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12月31日(月)−昇り龍(rising dragon)

rising dragon今年もいよいよ残すところ今日だけとなった。
思い起こせば今年はおみくじでいきなり「凶」を引いて、どんな年になるのだろう、と思ったものだ。
それが蓋を開けてみたら、「Toward a dream-come-true『経済的自由への扉は開かれた』」というエッセイを書くほどの金運に恵まれ、その後は半年にわたって香港詣が続いた。
もしかすると、私はおみくじで「大吉」を引くより「凶」を引いた方がいいのでは、と思ったほどだ。

また、今年やってみたFX(外国為替証拠金取引=Foreign exchange)は、上半期の口座閉鎖寸前の危機を脱した後は順調に資産を増やすことに成功、年間トータルで利益を出すことができた。
実のところ、この手の投資は2010年1月1日に挑戦すると書いたCFD(差金決済取引=Contract for Difference)が惨憺たる結果で、わずか数ヶ月で証拠金を溶かして口座を閉鎖するハメになったため、ブログにさえ書く気にもならずにそのままフェードアウトしていたのだ。

FX投資の成功は学習の成果なのか、それとも神がかり的についていた今年の金運がそのまま生きたのか。
いずれにせよ、今年は金銭的には大変ハッピーな年となった。
今年は本当に昇り龍(rising dragon)が相応しい年だった。
最後に、弊サイトにご訪問いただいた皆様ありがとう、そして来年も皆様にとってよい年でありますように。


12月29日(土)−HSBC香港の人民元投資はインターネットでも可能に

8月1日から香港非居住者でもHSBC香港を通じて人民元投資が可能になった(2012年7月27日−8月から香港での人民(中国)元投資が非居住者でも可能に)ことはすでにご存知のことと思うが、今までは現地へ行って書類にサインをしないと人民元口座を開くことはできなかった。
また、人民元口座を開いてもインターネットで投資商品を買うことができなかったので、実質的には口座を開いたその場で商品を購入する必要があり、香港非居住者にとっては非常に使い勝手が悪かった。
私も10月の香港・マカオ旅行のついでに人民元口座を追加したものの、手持ちの現金を入金してきただけで、特に何もしなかった。

ところが、最近になってトップページの右側にある「Personal RMB Services for Non-Hong Kong Residents」のロゴをクリックすると、2012年12月10日更新の情報として、インターネットバンキング利用可の記述が加わっていた。(Personal customers who are non-Hong Kong residents may visit any of HSBC branches for personal RMB services. HSBC Personal Internet Banking, Mobile Banking, Express Banking (including ATM and Cash Deposit Machine), Automated Phonebanking Services to non-Hong Kong residents are also available.)
つまり、わざわざ現地へ行かなくとも人民元投資が可能になったということで、従来の11通貨に加えてバリエーションがまた増えたということになる。

私としては狙い目は、小口投資家にとって買いやすい人民(中国)元建の金ETF「恒生人民幣黄金ETF(Hang Seng RMB Gold ETF) (83168)」、現時点では金価格が下落局面にあるので投資のタイミングとしては躊躇してしまうが、将来的には面白いと思う。
ところで、去る27日のワールドインベスターズ「24時間テレビ打ち上げ&忘年会」に参加させていただいたときにお会いした晋陽FPオフィス代表のカン・チュンド(Choong Do Kang)さんに、投資初心者のためのETF(上場投信=Exchange Traded Fund)入門書があったら教えて欲しいとお願いしたところ、北村慶氏の「ETFとは何か」と、ご自身の著書である「ETF投資入門」の2冊を紹介された。
本当ならHSBC香港に口座を開設するような方に案内するようなことではないのだが、ETF投資は香港株(一般)投資口座と米国株投資口座にも応用できるし、私は9月の台湾・香港旅行の途上、HSBC香港オーシャンセンター支店に立ち寄ったときに香港HSBCお助け支店というボランティア精神溢れる素敵なウェブサイトがなぜ存在するのかよく理解できたからだ。
微力ながら私も彼らのお助け精神に加勢したいと思う。


12月28日(金)−ありがとう松井秀喜選手

日本人メジャーリーガーの巨星がまた一つ落ちた。(2012年12月28日−日刊スポーツ 507発ゴジラ伝説はメジャーでピリオド
ゴジラのニックネームで親しまれた松井秀喜選手は、2003年から2009年までニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)に在籍、最後の年はワールドシリーズでのMVPという快挙を成し遂げた。(2009年11月5日−産経新聞 松井悲願の世界一 大爆発6打点、先制2ランでMVPも
彼はメジャーリーグでプレイした日本人選手の中で、野茂英雄投手、イチロー選手と並んで彼らの記憶と記録に残る選手になるだろう。
ヤンキースから移籍した後は、あまりパッとしない成績が続いて、とうとう現役引退をすることになったようだが、彼がヤンキース時代にチームをワールド・シリーズ・チャンピオンに導いた功績はずっと語り継がれることになるに違いない。

New York Daily Newsは、Former Yankees slugger, and 2009 World Series MVP, Hideki Matsui to retire(元ヤンキースのスラッガー、2009年ワールドシリーズMVPの松井秀喜引退へ)という記事の中でこう書いている。
「フィラデルフィア・フィーリーズとのワールドシリーズ第6戦で、6打点を叩き出して勝利を決定づけた松井選手のヤンキースでの最後の試合は、最も人々の記憶に残ることだろう。(He is probably best remembered for his last game as a Yankee, when he had six RBI in the clinching Game 6 of the '09 World Series victory over the Phillies.)
ここまで書いてもらえるのは選手冥利に尽きるだろう。
日本人としても誇りに思う。

その松井選手の通算成績は、メジャーリーグで出場1,236試合、1,253安打、打率2割8分2厘、175本塁打、760打点をマーク、日米通算では2,504試合、2,643安打、打率2割9分3厘、507本塁打、1,649打点をマークした。
そんな彼の試合を見にニューヨークへ行った日本人観光客もかなりいるだろう。
実のところ、私も5年前にそうしようと計画したことがあったのだが、とうとう実現することはなかった。
私が今年のゴールデンウイークの北米旅行の帰りに思った「日本人選手がメジャーリーグで活躍している間に・・・現地観戦に行ってみようと思うが、時すでに遅しという感じがしないでもない。やはり北米は私にとって鬼門なのだろうか。」というのは未だに続いているかもしれない。


12月25日(火)−今年1年の感謝をこめて(donating money to Fukushima and UNHCR)

今日がクリスマスということもあるが、2012年という年に私の人生を変えるかもしれない幸運に巡り合えたことに感謝し、寄付という形でささやかながら社会に還元したいと思った。
寄付先の一つは、東日本大震災の傷跡が癒えない福島だと思ったので「福島県災害対策本部」へ送ることにした。
時期的には遅ればせながらという感じなのだが、福島県の浜通り地区にいた被災者の生活は、今の政治状況だと2年近くたった今でもほとんど好転しているような気がしなかったので寄付先として選ぶことにした。

私に言わせれば、東日本大震災の被災地あてに送られた義援金は、被災者への支援が数年単位で必要なのだから、一時金として被災者に渡すのでなく、基金でも設立して運用し、その運用益を役立てるべきだと思うのだが、超円高の恵まれた昨年来の状況でも、高金利通貨であるオセアニア通貨の債券に投資するでもなく、従来通りのやり方で、ただ漫然と一時金として配分したのだろう。
まして海外からの義援金を、超円高のときに円転するというのはどうかと思うのだが、そのあたりもどうしたのだろうか。
その義援金も、おそらく昨年は国内外から多額の寄付が寄せられたことと思うが、今年、そして来年はどうなることか。
私としては来年以降も資産運用で利益があったならば、寄付を続けていこうと思う。

そして、もう一つは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR=Office of the United Nations High Commissioner for Refugees)、ここの活動の舞台の一つは内戦が泥沼化しているシリアだ。
去る8月20日には日本人の女性ジャーナリスト、山本美香さんが銃撃されて死亡したと報じられた。(2012年8月21日−産経新聞「死亡の邦人女性記者は山本美香さんと確認 外務省など」
今、世界で一番悲惨な地域の一つと言っていいだろう。
もし、こんなところで生まれていたら投資どころでなく、命を失っていたかもしれない。
そんなことを考えながら今の自分の幸運に感謝した。
そして、それが来年以降も続くように願いながら郵便局を後にした。


12月22日(土)−正月は家族と一緒に資産運用と未来の人生について語ろう

朝倉智也氏が自身のブログで、国民生活センターに寄せられる「投資信託の苦情相談件数」が過去最高を更新していると書いていた。
相談者の約80%が60歳以上の高齢者で、購入ルートも対面の証券会社や銀行が9割以上、とのことらしい。
こういった記事が掲載されると、それを引用したブログなどで「ファイナンシャルリテラシーのない人が投資云々」というものが載ることがある。
去る5月3日の橘玲氏が「毎月分配型投信の不都合な真実」というコラムを書いたときもそうだった。
そういったコメントを吐く人は自分の親がその当事者である可能性を考えないのだろうか。

なぜ私が「正月は家族と一緒に資産運用について語ろう」という表題のコラムを書く気になったか。
それは、藤原敬之氏がPresidentに寄稿した記事が原因でなく、最近、定年退職した世代の人たちと飲む機会があって、彼らがこういうセリフを言っていたからだ。
「私、最近○○ファンドを始めた」「もう退職金と年金(60歳から支給される報酬比例部分の年金)だけでは凌げないよね」
彼らは在職中に投資の話をするような人たちではなかった。
つまり投資に関しては、定年退職デビューなのだ。
果たして「私の親は投資なんかとてもとても」と言っている貴方の認識は何年前のものだろうか。

私は彼らの話を聞いていて大丈夫なのかと思った。
彼らは証券会社でリスクの説明をされているか否かにかかわらず、損することに対する耐性がないように思えたからだ。
つまり、国民生活センターや金融庁へ苦情を言っていく人の中には、こうした人も大いに含まれる可能性があるのだ。
仮に、自分自身が金融業界に勤めていたとしても、親は自分に投資のことを相談しに来るだろうというのは大きな間違いだ。
親にもプライドがあり、自分の買った商品を人に、例え実の子であっても、反対されることに耐えられない人も多いのだ。
実際のところ、親子であっても正面きって資産運用のことを聞くのは抵抗があるだろう。
普段離れて住んでいればなおさらだ。

そういうときは別のアプローチをするといい。
私が実際にやっている方法は確定申告の代行だ。
国は高齢者の確定申告の手間を省かせるために、今年(2011年分)の確定申告から公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、原則として確定申告を不要とした。(国税庁−公的年金等の課税関係
つまり、サラリーマンと同じような扱いになったのだが、それでも税金の還付を受けるためには確定申告が必要なことに変わりない。

「年間10万円以上の医療費(通院のための交通費を含む)がかかったとか、地震保険を掛けているとか、被災地や赤十字などに2,000円を超える寄付していると、税金が戻ることがあるんだよ」と言えば、何らかの反応があるだろう。
中には面倒なので、税金の申告なんてしていない、とかいう返事が返ってくることもあるだろう。
そこで、貴方がやってあげるからと言って関係する書類を集め、ついでに投資のことなども聞いてみよう。
もちろん、そうするためには貴方自身も国税庁の確定申告書作成コーナーを使った申告ぐらいできない(プリンタで申告書を印刷すればe-Taxを使う必要はない)と困るのだが、そうやって国が進める愚民化政策、要は税に興味を持たせない政策に対抗していくのだ。

もし、この過程で親が投資をやっていたことがわかったら、インターネットなどを使って商品のリスクや評判などを調べてみるといい。
もしかすると、とんでもない商品を掴まされている可能性があるからだ。
「そんなことを言われても私だって投資のことなんか・・・」と言いたい人はいるだろう。
そういう人は親を不幸にしないために、自分の未来を切り拓くために投資の勉強を始めるといい。
スティーブ・シーボルト(Steve Siebold)著、弓場隆訳の「金持ちになる男、貧乏になる男」(How Rich People Think)には、こんなことが書いてある。
「貧乏になる男はお金を『貯める方法』を子どもに教え、金持ちになる男はお金を『投資する方法』を子どもに教える。」(筆者はお金を貯めること自体が悪いということでなく、恐怖にかられた安全思考が悪いと言っている。要は損するのが怖い、失敗するのが怖いという気持ちで貯金に走るのが良くないということだ。)
「貧乏になる男は資産形成と家庭生活が『両立しない』と考え、金持ちになる男は資産形成と家庭生活が『両立する』と考える。」
これをどう取るかは貴方次第だ。

国民生活センターに寄せられる「投資信託の苦情相談件数」が過去最高を更新している。
(2012.10.29 モーニングスター朝倉智也が投資信託を語る!)
2011年度は1792件で、リーマンショックが起こった2008年度も上回った。
2012年度も6月末迄に既に前年同月比で100件以上増加しているという。
相談者の約80%が60歳以上の高齢者で、購入ルートも対面の証券会社や銀行が9割以上。

「投信の時代」と言われて久しいが、家計全体に占める投信の比率はわずか4%、投信全体の残高も依然として60兆円程度である。
投資家へのきちんとした説明がなされず、相変わらずの販売姿勢が続く限り、本格的な投信の時代は訪れないだろう。

現在、金融庁で行われている投信に関する改善策の中でも、毎月分配型ファンドに関わる規制は、各社の差別化戦略として、その運用や販売は各社に委ねられ、規制そのものはどうやら見送られそうである。

投信投資家の裾野を拡大しようとしても、今まで通りの販売姿勢であれば、何も変わらない。
ただ、逆に投資家一人一人の投資目的にあったアドバイスがきちんとなされれば、それ自体が大きな差別化要因となる。
運用力や商品力は、他社にはいずれキャッチアップされる。
当たり前のことだが、販売員一人一人が投資家に真摯な姿勢で向き合うことこそが、競争優位の源泉となる。
世界の大金持ちは、どんな金融商品を選ぶのか
(2012.7.2 President by 藤原敬之)
■ゾッとする日本の証券営業

日本人はなぜ投資下手なのか。
ひとつの原因として私が思うのは、投資家に対するきちっとしたアドバイザーがいないことです。
日本の証券会社の営業マンや、銀行窓販の人たちは、アドバイザーでもなんでもありません。

私が以前、知人に頼まれてアドバイスをした方がいらっしやいます。
旦那さんが亡くなられて、遺産を相続された女性なのですが「では相続された金融遺産をちょっと見せてください」とお願いしました。
実際に目の前にしてビックリしました。
ぜんぶ投資先やリスクも似た類似商品でした。
これではリスクの分散になりません。

証券会社も銀行窓販も、全く同じような商品を、資産分散も何もせず、一人の人間にどんどんはめ込んでいたのです。
お客さんのことを考えたら、この商品をこれ以上この人に売ってはいけない。
そう考えるのが本当のコンプライアンスだと私は思うのですが、そんなことは何もされていない。
私はゾッとしました。
もちろん相当解約させていただきました。

これが日本の証券、または銀行の、個人の客に対しての営業のやり方なんです。
自分たちが売りたい、今売らなくてはならない商品在庫を捌く。
それしか頭にありません。
本当にお客さんのことを考えてアドバイスができるところはないのではないかと思います。
証券会社や銀行がこのスタンスでは、日本で投資家が育ちにくいのも無理はないと私は思ってしまいますね。

12月16日(日)−年末ジャンボ宝くじを買うために並ぶ人たち

ぽかぽか陽気に誘われて横浜まで買い物に行ってみると、何やら行列ができて整理員が声をからして叫んでいる。
どうやら年末ジャンボ宝くじの売り場のようだ。
みずほ銀行のウェブサイトによると、販売期間は11月26日から12月21日、抽選日は12月31日、1等賞金は4億円、前後賞の1億円ずつを合わせると、最大6億円が当たることになり、銀行の宣伝文句は「億万長者が最大204人誕生する予定です。」となっている。
その夢を狙って、日本一当たりが多く出ている売り場として有名な西銀座チャンスセンターには今年も多くの人が行列を作っていて、その模様はメディアで報じられたりもしている。

その西銀座チャンスセンターの中でも左端の1番窓口は数時間待ちの大行列だそうで、私は初めて知ったのだが、そこへ並ぶ代行業者すら存在するようだ。
何ゆえに宝くじを代行業者を使ってまで買うのか。
代行業者の一つである「富くじ屋」の手数料を見ると、それほど高いとは思えないが、彼らはこれで利益を上げているのだから需要もかなりあるのだろう。
そこまでして買ったところで、確率論から言えば、ガラガラの窓口で買っても同じことだ。
ましてWEB金融新聞の記事によれば、日本の宝くじは、ぼったくり商品の最上位にランクインしている代物で、法律(当せん金付証票法第5条第1項)によって還元率が50%を超えてはならないと決められているため、控除率が55%と、世界のギャンブルの中で最悪のものと言われているのだ。

それ以上に卒倒するほど驚いたのは次の下りだ。
「西銀座チャンスセンターの売り場は一つではありません。最も人気があり、多くの高額当選者を排出していると言われている売り場は1番窓口です。人気の売り場での宝くじ購入をうたっていながら1番窓口の存在には一切触れない代行業者が数多く存在します。また、1番窓口での購入をうたっていながら行列の外からのみの写真を掲載している不透明な業者も多々あります。 誰も列んでいない不人気の窓口で大量に宝くじを購入し、さっさと帰る業者と思しき人物もチラホラ・・・お客様の大切な夢を蔑ろにする悪質代行業者には十分ご注意下さい。」
宝くじ売り場に並ぶだけのビジネスが、悪質業者が出るほど儲かるものなのか。
それほどのものなら私もやりたいくらいだ。
まさに極楽ビジネスの筆頭に位置するのは「日本の宝くじ代行購入業者」ではないだろうか。

ところで、私が昨日のコラムで紹介したスティーブ・シーボルト(Steve Siebold)著、弓場隆訳の「金持ちになる男、貧乏になる男」(How Rich People Think)には、こんなことが書いてある。
「貧乏になる男はできるだけ『怠けよう』とし、金持ちになる男は人一倍の『努力』をする−貧乏になる男の間で金持ちになるためのもっとも人気のある方法は宝くじだ。確率からすればお金を失うことはほぼ確実なのに、大勢の人が宝くじを買って努力せずに金持ちになろうとしている。」
まして、その宝くじを買うために行列をしたり(時間の浪費)、代行業者まで使う(金の無駄遣い)というのは、私にはあり得ない選択だ。

さて、1等賞金の4億円(前後賞合わせて6億円)を射止めた人は、彼らの意図している一生働かずに(金の心配をしないで)済む身分になれるだろうか。
私は相当に難しいと思う。
なぜなら、彼らは1等賞金を射止めたときから「みずほ銀行の投資信託セールス部門」のターゲットだからだ。
かの銀行も宿命的に顧客にとってほとんど利益の出ない投資商品を多数抱えていて、それを誰に嵌め込むかで日夜奮闘しているのだ。
日常的なターゲットは、小金を持った高齢者に、定年退職した公務員と一流企業のサラリーマンだ。
事実、私の知人のところに変額終身保険の「プレミアレシーブM−定期支払金付積立利率変動型終身保険(通貨指定型)」を売り込みにきた某支店の投資信託セールス部門の担当者は、まるで詐欺商品の訪問販売員のようだったと言っている。
そして、そこへ突如現れるのは泡銭を持ったみずほ銀行にとっての福の神だ。
投資や資産運用を考えない人(スティーブ・シーボルト曰く「貧乏になる男」)が、思わぬ幸運(大金)を得た後で辿る運命は、無駄遣いと、ぼったくりビジネスのカモになって貧乏に逆戻りと相場は決まっているからだ。


12月15日(土)−衆議院議員総選挙の結果に一喜一憂するより自分を変えよう

明日は第46回衆議院議員総選挙だ。
この選挙は、定数480名の小選挙区比例代表並立制で行われるにもかかわらず、候補者を擁立した政党は12党に及び、1504名が立候補を届け出ている。
この選挙制度を導入したときには、日本も英国のように二大政党制が根付くことが目的にされたはずなのだが、現実は単純比例代表制の下で行われているが如きに多党が乱立し、3年前に政権を取った民主党が、マニュフェストに掲載した公約を徹底的に反故にしまくったせいで、もともと信用度の低かった政治家の公約を誰も信用しなくなった。
このままいけば、「2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する(Megachange: The World in 2050 (Economist))」にある通り、40年後の日本は悲惨な状況になっているであろう。

ところで、自分の意見に一番近いのはどの党か真剣に考えたいという人は、日本政治.comの「投票マッチング」を使ったりしているが、そもそも政治家の言っていることが当選後に180度変わるような状況では、このシステムもほとんど意味がない。
従って、強固な支持者を除けば、ほとんどの人は何だかわからないときは自民党、まるで「有事の金(きん)」のように日本の有権者は先祖帰りを起こして、総選挙の投票前から自民党が政権復帰するのは既定路線のような報道をされている。
3年前に国民から三行半を突きつけられた政党が、何も変わらないのに複権するなどというのはブラックジョークでしかない。
ちなみに、今回の選挙で私は「投票マッチング」の結果に従い(笑)、「みんなの党」に期日前投票した。
本当は棄権しようとも思ったが、権利の放棄は私の信条に反するのでしなかったのだ。

今、私の手元にスティーブ・シーボルト(Steve Siebold)著、弓場隆訳の「金持ちになる男、貧乏になる男」(How Rich People Think)があるのだが、その中の一節にこういうものがある。

貧乏になる男は誰かに「助けてもらおう」と考え、金持ちになる男は自分で「物事を解決しよう」と考える。
貧乏になる男は、誰かが自分を助けて願いをかなえてくれるのを待っている。
彼らが待望している救世主は神様、政府、政治家、配偶者である。
しかし、そうやって手をこまねいている間にも時間はどんどん過ぎていく。
貧乏人が死の床について必ず後悔するのは、「思いきって自分の好きなことをすればよかった」ということである。
あなたにとって最大のリスクは、何もせずに願いがかなうのを期待することだ。

一方、金持ちになる男は「誰も助けに来てくれない」と考え、しかもそれを喜んでいる。
彼らは「本当に楽しいのは、目標の達成そのものではなく、目標を達成する過程で自分がどういう人間になっていくかを確認することだ」と言う。
私は長年にわたって多くの人と会って話を聞いたが、そのなかでもっとも幸せに暮らしていたのは金持ちである。

しかし、金持ちが幸せなのはお金があるからではない。
彼らにとって幸せとは、「誰かが助けに来てくれるのを待たずに自分で目標を設定し、ひたむきに努力してゲームに勝つこと」なのだ。
お金はそのための目安にすぎない。
お金は生活を快適にしてくれるが、幸せを買えるわけではない。
お金がないから幸せではないというのなら、お金があっても幸せになれない。
お金と幸せはどちらも重要だが、相関関係はあまりない。

ここで、最も重要なのは、「貧乏になる男は、誰かが自分を助けて願いをかなえてくれるのを待っている。彼らが待望している救世主は神様、政府、政治家、配偶者である。」という最初の2行だ。
一般庶民ならまだ笑って許せるだろう。
私を含めてほとんどの庶民は金持ちではないからだ。
ところが、景気後退局面に陥った1990年代以降の日本では、並み居る大企業経営者たちまでが、「政府に景気対策して欲しい、○○先生のお力で何とかして欲しい。」の大合唱だったいうから驚く。(2007年12月31日−The way to lost quarter century and...
大前研一氏や故三原淳雄氏のような良識的な人たちが嘆き悲しむのも無理はない。
結局のところ、貧乏メンタリティに毒された経営者の下で働いている社員が豊かになれるはずもないだろう
しかも、2006年1月8日付の朝日新聞によれば、「団塊のあした−ふたたび出会うために」という表題で、「団塊の世代の結婚は、恋愛が見合いを上回る。職場結婚も多かった。女性のほとんどは寿退職して専業主婦になった。夫は外で働き、妻は家庭を守る。男性と女性の役割分業は、経済成長を推し進める国策でもあった。」とある。
貧乏メンタリティを国中に蔓延させていたのかと言いたい。

そして、その毒は回りまわって国のすべてを覆い尽くすことになる。
兵庫県立大学大学院教授の中野雅至氏は、その著書「これから20年、三極化する衰退日本人 ~依存する人・搾取される人・脱出する人~」の中でこう言う。
「1990年代後半以降、日本人は経済成長などのパイを拡大するという自信や発想をなくしている。これが衰退現象の一つ目の大きな特徴だ。二つ目は縮小するパイを配分・シェアできないということだ。簡単に言えば、同質性が高く、互助の精神があると言われているにもかかわらず、日本人は互いに少なくなるパイを分け合うという発想がなく、あいつがもらいすぎている、こいつが楽をしている、と文句ばかりを言っている。衰退社会の三つ目の特徴は、衰退する中で先細るパイを巡って醜い争いを繰り広げていることだ。」

私が今回の選挙で棄権しようかと思ったのは、どの政党もどの政治家も未だに英語教育の充実を言わないからだ。
日本が再び豊かになるためには、第一に東南アジア各国のように英語教育を徹底するしかないのだ。
シンガポールや香港がアジア随一の経済発展都市になっているのは偶然でも何でもないのだ。
英語教育を充実させると日本人のアイデンティティが失われるなどと言っている人は、それこそ亡国の民である。
資産フライト 「増税日本」から脱出する方法」の著者、山田順氏は言う。
「グローバル社会において、経済発展するためには共通語である英語ができなければならない。英語ができればもっと日本人は豊かになれるし、国際競争力のある労働者になれる。英語教育こそ最善の雇用対策である。」
私に言わせれば、これからの時代は英語が通じにくい国には投資もされないし観光客も来ない。

もはや日本が変わるのを待っていては、それこそ自分の人生が終わってしまう。
明日の選挙結果がどうなろうと、そんなものには一喜一憂せず、自分が変わるしかないのだ。
変わろうとしないなら、自分の一生を政府や会社に委ねることになり、苛酷な日本の運命の巻き沿えを食うだろう。
ちなみに、2004年2月29日に書いた「未来へのシナリオ」は私自身への教訓であり、ピーター・タスカ(Peter Tasker)の「不機嫌な時代−JAPAN2020」は私にとって運命を変えた書籍の一つである。
言うまでもないことだが、私の目指すものはデジタル元禄の主人公、「田中春子」である。


12月13日(木)−Registry BoosterなるインチキソフトでWi-Fi接続不能に

去る11月18日に私は「ほとんど誰も信じていない世界の終末(The end of the world)」というコラムを書いたが、終わりになりそうだったのは私のIT環境だった。
今年の8月から自宅のネット環境を、ADSL回線からE-MobileのWi-Fiルーターに切り替えて快適にインターネットを楽しんでいたのだが、時折、Wi-Fiが繋がらないときがあり、それが数十分経過すると直るので、私は一般的な接続障害とばかり思っていた。

ところが、今月になって自宅で使っているメインのパソコンがWi-Fiに繋がらないのに、iPhoneは接続できるという摩訶不思議なことがあったので、試しに海外旅行のときに使っているミニノートでインターネットにアクセスすると、何事もなく繋がった。
これはパソコン側の障害だと思って、ヨドバシカメラのPCドックで見てもらうと、スタッフは私のデスクトップにあるアイコンを見て言った。
「Registry Booster(レジストリ・ブースター)が悪さするんですよね。これでWi-Fiに繋がらなくなっているんですよ。下手するとパソコンを初期化することになりますが、そうしなくても処理できるので、やってみましょう。もちろん、このソフトはアンインストールしますよ。」

そう言えばパソコンの調子が何となく悪かったときに、何気にインストールしたオンラインソフトが、このRegistry Booster(レジストリ・ブースター)だったのだ。
販売元のUniblueの効能書きを見たときに、「Registry Boosterは、Windowsレジストリの問題に対する簡単な解決策です。受賞歴を持つこのソフトウェアは、レジストリの詳細スキャンを行い、不安定な動作とスローダウンの原因となり得る問題やエラーを特定します。Registry Boosterはレジストリ内の有害なファイルを修復または削除して、コンピュータの性能を最適化します。さらに、レジストリをデフラグして速度と効率をより高めることもできます。」とあったからだ。

しかしながら、このソフトのインターネット上の評判は悪く、例えばBTOパソコン.jpの記事では、「Uniblueという企業が日本でも広告を多めに盛っているようで、引っ掛かる人が増えているようです。結論から言うと役に立たないどころか、エラーが有ると脅して支払いを促す悪質なインチキツールです。」とボロクソである。
私も引っ掛かった1人であるが、幸いにも解約にはすんなりと応じているようで、60日間の返金保証規定によってお金も返ってくることになった。
そういった意味で、詐欺とまでは書かなかったわけである。

結果的に、わずか数日でパソコンは手元に戻り、費用も診断料の2,000円だけで済んだ。
それにしても今月に入ってIT環境は災難続きである。
投資商品はモロにそうであるが、ITソフトも相手がポップアップ広告などで売り込みをかけてくるような商品にロクなものはない。
これが今回の教訓だ。
ちなみに、今回のようにコンピュータ内のシステムなどを使用不能にして、その復旧のために追加の有償ソフトを売りつけてくるのに使われるマルウェア(malware)をランサムウェア(ransomware)と言って、欧州では1年ほど前から被害者が多数出ているそうだ。


12月9日(日)−文鎮と化したiPhone 3GS

先月のタイ旅行MBKのモバイルコーナーに寄ったとき、ある売り場のお姉さんが流暢な英語で「格安なiPhoneがあるから買わない?」と声をかけてきた。
今までiPhoneに、というかモバイル端末自体にそれほど興味がなかった私は、時代の流れに数年遅れ(笑)でそういったものを買ってみようかと思って話を聞いてみた。

MBK Center彼女が買わないかと言ってきたのはiPhone 3GSの中古品、価格は6,900バーツ(約19,000円)だった。
もちろん日本で売っているものと違ってSIMロックがかかっていない(unlock)ので、それも魅力の一つだった。
それが高いかのか安いのかという予備知識もなかった私だが、オフィシャルショップで高価な最新版を買う前に使い勝手を吟味するにはちょうどいいかと思って買うことにした。
それに、ウェブサイトつながりのとんびさんを始め、いろいろな人がiPhoneを駆使して海外旅行を楽しんでいるという記事をさかんにアップしていることもお試しの動機になっていた。

バンコクのショップの人はタイのAISの3G SIM(有効期限:2013年5月)をプレゼントに付けてくれたが、結局バンコクではiPhoneを一度も使わずに帰国した。
帰国後、Wi-Fiに接続していろいろ試してみると、なるほどこれは便利だという機能がいくつかある。
特にSafariというブラウザーはパソコン並みなので旅行情報の検索くらいならこれで十分だろう、と思えた。
もちろん、旅先に持参するようになったミニノートの方が画面が大きいし、旅行記の下書きをするにも便利なのだが、旅行に持っていく電子機器は軽いに越したことはない。
特に旅行期間が1週間以上ないときはパソコンは荷物になるのでiPhoneの方がいいと思った。

唯一の不満はFacebookのトップページに接続すると、画面が開ききった途端にブラウザー自体も閉じてしまうことで、いったいどういう障害なのかと思っていた。
最近になって、旅行先でアクセスしたフェイスブックの近況アップデートからミニオフにつながるケースが出てきたので、重要なコミュニケーションツールの一つが使えないとは痛い、と思ったのが悪運の始まりだった。
パソコンショップの修理コーナーのスタッフに相談すると、そんな事例は聞いたことがない、iOSをアップデートし、Facebookのモバイル版の最新バージョンをインストールすれば解決するのではないか、と言われ、その通りにした。

バンコクで買ったiPhoneのiOSのバージョンは4.0.1、iTunesに繋ぐと、iOS4.1へのアップデートが始まった。
これではFacebookアプリの最新版のアップデート要件のiOS4.2以上を満たさない。
引き続き、最新バージョンとしてiOS6.0.1があるので、バージョンアップしますか、というのが出て、当然のごとく「はい」を選択した。
ここが悪夢の文鎮化の始まりだった。
iPhoneの液晶には「アクティベーションサーバが一時的に利用できないため、この iPhone をアクティベートできませんでした。 iPhoneを iTunesに接続してアクティベートしてみるか、数分後にやり直してください。この問題が解決しない場合は、Appleのサポートに問い合わせてください。: apple.com/jp/support」というメッセージ、iTunesの画面は「アクティベーションを行おうとしているiPhoneにはSIMカードがインストールされていません。取り外してiPhoneにSIMカードを挿入してください。」のメッセージが出た。
このiPhoneのメッセージは数分どころか、何時間たっても変わることはなかった。

翌日になって、私がネット上の情報を検索してみると、リカバリーのやり方が書かれており、それに一縷の望みを託した。

  1. iPhoneをUSBケーブルでパソコンに接続する。
  2. ホームボタンとスリープボタンを同時に長押しする。電源が切れたらスリープボタンのみを離す。
  3. ホームボタンを押したまま、iTunesが立ち上がるのを待つ。
  4. 「iTunes がリカバリーモードのiPhoneを見つけました。iTunesでご利用になる前に、このiPhoneを復元する必要があります。」と出たらOKを選択する。

これで復元はできるかに思えた。
しかし、リカバリーしたのはiOS4.1のアップデート完了時点ではなく、iOS6.0.1のアップデート完了時点のものだったため、無情な液晶表示が私の目の前に出続けた。

そこで、私は挿入されているSIMがタイのものだからいけないのかと思い、日本通信 bモバイルSIM U300 1ヶ月(30日)使い放題パッケージ BM-U300-1MSを取り寄せることにした。
しかし、こんなことで解決できる問題なのだろうか。
このことについて、ネット上にあったiPhone修理という広告を打っている業者の一つを訪問して確認したところ、「SIMの問題でなく、プログラムの問題かもしれないですね。」とのことだった。

今、ネット上ではiOS5.1.1まではアクティベートしないでiPhoneを使う方法が検索でヒットする。
おそらく、iOS6.0.1もそうなるのは時間の問題だろう。
もちろん公式のツールでないが、今や文鎮と化したiPhoneを復元させるのはそれしか方法がなさそうだ。
先ほどのiPhone修理業者の若者は、「またバンコクに行けば何とかなるんじゃないっすか?」と笑いながら言った。
今のところバンコクに行く予定はないので、モバイルに詳しい友人におもちゃとして貸そうかと思っている。
幸いにも大した情報は入れていないし、今のまま私の手元に置いておいてもゴミになるだけだからだ。
結果的にどうにもならなかったら大きな授業料を払ったと思って、今度は香港などにある正規のショップで最新版のiPhoneを仕入れようと思う。

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