶまれる。
不起訴になった事件には(検察審査会が起訴の正否を審査する権限があるが)裁判員は関与しないからだ。
今でさえ、殺人事件の被疑者のうち4割が不起訴なのだ。
暴行事件においては約半分、初犯や軽微な事件で示談が成立するケースも多いだろうが、笑ってしまうのは暴行事件で起訴されても略式命令、つまり罰金刑がほとんどだ。
司法関係者が人員が不足しているという声もあるが、これではまさに法治国家でなく、放置国家ではないか。
病院や学校、駅で、相手に罵声を浴びせるだけでなく、時には殴打事件を繰り返すモンスター(確信的犯罪者)たち、彼らもまた放置国家の恩恵を十分に受けていると言えようか。
「お盆の休日は都心で過ごそう」
別にキャッチフレーズにするつもりはないのだが、普段なら相当に混雑しているところでもお盆の時期なら空いているだろうと思って今日は恵比寿まで出かけてみた。
行き先は恵比寿麦酒記念館、中は博物館になっていて、年代ごとのキャンペーンガールのポスターなどもあって懐かしさを感じられる。
戦前のカフェでビールをたしなむ上流階級夫人なんていう写真もあって、冷蔵庫が一般家庭に普及してなかった時代はビールもさぞ高価なものだったのだろう。
そして、テイスティング・ラウンジでは、いろいろなエビスビールがリーズナブルな価格で試飲できるのだが、せっかくなので4種類のビールを飲みくらべできる「飲みくらべセット(\500)」を買ってみる。
一つ一つの量はたいしたことないが、エビスで500円は外で飲む価格としてはお手ごろか。
外の暑さが遮断された地下のフロアは冷房もほどよく効いていて皆長居するのか、空席がほとんどなく、ちょうど4人テーブルのところが空いたので、そこに座って飲むことにした。
そういう点ではお盆に来たのは正解だったか。
ほどなく、1人のアジア系外国人が「席空いているか(英語)」と私に聞いてくるので「空いているよ」と言って相席になった。
何もしないで黙々と飲むのも何なので、ちょっと声をかけてみた。
何といっても久々に日本語のない欧州世界へ旅立つ前に彼に練習台になってもらおうか、という気持ちも少しはあったんだけどね。
要は自分が外国で聞かれていることの逆をやっただけだが・・・(ちなみに以下全部英語)
私:「どこから来たの?中国?韓国?」(これは定番中の定番だね。)
外国人:「ぼくは韓国人で学生なんだ。1年間イギリスで留学して、その帰りに日本に寄ったのだ」
私:「日本にはどのくらいいるの?」
韓国人:「1週間、今夜が最後なんだ。昨日は富士山が見れてよかった。最高だったよ。大江戸温泉にも行った。温泉はいいね。」
私:「それはよかったね。ところで、どこに泊まってるんだ?」
韓国人:「新宿の韓国人宿なんだ。1部屋2ベッドか4ベッドで隣にいるヤツは僕は知らないんだ」
私:「新宿か。大久保っていうコリアタウンあるの知ってるか?新宿の隣の駅だよ」
韓国人:「知ってる。いっぱい韓国人いるし、エキサイティングだね」
こうして、しばらく飲み続けているうちに
韓国人:「今夜六本木行くのだが、ここ(恵比寿)からどうやって行くのだ?歩けるか?」
私:「電車の方がいい。今日は暑いし」
ここで私たちのいる4人テーブルにエビスビールTシャツを着た紳士が一人で黙々とビールを飲んでいたので、聞いてみる。
大胆だろ。第一、その紳士はこのあたりの人間かどうかもわからんのに・・・
私の場合、旅行中でも外国人と会話している最中はメンタリティも脱「シャイな日本人モード」ってなることがよくあるんだ(笑)
私:「(日本語で)彼が六本木まで歩きたいと言っているがどのくらい時間かかるかな?」
紳士:「電車の方がいいよ、歩くと1時間くらいかかるだろ」
私が紳士の言葉を韓国人に通訳してやると何となく彼は納得した様子。
こうして、少しの間、3人で飲み続けていたが、私がお代わりを買いにいっている間に紳士は帰った様子。
都心に詳しそうな紳士がいなくなったことで私は彼の質問に困惑することになる。
韓国人:「六本木に行くまでの間、2時間ほど時間潰し(killing time)をしたい。どこかお薦めのところはあるか?」
私:「ガイドブックは持っているか?」
韓国人:「持ってない。これならあるが(と言って出したのはハングル語のみで書かれた1枚の東京路線図)」
私:「(それじゃどうしようもないだろと苦笑しながら)秋葉原は行ったのか?」
韓国人:「秋葉原は知らない。何で有名なのか?寺があるのか?」
私:「おお、知らないのか。多くの外国人が電化製品を土産物として買っているところだ」
韓国人はあまり興味がなさそう。(それもそうだな、サムスンとかが世界を席巻してるもんな)
私:「それなら原宿は行ったのか?若い日本人に人気のスポットだ」
韓国人「そこはもう行った。キュートな女の子がたくさんいてよかったよ」
ここで私は思った。韓国人に皇居や靖国神社へ行けと言って大丈夫なのだろうか、と・・・
う~ん、困ったな。2時間じゃ鎌倉へ行けとは言えないしな。
私:「王子に行ってトラム(都電)に乗って観光したらどうだ。新しい発見があるかもしれないぞ」
韓国人:「王子ってどこだ?遠いのか?」
私:「新宿から北の方だ。山手線に乗れば行ける。30分くらいだな」
韓国人はあまり乗り気ではない。
万策尽きて、私は韓国人に言った。「友達に聞いてみるから」
そして、1人目・・・留守番のメッセージが流れるだけ・・・
2人目、彼のお薦めは「市ヶ谷の釣堀(フィッシュセンター)がいいんじゃない。オレは好きでよく行くよ」とのことだった。
ここで私は彼と韓国人と直接話してもらうことにした。
ハイテンションの会話が続き、韓国人は納得した様子だった。
そうなのか、意外な結末だったな、というのが正直なところだった。
恵比寿駅へ行く最中も彼はフィッシュセンターへ行くのが楽しみだと行っていた。
私は釣りよりもスノーケリングとかで魚を見るのが好きだと言ったら、彼もやってみたいと言っていた。
最後に韓国人は私に行った。
「日本人にはいろいろ親切にしてもらった。僕は卒業したら船会社に勤めるんだが、日本人観光客が乗ってきたら親切にしてあげるよ」と・・・
その彼の日本滞在中の思い出の中に私やフィッシュセンターのことを教えた友人のことが含まれているのなら、それは小さな国際親善と言えるだろう。
何だか今日1日、いいことをしたような気がした。
昨日、ふと思い立って職場の同僚と九段会館の屋上ビアガーデンでやっていたバニーショーに行ってみた。
格調高い神前式のウェディングのイメージのある九段会館と、バニーショーというのはいかにもアンマッチという感じがしないでもないが、夏の間の数日間だけ屋上のビアガーデンでは喧騒に包まれたアイドルコンサートのような雰囲気の中で酔っ払いたちの饗宴が繰り広げられる。
このビアガーデンは、ショーの開催日は予約しないと入れないようで、お盆の都心部は穴場と期待して行ったのだが、初回の7時15分からの部は入れず、2回目の8時15分からの部しか見れなかった。
ちなみに、ここでのバニーショーはアップテンポなメドレーに乗せてバニーガールたちがお客と一体となって盛り上がるという趣向だ。
私たちが入って行ったときには周囲はすでに完全に出来上がっている状態で、やはりサラリーマン風のグループが多かったが、女性や外国人のグループもかなりいた。
流れる音楽は定番となっている倖田來未のキューティーハニー、そして小泉今日子の学園天国など、いずれも酔っ払いが美女とともにハイになれるアップテンポの曲だ。
どんな雰囲気かはYoutubeで「九段会館 バニーショー」で検索するといくつか動画が出てくる。
まあ、私としては、5月末に行った福岡オフのエム・ジャングル(MJungle)のみつえママのショーを少しばかり思い出したけどね。
そもそも私がなぜここに行こうかと思ったのかは、ニューズウィーク日本版にも在籍していたことのある親日英国人ジャーナリストのコリン・ジョイス(Colin
Joyce)氏が書いた「ニッポン社会」入門-英国人記者の抱腹レポートという本で、彼がお薦めのバーというのに入っていたからだ。
英国人ジャーナリストが好むバーがどんなところなのかいうことに少しばかり興味があったということもある。
それで、彼のお薦めというのが、まずは、神谷バー、ここは浅草界隈ではあまりにも有名といえば有名、私がここへ行ったのは昨年の11月17日(土)、友人のうーやんの上京に合わせて行われたオフのとき、人いきれがする店内で看板商品であるデンキブランも飲んでみた。
コリン・ジョイス氏も言っているようにはっきり言ってこれはマズかった。
それが看板商品ということは、マズイと言われると余計に飲みたくなる心理を応用しているのだろうか。
次がビールの質と種類の豊富さで両国のポパイ、彼曰く、日本各地の地ビールを幅広く揃えていて、しかも輸入ビールの種類も豊富と絶賛している。
私は未だに行ったことないが、近くに相撲部屋があることとも相俟って外国人観光客にも人気なのだろうということは想像できる。
一人で飲みに行くならライオン・ビヤホール(銀座七丁目店)、70余年の歴史を持つビヤホールの内装は一人で堪能することに価値ありということだ。
そして、昨夜行った、九段会館のビアガーデン、どうやら外国人にとっては皇居観光のついでに、というのと日本の由緒ある建物で飲むということに価値を見出すのかもしれない。
まあ、一つ話の種に行ってみるのもいいだろう。
ちなみに九段会館は受験シーズンで都内のビジネスホテルが満室になる2月頃の穴場でもある。
特にバス付きの和室は割安だし寛げる。いかがだろうか。
先月のことになるが、偽造免許対策として携帯電話を契約するときに免許証の情報を警察に照会できる旨の合意がされたと報じられた。
しかし、私が思うに、その照会は警察の持っている運転免許所有者情報をデジタルで照会できるものではなく、携帯電話会社が警察に電話で照会できるだけになると思われる。
今時?と思うだろうが、それが日本の実態であり、日本では下っ端スタッフが汗をかきかきヒーヒー言って仕事をするのが美徳とされているからだ。
少なくとも、この件に関して言えば、真偽照会に限ってアクセス権を設定した端末を携帯電話会社の本社にでも置けばいいではないか、と思うだろうが、日本はそういう発想でものを考える人が行政の上層部にいない。
かつて森喜朗元首相がITのことをイットと言ったとかでサイバー社会に対する無知をさらけ出していたが、私に言わせれば行政の上層部の人間も大同小異でしかない。
事実、日本では国や自治体にコンピュータシステムが導入されていても、それぞれのIT企業がバラバラにシステムを構築し、さらにそれらは互換性がないがゆえに相互に連携してもいないし、相互に連携していいという法律さえも作られていないし、国民が同じような書類を何枚も書いてそれぞれに届け出ないとならない、という法律もアナログ時代とほとんど変わりがない。
大前研一氏はこのことを「ロウワー・ミドルの衝撃」の中で、従来のゼネコンがITゼネコンに変わっただけがゆえの悲劇と呼んでいるが、追い討ちをかけるように、日本では政治家や役人がITセキュリティに無知がゆえに情報の相互連携に国民が不信感を抱いている。
その典型が住基ネットで、きちんとした使い方ができれば、日本も他の先進IT立国を上回ることができるものを、タヌキしか通らない高速道路と化しているのが現実だ。
それゆえにプライバシーを守るためと称するアナログ事務が全国津々浦々で見られることになり、役所の仕事は減るどころか増え続けることになっている。
ここでは携帯電話会社のことしか触れられていないが、今や偽造免許証を使った架空名義契約は銀行口座やネット証券口座はもとより、おそらくFX口座すらあると思われる。
その手続きに使われる運転免許証のすべてを警察が電話照会で応じていたらどうなるのか。
さてまた法人の代表取締役印を押した文書でも送らせるのであろうか。
それとも専用のコールセンターでも作って大量のアルバイトでも雇うつもりなのだろうか。
ちなみに、偽造免許の問題がクリアされても、未だに残る顔写真もなき、健康保険証問題はどうするつもりであろうか。
携帯契約時、警察に照会 偽造免許証対策 (2008.7.17 読売新聞) |
携帯電話を利用した「振り込め詐欺」を防ぐため、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルなどの国内携帯電話会社が、個人名義で契約できる電話番号を五つに制限するなど、利用に関する新たな自主規制ルールを導入することが16日、明らかになった。 窓口契約時の本人確認の約7割に使われている運転免許証の偽造対策として、警察が携帯電話会社からの照会に応じる。 新ルールは、携帯電話会社側の態勢が整い次第、実施するが、具体的な時期は調整中だ。 振り込め詐欺の被害額は過去4年間で1000億円を超え、被害者が自殺に追い込まれるなど、深刻な社会問題になっている。 特に、偽造の運転免許証を使って同一名義で数十回線(電話番号)の契約をし、不特定多数に一斉に電話をかける手口が目立つという。 このため、自民党の「振り込め詐欺撲滅ワーキングチーム」(座長・菅原一秀衆院議員)と携帯電話会社、警察庁で対策を検討し、新たに自主規制のルールを定めることで基本合意した。 合意によると、各携帯電話会社ごとに同一名義で所有できる回線数を5回線までに制限するほか、契約時に携帯電話会社側が必要と判断した場合、契約者の了解を得たうえで、電話で警察に運転免許証の確認を依頼する。 契約者が警察への照会を拒否した場合、契約は行わず、悪質と判断した場合は警察に通報する。 このほか、
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格安航空会社の検索サイトであるWhichBudget.comを見ていたときのこと。
まだ今年の夏の旅行も行っていないのに、もう来年のことを考えてどうすると言われそうだが、こういうものは行くことを空想しながら企画を練るのも楽しいものだ。
そこで、旅サイトつながりのMustafaさんがイエメンに行くというのを見て思い出したものがある。
少し古くなるが、同じくウェブサイトつながりの三谷眞紀さんが10年前に行ったシリア・ヨルダン旅行記だ。
私としてはあのあたりは未踏の地であるので、治安というより中東が戦乱状態にならないうちに行ってみたいと思っているところだ。
中東方面に行くフライトとしてオーソドックスなのはエミレーツなのだが、中東地域を複数旅するとなるとチケットはオープンジョーにならざるを得ない。
第三国間をバスで移動できればいいが、時間的な効率を考えると飛行機を使う方がいいだろう。
そこでI want to fly from/toからJordan-Amman (AMM)を選ぶと、いろいろな都市が出てくるが、それらはほとんどエアーアラビア(Air Arabia)の就航地であることがわかる。
それはベースとなるUAEのシャルジャ(Sharjah)のほか、アルメニア(Armenia)、バーレーン(Bahrain)、バングラデシュ(Bangladesh)、エジプト(Egypt)、インド(India)、イラン(Iran)、カダフスタン(Kazakhstan)、レバノン(Lebanon)、ネパール(Nepal)、オマーン(Oman)、パキスタン(Pakistan)、カタール(Qatar)、サウジアラビア(Saudi Arabia)、スリランカ(Sri Lanka)、スーダン(Sudan)、シリア(Syria)、トルコ(Turkey)、イエメン(Yemen)と多岐に亘っている。
ところが、実際にタイムテーブルを検索すると、この航空会社は中東周遊に使うというよりは、UAEに出稼ぎに来る労働者のためのフライトといった色合いが濃いようだ。
これが欧州の格安航空会社のライアンエアー(RyanAir)のように第三国間をダイレクトに結ぶようになればもっと使えるようになるだろう。
あるいは断片的にしかわからないドバイからシャルジャへの移動手段の情報が明確になればいいのだが、今のところ、Wikitravelの情報によれば、タクシーで30分程度、値段にして50DH(約1,500円)ということだ。
ところで、エアーアラビア(DFM stock code: AIRARABIA)と言えば、去る1月8日に石田和靖の海外投資チャンネルで取り上げられているが、彼が「Air Arabiaの乗務員は実に多国籍です」と書いているのも至極もっともかもしれない。
何せ、この航空会社の就航地は東はネパール、カザフスタンから西はスーダンまでをカバーしているからだ。
今後はこうした格安航空会社がベースとして就航しているところほど人も金も入ってくるのだろう。
言わば、ボーダレス時代の繁栄の条件、納税者の金でなく、他国の金で繁栄を海外から呼び込む大競争時代の勝者になる条件の一つがあると言えるからだ。
今日の毎日新聞で「盗難カードでローン契約書」という記事を見た私は呆れ果てて声も出なかった。
舞台は2007年(平成19年)10月1日に民営化されたゆうちょ銀行、盗難にあったキャッシュカードの情報だけを元にした、氏名、誕生日、電話番号、印鑑とすべてが虚偽のローンの契約書が銀行の審査をパスし、38万円余のローン契約が締結されていたという。
さすがにここまでずさんな審査、というより詐欺に加担したとも言うべき行為は例がないのではなかろうか。
かつて日本の銀行は、泥棒が盗んだ預金通帳と印鑑で預金払い戻し申請書を書き、それに書かれたものが本人の登録情報と違っていたとしても払い出しに応じた上、なおかつ本人が異議申し立てをしても、印鑑が合っていたから責任はないなどと強弁した実績がある(2003年3月6日-朝日新聞 印鑑頼み-狙われる預金)が、どうやら民営ゆうちょはその上をいくようだ。
記事では「ゆうちょ銀行東京貯金事務センター」の契約社員の失態のように書いてあるが、実際のところ、複数の友人曰く、最近ではアルバイトも賃金が低いので優秀な人は来ないということらしい。
社員は次々に辞める、残された人の仕事は過重気味、それを補完する臨時スタッフは今ひとつ、これではすでに倒産寸前のゾンビ企業と同じではないか。
その一方で、真正の本人が国民健康保険料とか市民税を口座振替にしようと、ゆうちょ銀行を指定し、依頼書を書いて送ったところ、口座名義に書かれた字体(例えば、山崎と山﨑など)が違うとか言われて送り返されたり、場合によっては役所に行って(戸籍上の)字を直してもらってくれとか言われることもあるという。
片や常用漢字かそうでないかの違いで撥ねられ、片やほとんど違っているのに通るという杜撰さ。
そう言われてみると、わが親も富か冨の違いで何のカンの言われたとか。
このままいくと、万が一のときに戸籍の字と口座の字の違いで別人扱いされる可能性もあるのが怖い。
最近の日本の「安心・安全」は全く信用できないだけに今のうちにきちんとするように言うか。
そして、かつての「ノルマ(野村)証券」を彷彿とさせる投信販売の実態、これが民営化の成果なのか。
記事は昨年の11月、要するにサブプライム問題本格化のベアマーケット入り前の話で、「わしゃ、だまされた!」というレベルだと、今やどうなっているのか火を見るよりも明らかだ。
今や、ゆうちょ社員は連日苦情の嵐で仕事にならないのではないだろうか。
私に言わせれば、昨年5月3日に書いた「郵政民営化の光と影」の影の部分が現実化したというだけになるのだが、何ともやり切れない気持ちだ。
厳しい言い方をすれば、これは、大前研一氏の言う、日本人が世界でも類を見ないほど「プロンプター人種(自分の考えを持たないがために扇動者に操られる人たち)」であるがための結果とも言えるだろう。
私はその郵政選挙のとき、小泉演説に群がって写真を撮り、喝采を送る人々のテレビ映像を見て、屠殺場に送られる羊の群れがカウボーイに拍手しているとしか思わなかったのだから。
少なくともそこには小泉政策によって果実を得られそうな人たち(富裕層)を見かけることはなかったからだ。
ゆうちょ銀行-ずさんな対応・・・盗難カードでローン契約書 (2008.8.2 毎日新聞) |
氏名、誕生日、電話番号、印鑑とすべてが虚偽のローンの契約書が審査をパスし、38万円余のローン契約が締結されていたことが分かった。 |
お年寄りが「許せない」と泣いている ゆうちょ銀行「投信売れ売れノルマ」で「悲鳴とトラブル」内部告発 (2007.11.2 週間ポスト) |
さっそく「代書契約」が発覚、システム不具合、年金振り込み遅ればかりじゃなかった。 古き良き時代の田舎の郵便局員は、独り暮らしのお年寄りの頼みで貯金をおろし、コメや味噌を買って届ける温かいサービスで地域社会に信頼されていた。ところが、民営化への過程で、投信などの販売ノルマが厳しくなり、「わしゃ、だまされた!」とお年寄りが声を震わせている。その実態を社員たちの内部告発をもとに報告する。 「なぜ結果を出せないんだ」 「いらっしゃいませ!今日はどのようなご用件でしょうか」 ゆうちょ銀行の窓口を訪れると、社員はそう愛想よく対応する。 が、その笑顔の陰で、彼らは厳しい“ノルマ”を背負っているという。 社員の一人が重い口を開いた。 「民営化にあたって利益をあげるために、“投資信託をどんどん売れ”という指示が出されているのです。支店長(郵便局長)が、『1ヶ月で100万円分の契約を取ってこい』などという言い方で部下にノルマを割り振っている支店もあります。売れない社員には『なぜ結果を出せないんだ』と叱責するから、現場は皆、必死です」 10月1日に日本郵政公社が民営化して「ゆうちょ銀行」が誕生して以来、顧客情報管理システムの不具合が1週間以上続いたり、年金振り込みが遅れたりとドタバタ劇が続いた。 そうした中、さらに深刻な問題が浮上し始めた。ノルマに追われる社員らが販売する投信をめぐるトラブルだ。 日本郵政グループ社員らの労組である「郵政労働者UNION」中央本部書記の下見徳章(しもみ のりあき)氏が語る。 「ノルマは『販売目標』という名目で全国的に徹底されていて、現場は悲鳴を上げています。それによって、数字に追われた社員たちが無理な販売をしている状況がある。このままでは、将来、多くのトラブルや苦情につながるのではないかと危惧しています」 実際に、民営化後のゆうちょ銀行でも、さっそく“問題契約”が発覚した。 都内の社員による内部告発である。 「23区の北部にある郵便局で、高齢の女性のお客様が投信の説明を受けていた。その際、専門用語などが多く、申し込みの必要記入事項も多岐にわたるため、『難しいから、書類はそっちで書いてよ』と言われて、本来は申し込みをした本人が書かなければいけないにもかかわらず、社員が代書していた。『お客様が書くという決まりなんです』と説明すべきだったのですが、『じゃあ、面倒だから契約しない』と言われたら元も子もないと思ったのでしょう」 代書は、ゆうちょ内部の『コンプライアンスマニュアル』で禁止されている。 もし、代書が横行すると、本人が希望していない商品が勝手に契約されるだけでなく、契約者が知らないままに勝手に商品を買わされるという犯罪行為まで引き起こしかねないからだ。 西川善文・日本郵政社長は民営化にあたってコンプライアンス徹底を打ち出し、「国民から信頼される郵便局を作る」と語っていたが、船出からルール違反の「代書契約」が行われていることをご存知なのか。 販売ノルマが前年の5倍に! このままでは投信トラブルが続出する-前出・下見氏の危惧が、杞憂に終わるとは思えない。 と、いうのも、ゆうちょ銀行は前身の日本郵政公社時代から、販売ノルマを設定する中で、投信トラブルを頻発させてきたからだ。 複数の社員によれば、公社の時から郵便局内で、
手元にある郵政公社の内部文書は、さらに生々しい。「新投資信託重点取扱局情報」と題されたA4判の書類である。 一番上に都内の拠点郵便局名が記され、すぐ下には、(客層 窓口 勤め人 訪問・主婦及び退職者)とある。 そして、(17年度目標額2億1200万円、販売実績2億8448万円)と、細かな数字が記されている。 目標をクリアすると、さらなる“ノルマ地獄”が待っていた。 (18年度販売目標額)の欄に、(11億4200万円)と、実に前年の5倍以上の“ノルマ”が課されていたのだ。 こうしたノルマによって販売開始から2年間で投信の純資産残高は急激に増加。9月末時点で、ついに1兆円の大台に乗せた。 なぜこんなに投信を売ろうとするのか。前出の下見氏が指摘する。 「10万円分の投信を販売した場合、その後10年間の手数料収入は約6500円で、国債の手数料収入約600円の10倍になる。厳しいノルマのもと、無理な販売が行われてしまう」 本誌が入手した郵政公社の別の内部文書「郵便貯金業務に係るリスク発生報告書」には、“ノルマクリア”のためのトラブルを匂わせる事案も記載されていた。 (投資信託の口座開設、新規申込みにおいて名義人××に面談することなく、××の代書により、受付けた。(中略)担当者は、代書、無面談はコンプライアンス違反という認識は持っていたが、退職を目前に控え自己目標を達成したいという意識が強かった)(××は黒塗り部分) これは、岡山中央郵便局で今年2月に起きたケースだが、ノルマに追われてルールを破った例は、これだけと言い切れるのか。 1年半で334件のトラブル 本来、契約できない人にも投信は売られていた。 横浜港局で2006年10月に起きたケースである。 (お客様が営業責任者承知基準を満たしていない(70歳以上で年金を受給しておらず、年収が0円)にもかかわらず、受付口座を開設した) この他にも、13歳、15歳、17歳2人、計4人の兄弟の名義で350万円の契約をしていたケースなど、未成年者に販売していた事例も複数あった。 個人情報に対する意識も疑問符がつく。 (投資信託口座の住所変更処理を行う際、簡易保険の顧客情報照会により電話番号を調査し、電話連絡した(中略)お客様から「電話番号をどこから知りの得たのか」との申告を受けた当該職員が管理職員に報告し、発覚) こうした投信販売に関係する「リスク発生報告書」は、2005年10月から2007年3月分で334件もある。 顧客の高齢者に対して投信のリスクをきちんと説明しなかった疑いのあるケースも本誌取材の中で判明した。 東京都西部・檜原(ひのはら)村。 人口2918人のうち、1195人が65歳以上の高齢者だ。 同村では2007年3月、効率化に伴って檜原郵便局の12人いた職員が4人に減らされ、外務員がいなくなった。 代わりに担当になった隣のあきる野市の郵便局員が高齢者に売った投信が問題になっている。 田倉榮・檜原村村議の話。「契約したお年寄りは、投信のリスクを正確に理解せず、普通の貯金のつもりだったと言います。そして、“サブプライムローン問題で投信の顧客の2割に20万円以上の評価損が出た”という報道を見て、『騙された』『許せない』と泣いている。郵便局はお年寄りには特にしっかり説明をしないといけない」 これらのトラブルについて日本郵政とゆうちょ銀行広報部に取材したが、いずれも回答はなかった。 駅や街頭にポスターを貼り出して、イメージアップに躍起なゆうちょ。 その謳い文句のひとつが「あたらしいふつう」だ。社員に売れ売れノルマを押し付けた末に、投信のトラブルを続出させるのが、ゆうちょ銀行の“ふつう”のサービスでないことを願いたい。 |